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小っちゃなカニが地形を変える「風吹けば桶屋儲かる」キーストーン種+フランス南ブルターニュ

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サペロ島と小っちゃなカニ
(米国サペロ島と塩沼の地形を変えた小っちゃなカニpurple marsh crab)
小っちゃなカニが地形を変える
米国東海岸で、小っちゃなカニpurple marsh crab(Sesarma reticulatum)が生態系、環境、いえ、それだけでなく地形まで変えてしまっているそうです。こういう生物種をキーストーン種と呼びます。




のどかに舫うヨットたちdownsize
(のどかに舫うヨットたち:フランス、南ブルターニュのベルイル島)
海岸が美しいフランスのブルターニュ半島
「いつまでも美しい海岸であって欲しい」(ちょっとムリムリの)つながりでフランスの南ブルターニュのキブロン半島と沖合のベルイル島のフォトを添えます(使い回しです)。
南ブルターニュの過去記事です↓
ママチャリで行くキブロン半島とフランス温泉旅館:ブルターニュ小旅行<前編>
南ブルターニュのその名も「美しき島」ベルイル:フランス街歩き番外編
2億5千万年後の超大陸+南ブルターニュ寸景
「ご自宅拝見」バイオロギングで垣間見る動物の私生活+南ブルターニュ、キブロン
かわいい肉食系ヒドラは海の老舗ブルターニュの美しい島ベルイル
カマキリ君は動くものを3Dで見て必殺アタック+南ブルターニュの旅キブロン
雲を作って地球を冷やす小っちゃな藻Eハックスレイ南ブルターニュベルイル


白い石造りが印象的な小さなケーキ屋さんdownsize
(白い石造りが印象的な小さなケーキ屋さん:南ブルターニュのキブロン半島)
空からも見えるカニの地形改造
出典著者のSinéad M. Crottya氏らが湿地の航空写真画像を解析するユニークな手法で明らかにしました。小さなカニは宇宙からでも分かるほど地形を変えちゃったんです。湿地の草地はカニの水路で分断され、土壌の浸食が進んでいます。

出航するヨットと巡視艇downsize
(出航するヨットと巡視艇:ベルイル島のルパレ港)
沿岸の地形と生態系と守る塩沼
米国東南部、ジョージア州沿岸のサペロ島(Sapelo Island)にはイネ科植物cordgrassのカーペットで覆われる海沿いの湿地、塩沼(salt marsh)が広がっています。塩沼は沿岸域の食物網と栄養素の分配に大きな役割を果たしており、さらに陸の動物の生態も支え、そして海岸線を守っています。

塩沼を守る塩生植物
サペロ島ではcordgrassのカーペットが塩沼を維持しています。塩沼は定期的に満ち潮に洗われるため、耐塩性の草や灌木などの塩生植物が生えていて、これらの植物は海水中から堆積物を捉えることで塩沼を安定化しています。

ルパレ港入り江の跳ね橋downsize
(ルパレ港入り江の跳ね橋)
カニが草のカーペットを食べて水路拡大
出典著者のCrottya氏らの研究で、小さなカニ、purple marsh crabがイネ科植物cordgrassを食べつくして水路(クリーク)を拡大し地形を変えてしまったことが分かりました。purple marsh crabは北米大西洋岸に棲む紫色の2.5㎝と小さなカニですが、その捕食者が漁業で激減したことで増えて草が食べられ海岸浸食が進んでいます。2010年代のカニの水路拡大は1990年代の2.5倍だそうです。

船尾に立つ赤いシャツがオシャレなクルーdownsize
(船尾に立つ赤いシャツがオシャレなクルー:キブロンとベルイル島を結ぶフェリー)
共犯は地球温暖化による海面上昇
出典著者のCrottya氏らによれば、急にpurple marsh crabが増えたもう1つ要因は地球温暖化に伴う海面上昇だそうです。潮に浸ることが多くなることで湿地の土は柔らかくなり、カニが巣穴を掘り易くなったのだそうです。1990年代に比べてサペロ島の湿地は日に1時間以上長く海水に浸っていました。

淡いブルーが空に映える瀟洒な建物downsize
(淡いブルーが空に映える瀟洒な建物:キブロン)
分不相応なヤツ、キーストーン種
ただでさえ海面上昇により湿地は失われるのに加えて、小っちゃなカニが草を食べ水路を拡大して浸食を加速していたのです。
大きさや数やバイオマス(物質としての生物の量)の割には生態系に大きな影響を及ぼす生物種がキーストーン種(Keystone species)です。いわば分不相応に生態系や環境を大きく変えるヤツです。生態系ごとにキーストーン種となる生物種は異なります。そして良い影響の有名な例はビーバーです。
ビーバーの過去記事です↓
温暖化で北上のビーバーが凍土を融かして温暖化を加速+カナダ首都オタワ

荒野にポツンと立つ灯台は白に赤が印象的REVdownsize
(荒野にポツンと立つ灯台は白に赤が印象的:ベルイル島)
カニの水路拡大が安全な棲み処を奪う
purple marsh crabの水路拡大は地形を変えるだけでなく、cordgrassの草のカーペットを安全な棲み処としていた巻貝など軟体動物が捕食圧に晒されることになりました。生態系も大きな影響を受けています。

「風が吹けば桶屋が儲かる」のが地球温暖化
海岸地形を変えつつある小っちゃなカニpurple marsh crabに“悪意”はありません。
人為的地球温暖化→海面上昇→湿地でカニの巣穴が増え、カニが増えた→湿地を守る草が食べられ水路網が拡大→塩沼の生態系が脆弱になり+海岸浸食が進んだ。
地球温暖化は様々な「風が吹けば桶屋が儲かる」インパクトを与えているということでしょうね。

出典:”Sea-level rise and the emergence of a keystone grazer alter the geomorphic evolution and ecology of southeast US salt marshes” Sinéad M. Crottya et al. PNAS July 28, 2020 vol. 117 no. 30 17891–17902 www.pnas.org/cgi/doi/10.1073/pnas.1917869117
出典:日経サイエンス2021年3月号P.24「湿地を作り変えるカニ」
出典:ウィキペディア記事「塩沼」「キーストーン種」「Sesarma reticulatum」


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テーマ : パリ、フランス - ジャンル : 海外情報

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