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生き物の落とし物を食べる海綿に環境DNAを集めてもらう

生き物の落とし物を食べる海綿に環境DNAを集めてもらう
~ 選り好みせず海の動植物DNAを漉し取る海綿 ~

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環境DNAを集める海綿REV
(海面は生き物の落とし物を漉し取り、環境DNAを集めてくれる)
環境中の生き物の目録、環境DNA
生き物、特に動物たちの「落し物」、糞、ウロコ、皮膚、粘液、精子、卵、時に遺骸などに含まれるその生き物のDNA(「環境DNA(eDNA)」と言います)を分析すれば、その環境に「どんな生き物がどのくらい棲んでいるのか?」を調べることが出来ます。これが「環境DNA技術」です。バケツに水を汲むだけでその水系(川、湖など)に棲むすべての生き物の種類と数が分かります。




環境DNAの過去記事はこれです↓(クリックで飛びます)
水を汲むだけ環境DNAによるサカナの国勢調査 サンゴ礁の魚たち
河川の場合の環境DNAのイメージ図(過去記事より)
落とし物DNAで鑑識

海の環境DNAを集めるには高価なハイテクが必要
しかし、広大な海洋から環境DNAを集めて分析するには長期自動で稼働する海中ロボットや搭載する自動DNA解析装置などの高価なハイテクが必要です。それでも調べられるDNA=生物種は限られたものになります。

石垣の海の色鮮やかな海綿downsize
(石垣の海の色鮮やかな海綿、フラッシュを焚いて撮りました)
生きた環境DNA収集装置、海綿
そこで出典著者の英国Salford大学のStefano Mariani氏らは大昔からいる海の生物、海綿に環境DNAサンプル採取をお願いすることにしました。海綿を「生きた環境DNA収集装置」として用いる方法で、安くて、簡単で、確実で、いつでも、どこでも環境DNAを収集できます。


海のリサイクル屋さん、海綿
海綿は口から海水を吸い込み微粒子の「生き物の落とし物」(糞、ウロコ、皮膚、粘液など)や微生物を選り好みすることなく濾し取って餌にする濾過食者で、海のリサイクル屋さんです。
海綿のリサイクルの過去記事はこれです↓(クリックで飛びます)
ダーウィンの矛盾を解いたサンゴ礁の小っちゃなサカナたち 石垣の海のかわいい魚たち

選り好みせず漉し取りま
海水中に漂う微粒子を漉し取る海綿なら、選り好みせず、頼まれなくても勝手に、もれなく「生き物の落し物」=環境DNAを集めてくれます。研究者は海綿丸ごとDNAを分析すれば、労せずしてそこの環境の生態系にどんな生き物がどのくらい棲んでいるか、網羅的な「国勢調査」が可能です。

アザラシ、ペンギンにサカナ、何でも集めますよ
海水中を漂う「生き物の落し物」をひたすら漉し取る海綿はその海で泳ぐ魚たちだけでなくアザラシやペンギンの環境DNAも集めています。

生きた環境DNA自動収集濃縮装置、海綿
しかも海綿は1日に1万リットルの海水を漉し取り、既存の装置よりも1000倍も強力で効率が良いそうです。さらに海綿は大量の海水から漉し取った大量の「生き物の落し物」、環境DNAを濃縮してくれるんです

海綿が集めたサカナの種類をDNAバーコードで鑑別
出典著者のMariani氏らは地中海4カ所と南極海5カ所の海綿から63サンプルの全DNAを採取し、数万種のサカナのDNAをバーコード化したものと比べました(種に特徴的な12S mt(ミトコンドリア)DNAで種を特定する方法)。

南極の海からはペンギンとアザラシのDNAも
例えば、南極海のある海綿サンプルからは数100のヒゲペンギン(chinstrap penguin、Pygoscelis antarcticus)とウェッデルアザラシ(Weddell seal、Leptonychotes weddellii)のDNAが得られました。
31の生物種のDNAサンプルが得られ、内、22は動物の科、またはそれ以下(属、種)の分類まで特定できたそうです。


海が違えば海綿が漉し取るDNAも違う
南極海の海綿からは、寒冷な海に棲むライギョダマシやblack rockcodなどスズキの仲間(ノトテニア亜目,Notothenioidei)などの、地中海の海綿からは、地中海に特徴的なアジ科、ハタ科、ニシン科、タイ科のサカナのDNAが得られたそうです。この方法で得られた環境DNAはその海の生態系を反映していると出典著者のMariani氏ら述べています。

商品バーコードのように生き物を見分けるDNAバーコード
ここではまた、環境DNAメタバーコーディングと言う研究技術が使われています。DNAバーコード(DNA barcoding)とは、様々な生物種のDNAが混じったサンプルとある生物種に特徴的な短いDNA配列とを照合し特定の生物種(のDNA)を鑑別する方法です。
ザックリ言うと、スーパーのレジで商品バーコードで<野菜><キャベツ><100円>と確認するように、海綿が集めたDNAから<サカナ共通DNA><ライギョダマシ独特のDNA><サカナ共通DNA>と生物種を同定する方法です。


海綿の個体差が課題
出典著者Mariani氏らは海による海綿の種類の違い、海綿の個体差により、例えば海水の吸引量が違うことなどがこの方法における標準化の課題だとしています。

海底でしか集められないじゃないの?
また、カナダGuelph大学のPaul Hebert氏は、この海綿によるDNA収集では海底の生き物のDNAしか集まらないのが難点と指摘しています。でも優れた方法なので、今後、海綿を模倣した装置を開発すれば広く使えるだろうとのことです、バイオミメティクス(Biomimetics)ですね。

安くて簡単、市民も使える生物多様性モニタリング
出典著者Mariani氏らはこの海綿が集めてくれる環境DNAを‘natural sampler DNA’ (nsDNA)(自然採取DNAの意?)と名付け、水系の生物多様性をモニタリングする強力で普遍的で安価で手頃な、例えば、市民も研究に参加できるような、研究手段になるだろうと述べています。

出典:“SPONGES AS NATURAL ENVIRONMENTAL DNA SAMPLERS” STEFANO MARIANI et al. Current Biology VOLUME 29, ISSUE 11, PR401-R402, JUNE 03, 2019
出典:“Networks of sponges could capture DNA to track ocean health” Elizabeth Pennisi
Science 5 July 2019 Vol 365, Issue 6448 doi:10.1126/science.aay2394


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テーマ : パリ、フランス - ジャンル : 海外情報

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