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ホオジロザメも逃げ出す海の王者シャチ

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秋SF沖で三者が出会う
(秋にサンフランシスコ沖で三者が出会うと・・)
15年間、ホオジロザメを追ってきた
出典著者のモテレーベイ水族館 (Monterey Bay Aquarium)のSalvador J. Jorgensen氏はカルフォルニア沖の海で15年間もホオジロザメ(white sharks (Carcharodon carcharias))を観察してきたそうです。ホオジロザメ165匹に行動を追跡できる電子タグを付けて観察しました。




シャチを見たサメは猟場を捨てる
(シャチを見たサメは猟場を捨てる)
カリフォルニア沖は大切な秋の猟場
カルフォルニアのサンフランシスコ沖のファラロン諸島(Southeast Farallon Island (SEFI).)はゾウアザラシ(elephant seals (Mirounga angustirostrous))の幼体を狙うホオジロザメの秋の狩場です。かわいそうですが、幼体、つまりはこどものゾウアザラシが餌になってしまうのは自然界では普通のことです。

カルフォルニア沖のファラロン諸島
(カルフォルニア沖のファラロン諸島)
ある日突然、ホオジロザメが消えた
ところが、Jorgensen氏の電子タグの追跡によれば、2009年秋、17匹のホオジロザメのグループ全員がある日忽然と猟場のSEFIから姿を消しました。

秋の最良の猟場を捨てた
普通、ホオジロザメは季節毎の猟場に数週間から数か月間留まるそうです。なぜ彼らはその後の太平洋沖合への回遊(鳥の渡りと同じ)のエネルギー補給のためには大切な秋のSEFIの猟場を放棄したのか?

ある秋、シャチが来た!
シャチです!2009年秋、サメたちは同じ猟場にシャチ(killer whales (Orcinus orca))の影を見たのです。

シャチを見ただけで大事な餌場を放棄し
するとホオジロザメはシャチを見ただけで餌場をあきらめて逃げ出したそうです。
餌場にシャチがたった数時間居ただけで、襲われたわけでも、ましてや、仲間が喰われた訳でもないのに大事な餌場を放棄しました。


一度見ただけで縄張り明け渡し
ホオジロザメたちは、たとえ稀であっても、仲間が襲われたことを知っている(覚えている)だけで大事な縄張りをシャチに明け渡してしまいました。

では、シャチはホオジロザメを食べるのか?
ではシャチはホオジロザメを襲って食べるのか?いえ、通常そういうことは起こりません。

非常に稀な捕食
非常にまれに、1シーズンで1回だけシャチがホオジロザメを襲うのが見られたそうです。

「恐怖の光景」が行動を変える
捕食者が居るだけで食べられる餌動物の行動は慎重になり、その結果、生態系も変わります。仲間が襲われ捕食されるのを見ただけで行動が変わります。これは「恐怖の光景」と呼ばれます。

イエローストーンのオオカミ
シカによる樹木の食害が問題になったイエローストーン公園に一度絶滅したオオカミを少数を再導入しただけでシカの食害は激減したそうです。オオカミが食べてシカを減らしたからではなく、シカがオオカミを恐れて大胆な行動を取らなくなったためです。

北米太平洋岸を渡る者たち
シャチは北米太平洋岸をメキシコ沖からアラスカ沖まで回遊します(渡りと同じ行動)。一方、ホオジロザメはカリフォルニア海岸太平洋沖を回遊します。更に、両者の餌であるゾウアザラアシも同じく北米太平洋岸を回遊し、秋、三者がカリフォルニア沿岸で出会います。

ゾウアザラシの被害は激減した
シャチ出現後、それまでホオジロザメにより食べられていたゾウアザラシは1/4から1/7に激減しました。ゾウアザラシ以外の鰭脚類(脚が鰭になっている海棲哺乳類、アザラシ、トドなど)も食べられる数は減りました。

頂点捕食者は生態系の食物網を左右する
生き物の「食べる、食べられるの」関係、食物網は生態系の基礎をなすものです。「食べる、食べられる」の関係の頂点に立つホオジロザメやシャチなど頂点捕食者は生態系に大きな影響力を持ちます。

海の王者の老舗
4億5千万年前の中生代から生き残っているサメは、せいぜい5000 万年前の新生代に海に戻ったクジラ目のシャチよりはるかに長く「海の王者」として君臨してきました。

「逃げるが勝ち」の戦略
一方、現代のシャチのようにその時代、時代にサメには必ずライバルがいました。今回のように、強いライバルから逃げることがサメが長らく生き残ってきた秘訣ではないか、と出典著者のJorgensen氏は述べています。
海の捕食者同士の関係はまだなぞが多いようです。


出典:Killer whales redistribute white shark foraging pressure on seals
Salvador J. Jorgensen et al. Scientific Reports volume 9, Article number: 6153 (2019)
出典:日経サイエンス2019年10月号P. 16「シャチにはサメも怖気づく」


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テーマ : パリ、フランス - ジャンル : 海外情報

コメント

Re: おおかみ

lakme様、確かにここまで広がると心配ですね、過ぎたるは何とやらです。生態系を健全に維持するにはどれかの生物種だけに肩入れしてはいけないと思います、微妙なバランスが崩れますから。自然の生き物に「悪者」も「正義の味方」もいないのですから。

> うちの近所には流石にいないのですが、ベルギーの田舎で目撃情報が出ました。ロシア、ポーランド、チェコ辺りに狼はいるのですが、西へ移動しているのと、狼を保護する団体の力で徐々にヨーロッパ中に生息地が広がってきているようです。私達が夏に行く北イタリアの山にはいませんが、もう少し西、オーストリアにはいるので、プレイエルを連れたハイキングで遭遇しないことを祈るばかりです…。

おおかみ

うちの近所には流石にいないのですが、ベルギーの田舎で目撃情報が出ました。ロシア、ポーランド、チェコ辺りに狼はいるのですが、西へ移動しているのと、狼を保護する団体の力で徐々にヨーロッパ中に生息地が広がってきているようです。私達が夏に行く北イタリアの山にはいませんが、もう少し西、オーストリアにはいるので、プレイエルを連れたハイキングで遭遇しないことを祈るばかりです…。

Re: おおかみ

いつもありがとうございます。lakmeさんのお宅の近くでオオカミが出るかも知れないとは驚きました。ヨーロッパでもオオカミを導入しているのは初耳でした。まだまだ自然が残っているのですね。プレイエルちゃんは活発だけど賢いから「逃げるが勝ち」をとると思います。


> こんにちは。オオカミ、西ヨーロッパでも繁殖させています。家畜に被害が点在するようですが、人間が襲われたというニュースは聞いたことがありません。イエローストーンの話は私も読んで、なるほどと納得しましたが、鹿が警戒して行動範囲が狭まった為に食物が育っているということまでは知りませんでした。勉強になりました。なるほど、逃げるが勝ちなのですね。
> オオカミが、私たちの行く山に出始める日も近いかもしれません。うちの犬、逃げられるでしょうか。

おおかみ

こんにちは。オオカミ、西ヨーロッパでも繁殖させています。家畜に被害が点在するようですが、人間が襲われたというニュースは聞いたことがありません。イエローストーンの話は私も読んで、なるほどと納得しましたが、鹿が警戒して行動範囲が狭まった為に食物が育っているということまでは知りませんでした。勉強になりました。なるほど、逃げるが勝ちなのですね。
オオカミが、私たちの行く山に出始める日も近いかもしれません。うちの犬、逃げられるでしょうか。
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