マウスもかいかいがうつる、掻くべきか掻かざるべきか+フランス、カンペール寸景

マウスもかいかいがうつる、掻くべきか掻かざるべきか+フランス、カンペール寸景
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見るだけでかいかいがうつる
(見るだけで「かいかい」がうつる)
「かいかい」はうつる
誰かがポリ、ポリとやり始めるとムズ痒くなりませんか?どうやら、コレ、動物に共通かも?知れません。マウス君も掻くのを見て「かいかいがうつる」らしいですよ。




オデ川花の橋downsize
(カンペールを流れるオデ川(l’Odet)の花の橋)
南ブルターニュの焼き物の街、カンペール
ずいぶん前ですが2度ほど訪れたフランスは南ブルターニュの焼き物の街、カンペール(Quimper)のフォトを添えます。
カンペールの過去記事です↓(クリックで飛びます)
川面に花が映える陶器の街カンペール(南ブルターニュの旅続編)
羽根はハイテク万能スーツ トリさんの羽のフシギ[後編] +北仏カンペール番外編


痛みと痒みは違う
昔「痒みは弱い痛み」と思われていましたが、近年の研究で「痛みと痒みは違う」と解ってきました。
痛みと痒みが違う点は例えば・・・
✓痒みは引っ掻き反射を引き起こすが、痛みは屈曲反射を引き起こす
✓モルヒネには鎮痛作用があるが、痒みには過敏になる・・などです。(ウキペディアより)


原典のフォトをお借りしています
(「見てるとこっちも痒くなるよ」カワイイので原典のフォトをお借りしてます)
痒みや掻く行動はうつる、マウス君も
ヒトやサルでは「痒みがうつる」、あるいは「掻くのがうつる」ことは知られていましたが、それ以外の動物では知られてませんでした。出典著者ワシントン大学Yao-Qing Yu氏らはマウスも掻くのがうつる=痒みがうつることを見つけました。

脳のどこで「痒い」と感じるのか?まだ不明
また、痒みと痛みが違うと判明してから「痒みの中枢」を探す研究が行われていますが、未だ解明されていません。

どの店の看板も花で飾られているREVdownsize
(どの店の看板も花で飾られている素敵な街です)
「掻くのがうつる」神経細胞は大時計のそばに
出典著者Yao-Qing Yu氏らは、マウスで、脳の視交叉上核(suprachiasmatic nucleus、SCN)に「掻くのがうつる」行動に関係する神経細胞があることを見つけました。
ヒトやマウスなど哺乳類の脳の視交叉上核には「生物時計」があり全身にある小さな生物時計たちの時の刻みを揃えていて言わば「世界標準時を刻むビッグベン」のような働きをしています。


Cathedrale St-Corentinの光と影REVdownsize
(カンペール大聖堂(Cathedrale St-Corentin)の光と影)
『「胃液を出すホルモン」を出すペプチド』を受け取るGRP受容体
・・・と何だかややこしいのですが、胃液の分泌を促すホルモンがガストリンです。そのガストリンの分泌を促すペプチドがGRP(gastrin-releasing peptide)で、更に分泌されたGRPと結合して「GRPが来たよ」とシグナルを細胞内に伝えるのがGRP受容体(gastrin-releasing peptide receptor 、GRPR)です。胃のガストリン分泌細胞のGRP受容体がGRPを受け取ればガストリン分泌→胃液分泌に至ります。

マルチな働きGRP受容体が「掻くのがうつる」にも必要
GRP受容体は、ヒトでは胃のほかに、膵臓、副腎皮質、脳などで働き、また、肺がんなどがんの増殖にも関わっています。そして今回、「掻くのがうつる」のに脳の視交叉上核のGRP受容体の働きが必要であることが分かりました。

有名なカンペール焼きのお店REVdownsize
(有名なカンペール焼きのお店)
GRP受容体の働きを止めると「掻くのがうつらない」
視交叉上核の①GRP受容体を取り除くか、②GRPニューロン(GRPに反応する神経細胞でGRP受容体を持つ)を取り除くか、③GRPニューロンの働きを抑えると、「掻くのがうつる」行動が消えたそうです。

視交叉上核のGRPニューロンが鍵かも?
逆に視交叉上核のGRPニューロンを刺激するとマウスの「ひっ掻く行動が」誘発されました。視交叉上核におけるGRP受容体を介するGRPのシグナル伝達(情報伝達)が「掻くのがうつる」、そしておそらく「痒みがうつる」ことの鍵(の1つ)であるようです

横路のクレープ屋さんも落ち着いた店構えREVdownsize
(旧市街、横路のクレープ屋さんも落ち着いた店構えです)
GRP受容体、痒み感覚も伝える
「かいかいがうつる」に関わるGRP受容体は脊髄で痒みを感じる(脳に伝える)ことそのものにも関わっていることが分かっていました(10年前の同じワシントン大学のYan-Gang Sun氏とZhou-Feng Chen氏の研究)。

GRP受容体が働かないと痒みを感じない
GRP受容体を働かなくしたマウスは、痛みの刺激への反応はフツウなのに、痒みの刺激(掻く行動を引き起こす刺激)には鈍感になりました。

脊髄のGRP受容体を抑える痒みを感じない
GRPを受け取るGRP受容体は脊髄の特定の場所、精髄背側第1層の後根神経節で発現しています。そこで正常マウスの脊髄液に直接GRP受容体を抑える物質を注入すると痒み刺激への反応が抑えられました(搔かなくなった)。

脊髄で痒みを中継している
手足など抹消で受けた刺激は脳に伝わり触覚、痛覚そして痒みとして感じますが、脊髄はこのような刺激を脳に伝える重要なルートです。GRP受容体は痒みの感覚を伝える上で重要であるようです。

マカロン屋さんの看板娘downsize
(マカロン屋さんの看板娘も素朴です)
「痒みがうつる」のはモノマネか?
ところで、他人がしていること、他人に起こっていること、他人が感じていることを私たちは脳の中で再現シミュレーションをして、真似をしたり、共感したり、状況を共有したりします。それらはミラーニューロンの働きです。例えば、「あくびがうつる」仕組みもミラーニューロンらしいので、「かいかいがうつる」ことにもミラーニューロンが関わってるんじゃない?とも考えられるそうです。

マウスは親しい者の痛みを分かち合います
以前、マウスも親しい者の痛みを見たり、その臭いを嗅ぐだけで痛みに敏感になることをご紹介しました。
その過去記事です↓(クリックで飛びます)
仲間の痛みが匂いでわかるミッキーたち群れが脅威を察知するしくみ + パリのカフェ

マウス君に痒み研究に参加してもらえば・・
今回、マウスも掻く行動がうつる、そして多分痒みもうつることが分かりました。マウスなら色々な実験が可能ですし、「どこで痒みを感じるのか」や「なぜ痒みがうつるのか」を探ることもできます。


「かいかいがうつる」仕組みが治療につながるかも?
マウスも他人?(他マウス)が掻くのを見ると自分も掻きたくなるようでかわいいですね。アトピー性皮膚炎、腎疾患、肝疾患などに伴う痒みを抑えることは医療上大変重要です。この発見をきっかけに新しい痒みの予防法や治療法ができるといいですね。

(リンク貼っていませんので、URLをコピペしてご訪問ください)
出典:”To scratch or not to scratch” Peter Stern Science Vol 355, Issue 6329 (10 March 2017)
http://science.sciencemag.org/content/355/6329/twis?utm_campaign=toc_sci-mag_2017-03-09&et_rid=208065204&et_cid=1207262
出典:”Molecular and neural basis of contagious itch behavior in mice” Yao-Qing Yu et al. Science Vol. 355, Issue 6329, p.1072 (10 Mar 2017)
http://science.sciencemag.org/content/355/6329/1072?utm_campaign=toc_sci-mag_2017-03-09&et_rid=208065204&et_cid=1207262
出典:”A gastrin-releasing peptide receptor mediates the itch sensation in the spinal cord” Yan-Gang Sun & Zhou-Feng Chen Nature vol.448, p.700-703 (9 August 2007)
http://www.nature.com/nature/journal/v448/n7154/abs/nature06029.html


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