ヒコーキの007か?ジェット版モスキートのキャンベラ/B-57は長寿でした

ヒコーキの007か?ジェット版モスキートのキャンベラ/B-57は長寿でした
↓良かったらクリックをお願いします

にほんブログ村 科学ブログへ
にほんブログ村にほんブログ村 その他趣味ブログ 航空・飛行機へ
にほんブログ村
Duxford IWM ではつるされているキャンベラREVdownsize
(英国Duxfordの IWM博物館で吊るされて展示されてるキャンベラ)
【今回、フォトは私、Levalloisbeeが英国の博物館で撮った自前ですが、イラストは出典から輪郭だけお借りし資料を見ながら、省略とインチキも織り交ぜ、テキトウに塗ってみたものです】
そろそろ70才、でも今も現役、キャンベラ
戦後1940年代後半生まれで未だ“現役”なヒコーキ(もはやキナ臭い任務じゃなくNASAのアカデミックなお仕事ですけど)がキャンベラ(米国ライセンス版B-57の派生型ですけど)。




グッと頭を下げたキャンベラPR3 RAF博物館downsize
(グッと頭を下げたキャンベラPR3; ロンドン郊外RAF博物館にて)
ジェット版モスキート、E.E.キャンベラ
イングリッシュ・エレクトリック(E.E.)(後にBAC)キャンベラ(English Electric Canberra)と米国ライセンス版マーチンB-57は第二次大戦で大成功した高速非武装爆撃機D.H.モスキートの「高速、高空、軽快、非武装」のコンセプトをジェット化したものです。ちなみにキャンベラってジェット機のクセに垂直尾翼は“木製”です!(そこまで真似るか?)
同じくモスキートの跡目を継いだ吸血鬼一族の過去記事です↓(クリックで飛びます)
双胴にワケあり吸血鬼ヴァンパイア一族名機モスキートを継ぐ者たち

Canberra B2初期カラースキームdownsize
(キャンベラB2の初期塗装;上面ライトスレートグレー、ミディアムシーグレーに下面PRUブルー)
「我に追いつくメッサーなし」から「我に届くミグなし」へ・・・
同じく非武装ながら、モスキートはその高速でメッサーやフォッケを置き去りにしてナチス・ドイツ軍事施設を空撮し、一方、キャンベラはその高空性能でミグを寄せ付けず鉄のカーテンの向こう旧ソ連の軍事施設を丸裸にしました。いかにもイギリスが好きそうな活躍の仕方ですね。

Canberra PR3 カラーdownsize
(最初の偵察型キャンベラPR3、標準的な戦後RAF迷彩)
正真正銘の”Wooden Wonder”モッシー後継ジェット機
実際、キャンベラのデビュー当時は速度も運動性にも優れ、高度では追いつける戦闘機はいませんでした。だからキャンベラは大戦中のモスキートのように高空から悠々と旧ソ連軍事施設を丸裸にできたわけです。また、後年、ハンターやファントムでも高空模擬空戦ではキャンベラの軽快さには手こずったそうです。

Canberra PR9ヘンプdownsize
(アフガンにも行ったキャンベラ PR9、ヘンプ塗装もよく似合う)
50年代生まれが50年後にアフガン紛争で活躍って・・
“岡部ださく”さん(本当は岡部いさく氏)名著「世界の駄っ作機」の番外編「」蛇の目の花園」(MkⅠ)に21世紀初頭のアフガン紛争に駆り出された老兵キャンベラPR9のお話しがあります、なんと初飛行後
50年ですよ。第二次大戦のソードフィッシュも顔負けですね。ちなみに初飛行後33年の1982年フォークランド紛争ではさすがにアルゼンチン軍キャンベラはハリアーの「斬られ役」でしたけど。


一見平凡ながら非凡な設計のキャンベラdownsize
(一見平凡ながら非凡な設計のキャンベラ、さすがペターのデザイン)
パっと見、凡庸で時代遅れか?キャンベラ
米空軍がB-47やB-52など後退翼多発ジェット戦略爆撃機を開発し始めた1949年に初飛行した英空軍(RAF)初のジェット爆撃機E.E.キャンベラはミーティアをそのまま拡大したような直線翼に双発のエンジンを翼内に埋め込んだごくフツーのデザイン。「時代遅れで凡庸」と思った専門家もいたようです。

バンクに入るキャンベラ Duxford IWM REV downsize
(バンクに入るキャンベラ; 英国DuxfordのIWM博物館エアショーにて)
さすが天才ペターの作品、抜群の運動性と高性能
しかし、かの高名なテストパイロット、R.P.ビーモント操縦でファーンボロ航空ショーにデビューしたキャンベラは、まるでモスキート初飛行のデジャブみたいに、単発機並みの軽快な運動性のローパス飛行で観衆を沸かせました。性能も直線翼とは思えないほど高速で高空性能も優れていました。だってライサンダー、ホワールウィンドを、後にはナットをデザインした天才ペター(’Teddy’ W. E. W. Petter)の作品だもん。
天才ペターの過去記事はこれです↓(クリックで飛びます)
美しくあまりにも個性的なWhirlwind機と天才Petter

B-57B Night Intruder downsize
(米空軍の初期B-57B 真っ黒けのナイトイントルーダー仕様)
戦後一番儲かった英国軍用機、キャンベラ
戦後もっともビジネス的に成功した英国製軍用機なのだそうです。だって軍用機じゃ世界No1になってたはずの米国が自国の試作機をクビにしてマーチン社にライセンス生産させたくらいですから・・。キャンベラ/B-57の生産数は1,376機、内、米国製B-57は403機で約30%を占めます。
使用国はキャンベラが22か国、B-57は3か国で、ライセンス生産国は米国とオーストラリアです。


キャンベラのローパス Duxford IWM downsize
(キャンベラのローパス; IWM博物館エアショー)
「中古キャンベラ、お安くしときまっせ!」
商売上手の英国はRAFの中古キャンベラをお化粧直しして途上国に売りました。引退した日本の私鉄車両がアジアの国で走っているようなもんでしょうか?キャンベラ使用国22か国()を見ると、途上国の中小空軍に売りまくった感じです。
:イギリス、インド、オーストラリア、アルゼンチン、ボツワナ、チリ、コンゴ民主共和国、コロンビア、エクアドル、エチオピア、フランス、西ドイツ、モロッコ、ニュージーランド、ナイジェリア、ペルー、南アフリカ共和国、スウェーデン、ベトナム共和国、ベネズエラ、ザンビア、ザイール)


007の国はスパイ偵察が大好き
ちなみに英国で買った“Eyes of RAF”と言う英空軍航空偵察史を綴った超マニアックな本が手元に
あります。第1次大戦から、第2次大戦、戦後冷戦まで英国空軍の偵察機、偵察飛行(スパイ偵察とも言う)をまとめていて面白いエピソードがたくさん載っています。そのキャンベラの項から・・・


偵察機と迎撃機の高度性能REV2
(偵察機と迎撃機の高高度性能と運用開始年の比較)
スパイはお任せ、RAFの「鉄のカーテン」のぞき見飛行
第二次大戦後、冷戦が始まると米英は「鉄のカーテン」の中を隠密裏に偵察機で探るようになりました(もちろん領空侵犯)。1950年、時既にジェット機時代、高速偵察機だったモスキートPR34も損害を出し、1951年から米国の懇願()を受けてRAF(英国空軍)はRB-45をレンタルして鉄のカーテンの内側を偵察しました(:米国は朝鮮戦争真っ最中、自らが領空侵犯ではヤバイと考えたようです)。

損害ゼロのキャンベラPR型スパイ偵察
レンタルRB-45の損害はゼロでしたが、1952年RAFはより高性能のキャンベラ偵察機型PR3、PR7に更新し同じく損害ゼロでした。しかしMiG17の配備開始もあり1956年からはU-2偵察機がソ連領空のスパイ偵察を行うようになりました。そのU-2も対空ミサイルには撃墜され上空からの監視はやがてスパイ衛星が行うようになりました。
両陣営の偵察機と迎撃機の性能を時系列で比較すると経緯がよくわかります。


キャンベラ同士の戦い、印パ紛争
同士討ちの戦いもありました。印パ紛争でインドはイギリスから買ったキャンベラで、パキスタンはアメリカからもらったB-57で互いに攻撃、双方若干の損害を出し、空戦はインドの勝利でした。
う~ん、英米ともにまさに「武器商人」ですね。


蛇の目なジェット、キャンベラ
私、Levalloisbeeの拙い素養では到底名機ャンベラの魅力を十分お伝え出来ませんが、「いかにも蛇の目!」なデザインのキャンベラが好きです。

キャンベラの諸元
キャンベラ(English Electric Canberra) B(I)6(イントルーダー型)
乗員:3名
全長:19.96 m、全幅:19.51 m、全高:4.77 m、翼面積:89.19 平方m、翼面荷重:234 kg/平方m
最大離陸重量:24,948 kg
エンジン: Rolls-Royce Avon R.A.7 Mk.109 ターボジェット7,400 lbf (36 kN) 双発
最高速度:時速933 km(高度12,192 m)
戦闘行動半径:1,300 km、フェリー飛行時航続距離:5,440 km
実用上昇限度:15,000 m
武装:20 mm 機関砲4門、ロケット弾、ミサイル各種、爆弾搭載量3,628 kg・・・・、または核爆弾(幸い使ってないけど・・)

キャンベラと同期生たちREVdownsize
(キャンベラと同世代たち、やっぱりキャンベラはアカぬけてる)

出典:“Eyes of the RAF; A History of Photo-Reconnaissance” 1996 Roy Conyers Nesbit (Alan Sutton Publishing Ltd.)
出典:「世界の傑作機;No146 E.E.キャンベラ/マーチンB-57」2011年 田村俊夫氏、藤田勝啓氏、鳥養鶴雄氏、松崎豊一氏、山内秀樹氏、岡部いさく氏共著 (文林堂)
出典:「世界の駄っ作機 番外編 蛇の目の花園」 2004年 岡部いさく氏著(大日本絵画)
出典:ウキペディア記事(和英)「イングリッシュ・エレクトリック キャンベラ」「B-45 トーネード」等


↓良かったらクリックをお願いします


過去の記事リストは下のイラストをクリック ↓ (日本国内と南の島の記事は「ヨーロッパの話題」にまとめています)
パリの話題minisizeREVフランス街歩きminisizeREV
ヨーロッパの話題minisizeREV生き物とちきゅうのお話minisizeREV
ヒコーキの話minisizeREVグルメ話minisizeREV


テーマ : パリ、フランス - ジャンル : 海外情報