FC2ブログ

虫レーダーが捉えたハナアブ数10億匹の渡り、追い風に乗り英仏海峡を行く

虫レーダーが捉えたハナアブ数10億匹の渡り、追い風に乗り英仏海峡を行く
↓良かったらクリックをお願いします

にほんブログ村 科学ブログへ
にほんブログ村にほんブログ村 その他趣味ブログ 航空・飛行機へ
にほんブログ村
ピンクのぼたんdownsize
(夏の我が庭の花、ボタン)
虫も渡りをします
オオカバマダラの渡りが有名ですが、他にも多くの昆虫が渡りをします。今回の主役、ハナアブの仲間のヒラタアブも春は北へ、秋には南へと渡ります。
オオカバマダラの飛翔の過去記事はこれです↓(クリックで飛びます)
オオカバマダラ蝶は鱗粉が作る渦で4千kmを渡る+パリ郊外原っぱのヒコーキたち




ウツギdownsize
(庭の花、ウツギ)
初夏の庭
ハナアブにちなんで我が家の初夏の庭の花々のフォトを添えています。

虫レーダーで空を飛ぶ昆虫を捉える
昆虫は小さいため、その渡りは渡り鳥のように目視では観察出来ずその実態や実数を把握するのは困難でした。そこで出典著者のKarl R. Wotton氏らは最新技術、虫でも捕捉できる波長の「虫レーダー」でハナアブのヒラタアブの渡りを捉えることに成功しました。

ハナアブは実はハエの仲間、でも時に益虫
ハナアブは黒いち体に黄色やオレンジ色一の縞があり、一見ハチに見えますが、ハエの仲間で、名前がアブとややこしい。

ハナアブ出典より
(ハナアブ:出典より)
受粉媒介者にして害虫の天敵
ハナアブはハエのような衛生害虫ではなく、名の通り花を訪れる受粉媒介者です。その内、例えば、ヒラタアブ亜科のハナアブの幼虫は害虫のアブラムシ(アリマキ)を食べるので農家の味方でもあります。

昆虫編隊を捉える虫レーダー、VLR
垂直方向に照射するVLR(Vertical-looking entomological radar)と言う「虫レーダー」は対象物、この場合はハナアブ、の大きさに合わせた波長で、空を渡ってゆく昆虫の大群を捉え、レーダー画像の色合い?で昆虫の種類を区別するそうです。防空システムみたいですね。

赤いカルミラdownsize
(庭の花、赤いカルミラ)
ハナアブ数10億匹、英仏海峡を渡
出典著者Wotton氏らはこのVLRによる10年間の観測データを解析したところ、毎年40億匹、80トンのハナアブ(主にホソヒラタアブ(Episyrphus balteatus)なdのヒラタアブ)が英仏海峡を行き来して渡りをしていることが分かりました。

追い風を捉える渡り戦
ハナアブは、まず良い風が吹いている高度まで上昇した後、追い風に乗って一日数100キロも渡るそうです。また渡りの飛行高度はほとんどが地上150m付近だそうです。時速58キロに達します。
このような特徴的な飛行パターン(経路)により、多種、多様な昆虫のVLR虫レーダー画像からハナアブと見分け確認できるそうです。


黄色い花REVdownsize
(庭の黄色い花、名前を忘れてしまいました)
海を越えてやってくる農家の助っ人
英国ではハナアブはミツバチに匹敵する量の花粉を媒介するそうです。その夏に生まれたハナアブの幼虫はアブラムシの20%、6兆匹を捕食するそうです。羽化した成虫は秋には大陸に渡ります。
農家が享受するハナアブの恩恵は絶大なものだそうです。出典著者の1人Jason Chapman氏は「ハナアブがいる季節は殺虫剤を撒くな」と述べています。


数兆匹数千トンの昆虫が渡っている
出典著者のElizabeth Pennisi氏によれば、Chapmen氏らの10年間に亘る昆虫の渡り飛行のレーダー観測、研究から、ハナアブなど英国南部に飛来する渡り昆虫は毎年2~5兆匹、数千トンのバイオマスに達することが分かりました。

赤いバラdownsize
(庭の淡赤のバラ、毎年咲いてくれます)
昆虫の渡りの生態系へのインパクト
花粉媒介者が害虫が益虫が、病原体も連れて渡り、また、膨大な量の炭素源、窒素やリンなど栄養素、エネルギーも渡りにより生態系間を行き来する訳で、昆虫の渡りは食物網や生態系になくてはならないもののようです。

日本でも昆虫が渡ります
このサイエンス小ネタの舞台は英国ですが、同じような島国の日本でも昆虫の渡りがあります。タテハチョウの仲間、アサギマダラは沖縄と四国の間など日本を南北に渡ります。沖縄で冬を越し、夏はより涼しい本州で過ごします。1980年代に渡り行動が解明されたそうです。

虫レーダーが拓く昆虫渡り研究
渡り鳥なら渡り飛行を目視で観察出来ます。しかし、昆虫の場合は地上からの目視確認難しく、10年の地道な虫レーダーによる観測と研究で、ようやく小さな生き物、昆虫の渡りの数量や規模が包括的に捉えられました。これまでは出発地の地上で捕獲した個体に印をつけて、渡り先の地上で捕獲した個体の中から印のあるものを探すような研究手法だったそうです。
今後、昆虫の渡りがもっと解明され、生態系への影響もさらに明らかになるといいですね。


出典:”Mass Seasonal Migrations of Hoverflies Provide Extensive Pollination and Crop Protection Services” Karl R. Wotton et al. Current Biology 29, 1–7, July 8, 2019, DOI:https://doi.org/10.1016/j.cub.2019.05.036
出典:”Half a billion hoverflies migrate to the United Kingdom each year The benefits to farmers are huge” Erik Stokstad Science Jun 13 2019
出典:”Radar spots trillions of unseen insects migrating above us” Elizabeth Pennisi, Science Dec. 22, 2016, doi:10.1126/science.aal0550
出典:ウィキペディア記事「ハナアブ」、「アサギマダラ」


↓良かったらクリックをお願いします


過去の記事リストは下のイラストをクリック ↓ (日本国内と南の島の記事は「ヨーロッパの話題」にまとめています)
パリの話題minisizeREVフランス街歩きminisizeREV
ヨーロッパの話題minisizeREV生き物とちきゅうのお話minisizeREV
ヒコーキの話minisizeREVグルメ話minisizeREV

スポンサーサイト



テーマ : パリ、フランス - ジャンル : 海外情報

コメント

Re: No title

yoyo様、いつもありがとうございます。ハナアブ科は Syrphidaeですからsyrpheはフランスのハナアブだと思います。受粉媒介者として日本ではあまり名前が挙がりませんが、ハナアブは園芸や農業の大切なパートナーなんですね。渡りを行わない受粉媒介昆虫が減ってゆく中でハナアブは今のところ数を維持しているそうです。海を越えて自然をつなぐハナアブに頑張ってほしいですね。

> kenjiさん、こんにちは^^。ハナアブというのは、渡りをする虫なんですね。1日で100kmも移動できるとは驚きです!
> フランスでいう”syrphe”がハナアブに当たるのでしょうか?
> 毎年、みかん、レモン、クエッチなどの花に受粉してくれるので、我が家では、とても大切な存在です。
> 農薬のせいで、ミツバチが激減していると言われていますが、ハナアブまで数が減らないよう祈りたいです。

No title

kenjiさん、こんにちは^^。ハナアブというのは、渡りをする虫なんですね。1日で100kmも移動できるとは驚きです!
フランスでいう”syrphe”がハナアブに当たるのでしょうか?
毎年、みかん、レモン、クエッチなどの花に受粉してくれるので、我が家では、とても大切な存在です。
農薬のせいで、ミツバチが激減していると言われていますが、ハナアブまで数が減らないよう祈りたいです。
コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する