「見えないけど見ている視覚」とアラビアが薫るセビリア

「見えないけど見ている視覚」とアラビアが薫るセビリア
小さな広場のシュロの街路樹downsize
(セビリアの小さな広場のシュロの街路樹)
アラビアが薫るヨーロッパ、セビリアの街
今回の話題も写真がないのでスペインのセビリア(Seville)の風景を載せています。折角のセビリアなのに世界遺産を”たったの1つも”見れなかったのが残念(出張なので)。ほんの少しの街の風景ですが、アラビアが薫るヨーロッパをちょっと感じてもらえればうれしいです。





「見えないけど見ている視覚」って?
今、なにしてます?

今このブログを見ているアナタ、コーヒー(それともビール?)でも飲みながらですか?画面の記事を読みながら、ちょっと一瞬テーブルに視線をやってカップを持ち、また画面に戻る。
さて、カップが置かれたテーブルの全景を見てました?覚えてます?・・意識になかったですよね、多分。でもちゃんとカップは手に持っている。ところが、これが暗闇だと「手さぐり」になる。


見えないけど見ている視覚でカップを掴む
ベランダの黒い鉄枠の飾りdownsize
(ベランダの黒い鉄枠の飾りが美しい)
手を伸ばした先のカップをちゃんと手に持てる、持ったことが判る、など、ものを正しく持てるのは手の位置を3Dで把握する「体性感覚」に加えて、カップの位置を知る「見えないけど見ている視覚」のおかげ。モノの認識には使わない(から意識しない)けど運動には必要な別ルートの視覚です。


無意識に手足が動く視覚
カラフルな家が続く路地downsize
(カラフルな家が続く路地)
カップをつまみ上げたり、鍵穴に鍵を差し込んだり、手元を眼で追ったりなど特に意識しなくても体がスムースに動きますよね。これは古い視覚、上丘(superior colliculus, SC) 経由の視覚を使っています。昨日会った人の顔を覚えているとか、きれいな風景を絵に描くなど、物や環境を「認識」する視覚以外にも、もっと古い視覚があるそうです(上丘は視覚以外にも聴覚や体性感覚の刺激も処理しています)


古くからある視覚でカエルが釣れる
夕暮れに細やかなタイル模様とベランダの黒がしぶいdownsize
(夕暮れ、細かなタイル模様に黒枠のベランダがしぶいアクセント)
昔、赤い布の端切れを糸につけて「カエル釣り」をやりました、チョン、チョンと動かすとパクっと食いつく、これは上丘に相当する視蓋(optic tectum)ルートの視覚です(哺乳類は上丘、他の脊椎動物では視蓋)。


鍵を差し込んだり、ポストに投函したり
準備中のレストランの壁も楽しいdownsize
(準備中でもレストランの壁は楽しい)
体性感覚(物を掴むときの手の位置の感覚など)と合わさって、獲物を捕らえる、敵から逃げる、障害物を避けるなどに使う視覚は色や形を認識する視覚とは別の古い視覚だそうです。例えば、カエルが獲物(ハエ)にとびかかるのはこちらの視覚だそうです(カエルなら視蓋、ヒトなら上丘を経由する視覚)。ヒトなら鍵穴にうまく鍵を差し込んだり、ポストに投函したりするときに働く視覚です。


行為のための視覚
アラビア風の建物も多く残っていますdownsize
(アラビア風の建物も多く残っています)
われわれにとってモノが見えている(と意識する)、色や形や動きなどの「認識のための視覚」は目から視交叉を経て主に脳の後ろの視覚野(一次視覚皮質)でまず処理されますが、この鍵穴に鍵を入れたりカップを掴んだりなどの「行為のために使われる視覚」は脳の奥底の「芯」の部分にある上丘(視蓋)で処理される、見えていると意識しない視覚です(これに視覚野から合流する背側経路もあるそうですが)。


目に入ったら考える前に動け
古い様式が残る病院の建物downsize
(古い様式のホテル)
視覚情報の処理を行うのはヒトなど哺乳類では視覚野がほとんどですが、カエルなど哺乳類以外は視蓋(上丘に相当)がほとんど、つまり彼らは「敵や餌が目に入ったら考える前に動く」ために眼があるようなもの。


言葉に出来ない視覚ってありますよね、長嶋さん
装飾が美しい角の建物downsize
(装飾が美しい角の建物、街中には重厚な建物も多い)
認識する視覚と違って、この上丘(視蓋)経由の古い視覚で感じたことを”言葉”で説明するのはとても難しい。長嶋選手がバッティングのコツを聞かれたときに「来た球をパっと打てばいいんですよ」と言ったとか・・・(長嶋選手がカエルだと言っているんじゃないですよ)。

温かみのある色合いの建物downsize
(温かみのある色合いの建物にシュロの緑が映える)

出典: “Sight Unseen” 「もうひとつの視覚」 Melvyn Goodale氏 & David Milner氏共著2004年、鈴木光太郎氏 & 工藤信雄氏訳 2008年 新曜社

これまでの「色のフシギ」や「視覚」の記事はここをクリック↓
サングラスの要らないトナカイと猫の甘い生活と秋色御堂筋
月夜のカラスは目立ちます-色のフシギその3
エンジェルフィッシュのスターウォーズと不出来な2.5原色-色のフシギその2
色のフシギ、色とは脳が創り出すもの+「空気が読める」ゾウ
ブルーはサンゴの恋の色+試験管で眼が出来た
青く輝くカプリ島青の洞窟と青い光が時計を合わせる第三の視覚


↓良かったらクリックをお願いします


「東北関東大震災」支援クリック募金

スポンサーサイト

テーマ : 自然科学 - ジャンル : 学問・文化・芸術

コメント
コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する