色のフシギ、色とは脳が創り出すもの+「空気が読める」ゾウ

色のフシギ、色とは脳が創り出すもの+「空気が読める」ゾウ
《サイエンスのトッピックス》
ゾウのチームワークREV




ヒトの協力行動は高度な認知能力の証し・・・
状況を判断、パートナーを見つけ、コミュニケーションしながら協力して事を成し遂げる、いわゆるチームプレー、ヒトの高い認知能力に基づく社会行動・・・ですよね。そして、チンパンジーなど他の霊長類もある程度できる。
ヴェールを纏ったようなクマノミのペアREVdownsize
(ヴェールをまとったみたいなクマノミのペア)
ゾウだってパートナーの役割をちゃんと理解する
じゃ、ゾウは?進化の系統樹ではヒトやサルからは相当離れていますが、出来るんですよ、空気を読んでチームプレーが・・と言うのが今回のトピックスです。
J.M.Plotnik氏(Emory University、米)らの研究によると、エサが置かれた台をロープの両端を2頭が同時にひかない限りエサが取れない課題をゾウ(アジアゾウ)に与えると、互いがロープを持ったのを見て初めて2頭で引いて仲良く食べる、その後1頭だけを先にエサ台に連れてくるとパートナーが来るまでちゃんと待ってから2頭で引く。

複合寄ってきたけどちょっと警戒のサカナ君downsize
(ネェネェと寄ってきたけど、ちょっと警戒のサカナ君)
でもカラスはジコチューで・・・
ちなみにかしこいトリの代表カラス(ミヤマガラス)でやってみると相手を待たずに1羽で勝手にロープを引っ張った(→ロープが抜けて失敗)のだそうです、賢くないと言うよりワガママなジコチューなのかも?
出典:「陸上最大の動物で観察された高度な協力行動」,”Large-scale cooperation”, natureダイジェスト2011年7月号(原典:Amanda M Seed & Keith Jensen, Nature vol. 472, p.424-425, 2011/4/28)
怒ってる?コクテンフグREVdownsize
(君、怒ってるの?コクテンフグ君)
色はフシギ
以前”パりの街角の色”を書きましたが、今回は「色のフシギ」の話題。でも写真がないので、ダイビングで出会ったカラフルな魚たちで少し暑さを忘れて下さいね。出典のリストは文末です。
以前の記事はここをクリック↓
パりの街角で出会う「色」が好き!
アカマツカサの赤い色は保護色なんですdownsize
(アカマツカサの赤い色も岩陰では保護色なんです)
真っ赤な魚も海では保護色
浅い海でも潜ってみると岩場の影や小さな洞窟は陽が射さず薄暗がりに魚が群れてじっとしています。フラッシュ撮ると驚いて泳ぎ始める体色は鮮やかに真っ赤。これ実は保護色(隠匿色)です。海は青いですよね、水の中では赤い光はたいちまち吸収され青い光が残るから、浅い海で日陰には赤の光はない、つまり黒と同じ。赤は見えにくい保護色です。生き物にとって色(体色)とはその環境の中にいて初めて意味を持つものです。
赤い岩肌に合せて逆さになったネッタイミノカサゴdownsize
(赤い岩肌に隠れるために逆さで休むネッタイミノカサゴ)
光が織りなす微小環境が多彩な生き物を育む
生物の多様性は自然(環境)がいかにたくさんの微小環境-Niche(生き物の棲み分けの場、中小企業なら独自技術が生かせる市場)を提供できるかにかかっています。熱帯のジャングルやサンゴ礁ではそのNicheづくりに光(と影)が大きな影響を持っています。ひたすら炎天下の砂漠では生き物は単調ですよね。
迷彩色に身をつつんで辺りを見張るミナミアカエソdownsize
(迷彩色に身をつつんで辺りを見張るミナミアカエソ)
サンゴ礁はだまし絵の世界
陽の射しこむサンゴ礁の浅い海に潜ってじっと観察しているとやがてたくさんの種類の魚たちが見えてきます、初めは気付かなかったのに。みんな背景-バックグランウンドの色調や模様に「だまし絵」みたいに見事に溶け込んでいるからです。
複合いつも一緒のクロユリハゼのペア、中層と砂地
(クロユリハゼのかわいいペア、中層を泳ぐのも砂地にいるときもいつも一緒)
スズメダイを狙うウツボREVdownsize
(スズメダイを狙うウツボ)
脳は背景の色を差し引いて物の色を見る
眼が、脳が感じる色とは相対的なものです。朝日に赤銅色に輝くゲレンデの雪、青黒く夕闇に溶け込む森、それでも雪や木々だと判る。午後の陽を浴びてキラキラ輝く水面や若葉は決して水色や緑じゃなく白銀色です(銀色は極端に明るい(光を跳ね返す)白色です)。柔らかく弱い照明のレストランで飲む白ワインは黄味が一層深い・・・なんて感じたことありませんか?
眼が光を感じて脳が像を認識するときは背景色のバックグラウンドを差し引いて見ています。昼夜を問わず周囲を見張らなければならない動物の眼のダイナミックレンジは大きいのですが、物はその輪郭と周囲とのコントラストで初めて検出(認識)されます。

マンタの「飛行」downsize
(悠然とマンタが目の前を「飛んでゆく」)
色とは脳が創り出すもの
身のまわりの物、窓の外の樹の緑、ベージュの部屋の壁、真っ赤なイチゴ・・・みんなそれ自体には色はない。脳が認識するから初めて「色」になります。物は太陽(あるいは灯り)の光のうち特定の波長の光を反射しているだけで、それが2~4種類くらいの波長特性(ダイナミックレンジ)が違う目の網膜の光受容細胞を違う割合で刺激し、その信号を脳が処理して「色」として感じるのだそうです。
サンゴの影でかくれんぼフタスジリュキュスズメダイREVdownsize
(サンゴの影でかくれんぼするフタスジリュキュスズメダイ)
じーっと動きません隠れてるつもりのベラの仲間downsize
(じーっと動きません。隠れてるつもりのベラの仲間)
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【出典】
眼が軍拡の始まり?強引だけど面白い仮説
”In the Blink of an Eye”「眼の誕生」(2003年) Andrew Parker氏著、渡辺政隆氏、今西康子氏訳(2006年、草思社): ちょっと強引ですが、若手(当時)生物学者Andrew Parker氏の仮説はなかなか面白い、また著者がブレークした研究のいきさつが生き生きと書かれています。

美術と脳との意外な関係
”Inner Vision – An Exploration of Art and the Brain” 「脳は美をいかに感じるか-ピカソやモネが見た世界」(1999年) Semir Zeki氏著、河内十郎氏監訳(2002年、日本経済新聞社): 前にもご紹介しましたが、美術と脳の視覚機能と言う大変ユニークな観点で書かれた本ですが、さまざまな分野の多くの研究を引用してきっちり書かれた本です。

一度聞いたら忘れられないペンネーム
「マンガでわかる色のおもしろ心理学2」(2007年、サイエンスアイ新書): 一度聞いたら忘れられないペンネーム、ポーポー・ポロダクション氏著。イラストに登場する「ミホンザル」君たちがかわいく、すっかりファンになりました。

ずばりのタイトル「見る」とつぶらな瞳のカエル
“The Eye – A Natural History” 「見る」(2007年) Simon Ings氏著、吉田利子氏訳(2009年、早川書房): つぶらな瞳のカエルの表紙が楽しい。イギリスのサイエンスライターSimon Ings氏が壮大なテーマに対してキチンと軸を定めた構成と飽きさせない文章で一気に読ませるところはさすがです。面白い小ネタも多い。各章初めの図形イラストが読者の立体視テストになっています。僕は「不合格!」、立体視が出来ない人みたいです、でも著者によれば結構な割合で居て日常不便はないそうで安心しました。

実は生活にも大事な第2の視覚
“Sight Unseen”「もうひとつの視覚」(2004年)Melvyn A. Goodale氏、A. David Milner氏共著、鈴木光太郎氏、工藤信雄氏訳(2008年、新曜社): 我々がフツウ視覚と思っている「認識する視覚」以外にも古い視覚があり、実は日々の生活でも大変大事な役割を担っていることを臨床症例を含むたくさんの例を示しながらわかり易く解説しています。

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