海鳥さん食べちゃダメ!それ、餌じゃない、DMS風味のプラゴミ+Xmasのボルドー(再)

海鳥さん食べちゃダメ!それ、餌じゃない、DMS風味のプラゴミ
+Xmasのボルドー(再)
~ 海鳥は餌の臭いDMSに惑わされ漂流プラスチックを誤って食べてしまう ~

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海鳥もクジラも磯臭さで餌を知るREV
(海鳥もクジラも磯臭さで餌を知る・・らしい: 過去記事より転載)
海鳥が漂流プラゴミを誤食する訳は?
海鳥は海に漂流しているプラボトルなどのプラスティック・ゴミを餌と間違えて誤食し、時に命も危うくなるようですが、なぜ?と言うサイエンス小ネタです。グルメ?つながりでフランスのボルドー(Bordeaux)のフォトを添えます。
ボルドーのXmasの過去記事はこれです↓
大河ガロンヌが潤すワインの郷ボルドーは大人の街
星に導かれる神の虫フンコロガシ+ボルドー番外編





Bordeauxの夕暮れREVdownsize
(ボルドーの夕暮れ)
磯臭さDMSはおいしい餌の匂い
「磯臭さ」の正体はジメチルスルフィド(DMS、dimethyl sulfide)、植物プランクトンの臭いで、そこにはこれを食べる動物プランクトンも、更にこれを餌とする魚もいます。だからその魚を餌にする海鳥やクジラ類にとっては「磯臭さ」DMSはおいしい餌の匂いです。
磯臭さはクジラにとって餌の匂いの過去記事はこれです↓
クジラたちの水中感覚とは捨てて拾い直した嗅覚+石垣のサカナたち

朝のボルドーはビジネスの街の顔downsize
(朝のボルドーはビジネスの街の顔)
餌の匂い(DMS)がする海のプラスティックゴミ
プラスティックのゴミは海を漂ううちに藻がつきます(浜に打ち上げられたプラ片が緑色に汚れていますよね)。その藻がDMSを海上の大気に排出します。このDMSは海鳥たちにとって「餌の匂い」なので緑に汚れた漂流プラスティックゴミを間違えて食べてしまいます。

ネプチューンとフリゲートdownsize
(ネプチューンとフリゲート)
嗅覚で餌を見つける海鳥
アホウドリなどの海鳥が広い海の上で餌である水中の魚の群れを見つけるには視覚より嗅覚を使います。海面近くで光合成により植物プランクトンが大量発生すれば、植物プランクトンを食べる動物プランクトンが集まり、今度は動物プランクトンを餌にする魚が集まります。

雨上がり朝の広場downsize
(雨上がり朝の広場)
新品ならプラスティックは食べません
出典著者のMatthew S. Savoca氏らの研究で、海鳥は藻がついた漂流プラスティックは食べるが、同じ種類のプラスティックでも新品は食べないことが分かりました。
海鳥にとってプラスティクがおいしいんじゃなくて、餌の匂い(DMS)が付いていると「おいしい餌」と勘違いするようです。一方、嗅覚に頼らない餌取りをする海鳥では誤食はほとんどなかったそうです。


オマールの一皿、ボルドーの赤とも合いますdownsize
(オマールの一皿、ボルドーの赤とも合います)
プラゴミの誤食が海鳥を傷つける
間違えて食べたプラスティックは海鳥には消化できませんから、消化管に貯留して餌が摂れなくなったり、消化管を傷つけたりして時に死んでしまうこともあるようです。このようなプラゴミ誤食は、同じく嗅覚で餌を探すクジラ類でも起こっているようです。


サンタンドレ大聖堂の堂々とした佇まいdownsize
(サンタンドレ大聖堂の堂々とした佇まい)
58万個/平方kmもある海のプラゴミは増える一方
海のプラスティックゴミは平均して1平方kmあたり58万個以上(破片)も漂っているそうです。
1950年代以来、11年で倍増のペースで世界のプラスティック生産量は毎年拡大し、現在年間30万トンに上るそうです。そのごく一部とは言え海に漂い出たプラスティックゴミもますます増えています。


イルミネーションに賑わいの余韻が残る雨の夕暮れdownsize
(イルミネーションに賑わいの余韻が残る雨の夕暮れ)
このままでは広がる一方のプラゴミ誤食
このまま行けば2050年ごろには漂流プラスティック誤食の被害はほとんどの海鳥(の属)に及ぶ恐れがあるそうです。空からやってきますが、海鳥たちは海の頂点捕食者の1つです。私たち、ヒトが何とかしないと海の生態系が崩れることになるかも知れませんね。

出典:”Marine plastic debris emits a keystone infochemical for olfactory foraging seabirds” Savoca et al. SCIENCE ADVANCES 2016;2: e1600395 9 November 2016
出典: “Why do seabirds eat plastic They think it smells tasty” Sid Perkins, Science Nov 9 2016, Science: Weekly Headlines
出典: “Nearly every seabird may be eating plastic by 2050” Sid Perkins, Science Aug. 31, 2015


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3人の天才が生んだ美しき器用貧乏A-20ボストン

3人の天才が生んだ美しき器用貧乏A-20ボストン
~ DB-7、ボストン、ハヴォック、A-20・・たくさんの名と顔を持つ縁の下の力持ち ~

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鍵コメを頂いた方へ
お知らせありがとうございます。当該の記事の記述を新しい情報と入替えました。
Levalloisbee 2016/12/11

アルジェのSAAFボストンIII
(アルジェ上空のSAAF(南アフリカ空軍)ボストンIIIのつもり、出展イラストと背景から合成)
「君の名は。」→ じゃ、とりあえずボストンで・・
この名機にして地味機の名前をなんて呼べば良いのでしょうか?多くの国で使われ、まずフランスでDB-7、次いで英国でボストン(Boston)、夜戦型はハヴォック(Havoc)、やがて生国米国でA-20ハヴォック、その夜戦型はP-70ナイトホーク(Nighthawk)・・と名前もたくさんあります。以下「ボストン」と呼びます。




大戦を通じて全戦域で9ケ国に使われたボストン
ボストンは約7500機も製造され、第二次大戦初期(1940年)から終戦まで、ほぼ全戦域(欧州、地中海、アフリカ、ロシア、太平洋)を舞台に、9ケ国で使われたベストセラーです。でも器用貧乏がたたり縁の下の力持ちにとどまった地味機でした。

ボストンはこんな飛行機
(ボストンはこんな飛行機)
ボストン生みの親は天才トリオ;ハイネマン、ノースロップ、ダグラス
DB-7/ボストンはダグラス(Donald Wills Douglas, Sr.)、ノースロップ(John Knudsen Northrop)、ハイネマン(Edward Henry Heinemann)の黄金トリオが生み、ハイネマンが仕立て上げた美しいヒコーキです。

ノルマンディCaen近郊の仏空軍A20J
(ノルマンディCaen近郊の仏空軍DB-7(A20J)のつもり)
ベンチャーが元気だった佳き時代-
1930年代の航空業界は新興産業、多くの天才、起業家、ベンチャー企業が現れM&Aも盛んで、ノースロップ社はダグラス社に吸収合併、ノースロップと若い部下ハイネマンも移籍します。ダグラス指揮下でノースロップ、ハイネマンの天才トリオが自主開発(private venture)した軽爆がModel 7。

ボストンを仕立て上げたのはハイネマン
やがてノースロップは袂を分かちノースロップ社を再興し、一方ハイネマンはダグラス社に残ってModel 7を大幅設計変更しModel 7Bへ、更にDB-7(後のボストン)へと仕上げました。

パラオのビーチのP70
(パラオのビーチをゆくP-70のつもり)
残念、B-25との競争では負け組に
まだ新興産業だった当時(1930年代)の航空機産業は、大きな潜在市場を期待する急速な技術革新と激しい企業競争の時代だったようです。5社競合の1939年の軽爆競争入札ではマーチン167(後のメリーランド)とともにボストンの雛型DB-7もNA-40(後のB-25)に敗れました。
メリーランドの過去記事です↓
メリ-ランドからバルチモアへアメリカ東部の旅ではありません

米国機“爆買い”の“カモ”がやってきた
「捨てる神あれば拾う神あり」と、そこへ折よくナチスドイツ再武装に慌てたフランス購入委員会(French Purchasing Commission)ご一行という“カモ”がやってきて、まんまと受注に成功しました。この辺はメリーランドの身の上話とそっくりですね。


ドーバーの白い崖をゆくRAFボストンIII
(ドーバーの白い崖をゆくRAF(英空軍)ボストンIIIのつもり)
フランスを逃れ北アフリカで生国に討たれる
ようやく買ったDB-7(後のボストン)がフランス空軍に配備された頃にはナチスは破竹の進撃。多勢に無勢、DB-7は北アフリカに逃れヴィシー政権軍の戦力となり、今度は連合軍北アフリカ上陸戦で壊滅します。生国に攻撃されるという皮肉な結果でした。

RAFが引き取った余り物は大当たり
あたふたとダンケルクから撤退したRAFは敗れたフランスが米国に予約購入していた多種多様なヒコーキを引き取ることになりました。多くは駄作っ機でしたが、掘り出し物もあって、その1つがDB-7(後のボストン)でした。これが使いやすいし高性能。早速ボストンと命名、RAF自身も新たにお買い上げ。でもフランス仕様はスロットルレバー(車ならアクセル)の方向が逆で困ったみたい。

最高速度
(最高速度の比較)
殴り込みならモッシーやボーの先輩です
高性能なので軽爆だけじゃもったいない、黒く塗って夜間侵攻攻撃機にしよう、機首には12丁もの機銃をつけたボストンは、名もハヴォックと改め占領下の欧州の夜に殴り込みをかけました。
まだボー(Beaufighter)は試作中、夜戦ブレニムはショボ過ぎるので重いレーダーを積んだDB-7は夜戦ハヴォックになりました。便利なその場つなぎ(stop-gap)としてボストン/ハヴォックはモッシー(Mosquito)やボーの先達なんです。でも本命ボー、モッシーが揃ったらお役御免に。


ありあわせの夜間戦闘機
ボストンにはもう1つのtop gapがあります。米軍本命夜戦P-61ブラックウィドウまでの“練習台”夜戦P-70ナイトホーク。南太平洋でちょっと使われたみたいですが、この頃にはすでに性能不足でした。

エンジン馬力比較
(エンジン馬力比較)
究極のマニアック夜戦、タービンライト、パンドラ
究極のマニアック夜戦はRAFのタービンライト作戦、ハヴォックが探照灯で敵機を照らしハリケーンが墜とすと言うもの。更に空中機雷で敵機を引っかけるパンドラ作戦にもハヴォックは狩りだされました。もちろんいずれも役立たず、器用に改造できちゃうから地味機になっちゃうんだろうか?(岡部さんの「世界の駄っ作機:番外編 蛇の目の花園2」に詳しいですよ)

仏英米露豪伯で活躍、レンドリースの申し子
ボストンは信頼性が高く使い易い、そこそこ高性能で大量生産できる→じゃ、「レンドリースしよう」(米国が連合国のために武器を生産して貸してあげる仕組み)と言うことでボストンは米英仏にソ連をはじめオーストラリア、ブラジルなどで使われました。


デザートスキームのボストンIIIdownsize
(デザートスキームのボストンIII)
ハイネマンの揺るがぬテーマ「スリム、パワフル、コンパクト」
ボストンの横顔はフツウの軽爆ですが、上から見るとまるで印象が違う。贅肉を絞った細くスリムな、直線が多いシンプルでエレガントなデザインです。ハイネマンのコンセプト(スリム、パワフル、コンパクト)が色濃く反映されているように思います。ハイネマンはMr. Attackerと呼ばれ、その設計思想はA-26インベーダー、A-1スカイレーダー、A-4スカイホークに受け継がれていますよね。
ハイネマン作品の過去記事です↓
天才航空機デザイナーエド・ハイネマンと優雅な子供たち

マニアックな記事ですが、ご興味あれば「続きを読む」をクリックください

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バイオロギングが明かすアマツバメの10か月ほぼ空中生活+南イタリアのソレント

バイオロギングが明かすアマツバメの10か月ほぼ空中生活
+南イタリアのソレント

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南イタリアのソレント海岸パラソルやチェアーが整列する海水浴場downsize
(南イタリアのソレント海岸、パラソルやチェアーが整列する海水浴場)
地上に降りないアマツバメ
この研究成果は新聞記事(2016年10月31日朝日新聞夕刊11面)にも載りましたから、ご存知かも?最新バイオロギングがヨーロッパアマツバメの驚くべき空中生活を明かしたサイエンス小ネタです。
ヨーロッパアマツバメが渡りで通るらしい南イタリアはソレントのフォトを添えます(再掲)。

ソレントの過去記事です、クリックで飛びます↓
南イタリア ソレントはナポリ湾に立つ断崖絶壁の街




年10か月は99.9%空中生活
2013-2015年の2年間のバイオロギングにより1年の内、繁殖シーズン以外の10か月はほぼずっと(99.9%)空中のみの生活だとわかりました。
ヨーロッパアマツバメの繁殖は初夏6月、ヨーロッパの都会のビルや煙突に、時に岩壁に営巣しますが、繁殖シーズン以外の10か月はずっと飛んでいたのです、もちろん4月と9月のアフリカ-ヨーロッパ間の渡りも含めて・・。アフリカで越冬する間もずっと地上に降りてこないのです!

タカからネコへの進化REVdownsize
(こちらはヒコーキのMartlet)
いとやんごとなきアマツバメ
common swift、ヨーロッパアマツバメは欧州諸侯の紋章にもなっている「いとやんごとなきトリさん」です。ツバメ、イワツバメとされる紋章「martlet」はそのデザインからアマツバメswiftに由来し、昔は「いつも空中に居て足が無い鳥」と信じられていました。実際、観察から「ほとんど空に居て、食事、飲水、交尾まで空中で行う」ことが分かっていました。
マートレットことF4Fの過去記事です↓(クリック)
狼を追うイワツバメ大西洋のマートレット
究極の折り畳み技グラマンF4Fの1回ひねり後方閉じ


common swift WikiENGよりREVdownsize
(ヨーロッパアマツバメはこんな鳥(ウキペディアよりお借りしてます))
小さい、速い、高い、遠いアマツバメは秘密のベールに
1. アマツバメは体長わずか16-17cm、翼幅38-40cm、体重もテニスボールほど、小っちゃいので普通の計器を付けられない、
2. 最速時速170km近く(大谷投手並み)で飛び回り捉えにくい、
3. ヨーロッパとアフリカを海を越えて渡るのでとても追いかけてゆけない、
4. 普段は高空で暮らしていて見えにくい
・・のでその生態は捉えらず秘密のベールに包まれていました。


黄色とオレンジの家並がいかにも南欧downsize
(黄色とオレンジの家並がいかにも南欧です)
先端バイオロギングでアマツバメ空中生活をスクープ
アマツバメが実際どのくらい空に居て、いつ地上に降りるのか、地上からの観察では正確なデータを得ることは難しく確証はなかったそうです。
ところが、最近の技術進歩によりバイオロギングの装置(データロガー、data logger)はますます小型、軽量化、長寿命(高容量省電力の記憶媒体)となり、アマツバメの驚きの空中生活が明らかになりました。

バイオロギングの過去記事、クリックで飛びます↓
ご自宅拝見バイオロギングで垣間見る動物の私生活 南ブルターニュ キブロン
海のトップスイマーマグロでも陸のママチャリ並みです;バイオロギングその2
空飛ぶ者たちを追う愉快なローテク; バイオロギングその3
「空賊」グンカンドリ、バイオロギングが明かした空中生活


粋な看板の船着き場downsize
(粋な看板、ソレントの船着き場)
わずか1gのロガーで2年間記録の苦心
出典著者のスウェーデンのルンド大学Hendenstrom氏らはわずか1.1gの超小型データロガー(micro data logger)をスウェーデンで19羽のヨーロッパアマツバメに取り付け2年間にわたって生態の記録が取りました。

省エネ、記録量節約でロガーを軽量化
3次元の加速度計で飛翔をモニターしますが、上下の動きがあるときだけ「飛行」として記録開始。また、アマツバメは壁にしがみついてとまるので、姿勢が45度以上なら「とまっている」と記録されます。こうして記録量を抑え軽量化に成功しています。

ジオロケーターの原理
(ジオロケーターで現在地の緯度と経度を測定する)
日の出日の入りをチラっ見して位置を知る
日の出日の入り時刻を記録するジオロケーター(geolocator)で現在地の経度と緯度をモニターしますが、測るのはコースを予測し、年数回、数日だけです。このように最低限の記録量で軽量化を図り2年間ものデータが取れたそうです。また、念のためレーダーで追った結果と照合し確認されています。

あふれる陽光に木陰まで輝くソレントの街downsize
(あふれる陽光に木陰まで輝くソレントの街)
歩かないアマツバメはスパイダーマン
アマツバメは餌である昆虫の摂餌はもちろん、生殖も、巣の材料集めも空中で行います。
アマツバメ一の仲間は他の鳥と違い、足の指4本がすべて前向き、つまりは歩けないけれどしっかり摑むに適しています。実際、アマツバメは歩かないし、地上では崖やビルに張り付いて過ごします、スパイダーマンみたいに・・・。アマツバメの暮らしはすごいですね。


アマツバメ新聞記事downsize
(アマツバメ空中生活の新聞記事)
飛ぶってタイヘンなことなんです!
トリさんにとって飛ぶことはとてもエネルギーを使います。だから飛ぶ必要がない(捕食者がいない)海洋島ではヤンバルクイナやニュージーランドのタカヘのように飛ばない鳥が進化します。

太陽の恵みで飛び続ける省エネ飛行術
アホウドリなど海鳥もそうですが(古代の翼竜も)グライダーのように海が日射で温められ生じる上昇気流に乗るソアリングを使います。これで筋肉をあまり使わない「省エネ」空中ライフが出来ると言う訳です。バイオロギングからアマツバメも太陽が大気を温める日中はソアリングを多用する省エネ飛行生活だとわかりました。
省エネ飛行するアホウドリと翼竜の過去記事です↓(クリック)
海鳥、翼竜、マリタイム機に共通するものとは?

三日月後退翼のHP ヴィクターdownsize
(三日月後退翼のHP ヴィクター(英ケンブリッジ郊外IWM博物館))
高アスペクト比三日月翼の優れた空力デザイン
ハンドレページ・ヴィクター(Handley Page Victor)のような、高アスペクト比の三日月後退翼、流線形の胴体、アマツバメの空力デザインは「省エネの持続可能な空中生活」に見事に適応しています。

小っちゃなアマツバメの脂肪貯金
アマツバメたちの空中生活は楽なものではありません。地上とは違い、空中ではどこで餌(昆虫)に出会えるかは極めて不安定です。だから数日間絶食しても生き続け、飛び続けられるようアマツバメは脂肪を蓄えることで対応しています。

いつ眠るの?アマツバメ君
この研究結果から新たな疑問が出てきます、「どうやって1日中飛んでいられるの?」とか、「いつどうやって寝るの?」とか。イルカや渡り鳥のように左右の脳が交替で眠る「シフト勤務」なのでしょうか?
アマツバメは小さいけれど高度な空中生活を営むすごいトリさんなんですね。


出典:“Annual 10-Month Aerial Life Phase in the Common Swift Apus apus” Anders Hedenstrom et al. Current Biology 26, 1–5 November 21, 2016
出典:“These frequent-flying swifts stay aloft for 10 months a year” Patrick Monahan Science Oct 27 2016 DOI: 10.1126/science.aal0311
出典:2016年10月31日朝日新聞夕刊11面 「ヨーロッパアマツバメ;10ケ月着地せずアフリカと往復」
出典:ウキペディア記事「ヨーロッパアマツバメ」、「アマツバメ科」、”Martlet”


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【お知らせ】
過去記事リスト「生き物とちきゅうのお話」の記事が増えてきましたので、次の6つに仕分けしてみました。
仕分け名をクリック↓すればそれぞれのリストに飛びます。

human男の子REVヒトが歩んだ道、ヒトの進化と体の機能

brain虹色彩、視覚、夢のフシギと脳のしくみ

animalワンちゃん動物: ワンちゃん、海の生き物、石になった者

birdコガラ鳥、翼竜、空を征した者たち

flowerばらの花花や植物と虫たちの小さな世界

earth地球ちきゅうと気候、気象のかかわり


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あっさりシャキシャキ甘さ控えめレンコンとごぼうのきんぴら

あっさりシャキシャキ甘さ控えめレンコンとごぼうのきんぴら
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レンコンとごぼうのきんぴらdownsize
(レンコンとごぼうのきんぴら、あっさりシャキシャキ甘さ控えめです)
甘さ控えめシャキシャキのきんぴら
レンコンのシャッキリとごぼうの香りをシンプルに楽しむ、甘さを抑えたキンピラです
今回のレシピはテキトウに考えたものですが、作りたてを炊き立てのご飯に乗せて食べるととてもおいしいですよ。冷蔵庫で1週間くらい保存できますし、味も変わりませんので、お試しあれ。




材料を揃え下ごしらえしておくdownsize
(材料を揃え、下ごしらえしておきます)
ご注意:写真はすべて掲載レシピの2倍量です(作り置きだったので・・・)
具材の切り方もポイント
レンコンを縦切りにすることでシャキシャキ食感が残ります。相方のごぼうの方も通常のささがきのように削るのではなくやや粗目の斜め切りにしてレンコンの食感に合わせます

砂糖と油は控え目に
合わせ調味料は砂糖を控え目にし、敢えて湯でいったん少し薄めてまんべんなく具に絡むようにします。炒めの油は最低量のゴマ油のみとし香りを残しつつ油っぽさを抑えています

あく抜きをした材料ですdownsize
(あく抜きをした材料、通常の「ささがき」より粗目です)
材料と下ごしらえ(合わせ調味料以外)
◆レンコン 120g①: 皮をむき、3-5mm幅の縦切りのスライスに、そのスライスを同じ3-5mm幅の拍子切りにする
◆ごぼう 1本 100g②: 包丁の背で薄皮をそぎ、回しながら数mmの斜め切りで粗いささがきにする
◆ごま油大さじ 1と半(炒め用)


透明感が出るまでサっと炒めるdownsize
(透明感が出るまでサっと炒めます)
あく抜き
切った具①と②を直ちに薄い酢水に数分浸して洗い、更に水に数分さらす。水気を十分に切ったら使うまでラップで空気を押し出すように包む(水分と酸素になるべく触れさせないため)

合わせ調味料を加え煮詰めるdownsize
(合わせ調味料を加え煮詰めます)
合わせ調味料
◆日本酒 大さじ 3
◆砂糖 小さじ 1強
◆白だし(10倍濃度) 大さじ 1と半
◆醤油 大さじ 1
◆お湯 大さじ 2
加えるお湯は砂糖を溶かす役割もあります、よく混ぜておく


シャキシャキ甘さ控え目のきんぴらdownsize
(シャキシャキで甘さ控え目のきんぴらの完成です)
作り方
1. 熱したフライパン(テフロン加工がお勧め)にごま油を敷いて、具材①と②を一気に入れて強火で炒める
2. レンコンが半透明になったら合わせ調味料を全量加え、よく混ぜて絡めながら強火で煮詰めてゆく
3. 汁気がほぼなくなったら完成です


材料はこれだけdownsize
(材料はたったこれだけです!)

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仲間の痛みが匂いでわかるミッキーたち、群れが脅威を察知するしくみ?+パリのカフェ

仲間の痛みが匂いでわかるミッキーたち、
群れが脅威を察知するしくみ?+パリのカフェ

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マウスも親しい者の痛みが伝わる共感がある
(マウスも親しい者の痛みが伝わる共感がある)
心が共鳴する場所、カフェ
ミッキーことマウス君たちも「他人の痛みを共感する」らしいと言うサイエンス小ネタです。私、Levalloisbeeが共感するのはバーやカフェにつき、パリのカフェの写真を添えます(再掲)。パリのカフェ過去記事へのリンクはこの記事の最後です。




仲間の痛みがわかるマウスdownsize
(仲間の痛みがわかるマウスたち;出典文献①のフォト(GlobalP/iStockphoto)をお借りしています、あまりにもかわいいもので・・)
ミッキーたちも「他人の痛みが分かる」
「他人の痛みが分かる」” I feel your pain”はヒトだけじゃない、ミッキーこと小っちゃなマウス君も仲間の痛みが分かるそうです。米国Oregon Health & Science UniversityのMonique Leana Smith氏、Andrey Ryabinin氏らの今年2016年の研究結果です。

Courcelles駅そばカフェの昼下がりdownsize
(パリのメトロ3番線Courcelles駅そばカフェの昼下がり)
同居していると痛みが伝わる
痛覚過敏(hyperalgesia、痛みを感じやすくなる症状)になったマウスと一緒に暮らす(同じケージで飼われている)何もしていない仲間のマウス(対照の正常マウス)も同じように痛覚過敏になったそうです。仲間が痛みを感じやすくなると自分も痛みに敏感になってしまったそうです(痛みの感度が68%高まった)。

個室暮らしでは仲間の痛みが分からない
ところが1匹づつ個室で飼う(単仔飼い)とこのような“仲間と同じように痛みを感じる”ことは起こらない、つまり何か“痛みを仲間に伝える“、”仲間の痛みを察知する“しくみがあると言うことです。

赤が粋なアクセントのカフェ(サントノレ)REVdownsize
(赤が粋なアクセントのカフェ、パリ1区、8区のサントノーレ通り(r. Saint Honore)にて)
正常なら痛くないテストなのに“痛い”
この痛覚過敏のテストとは「足を細い刷毛でブラッシングする」、「尻尾をお湯に浸ける」など健常ならどうってことない刺激をマウスが“痛がる”か、どうかを見るものです。
もちろん傷、火傷など身体的損傷も精神的ストレスも無い条件です。だから正常マウスなら“平気な”はずです。ところが仲間が痛いのなら同居人も痛くなると言う予想外の結果で新しい発見につながりました。


君の臭いで君の痛みが分かるよ
”仲間の痛みを察知する“しくみはどうやら「臭い」のようです。
その1:一緒に飼っていると「痛みがうつる」
その2:痛覚過敏の仲間の痛覚テスト(痛がる)を見なくても「痛みがうつる」
その3:それぞれ個室で飼うと「痛みはうつらない」
その4:痛覚過敏の仲間のベッド(敷き藁)を持ち込むと仲間と触れ合わない個室飼いでも「痛みがうつった!」
・・・からです。


Malesherbes通りカフェdownsize
(メトロ3番線沿いマルゼルブ通り(Bvd. Malesherbes)のカフェの初冬)
「痛みの伝達」は脅威を避け生き残る知恵
このような他者の痛みを“感じる”「痛みの社会的伝達」(social transfer of pain)は危険や脅威の回避に役立ちます。マウスのような群れで暮らす弱い動物が自然環境下で生き残ってゆくのに役立つ働きなのでしょうね。

そもそもは痛覚過敏研究のモデル系だった
モルヒネ系の鎮痛剤などオピオイド(opioid)により時に痛覚過敏が惹き起こされ、今まで効いていたものが効かなくなり、疼痛治療の課題とされています。アルコール中毒の「断酒」でも同じく痛覚過敏が起こるようです(「報酬系」が関与するからでしょうか?)

噴水が借景のサンジェルマンSt Germainのカフェその3 DSC02669downsize
(噴水が借景のサンジェルマン通り(Bvd.Saint-Germain)のカフェ)
痛覚過敏モデル系がうまくゆかない訳とは?
これを研究するため出典著者らはマウスにアルコールを自由摂取させ(→“アル中”状態になる)、水に替えて「断酒」することで「痛覚過敏」のモデル系を作ったのですが、何も投与しない正常な対照(control)マウスと差がうまく出ません。(著者らはモルヒネ投与後、これを断つ痛覚過敏モデルも用いています)

ミッキーたちはシェアハウスの方が自然なんです
通常、実験動物のマウスたちは数匹を一緒の飼育ケージで飼います。省スペースだけでなくそもそも群れで暮らす動物なので仲間と一緒の方がストレスが少ないからです。

木漏れ日の影がゆれるアナトールフランスのカフェdownsize
(木漏れ日の影がゆれるアナトールフランス(Anatole France)駅前のカフェ)
「アレ?フシギ」こそ研究の大事なヒント
出典著者らも当初は複数匹飼いでしたが、あるとき個室の1匹飼いにすると、「断酒」痛覚過敏群と正常群との間で痛覚過敏テストできれいな差が出ました。「・・うん?これって何を意味するんだろう?」と言うのがこの研究結果のきっかけだったそうです。
生き物の研究では、先入感を持たず、何よりまずよく観察なのですね。


親しい者の痛みを見て痛みに敏感になる
この研究より10年ほど前には「見る」ことで「痛みが伝わる」ことが分かっています。2006年Science誌に発表されたカナダ、マギル大学(McGill University)のD. J. Langford氏らの研究です。

必ず立ち寄るテルヌのシーフードレストランLorraine IMG_1538downsize
(パリでは必ず立ち寄るテルヌ(Ternes)のシーフードレストラン”Lorraine”)
マウスも同居相手に共感する、よそ者は共感しない
一般に、「共感」はヒトだけに、あるいは霊長類だけにあるものと思われています。ところが、Langford氏らは、マウスは同室の(同じケージで飼われている)他のマウスが痛みにさらされると、痛みに対して敏感になること、しかし、同室ではない“よそ者”のマウスではこのようなことは起こらないことを見出しました。

親しい相手を“見ていたか”次第の共感
一対の同室マウスに同じような有害刺激を与えると痛みに対してより敏感になりましたが、この効果は相手が見えるか、どうか(視覚)に依存したそうです。同室マウスが痛みにさらされるのを見ることで(もう一方のマウスが)痛みに敏感になるようです。これは双方向性で互いに痛み感度が高まったそうです。

ヒトもパートナーの痛みを共有する
出典に依れば、ヒトでも配偶者が慢性疼痛を患っていると介護側のパートナーも痛みに敏感になり介護ストレスの一因になるらしいのです。

痛みの共感の仕組みが新しい治療につながれば・・・
このような研究は「他人の痛みがわかる」、痛みの伝わり方、痛みの共感の仕組みの解明につながるかも知れません。また、従来同じケージで飼育する実験動物を用いる鎮痛剤試験など痛みの研究手法の見直しにつながるかも知れません。新しい観点の痛みの研究が進めばいいですね。

関連のある過去記事です。クリック↓で飛びます
寂しがり屋ミッキーも仲間と育てばストレスも平気 南仏プロヴァンス番外編
優しく育てられた仔は優しい母親になりますネズミだって南仏マントン残影


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心が背伸びするいつものカフェ - カフェ話再びその2
芳醇な一杯が飲めなくなるかも?コーヒーの危機+パリのカフェふたたび
白目でヒトとワンちゃんは目くばせする 行き付けBarとカフェ


出典①:”Mice feel each other's pain” Emily Underwood氏執筆、Science Oct. 19, 2016
DOI: 10.1126/science.aal028
http://www.sciencemag.org/news/2016/10/mice-feel-each-others-pain?utm_campaign=news_weekly_2016-10-21&et_rid=208065204&et_cid=917638(リンク貼ってません)
出典:”Social Transfer of Pain in the Mouse” Monique Leana Smith氏著、Oregon Health & Science University OHSU Digital Commons July 2016
http://digitalcommons.ohsu.edu/cgi/viewcontent.cgi?article=16965&context=etd(リンク貼ってません)
出典:“Social modulation of pain as evidence for empathy in mice” D.J.Langford氏ら Science 30 Jun 2006 Vol. 312, Issue 5782, pp. 1967-1970 DOI: 10.1126/science.1128322
http://science.sciencemag.org/content/312/5782/1967(リンク貼ってません)
出典:ウキペディア記事「痛覚過敏」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%97%9B%E8%A6%9A%E9%81%8E%E6%95%8F(リンク貼ってません)
本研究紹介のScience記事“Mice feel each other's pain”
http://www.sciencemag.org/news/2016/10/mice-feel-each-others-pain?utm_campaign=news_weekly_2016-10-21&et_rid=208065204&et_cid=917638


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プール上がりのふやけた指しわはご先祖様のレインタイヤ+サイパンダイブ

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ダイバーの手をすり抜けるチョウチョウウオの仲間REVdownsize
(ダイバーの手をすり抜けるチョウチョウウオの仲間:サイパン島ダイビング)
秋の雨は不機嫌な夏の忘れ物?
今日も秋霖(10月初旬にこの記事を書いてます)、不順な夏の名残りでしょうか、たびたびの野分。雨がちな秋です。

森に雨が降ると指にしわが出来る
(森に雨が降ると指にしわが出来る)
「ふやけた指は雨仕様タイヤ」と言う仮説
今回は”Rain tread hypothesis” (雨用トレッド(タイヤ踏面)仮説?/出典著者Mark Changiziら)、要は長風呂などでふやける指のサイエンス小ネタです。濡れるつながりで昔のものですが、サイパン・ダイビングのフォトを添えます。




濡れたおはじきは皺よった指で掴む
(濡れたおはじきは皺よった指で掴む)
「雨のものがたり」を紡ぐ2冊の本
そもそもこの話題は「雨の自然誌」”Rain; A Natural and Cultural History”と言うとてもすてきな本で紹介されていた研究成果がきっかけです。もう1冊手元にすてきな雨の本があります、「雨の名前」。

間違いじゃなくミノカサゴがさかさまなんですdownsize
(間違いじゃありません、ミノカサゴがさかさまなんです)
雨の森で暮らしたご先祖様の進化の証
出典著者Cynthia Barnett氏によれば、風呂やプールで手足の指(の腹)がふやけて皺がよるのは、昔々、まだ地球の気候が多雨期だった頃(※:以下を参照)のアフリカで樹上生活をしていた遠いご先祖様が雨や露に濡れる条件でもちゃんと枝などを掴めるための適応、つまりは進化の名残なのだそうです。

泡の中のカスミチョウチョウ編隊downsize
(泡の中のカスミチョウチョウ編隊)
多雨の森で生まれた指の皺はサバンナに立った後も残った
※:原著では濡れて皺がよる指の適応がいつ頃生まれたかを述べていませんが、ヒト科が生まれた第三紀6-700万年前頃は今より温暖湿潤だったのが、500万年前頃から冷涼となり260万年前頃に氷河期に入ると急激に寒冷化・乾燥化へと進み、多雨の密林はステップ草原となり、直立二足歩行するようになってもヒト科ご先祖たちには指の皺の適応がその後も残った・・・んだと思います、多分。

北アルプスの沢とレインタイヤ
(北アルプスの沢とレインタイヤ)
体が濡れると神経が指をふやけさせる
昔は水に浸ると浸透圧で指に水が吸収されてふやけるのだ、と思われていたようです(そう、私も長らくそう思っていましたし!)。ところが、事故などで手の神経を損傷してしまった患者さんは指がふやけないことを80年前頃(1935年)外科医は気づいていたらしいのです。

神経が血管を収縮させて指の皺が出来る
手足の指がふやけるのは脳神経系からの積極的な指令によるものだそうで、実際、出典著者Mark Changizi氏らの研究では血管収縮剤によって(血管から水分が押し出されて)濡れてふやけるのと同じような指の皺が出来たそうです。

人懐っこいカスミチョウチョの大群downsize
(人懐っこいカスミチョウチョウウオの大群(再掲))
ふやけた指は水を押出すレインタイヤのグリップ
出典著者Mark Changizi氏らの研究で、ふやけた指の溝のパターンを詳しく調べてみると、なんと山脈の谷を穿つ川筋のパターンに似ていることが分かりました。更に、ふやけた指の溝は、枝を掴むなど指を濡れたもの(表面に水の膜がある)に押し付けれると、F1レーシングカーのレインタイヤが雨水を切るのと同じく、効率よく水を押し出すことで、しっかりグリップする効果をもたらすのだそうです。

互いに交わらない枝分かれが水をスムースに流す
この山脈の川筋、ふやけた指の溝のパターンの特徴は中心から何回も枝分かれをくりかえしtも互いに決して交わらないことだそうです。

濡れたおはじきは皺よった指の方がうまく掴める
出典著者Tom V. Smulders氏らは、普通の指(unwrinkled)と、40℃のお湯に30分漬け皺がよった指(wrinkled)で“ガラスのおはじき”の乾いた物と濡れた物を掴むテスト(つまんで移す時間を測る)を行いました。すると乾いた物では差がないが、濡れた物では皺がよった指の方がうまく掴めた(運ぶ時間が短い)そうです。

オレンジフィナネモネフィッシュ@サイパン7downsize
(オレンジフィンアネモネフィッシュ、サイパンのクマノミです(再掲))
指の皺はヒトやサルだけらしい
濡れると皺がよる指は動物には見られません。いまのところ確認できたのは、ヒトの指(実は著者たちの指)と霊長類でニホンザルの仲間、マカク属(macaque)の指だけだそうです。

太陽に向かって登るレギュの泡downsize
(太陽に向かって登るレギュの泡(再掲))
濡れても滑らず持てるのはご先祖様のおかげです
プールや長風呂で指がシワシワになると、カッコ悪いなって思っていましたが、いえいえ、ご先祖様たちが雨の森で暮らすための知恵の適応だったんですね。だからダイビングのときなどでも滑らずに物が持てると言うことですね。ご先祖様に感謝しなくちゃ!
2冊の雨の本downsize
(2冊の雨の本)

出典:「雨の自然誌」”Rain; A Natural and Cultural History” 2015年 Cynthia Barnett氏著、東郷えりか氏訳 (2016年 河出書房新社)
出典:「雨の名前」2001年 高橋順子氏著、佐藤秀明氏写真(小学館)
出典:”Are Wet Induced Wrinkled Fingers Primate Rain Treads” Mark Changizi et al. Brain, Behavior and Evolution 2011 vol.77 P.286–290 DOI: 10.1159/000328223
出典:“Water-induced finger wrinkles improve handling of wet objects” Kyriacos Kareklas, Daniel Nettle, Tom V. Smulders, Biology Letters 10 January 2013.DOI: 10.1098/rsbl.2012.0999
出典:Mail Online ”Why do fingers wrinkle in water? It helps us grip things that are wet”
出典:ウキペディア(英文)記事 ”Wrinkle”
出典:Rocket News 24 2013年1月11日 「濡れた指がふやけるのには理由があった!!研究者『進化の結果だと考えられます』」佐藤ゆき氏執筆、http://rocketnews24.com/2013/01/11/284255/(リンクなし)
出典:「ヒトの起源を探して」”Masters of the Planet” 2012年 Ian Tattersall氏著、河合信和氏監訳、大槻敦子氏訳(2016年、原書房)
出典:気象予報士 Rhayasiさんブログ「おてんきひろば」記事「新生代の気候」 http://www.geocities.jp/srkhayasi/sinseidai.html(リンクなし)


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道具を使って蜜を取り一族にワザを伝えるマルハナバチ+パリ郊外ハチの街ルヴァロワ

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マルハナバチの蜜取りゲームREV2downsize
(マルハナバチの蜜取りゲーム)
道具を使い、それを一族に伝承するマルハナバチさん
マルハナバチさんもすごい道具使いだった、道具使いの訓練することも、訓練修了ハチのワザを見て新人ハチが学ぶことも、一族(巣のコロニー)のハチに文化みたいに伝えることもできたと言うサイエンス小ネタです。




花に囲まれた春の市庁舎downsize
(花に囲まれた春のルヴァロワ(Levallois Perret)市庁舎)
知性と言うより未知のシンプルでエレガントな仕組みかも?
出典の研究者Lars Chittka氏(英ロンドン大学)は“釘を刺して“いますが「あの小っちゃな脳でやるんだから、これは知性と言うよりも何か未知のシンプルでエレガントな仕組みかも?そこが次の興味だ」と。

Levallois市章REVdownsize
(ルヴァロワ(Levallois Perret)の市章はミツバチです)
パリ郊外ミツバチの街ルヴァロワ
ハチつながりで昔住んでたパリ郊外、市章までミツバチの街、ルヴァロワ市(Levallois Perret、拙ブログのハンドルネームの由来でもあります)のフォトを添えます。有名なルヴァロワ式石器が出土し、スーラが有名な点描画を描いたジャット島もあります。
ルヴァロワとジャット島の過去記事はこれです↓(クリックで飛びます)
地元の街のすてきな顔Hotel de Ville 後編
パリ郊外ルヴァロワの市章ミツバチには秘密がいっぱい
スーラの名画はご近所のセーヌ中之島、ジャット島でした
パリは花の街: 隠れた見どころプランシェット公園


水に映るボートハウスREVdownsize
(水に映るジャット島のボートハウス)
小さなハチも道具が使えるみたいですよ!
昔は「ヒトだけが道具が使える」と自慢が、近年チンパン、ゾウさん、イルカちゃん、カケス君、カラスさんなども道具を使えると分かりました。「でもさすがに小さな体で脳も小さい昆虫は無理でしょ!」と思われていました。ところが、マルハナバチも「道具が使える」ことが分かりました、実験者が用意した紐ですけど。
カケス君の道具使いの過去記事はこれです↓
カケス君に質問です 君は賢いか はい+みなとみらいとお台場

ひもを使うマルハナバチさんの蜜取りゲーム
青い花に似せた小さな皿の真ん中に砂糖水を入れ細い紐を結び付けておきます。その上を透明カバーで覆って直接は“手が届かない“(吻が届かない)ようにして結んだ紐の端だけをカバーの外に出しておきます。紐を引っ張ればいいんですが、マルハナバチはうまく砂糖水にありつけるでしょうか?
マルハナバチがひもを使って砂糖水を得る出典の動画がこれ↓(クリックすると見れます)
Video Shows Bumblebee Pulling A String To Get A Treat 動画
Social learning and cultural transmission in bees 動画
Bumblebees learned to pull strings for reward 動画


見事ご褒美を手に入れました、試行錯誤ですけど
視覚が優れているマルハナバチなので上からでも“青い花”もこの仕掛けも良く見えるはずです。青い花の蜜(実際は青い皿の砂糖水)が欲しいマルハナバチたちは色々と試行錯誤するうち、紐を引っ張って蜜皿を取り出しご褒美を得ました。但し、挑戦した内のわずかな数のマルハナバチですが。


Planchett公園のチューリップdownsize
(ご近所だったプランシェット(Planchett)公園のチューリップ)
訓練すると蜜取りゲームの腕がグンと上がった
当初は成績が悪い(110匹のうちの2匹!)ものの、マルハナバチたち(40匹)を「訓練」するとなんと“半数が成功”するほどに腕が上がりました。ちなみにミツバチも蜜のご褒美で訓練できます。

先輩の技を見学すると初めから好成績
更に、「訓練修了生」のマルハナバチがうまく道具を使うのを「新人」マルハナバチに“見学“させておくと、「新人」マルハナバチでもなんと初回から道具をうまく使いました。つまり仲間の知恵を真似ることができるらしいのです、先日ご紹介したテッポウウオとおなじですね。
匠の技を見て学ぶテッポウウオの過去記事はこれです↓
匠から学ぶテッポウウオの水ミサイル水の都ストラスブール再び

Levallois Perret市庁舎downsize
(かわいいルヴァロワ(Levallois Perret)の市庁舎)
道具使い“文化”を一族に教えるマルハナバチ
マルハナバチは50匹ほどコロニー(女王の一族)の巣を作ります。そこで「訓練修了生」を巣にもどしてやると、なんと、巣の他のマルハナバチも初めから上手に道具が使えたそうです。

直伝が去っても道具使いは一族の伝統に・・・
その上、訓練を受けた「直伝者」がいなくなっても(働き蜂の寿命は短いのです)その巣の働き蜂たちは“伝統を守って”道具(青い砂糖水皿を引っ張る紐)をうまく使えたそうです。何だか「幸島のサルの芋洗い文化」みたいですね。

Jatte島から見るLevallois橋downsize
(ジャット(Jatte)島から眺めるルヴァロワ(Levallois)橋)
名前の由来は“ブルブルバチ“
マルハナバチの英語名はbumblebee、翅を震わせる擬音に由来するそうです。マルハナバチはミツバチよりやや大きく、巣のサイズは小さいですが、同じく働き蜂(雌)が蜜と花粉を集めます。

蜜の在り処にマーキング、「使用済み」は電気で感知
蜜の多い花を覚えていて何度も訪れますが、ミツバチのような尻振りダンスの代わりに走る方向と翅のふるわせ方で仲間に蜜花の在り処を伝えます。そしてその花に化学物質でマーキングして仲間に知らせます。別のグループが訪れた(=もう蜜はない)花は電界を感知して見分けます、ヒトには無理ですけど。

ルヴァロワ橋からセーヌの鉄道橋を望むdownsize
(ルヴァロワ橋からセーヌの鉄道橋を望む)
音楽にもなったヨーロッパでは身近なマルハナバチ
マルハナバチは寒冷地や高山に棲み、ポターのピーターラビットシリーズに出演、ハリポタの校長の名前ダンブルドアの由来、音楽「クマンバチの飛行(本当はマルハナバチ)」などヨーロッパではとても身近らしいです。世界中に、日本にも広く分布するコスモポリタンでもあります、オセアニア、サハラ以南のアフリカ、南極には居ませんが。

花のキューピット、マルハナバチは農業を助けてる
ヨーロッパでマルハナバチは農作物、特に牧草の受粉を助けていて大事な花たちのキューピットです。ところが、少し前に突然マルハナバチが姿を消し大騒ぎになりました、未だ原因は不明ですけど。

逆光の中のガラス張りバス停downsize
(逆光の中のガラス張りルヴァロワ橋(Pont de Levallois)バス停;ここから通勤していました)
未知のシンプルでエレガントな学習メカがあるかも?
どうです、この研究成果からマルハナバチさんの能力は侮れないと思いませんか?あの小っちゃな脳で。
ハチのような社会性昆虫は単純なメカニズムで一見複雑に見える行動が出来るのは、そもそも動物には学習を可能にする基本的なツールが生まれつき一揃え備わっているのではないか?
マルハナバチがなぜこんな高度な「蜜取りゲーム」(課題)、人工的な課題でさえ道具を使って出来るのか、その学んだ解き方を「文化」として仲間に伝えることが出来るのか?
それは「知性」と言うより、何かシンプルで未知のステキな仕組みにちがいない(だってあの小さな体=小さな脳で解けるんだモン)、出典著者Chittka氏はどんな風にマルハナバチの神経系が働いているんだろう?・・と言うのが次の興味だそうです。
研究が発展するとうれしいですね、新たなBiomimic(生物模倣)として。


以下、いずれもリンクを貼っていませんのでURLをコピペして見てください
出典:”Associative Mechanisms Allow for Social Learning and Cultural Transmission of String Pulling in an Insect” Sylvain Alem , Clint J. Perry , Xingfu Zhu, Olli J. Loukola, Thomas Ingraham, Eirik Søvik, Lars Chittka PLOS Biology October 4, 2016 doi.org/10.1371/journal.pbio.1002564
http://journals.plos.org/plosbiology/article?id=10.1371/journal.pbio.1002564
出典:”Hints of tool use, culture seen in bumble bees” Elizabeth Pennisi Science Oct. 6, 2016 DOI: 10.1126/science.aal0235
http://www.sciencemag.org/news/2016/10/hints-tool-use-culture-seen-bumble-bees?utm_campaign=news_weekly_2016-10-07&et_rid=208065204&et_cid=872710
出典:ウキペディア(和英)記事「マルハナバチ」”bumble bee”
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%AB%E3%83%8F%E3%83%8A%E3%83%90%E3%83%81
https://en.wikipedia.org/wiki/Bumblebee

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ヨーク白薔薇は赤薔薇ランカスターの栄光の影で地味に働く

ヨーク白薔薇は赤薔薇ランカスターの栄光の影で地味に働く
~没落名門貴族のような白薔薇ヨークの生涯~

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ヨークのかわいい横顔コックピットの赤い壁が何気にオシャレdownsize
(ヨークのかわいい横顔です。コックピットの赤い壁が何気にオシャレ)
(英国ケンブリッジ郊外IWM博物館(Imperial War Museum)の展示)
名機の血を引く“ほんわかキャラ“ヨーク
名機アブロ・ランカスターの血を引くアブロ・ヨーク(Avro 685 York)、戦中戦後のRAF輸送機ですが、ベルリン空輸くらいしか活躍していません。でもほんわりした姿かたちが何となくすきです。




重爆ランカスターが旅客機ヨークに転身
(傑作重爆ランカスターが旅客機ヨークに転職、果たしてビジネスでは?)
ダースベーダーとは対照的な白衣に赤が鮮やか
ダースベーダーのような黒衣のランカスターとは違ってIWM博物館で出会ったヨークは白衣に赤が鮮やかでした。ヨークの「横顔」は結構カワイイです。主翼、エンジン、主脚など、太い胴体以外はランカスターのまんまなのに肩翼式になりずいぶん印象が違います。3枚垂直尾翼もチャームポイント?

薔薇戦争の因縁に配慮したか?英空軍
「ランカスター」「ヨーク」の呼称は言うまでもなく15世紀イングランドの薔薇戦争の主役にしてライバル、「赤薔薇ランカスター家」と「白薔薇ヨーク家」です。RAF(英国空軍)は歴史のバランス感覚で命名したのかも?

カバーを外すとマーリンエンジンはやっぱりコンパクトdownsize
(カバーを外すと、さすがマーリンエンジンはコンパクト)
珍しく輸送機がヒーローになった「ベルリン空輸」
「ベルリン空輸(Berlin airlift)」って知ってますか?第二次大戦で連合国が勝利したとたんソ連と米英は対立、占領下のドイツを東西に分断、そしてベルリンも東西に分断。しかも当時の東独のど真ん中に位置するベルリンの米英側;西ベルリンは“孤島”状態。1948-1949年、それをソ連が封鎖、食糧、燃料などが逼迫した西ベルリンを救うため米英など西側諸国が行ったのが「ベルリン空輸」です。

英国でベルリンに一番多く23万トン運んだヨーク
ヨークが活躍したのはほぼベルリン空輸だけなんですけど、英国空軍がベルリンに運んだ物資54万トンの内、23万トン、約半分を頑張って運んだんです、ヨークは。

ヨーク唯一大活躍の場もC-54が主役スターで・・・
しかし、ベルルン空輸の主役にして功労者は生粋の輸送機/旅客機、ダグラスC-54スカイマスター(Douglas C-54 Skymaster /DC-4)です。英国が運んだ54万トンに対して、C-54を中心に米国は178万トンも運んだんですから。ヨークの名はここでも地味でした。

ランカスターの首実検?Canadian Aviation Museumにてdownsize
(ヨークの前身、ランカスターの首実検?;Canadian Aviation Museum)
旅客機としては「国産品愛用」の域を出ず?
ヨークは259機生産され、内、50機ほどの民間型(旅客機)は1944年運航開始、1964年に最後の1機が引退しました。民間ユーザーはBOACなど英連邦エアラインを中心に数か国のみ、フォトも軍民ともに場末の飛行場で働く姿が多く、「国産品愛用」の域を出なかった印象です。

パイロットの名前がコックピット下にありますdownsize
(パイロットの名前がコックピット下にあります)
傾く、揺れる、ウルサイ、旅客機には無理っぽいヨーク
ヨークは乗るとき床が傾く尾輪式、与圧がなく雲の下を飛び揺れる、騒音もひどい、DC-4に比べ旅客機としての“顧客満足度”、競争力じゃ負け。

銃座を切り取りプラ板パテで整形すれば、ほら輸送機
プロペラ機時代には爆撃機から輸送機、旅客機への転身は誰でも思いつくらしく結構あります。そして一部例外はあるものの、たいていは大したビジネスになっていません。逆に旅客機/輸送機から哨戒爆撃機への転身はハドソンをはじめ多くの成功例があります、コンドル、オライオン、ニムロッドなど。
ハドソン過去記事はこれです↓
ベンチャー成上りの礎は丸っこくかわいいハドソン機 空(そら)物語その3

BOAC長距離路線のランカストリアンdownsize
(BOAC長距離路線のランカストリアン、いかにも“パーツ交換”モデル)
ランカスターと同時に戦後のエアライナーも狙うAvro社
名機ランカスターをデザインしたロイ・チャドウィックはその元ネタのマンチェスターのデビュー(1940年8月)間もなく、4発化したランカスター(1941年1月初飛行)と平行して、更にその輸送機/旅客機ヴァージョン「ヨーク」を1941年に構想、デザインし、1942年7月には初飛行しました。
チャドウィックは続いてチューダーもデザインし、大戦の勝敗も見えない中、早くも戦後エアライナー市場を狙ったようです。


世が世なら「史上最大の作戦」で活躍のはずが・・・
性能を当時の基準で比べるとヨークは決して駄作っ機じゃないです(「続きを読む」の表を参照)。
しかし、米国ほど工業生産力がない英国は戦略重爆生産に集中するのが精一杯。輸送機はレンドリースの借り物ダコタことC-47(DC-3)で賄うと割り切りましたから、ヨークの生産は遅れ部隊配備は1945年終戦間際になりました。
本来なら「史上最大の作戦」(1944年ノルマンディー上陸)で活躍するハズだったんですよ、ヨークは。


IWM博物館野外展示のヘイスティングスREVdownsize
(IWM博物館野外展示(=野ざらし)のヘイスティングス、ちょっと哀愁漂う姿)
パっとしない爆撃機くずれ、例外の成功作ストラトクルーザー
ヘイスティングス(元ネタ:ハリファックス)、ボーイング307(元ネタ:B-17)、リベレーターライナー(元ネタ:B-24)・・いずれもパっとしない爆撃機くずれ輸送機/旅客機の中で、B-29が元ネタで888機生産されたストラトクルーザー((Boeing 377 Stratocruiser))は例外中の例外、異例の成功作です。
比べてみると、性能といい、生産機数(259機)と言い(ストラトクルーザーを別にすればですが、)ヨークは成功した方です。ちなみにウェリントンを“跡形もなく改造”したヴァイキングは“ルール違反”につき除外です。


ランカストリアンは英国お得意の”Stop gap”(その場しのぎ)
ヨークに続くランカスター崩れの輸送機改造型「ランカストリアン」じゃパワーはあってもスペースがなく使い道は郵便機くらい。ランカストリアンは本格開発のチューダーまでのつなぎ、英国お得意の”Stop gap”だったようです、ヨークがモタついたせいですね。

オプションパーツの安易な中古爆撃機改造ビジネス
ランカスター→ランカストリアンに限らず、新たに設計もせずB-17、ハリファックス、B-25などのパーツ取り換えの中古爆撃機改造輸送機のビジネスはことごとく失敗しています。B-24→リベレーター・エクスプレスは軍用だから売れたのでしょうし。

ダラダラとマニアックな記事ですが、ご興味あれば「続きを読む」をクリックしてください

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