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深海魚のふにゃふにゃ大作戦+スズメダイたち再び

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ネッタイスズメダイREVdownsize
(ネッタイスズメダイ; 石垣島ダイビングで出会いました)
漆黒、超高圧の世界、深海
深海は漆黒の闇と低温、そして何よりも超高圧の世界、生き物にとっても過酷な世界です。




深海魚のふにゃふにゃの耐圧対応
そんな深海に棲む深海魚は超高圧対策としてふにゃふにゃの体を生み出しました。
軟骨魚類の軟骨は水圧対策の優れたハイテクです。私たちの体のようなリン酸カルシウムで出来た硬骨は深海の高い水圧ではクラッシュしてしまいます。ところが軟らかい軟骨なら「柳に風」と高圧を凌げます。


水深6000mでは水圧600気圧
深海とは水深200m以上の海で、水深1000mを超えると太陽光の届かない漆黒の世界。水深3000m以上では水温は約1.5℃と冷たく一定です。
水深が10m深くなるごとに1気圧水圧が増え、今回の主役、深海魚のマリアナスネイルフィッシュ(hadal snailfish、Pseudoliparis swirei)が棲む水深6000mでは水圧は600気圧にもなります。まさに地上、海面と別世界です。


マリアナスネイルフィッシュ
マリアナスネイルフィッシュ、写真はErin I.氏, Garcia de Jesus氏の出典からお借りしています(写真中下段はその原典)。
世界初、深海魚のゲノム解析成功
出典著者のKun Wang氏らはマリアナ海溝水深6000mの超深海の超高圧下に棲むゼリーみたいにブヨブヨで無色半透明なクサウオ科の深海魚マリアナスネイルフィッシュのゲノム解析(遺伝子全体の解析)に成功しました。
深海魚では世界初だそうです。


7ロクセンスズメダイREVdownsize
(ロクセンスズメダイ、まだ幼魚で縞がはっきりしません)
日本の磯の親戚と遺伝子を比べると・・
出典著者Wang氏らは解析に成功したマリアナスネイルフィッシュの遺伝子と島根県の磯に棲む親せきクサウオ(Liparis tanakae)の遺伝子を比べました。

軟骨に先祖戻りが耐圧のヒミツ
すると深海魚マリアナスネイルフィッシュが超高圧でも棲めるヒミツが分かりました。1つは骨が軟骨であることです。約2千万年前に袂を別った親戚の磯に住むクサウオは硬骨魚ですが、深海魚となったマリアナスネイルフィッシュは軟骨になっていました。

モンツキスズメダイREVdownsize
(モンツキスズメダイ)
軟骨から硬骨に変える遺伝子のスイッチを切る
マリアナスネイルフィッシュは骨形成の段階で軟骨が「骨化する」=カルシウムの沈着が起こる、遺伝子のスイッチをオフにしていたのです。軟骨に戻ることによる耐圧対応です。

深海の超高圧下では細胞膜も壊れる
水深数千mの超高圧下では通常の細胞膜では流動性が低下し透過性が低下して細胞内外の物質のやり取りが出来なくなり、細胞の機能が大きく損なわれます。

ヒレオビウツボREV2downsize
(ヒレオビウツボ、何か狙ってます)
細胞膜もくにゃくにゃで超高圧対応
深海魚マリアナスネイルフィッシュの超高圧対策はそれだけではありません。細胞膜もハイテク化していたんです。
深海魚マリアナスネイルフィッシュは超高圧下でも細胞膜の流動性を保つ特殊な脂肪酸を作り出していることが、出典著者Wang氏らの遺伝子解析で分かりました(脂肪酸生合成系の遺伝子群が拡大強化されている)。


超高圧でもタンパク質を安定に保つ
超高圧下では細胞のタンパク質も構造が崩れてしまいますが、マリアナスネイルフィッシュではタンパク質を安定化させる分子が造られていました(遺伝子が発現)。

硬骨は軟骨から作られる
ヒトなど多くの脊椎動物が持つリン酸カルシウムの硬い骨、硬骨は軟骨から作られます。骨は硬骨の部分と両方の骨端の軟骨部分から出来ていて、成長時にはまず骨端で軟骨が成長しすぐ後ろの(これまで骨端だった)軟骨にカルシウムが沈着して硬骨になります。

軟骨魚類は硬骨が出来る手前で止めている
なので、軟骨魚類は硬骨を作れない古いタイプの生物と思われがちですが、実は軟膏魚類は硬骨も持っています、歯や鰭の棘は硬骨の組織です。軟骨魚類のゾウギンザメのゲノムを解析したところ、軟骨を硬骨に変える過程を司るいくつかの遺伝子のうち、1つが欠けていたそうです。

名前の分からない魚REVdownsizw
(名前の分からない魚@石垣ダイブ、どなたかご存知ですか?)
わざとスイッチを切って軟骨を保つ
今回の深海魚マリアナスネイルフィッシュは軟骨から硬骨を作る遺伝子はそろっているけど、「わざと」遺伝子のスイッチを切っています。


まだまだフシギがいっぱいの深海の生き物
マリアナスネイルフィッシュのこれらの耐圧戦略が深海魚に一般なのかは今後の研究だそうですが、深海魚って実はハイテクのかたまりなんですね。

出典:「超深海にすむ動物のゲノムを初めて解読」 “Snailfish is first animal from extreme ocean depths to get genome sequenced” Erin I.氏, Garcia de Jesus氏執筆、船田晶子氏訳 nature ダイジェスト 2019年6月号(vol.16 No 6) P.3
出典:” Morphology and genome of a snailfish from the Mariana Trench provide insights into deep-sea adaptation” Kun Wang et al. Nature Ecology & Evolution https://doi.org/10.1038/s41559-019-0864-8 (2019).
出典:「軟骨魚類に骨がない理由」 “Why sharks have no bones” Brendan Borrell” nature ダイジェスト 2014年3月号P.7


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テーマ : パリ、フランス - ジャンル : 海外情報

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