夜間人工照明ALANから夜間川面を飛ぶカゲロウを守る+フランスの街の川辺
夜間人工照明ALANから夜間川面を飛ぶカゲロウを守る
+フランスの街の川辺
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(ルイフィリップ橋;パリ、セーヌ川の橋の1つ)
橋脚からの青白灯ビームでカゲロウを正しく導く
橋の灯りに迷って橋の道路上でカゲロウが大量死、が問題となっています。
そこで出典著者のCentre for Ecological Research, Budapest, Hungary(ハンガリーの環境研究センター)のÁdam Meszaros氏らはハンガリー北部のZoltan Tildy橋に青白灯ビームを設置してカゲロウを川面に正しく導けることを立証しました、・・・と言うサイエンス小ネタです。

(愛の橋はカップルに大人気;フランス・アルプスの街、アヌシーのティウー運河に架かる)
都市の風景に潤いを添える川辺
今回の舞台、ダニューブ川は訪れる機会がありませんでしたが、これまでに出会ったフランスの川の風景のフォトを添えています(使い回しですが)。
フランスの川辺の過去記事です↓
セーヌの橋巡り、橋を渡るのは気分を変える儀式
スーラの名画はご近所のセーヌ中之島、ジャット島でした
シスレーが愛したモレシュルロワン、バラと岸辺のレストラン
日本で発見!新しい石+パリ、サンマルタン運河の四季
フランスアルプスの宝石アヌシー番外編
南ブルターニュのその名も「美しき島」ベルイル:フランス街歩き番外編
(ルパレ港に続く深い入り江に寄り添うような街並み;フランス、南ブルターニュのベルイル島)
夜間人工照明ALANの光害
夜間人工照明ALANの光害LAN (Artificial Lighting At Night) とは、街や道路などの夜間の人工照明の略称ですが、生物、特に夜間に活動する渡り鳥や、今回主役のカゲロウなど夜に飛ぶ昆虫にとって脅威であることが明らかになりつつあります。「光害」と呼ばれます。
昆虫たちを脅かす人工照明
空調などない頃、暑さで戸を開けっ放しの夏の夜、電球にはカナブンなど無数の昆虫が体当たりしては墜落していました。蚊帳や裸電球が過去となった今でも夜の人工照明が昆虫たちを脅かしています。
儚さの象徴?カゲロウ
今回の主役カゲロウとは「1日の命」の意味、エフェメラと言います。幼虫は水生昆虫で、羽化し、脱皮した成虫は交尾と産卵のみを行い、エサは摂りません。羽の生えたカゲロウ成虫の儚い命の1日に子孫繁栄を賭けた集団夜間水上飛行を。
(サンマルタン運河歩き3第2の水門橋の上から;フランス、パリの晩秋)
橋の照明でカゲロウの大量死
ところが世界中で、ALAN(夜間人工照明)、特に橋の夜間照明のためにカゲロウなど夜間飛翔昆虫が大量死し、一部は種の存続が危ぶまれる事態であることが分ってきました。
夜の川面を低空飛行、水面のキラキラが道しるべ
そもそもカゲロウは羽化、脱皮後、唯一の目的地、川面の交尾・産卵場所まで、夜間、集団で川を遡ります。川面がキラキラするのが道しるべです。
(アルマ橋のアールデコシルエット;パリ、セーヌ川の夕べ)
偏光を感知によるナビゲーション
出典著者のMeszaros氏らによれば、カゲロウEphoron virgo とCaenis macruraは偏光を感知する眼で川面の反射(一般に、反射光は偏光になる)の偏光を感知しナビに使っているようです。
橋の照明、アスファルト道路が「偽の川面」
ところが、橋の照明や人工照明に照らされた夜のアスファルト道路(のキラキラ)はカゲロウにとっては川面そっくり。
ALANでキラめく道路に産卵!
カゲロウは橋の照明に集まり、アスファルト道路を川面と間違って、なんと道路に産卵までしちゃうそうです(もちろん水生昆虫である幼虫は全滅)。)

(水に映るボートハウス;パリ郊外、ルヴァロワのセーヌの中之島、ジャット島)
橋脚の白色灯がカゲロウを川面にとどめる
ところが、橋脚からの白色灯のビームが橋の手前でカゲロウの群れを川面にとどめておく効果があることが分かりました。
カゲロウは青白い光、紫外線に惹かれる
出典著者のMeszaros氏らはカゲロウE. virgoがどの波長の(どの色合いの)光に惹かれるか、を調べました。黄色やオレンジの暖色系より、青や緑の寒色系の光に、特に紫外線に惹かれることが分かりました。白色灯がカゲロウを誘導する効果は紫外線が含まれていたからだろうとのことです。
ハンガリーの橋で実証実験
そこで冒頭のように、出典著者のMeszaros氏らはハンガリー北部のタヒトファル(Tahitotfalu)のダニューブ川に架かる橋、Zoltán Tildy 橋の橋梁に青白い色のライトを設置しフィールド実験を行い、確かにカゲロウの群れを川面にとどめられることを実証しました。
橋を通る人も守るアプローチ
この実証試験では橋とその道路の照明はそのままであう。つまり、川を遡るカゲロウの群れの安全も、橋の交通安全も共に担保する優れた方法です。
ALAN(夜間人工照明)から昆虫を守るヒントに
この研究は、保護すべき生物種の行動や生理を知ることにより、人の暮らしを妨げることなく、他の生物種を絶滅から守る優れたアプローチだと思います。
まずは相手を知ること、がキモかも?
出典:”Spectral optimization of beacon lights for the protection of night-swarming mayflies” Ádám Mészáros et al. Insect Conservation and Diversity Volume 14, Issue 2 p. 225-234 First published: 16 March 2021 https://doi.org/10.1111/icad.12446
出典:” Fatal attraction to light at night pummels insects” Elizabeth Pennisi Science 07 May 2021 Vol. 372, Issue 6542, pp. 556-557 DOI: 10.1126/science.372.6542.556
出典:ウィキペディア記事「カゲロウ」
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過去の記事リストは下のイラストをクリック ↓ (日本国内と南の島の記事は「ヨーロッパの話題」にまとめています)





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(ルイフィリップ橋;パリ、セーヌ川の橋の1つ)
橋脚からの青白灯ビームでカゲロウを正しく導く
橋の灯りに迷って橋の道路上でカゲロウが大量死、が問題となっています。
そこで出典著者のCentre for Ecological Research, Budapest, Hungary(ハンガリーの環境研究センター)のÁdam Meszaros氏らはハンガリー北部のZoltan Tildy橋に青白灯ビームを設置してカゲロウを川面に正しく導けることを立証しました、・・・と言うサイエンス小ネタです。

(愛の橋はカップルに大人気;フランス・アルプスの街、アヌシーのティウー運河に架かる)
都市の風景に潤いを添える川辺
今回の舞台、ダニューブ川は訪れる機会がありませんでしたが、これまでに出会ったフランスの川の風景のフォトを添えています(使い回しですが)。
フランスの川辺の過去記事です↓
セーヌの橋巡り、橋を渡るのは気分を変える儀式
スーラの名画はご近所のセーヌ中之島、ジャット島でした
シスレーが愛したモレシュルロワン、バラと岸辺のレストラン
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フランスアルプスの宝石アヌシー番外編
南ブルターニュのその名も「美しき島」ベルイル:フランス街歩き番外編

(ルパレ港に続く深い入り江に寄り添うような街並み;フランス、南ブルターニュのベルイル島)
夜間人工照明ALANの光害
夜間人工照明ALANの光害LAN (Artificial Lighting At Night) とは、街や道路などの夜間の人工照明の略称ですが、生物、特に夜間に活動する渡り鳥や、今回主役のカゲロウなど夜に飛ぶ昆虫にとって脅威であることが明らかになりつつあります。「光害」と呼ばれます。
昆虫たちを脅かす人工照明
空調などない頃、暑さで戸を開けっ放しの夏の夜、電球にはカナブンなど無数の昆虫が体当たりしては墜落していました。蚊帳や裸電球が過去となった今でも夜の人工照明が昆虫たちを脅かしています。
儚さの象徴?カゲロウ
今回の主役カゲロウとは「1日の命」の意味、エフェメラと言います。幼虫は水生昆虫で、羽化し、脱皮した成虫は交尾と産卵のみを行い、エサは摂りません。羽の生えたカゲロウ成虫の儚い命の1日に子孫繁栄を賭けた集団夜間水上飛行を。

(サンマルタン運河歩き3第2の水門橋の上から;フランス、パリの晩秋)
橋の照明でカゲロウの大量死
ところが世界中で、ALAN(夜間人工照明)、特に橋の夜間照明のためにカゲロウなど夜間飛翔昆虫が大量死し、一部は種の存続が危ぶまれる事態であることが分ってきました。
夜の川面を低空飛行、水面のキラキラが道しるべ
そもそもカゲロウは羽化、脱皮後、唯一の目的地、川面の交尾・産卵場所まで、夜間、集団で川を遡ります。川面がキラキラするのが道しるべです。

(アルマ橋のアールデコシルエット;パリ、セーヌ川の夕べ)
偏光を感知によるナビゲーション
出典著者のMeszaros氏らによれば、カゲロウEphoron virgo とCaenis macruraは偏光を感知する眼で川面の反射(一般に、反射光は偏光になる)の偏光を感知しナビに使っているようです。
橋の照明、アスファルト道路が「偽の川面」
ところが、橋の照明や人工照明に照らされた夜のアスファルト道路(のキラキラ)はカゲロウにとっては川面そっくり。
ALANでキラめく道路に産卵!
カゲロウは橋の照明に集まり、アスファルト道路を川面と間違って、なんと道路に産卵までしちゃうそうです(もちろん水生昆虫である幼虫は全滅)。)

(水に映るボートハウス;パリ郊外、ルヴァロワのセーヌの中之島、ジャット島)
橋脚の白色灯がカゲロウを川面にとどめる
ところが、橋脚からの白色灯のビームが橋の手前でカゲロウの群れを川面にとどめておく効果があることが分かりました。
カゲロウは青白い光、紫外線に惹かれる
出典著者のMeszaros氏らはカゲロウE. virgoがどの波長の(どの色合いの)光に惹かれるか、を調べました。黄色やオレンジの暖色系より、青や緑の寒色系の光に、特に紫外線に惹かれることが分かりました。白色灯がカゲロウを誘導する効果は紫外線が含まれていたからだろうとのことです。
ハンガリーの橋で実証実験
そこで冒頭のように、出典著者のMeszaros氏らはハンガリー北部のタヒトファル(Tahitotfalu)のダニューブ川に架かる橋、Zoltán Tildy 橋の橋梁に青白い色のライトを設置しフィールド実験を行い、確かにカゲロウの群れを川面にとどめられることを実証しました。
橋を通る人も守るアプローチ
この実証試験では橋とその道路の照明はそのままであう。つまり、川を遡るカゲロウの群れの安全も、橋の交通安全も共に担保する優れた方法です。
ALAN(夜間人工照明)から昆虫を守るヒントに
この研究は、保護すべき生物種の行動や生理を知ることにより、人の暮らしを妨げることなく、他の生物種を絶滅から守る優れたアプローチだと思います。
まずは相手を知ること、がキモかも?
出典:”Spectral optimization of beacon lights for the protection of night-swarming mayflies” Ádám Mészáros et al. Insect Conservation and Diversity Volume 14, Issue 2 p. 225-234 First published: 16 March 2021 https://doi.org/10.1111/icad.12446
出典:” Fatal attraction to light at night pummels insects” Elizabeth Pennisi Science 07 May 2021 Vol. 372, Issue 6542, pp. 556-557 DOI: 10.1126/science.372.6542.556
出典:ウィキペディア記事「カゲロウ」
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