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都会鳥オウムのゴミ箱蓋開け文化はもの真似と便乗+ハマの都鳥ふたたび

都会鳥オウムのゴミ箱蓋開け文化はもの真似と便乗
+ハマの都鳥ふたたび

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川面に映る喧騒を気にもかけないユリカモメdownsize
(川面に映る喧騒を気にもかけないユリカモメ;相鉄横浜駅そば幸川にて)
賢いオウムがゴミ箱蓋開け文化を創り、広げた
オーストラリアに棲むオウム、キバタンは在来種ながらアーバン・バード(都会鳥)で、日本のカラスくん同様に、ゴミ箱の蓋を開けて都会の新たなエサ場にし、その蓋開けテクは見様見真似の模倣でシドニーからアっと言う間(2年)でオーストラリア東部、北部に広がりました。
カラスの過去記事です↓
カラスが7つの子を数える脳の算術モジュール南イタリアのソレントおまけ
カラスはなぜ電柱に巣を作るの?“カラスの勝手”じゃない+“Jetのハシボソ”黒いBAeホーク





橋の欄干をお散歩中のユリカモメREVdownsize
(橋の欄干をお散歩中のユリカモメ)
ハマの都鳥
都会のトリさんつながりでハマ(横浜)の「都会鳥」ユリカモメのフォトを添えます(使い回し)。
ハマのユリカモメの過去記事です↓
石器時代人の歯石除去で食生活や暮らしを探る+ハマの都鳥ユリカモメ

豪独共同で市民参加の愉快な研究
どうしてそんなことが分かったかと言うと、一般市民参加の、オンラインも活用した、「オウムのゴミ箱蓋開け」観察の市民参加の広域の行動観察による愉快な研究だったのです(“Bin-Opening Survey and Big City Birds“と言うプロジェクト)。このテクの文化伝承の発見はトリでは初めてとのこと。
オーストラリアTaronga Conservation SocietyのJohn Martin氏、オーストラリア博物館(Australian Museum)のRichard Major氏、ドイツのマックス・プランク研究所(Max Planck Institute)のBarbara Klump氏、Lucy Aplin氏ら、コンスタンツ大学(University of Konstanz)の国際共同研究です。

キバタンWikiENG
(キバタン;ウィキペディア記事より借用しています)
「都会鳥」のオウム、キバタン」
ところで今回の主役、オウムのキバタン(Sulphur-crested cockatoo、Cacatua galerita)はオシャレな頭羽(↑写真を見てください)のオーストラリアの北部東部に棲む、シドニーなどの都市部にも棲む「都会鳥」です。キバタンを含むオウム(オウム科 Cacatuidae)はオーストラリアとその周辺に分布しています。
「都会鳥」の過去記事です↓
人が好きなんです、けなげな都会鳥+RAFの飛行機-心が優しくなる三冊の本(2)

橋の欄間デザインのモデルユリカモメの生出演downsize
(橋の欄間デザインのモデル、ユリカモメの生出演)
ゴミ箱蓋開けの匠はわずか1割
出典著者らは500羽に塗料の目印でラベルし、ビデオ撮影で観察すると、なんと、ゴミ箱の蓋を開けられるのはわずか10%で、ほとんど(90%)のオウムはゴミ箱を開けられないことが分かりました。

ゴミ箱蓋開けYoutube画像
(ゴミ箱蓋開けYoutube画像のスクショ)
百聞はyoutubeに如(し)かず
オウムのキバタンがいかに器用にゴミ箱の蓋を開けるか、その後何が起こるか?「百聞は一見に如かず」、出典著者の1人Major氏のオーストラリア博物館ウェブの記事ではキバタンたちのゴミ箱蓋開けのyoutube動画が紹介されています↓(リンク貼ってませんのでコピペで観てください)
https://www.youtube.com/watch?v=Fao-_Eu-yL0
https://www.youtube.com/watch?v=m3gQJnO7IzQ


クローズアップを撮らせてくれた人懐っこいユリカモメdownsize
(クローズアップを撮らせてくれた人懐っこいユリカモメ)
蓋開けの匠、便乗するヤツ、横取りするヤツ
Youtubeでは10%の「ゴミ箱蓋開けの匠」が蓋を開け片足で器用に食パン片を食べます。すると「待ってました」と飛んできてオコボレに与るヤツがいます。そして一番後から来て開けたヤツのエサを奪う、ジャイアンみたいなズルっ子もいました。

エサを探してゴミを放り出す行儀の悪いヤツも
また、ちょっとお行儀が悪いヤツもいてエサが見つかるまでゴミ箱からゴミを次々道に放り出しました。キバタンたちは頭の良いトリで面白いです。
賢いトリさんの過去記事です↓
カケス君に質問です「君は賢いか?」「はい!」+みなとみらいとお台場

向きが逆空気が読めないユリカモメdownsize
(向きが逆だよ、空気が読めないユリカモメも)
隣から隣へ伝わるゴミ箱開けオウム文化
市民も協力し160件に及ぶ観察からシドニー近辺の44の隣接する地域でオウムのゴミ箱蓋開け行動のもの真似、模倣が見られ、つまりは「文化の伝承」が確認されました。一方、離れた場所、「飛び地」ではこの伝承はあまり観察されませんでした。

たった2年でオーストラリア北部東部に広がった
ゴミ箱蓋開けの「オウム文化」は、まずシドニー南部から始まり、隣から隣へと「ゴミ箱蓋開け」文化が伝わり、たった2年ほどでオーストラリアの北部東部44の地域に広まりました。急速に広がった他者の模倣による学習です。

蓋開け文化のローカル色
更に、違った地域では開け方には違った流儀があるらしく、右端を歩いて開けるか、左端か、半分まで開けた蓋を脚で持つか、嘴で持つか、とか。ローカル色も多彩だそうです。

遺伝じゃないよ、文化の伝承だよ
つまりゴミ箱蓋開けはオウム社会で他者を真似て伝わる「文化」であり、遺伝じゃないことの傍証でもあります。ちなみにこども(幼鳥)こそゴミ箱開け技術の文化を広める担い手だそうです。
なお、オーストラリアではゴミ箱(とその蓋)が統一規格、だから蓋開け課題も共通であることも急速に広まった一助のようです。

「人新生」に棲む都会の生きものとの共存
「人為的地球温暖化」をはじめ、ヒトが地球中に繁茂し、環境を変えている「人新生」(Anthropocene、人類が地球の地質や生態系に与えた影響に注目する地質時代区分)とも言われ、また、人口100万人都市がやがて600に達すると予測される今日、出典著者らが指摘するように、都会に棲む生きものたちの生きざまを理解することが、ヒトと他の生きものとの共存を図るヒントかも知れませんね。
キバタンたちがゴミを散らかしても研究に参加の市民の皆さんは温かく見守っているようですね。
都会の生きものの過去記事です↓
高速進化する大都会の生き物たち+ヨコハマの港と運河

出典:“Innovation and geographic spread of a complex foraging culture in an urban parrot” Barbara C. Klump, John M. Martin, Sonja Wild, Jana K. Hörsch, Richard E. Major, Lucy M. Aplin Science 23 Jul 2021 Vol. 373, Issue 6553, pp. 456-460 DOI: 10.1126/science.abe7808
出典:Australian Museum “Contact-tracing of Cockatoos reveals spread of foraging culture” Richard Major Published 23 July 2021
出典:“Clever cockatoos learn through social interaction, study finds” Science Dairy July 22, 2021 source: Max-Planck-Gesellschaft


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