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下宿人のバクテリアが磁針となって宿主の原生生物を水底に導く+南仏マントン

下宿人のバクテリアが磁針となって宿主の原生生物を水底に導く
+南仏マントン
~小っちゃな生きものが磁石に引かれてアッチへ行ったりコッチへ行ったり~

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磁石を持つバクテリアと単細胞動物ユーグレノゾア
今回のサイエンス小ネタの主役はとっても小っちゃな2種の生き物、体の中に磁石を持つバクテリア、デルタプロテオバクテリア(Deltaproteobacteria)とユーグレナ(東大発ベンチャーの健康食品でご存知の方も多いかも)の仲間の単細胞の原生生物ユーグレノゾア(Euglenozoa)です。
海岸から旧市街を望むdownsize
(南仏コートダジュールの海岸からマントン旧市街を望む)
陽光溢れる南仏の街マントン
今回主役の発見場所が南仏コートダジュールってことでコートダジュールはイタリア国境の街マントン(Menton)のフォトを添えています・
マントンの過去記事はこれです↓(クリックで飛びます)
コートダジュールではイタリアンを、マントン再訪紀続編
紺碧のコートダジュールを抜け再びの国境の街マントンへ・・
ピンクに染まるマントンの街はアラビアの香り: コートダジュール旅行紀





海を遠望するレストランの明るいテラスdownsize
(地中海を遠望するレストラン、陽光溢れるテラス)
ユーグレノゾアに磁石を近づけてみた
出典著者のCaroline L. Monteil氏らは、南仏Carry-le-Rouetの沖の地中海の海底から採取した原生生物ユーグレノゾアを水滴の中に入れて、顕微鏡で観察しながら、磁石を近づけてみました。

まるで方位磁針、一斉に上へ、下へ
N極を近づけるとユーグレノゾアは一斉に水滴の底に向かって移動し磁石から遠ざかりました。次にS極を近づけると水滴の表面に向かって移動し磁石に向かって近づいてきました。まるで方位磁針のようです。
ユーグレノゾアが磁石でアッチ行ったり、コッチ行ったり、出典のYoutube動画

昼前の静かなテラス席そよ風が子供の声を運ぶdownsize
(ランチ準備中の静かな浜辺のテラス、そよ風が子供たちの声を運んできます)
細胞膜にたくさんのバクテリアがくっついている
ユーグレノゾア(単細胞です)の細胞膜の外側にはデルタプロテオバクテリアがたくさんくっついていました。2つの微生物は共生しています。

磁石に導かれるバクテリア「走磁性細菌」
このデルタプロテオバクテリアは体(同じく単細胞です)の中にはミクロの磁石を包み込んだ(磁性体を内包する)細胞小器官、マグネトソーム(magnetosome)を持つ「走磁性細菌」で水の中に棲みます。走磁性細菌は自前の繊毛やべん毛で泳ぎますが、地球磁場に引っ張られて彼らが好む水底の貧酸素の環境に導かれるそうです。

爽やかなブルーの幾何学模様も涼しい小さな噴水downsize
(爽やかなブルーの幾何学模様も涼しい小さなアラビア風?の噴水)
宿主も一緒に磁石に引かれたり、弾かれたり
そのため宿主であるユーグレノゾアも共生しているデルタプロテオバクテリアと一緒に磁石に引きつけられたり、反発して一斉に動くようです。

真核生物の走磁性は珍しい
ユーグレノゾアは私たちヒトと同じ真核生物で、真核生物で走磁性(磁気に向かったり、遠ざかったりする)を持つ例は極めて珍しいそうです。

絶品シーフードパスタさすが国境の街REVdownsize
(絶品シーフードパスタ、さすが国境の街)
両者はwin-win、相利共生の間柄
なぜデルタプロテオバクテリアはユーグレノゾアにくっついているのか?どうやら両者は相利共生(一緒に棲むことで互いを助けwin-winの関係にある)のようなのです。

白いキャンバスの屋根がまぶしいレストランdownsize
(白いキャンバス屋根が陽にまぶしい海辺のレストラン)
岩と水素からエネルギーを得るデルタプロテオバクテリア
デルタプロテオバクテリアがユーグレノゾアに乗っかって棲む海底の泥や砂の堆積物の中は酸素が乏しい環境です。デルタプロテオバクテリアは光合成、つまり光のエネルギーで空気の二酸化炭素を水の水素で還元する、代わりに海底の岩石などに含まれる硫黄を水素で還元する、化学合成でエネルギー(プロトンポンプによるATP産生)を得ています(つまり独立栄養です)。

水素は宿主ユーグレノゾアからもらいます
でも、そのためには水素が絶えず供給される必要があります。その水素の出所は宿主ユーグレノゾアの原形質膜に付着するハイドロジェノソーム(ヒドロゲノソーム、Hydrogenosome)に似た細胞内小器官で作られる水素です(ハイドロジェノソームは私たちの細胞にあるエネルギー生産工場、ミトコンドリアに似た細胞小器官です)。

木陰の広場カフェでくつろぐ人たちdownsize
(木陰の広場カフェでくつろぐ人たち、南仏の時間はゆっくり流れます)
酸素がなければ水素を取り出してエネルギーを得る
ユーグレノゾアは、私たちが細胞のミトコンドリアの働きで糖を酸素で燃やして(酸化して)二酸化炭素と水にすることでエネルギー(ATP)を得ているように、酸素の乏しい(嫌気的な)環境で有機酸を酢酸と水素と二酸化炭素にする(これも酸化です)ことでエネルギー(ATP)を得ています。

エネルギーの生産装置プロトンポンプ
デルタプロテオバクテリアが、光合成と同じく、硫黄を水素で還元する化学合成でATPを得るのも、ユーグレノゾアが嫌気的に有機酸を水素と二酸化炭素に分解してエネルギーを得るのも、遍く生物に共通のエネルギー(生き物共通のエネルギー通貨ATP)生産装置プロトンポンプの働きです。
生き物共通のエネルギー生産装置プロトンポンプの過去記事はこれです↓(クリックで飛びます)
生きているってなぁんーだはいプロトンポンプです+晩秋のサザンカ

代わりに有機物をあげるよ
このようにデルタプロテオバクテリアは宿主ユーグレノゾアから恩恵を受けていますが、一方、宿主ユーグレノゾアはデルタプロテオバクテリアが生合成した有機物を得たり、デルタプロテオバクテリアを食べちゃうことで恩恵を受けています。2者の関係は持ちつ持たれつの関係、相利共生です。

もはや自力で泳がないデルタプロテオバクテリア
2者が相利共生である証拠に、独立栄養であるデルタプロテオバクテリアは本来繊毛を持ち、自身で動く(移動する)能力を持っていますが、ユーグレノゾアと共生するものは繊毛を失っています(繊毛の遺伝子が無い)。

両者にとって磁石の役割、意味とは?
それでは、デルタプロテオバクテリアの磁石でユーグレノゾアも磁界に反応して移動するのは彼らにとってどんな意味、利点があるのでしょうか?それはまだ分かっていないそうです。2者の共生にとって適した環境へと導くのかも知れません・・・。これからの研究成果が楽しみですね。

要は貧酸素の水底を目指したいってこと?
筑波大学小野田研究室のホームページによると「<中略>走磁性細菌は北半球で磁力線に沿って北へ泳ぎ,南半球では南に向かって泳ぐことが水底に向かうことになり水面から離れて,細菌の好む酸素が少ない還元層がある水底へと移動する」のだそうです。

出典:”Ectosymbiotic bacteria at the origin of magnetoreception in a marine protist” Caroline L. Monteil et al. Nature Microbiology (2019) DOI:https://doi.org/10.1038/s41564-019-0432-7
出典:”Hitchhiking bacteria might help their host navigate via magnetic fields Science” Helen Santoro Science 26 April 2019 Vol 364, Issue 6438 doi:10.1126/science.aax8550
出典:ウィキペディア記事「磁気走性」
出典:「走磁性細菌」筑波大学大学院数理物質科学研究科物理学専攻・小野田研究室ホームページ


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