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森を支える土中のパートナーの熱帯化で温暖化加速かも?+シャンゼリゼとモレシュルロワン

森を支える土中のパートナーの熱帯化で温暖化加速かも?
+シャンゼリゼとモレシュルロワン

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並木から垣間見る凱旋門downsize
(並木から垣間見る凱旋門)
地球の樹木3兆本の地下のパートナー
地球には3兆本もの樹木があり、人間1人あたり500本近い樹が生えています。その森の地下には樹と共生する菌の巨大ネットワークがあります。温暖化でこの土壌の共生菌が熱帯型に替わり二酸化炭素放出が盛んになり温暖化をさらに加速すると危惧されています。




ちょっとレトロなメトロ入口downsize
(ちょっとレトロなメトロ入口;メトロ1番線フランクランデローズヴェルト駅(Franklin D. Roosevelt))
街の顔、シャンゼリゼの並木とシスレーが愛した村
樹木→並木つながりでパリ、シャンゼリゼ大通り(Av. des Champs-Elysees)の並木とパリ郊外の村モレシュルロワン(Moret-sur-Loing)の森のフォトを添えています。
パリ、シャンゼリゼ大通りの過去記事はこれです↓(クリックで飛びます)
シャンゼリゼを呼吸するパリのホテル;晩秋パリ散歩その4
朝な夕なのパリの表情、シャンゼリゼ界隈
メインストリートはカレーライスか、オー、シャンゼリゼ

パリ郊外の村モレシュルロワンの過去記事はこれです↓(クリックで飛びます)
シスレーが愛したモレシュルロワン、バラと岸辺のレストラン

初めての世界の森の網羅的調査研究
出典著者のThomas Crowther氏らは2012年から2015年まで3年間に亘り全世界の樹木のデータを集めて地球上の樹木の分布図を作りました。結果、地球上には3兆本の樹木があることが初めて確認されました。

モレシュルロワンの堰downsize
(モレシュルロワンの堰: パリ郊外とは思えない風情)
共生はマメ科根粒菌だけじゃない
ダイズなどマメ科植物と窒素固定を行う根粒菌との共生は有名ですが、実は森の樹のほとんどが菌と共生しています。これらの共生菌は大半は窒素固定は行いませんが、植物が必要な養分(窒素やリンなど)を提供し、植物からは光合成で生産した糖分などを得ています。

森の樹と土壌微生物の持ちつ持たれつ
森の樹木は大気や土壌にある窒素やリンなどをそのままでは利用できません。数100万種のカビと細菌が土壌と植物の根の間で栄養物のやり取りをしています。

私たちの腸内細菌のようなもの
土壌中の微生物が窒素やリンなどを植物が利用可能な「養分」に変えて提供し、植物からは糖分などの栄養物を得ています。お互い「持ちつ持たれつ」の共生関係です。私たちヒトと腸内細菌のようなものです。
腸内細菌の過去記事はこれです↓(クリックで飛びます)
「お腹の中のアリエッティ」が棲む熱帯雨林を大切に・・・

A-2 晩秋のシャンゼリゼdownsize
(晩秋のシャンゼリゼ)
植物と共生する土壌微生物の地球規模の調査
出典著者のKabir Peay氏はCrowther氏らと共にCrowther氏の全世界の樹種データベースを使って70か国、110万観測点、2万8千種の樹木と共生する土壌微生物を調べました。

緯度、気候、地勢で地中のパートナーも変わる
出典著者のPeay氏、Crowther氏らはCrowther氏の地球の樹木のデータベースをもとに、地域の気温、堆積物、土壌の化学的性質、地形のデータと併せて、世界中の外菌根(ectomycorrhiza、EM)、アーバスキュラー菌根(arbuscular mycorrhizae、AM)、根粒菌の分布のデータベースを構築しました。

樹種によって共生パートナーが違う
カシやマツは根の外に菌糸を張り巡らす外菌根(EM)を形成する菌と共生しています。これらの菌は主に担子菌、つまりはキノコです。赤松の下のマツタケですね。

森全体を覆う地中の隠れたネットワーク
これら土壌中で外菌根(EM)を作る菌は森全体を覆うような地下のネットワークを作り上げています。

世界の6割の樹に外菌根(EM)のネットワーク
出典著者のPeay氏、Crowther氏らの研究によれば、植物種全体のたった2%の外菌根(EM)と共生する樹種が世界の森の6割を占めています。つまり世界の森の6割には外菌根(EM)の地下ネットワークが張り巡らされていることになります。

Loing川の堰 その3downsize
(ロワン(Loing)川の堰と森)
侵入型の共生パートナー菌AM
カエデやスギでは菌糸は樹木の根の外ではなく根の細胞に入り込むタイプのアーバスキュラー菌根(AM)を形成する菌と共生しています。

寒帯と熱帯ではパートナーの菌が違う
中高緯度に分布する樹種では外菌根(EM)の菌との共生が主ですが、一方、低緯度、熱帯に分布する樹木では共生する菌は根の細胞に、すなわち植物体の内部に侵入して棲むタイプのアーバスキュラー菌根(AM)を形成する菌です。


根粒菌は暑く乾燥した地に独自の分布
マメ科植物などと共生し窒素固定を行う根粒菌は緯度に関係なく、半砂漠のような暑くて乾燥したアルカリ性土壌の土地に分布します。

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(晩秋の霧雨に人影もまばらなシャンゼリゼ)
亜寒帯では8割が分解ゆっくりの外菌根(EM)
冷涼で乾燥した高緯度亜寒帯では樹木の8割の共生相手は外菌根(EM)の菌で土壌中の有機物はゆっくり分解されます。

熱帯では速やかにCO2になるアーバスキュラー菌根(AM)
一方、温暖で湿潤な熱帯地方では9割の樹木の共生相手がアーバスキュラー菌根(AM)で、また、土壌中のネットワークは小さく、有機物は急速に分解され二酸化炭素として放出します。

地球の表層土壌は巨大な炭素貯蔵庫
出典著者のRichard D. Bardgett氏、David A. Wardle氏によれば、土壌は陸上の炭素の役80%を貯蔵する巨大な炭素貯蔵庫だそうです。

土も呼吸します
森の地上部、樹木は光合成を行いますが、地上部と物質、エネルギー交換をしている森の地中にも共生する菌や細菌、ダニ、線虫、昆虫などが腐食食物網の巨大なネットワークを作っています。これらは呼吸し土壌からは大気中に二酸化炭素が放出されます。

腐食食物網の地下巨大ネットワーク
出典著者のBardgett氏、Wardle氏によれば、新たに光合成で「固定」された炭素の約半分がほどなく土壌呼吸で大気に戻るそうです。
枯れ木分解事始めのキノコの過去記事はこれです↓(クリックで飛びます)
1つのキノコが地球の歴史を変えた+北仏ノルマンディー再び

温暖化で土から放出される二酸化炭素が増える
温暖化で有機物分解が加速されると土壌からの二酸化炭素放出が増え、更に温暖化が加速する悪循環(正のフィードバック)が起こります。
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温暖化で北上のビーバーが凍土を融かして温暖化を加速+カナダ首都オタワ

地球温暖化で土壌のCO2 放出が加速する
出典著者Crowther氏は、今後、地球温暖化で外菌根(EM)型の10%がアーバスキュラー菌根(AM)型に置き換わるだろう、すると有機物分解は加速されより多くの二酸化炭素が土壌から放出され、温暖化を一層加速させるだろう、と危惧を述べています。
温暖化による生物種の移動の過去記事はこれです↓(クリックで飛びます)
温暖化が招く早い春の訪れが鳥や昆虫を脅かしている+パリ5月バラ通り

2050年までに550億トンの炭素が土から大気に
今回の出典著者の1人、Crowther氏は別の研究論文で、2050年までに550億トンの炭素が土壌から二酸化炭素として大気中に放出されるだろうと見積もっています。これは2050年までに人為的に大気中に放出されるとよそうされる炭素量の12-17%に相当するそうです。

未知の世界、土壌生態系
ここでご紹介したこれら最近の研究成果は地下の世界、土壌生態系の新たな理解につながるものですが、出典著者のBardgett氏、Wardle氏によれば土壌生態系は従来あまり注目されておらず、まだまだ分からないことがたくさんある未知の世界なのだそうです。

出典:”Climatic controls of decomposition drive the global biogeography of forest-tree symbioses”
B. S. Steidinger, T. W. Crowther, J. Liang, M. E. Van Nuland, G. D. A. Werner, P. B. Reich, G. Nabuurs, S. de-Miguel, M. Zhou, N. Picard, B. Herault, X. Zhao, C. Zhang, D. Routh, K. G. Peay & GFBI consortium Nature 15 May 2019 vol.569, p404–408
出典:”‘Wood wide web’—the underground network of microbes that connects trees—mapped for first time” Gabriel Popkin Science 10 May 2019 Vol 364, Issue 6440 doi:10.1126/science.aay0516
出典:”Mapping tree density at a global scale” T. W. Crowther et al. Nature vol.525, p.201–205 (10 September 2015) doi:10.1038/nature14967
出典:”Quantifying global soil carbon losses in response to warming” T. W. Crowther et al. Nature vol.540 P.104-108 (01 Dec 2016)
出典:「地上と地下のつながりの生態学」 “Aboveground-Belowground Linkages; Biotic Interactions, Ecosystem Processes, and Global Change”2010年 Richard D. Bardgett氏、David A. Wardle氏共著、深澤遊氏、吉原佑氏、松木悠氏共訳 (2016年 東海大学出版部)


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