夢と記憶の妖しい関係 + 光と影が曖昧な晩秋パリ、バスティーユ

夢と記憶の妖しい関係 + 光と影が曖昧な晩秋パリ、バスティーユ
メトロCourcellesのカフェdownsize
(晩秋のパリ、クールセルCourcellesのカフェ)




霧にかすむエッフェル塔REVdownsize
(霧にかすむエッフェル塔)
夜ごと妖しい夢のお話
・・・のつづきにつき、夢の中のように光と影の境目が少し曖昧になる晩秋のパリの写真を添えています。暗渠に入ったサンマルタン運河(Saint Martin)がバスティーユ(Bastille)で再び顔を出してアルスナル港(Port de Plaisance de Paris Arsenal) に、そしてセーヌに合流します。霧に煙るセーヌの川面から幻影のようにエッフェル塔が浮かびます。
前回の夢の記事はここをクリック↓
一夜漬けはいけません、夢トレが大事 + 暮れなずむパリ

陽落ちのLevalloisバス停downsize
(陽落ちのルヴァロワLevalloisバス停)
オオカミがやがて上司に・・夢は成長の記録
こどもの夢はとってもシンプルでかわいい。コワイ夢に出るのはオオカミなど童話の中の悪者動物。
おとなになると人生はフクザツなものとなり嫌な夢には上司、同僚、顧客、聴衆などキンチョーする相手が多々「出演」します、頼んでもいないのに。
これは自らの夢の「歴史」をヒントにしたオーウェン・フラナガナン氏の研究。ちなみに彼はベトナム帰還兵で戦場が悪夢の舞台だとか。それでも研究テーマにする研究者魂に感服します。(出典①)


アルスナル港の艀たちREVdownsize
(アルスナル港に舫う艀たち)
ワーキングメモリを映画にする
初期の哺乳類以降、動物(ヒトも)は一時的に蓄えた「作業記憶」(ワーキングメモリWorking Memory、コンピュータと同じです)を「手続き記憶」(歩いたり、自転車に乗ったりなど無意識で出来る操作の記憶)に蓄えて「覚え」ますが、更にこれをそのときの感情で“脚色”して宣言記憶(我々がフツウ「記憶」と呼ぶもの)に貯えます。(出典①)

静かな午後晩秋のアルスナル港REVdownsize
(晩秋の午後、静かなアルスナル港)
夢が自伝を編集する
宣言記憶には「これはリンゴだ」のような意味記憶と「あのとき彼は怒っていた」のようなエピソード記憶があり、ひとりひとりの「自伝」を編纂してゆく。映画の編集のようにこれらメモリの整理統合を行うのが夢ではないかと。(出典①、出典③)

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晩秋のシュリー橋LE PONT SULLYREVdownsize
(晩秋のシュリー橋Le Pont Sully)
「なくて七癖」の手続き記憶
その人の「個性」を作るのは、歩き方、しゃべり方、しぐさ、何を気にして何には鈍感か、など”意識しない”「手続き記憶」、つまり「なくて七癖」だそうです。この「七癖」が思わず出てしまう人を見てると親近感がわきますよね。(出典②)

静かなセーヌの船着き場REVdownsize
(静かな船着き場)
タツノオトシゴが預かりアーモンドの風味付け・・・
脳の海馬体(hippocampal formation、海馬とはタツノオトシゴ)に一時的に貯えられた記憶が扁桃体(Amygdala、扁桃とはアーモンド)に感情の“味付け”をされて新皮質に送られるともう一度思い出せる「起きたことの記憶」になるそうです。でも目覚めていると時々刻々海馬には外から新しい情報が届くし、分や秒の単位で感情はめくるめく移ります。そんな中では記憶や感情の整理作業なんてムリ。だから脳をオフラインにできる睡眠時に記憶と感情を整理します。これが夢の働きではないかと。(出典①)

色づき始めたアルスナル港岸辺の並木REVdownsize
(色づき始めたアルスナル港岸辺の並木)
タクシー運転手は夢で同じ道を走る
ロンドンのタクシー運転手は昼間走っているときと、その場所の夢をみているときの脳PET画像では同じ場所が活発になったそうです(PET:positron emission tomography、ポジトロン断層法)。
一時記憶の場である脳の海馬にはこのような「場所細胞」がありそれぞれが特定の場所を記憶していて脳内に「地図」が出来ているそうです(空間記憶)。(出典①)
「場所細胞」で働くある蛋白質を過剰に作らせると”天才ネズミ”になってしまったのがあの有名な"ドギー・マウス" (Doogie mice)君です(ちょっと前の話題ですが)。(出典④)


色づくセーヌから見るノートルダムREV2downsize
(色づくセーヌから見るノートルダム大聖堂)
夢がないハリモグラは大変です
原始的な「卵を産む哺乳類」ハリモグラ(Tachyglossus aculeatus、カモノハシ目)は夢を主に見るREM睡眠がない。知覚や認知は夢を見るネコ、イヌなどよりはるかに劣るのに外界情報を処理する前頭葉が脳に占める割合はヒトより大きい、つまり効率が大変悪い。なぜって1日分まとめて記憶の整理をオフラインで行う「夢がない」から、だそうです。(ジョナサン・ウィンソン氏の研究、出典①)

アルスナル港とバスティーユ
(セーヌ右岸、バスティーユとアルスナル港)
不完全な脳が生態系を守る
でもトリやリスは木の実をアチコチに隠すくせに一部は忘れてしまいます、「場所細胞」の能力に余るもので。「忘れられた実」が芽吹くと植物が棲息地を広げる助けになります。脳機能の不完全さが生態系を支えているって面白いですね。

出典①の“The Mind at Night / The New Science of How and Why We Dream” 「脳は眠らない」Andrea Rock氏著(2004年)、伊藤和子氏訳、池谷裕二氏解説(2009年 ランダムハウス講談社)
出典②: “Synaptic Self”「シナプスが人格をつくる」Joseph LeDoux氏著2002年、森憲作氏監修、谷垣暁美氏訳(2004年みすず書房)
出典③: “Looking for Spinoza”「感じる脳」Antonio Damasio氏著2003年、田中三彦氏訳(ダイアモンド社2005年)
出典④: 日経サイエンス2000年7月号「記憶力増強マウスの誕生」

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テーマ : パリ、フランス - ジャンル : 海外情報

コメント

Re: 懐かしいです

古い記事にまでご訪問そしてコメントありがとうございます。私もパリから帰国して日時が経ちましたが、シーズンオフで人気の多くない冬の晴れ間、街の空気に包まれて歩くのもいいものでした。ちょっとお邪魔しましたが、sugatyoさんのフォトすてきですね。

> パリに在住したことがあり、こんな夢を見たいのですがサッパリです。また訪問させてください。

懐かしいです

パリに在住したことがあり、こんな夢を見たいのですがサッパリです。また訪問させてください。

Re: No title

アンペルフラウさま、いつも訪問ありがとうございます。ベルリンTVタワーは夏姿しか知りませんが、冬の姿も見てみたいです。夢の研究はまだまだわからないことや、面白いことがあるみたいですよ。私は電車の中でも、真夏炎天下でも、どんな環境で眠れるし、夢も見られる体質らしく、楽しいです。
また、書きます。

> 霧のエッフェル塔も風情があって美しいですね。
> ドイツ一のっぽの建物、ベルリンのTVタワーも先週は、霧で霞んでいました。
>
> 夢のお話、大変興味深かったです。
> 夢って「記憶の整理をオフラインで行うこと」だったんですね。
> 改めて睡眠の重要性を認識しました。

No title

霧のエッフェル塔も風情があって美しいですね。
ドイツ一のっぽの建物、ベルリンのTVタワーも先週は、霧で霞んでいました。

夢のお話、大変興味深かったです。
夢って「記憶の整理をオフラインで行うこと」だったんですね。
改めて睡眠の重要性を認識しました。
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