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毒チョウがいないと擬態する無毒のチョウも毒を作りだす+春の庭の花

毒チョウがいないと擬態する無毒のチョウも毒を作りだす
+春の庭の花

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擬態する手本がいないと毒チョウになる
(擬態する手本がいないと毒チョウになる)
捕食者教育:「ド派手色模様は毒、食べるな」
毒チョウのQ(queen butterfly, ジョオウマダラ、Danaus gilippus)はオレンジと黑の鮮やかな「警告色」、ひどい味で一度食べてその毒のせいでひどい目にあった鳥(※)や捕食昆虫(カマキリなど)は二度と食べません。ちなみに毒と言っても致死的ではありません。捕食者は一度食べてヒドイ目に遭うけど生き残り、二度と食べないと学習します。(※:チョウを食べる鳥にはマヒワやホシガラスなどがいるそうです)
添えるフォトは今年の春、うちの庭に咲いてくれた花たちです





こぼれうめdownsize
(こぼれうめ:今春の庭の花)
毒チョウそっくりに化けてだます擬態
無毒のチョウV(viceroy butterflies、ヴァイスロイ、Limenitis archippus)は毒チョウQにそっくりの色模様で鳥をだます、いわゆる擬態です。毒チョウQをうっかり食べて学習した捕食者は擬態しているチョウVも食べなくなります。
毒チョウに擬態する過去記事はこれです↓(クリックで飛びます)
「毒入り」は嘘ぴょ~ん、遺伝子のドミノ倒しで作る蝶の擬態+フランスの看板

手本の毒チョウがいないと「脅し」が効かないけど
毒チョウQもこれを擬態するチョウVもフロリダ半島の山地に棲みますが、毒チョウQは半島南部だけで半島北部にはほとんどいません。一方、チョウVは半島全体に分布しています。
では、擬態する手本の毒チョウQがいない、つまり擬態しても鳥など捕食者に対して脅しの効果がない半島北部のチョウVはどうしているのでしょうか?


サクラソウdownsize
(サクラソウ)
フロリダ半島のチョウと餌植物を調べた
出典著者のKathleen L. Prudic氏らはフロリダ半島の毒チョウQとチョウVの分布と各々の毒化学物質の種類(南北でそれぞれ80匹を分析)、チョウQとVの幼虫が食べる植物の種類、毒成分、分布、またトリなど捕食動物の行動を調べました。

木瓜downsize
(木瓜)
手本がいないなら自身が毒チョウに
出典著者のPrudic氏らは、手本の毒チョウQがいないフロリダ半島北部のチョウVは自ら毒を作るようになっている(そのように進化している)ことを発見しました。

半島南北で違うローカルな進化
また、チョウQのいる南部ではチョウVは相変わらず無毒でした。つまりチョウVの毒チョウ化は「地域限定」のローカルな進化です。

水仙downsize
(水仙)
幼虫時代に毒の葉を食べ毒を貯める
でもそんなに簡単に毒を作れるようになるものだろうか?いえ、ゼロから作るのではなく、チョウVは幼虫のときに食べる毒のある植物の葉から毒を得ていることが分かりました。幼虫時代にせっせと毒を貯め、羽化すると「毒チョウV(viceroy butterflies)」になるわけです。
植物の毒戦略の過去記事はこれです↓(クリックで飛びます)
美しくも楽しい種子の本から学ぶ植物の毒戦略

チョウの分布は餌の植物次第
そもそも毒チョウQが半島北部にいない理由も北部にはその幼虫の餌になるwhite twinevine (Funastrum clausum)が生えてないからで、 チョウQも幼虫が半島南部に生えている餌植物white twinevineの毒を貯めこんで毒チョウになるそうです。

幼虫の餌植物が生えていればチョウも棲む
一方で、チョウVの幼虫の餌になる植物Carolina willow (Salix caroliniana)は半島全体に分布していて、チョウVも半島全体に分布します(北部が多いが)。しかし、毒を貯めて毒チョウになるのは、毒チョウQのいない半島北部のチョウVだけで幼虫は毒植物Carolina willowの葉も食べて毒を貯めるようになるようです。

材料があっても必要がないなら毒を貯めない
Carolina willowは半島全体に生えていて、同じく半島全体に棲むチョウVの幼虫の主な餌植物です。それでも北部のチョウVだけがCarolina willowの毒を貯めるようになったのは毒チョウQいないことに適応した進化です。たとえ材料が揃っていても毒をためて毒チョウになるのはコストがかかるのでしょう。


白梅downsize
(白梅)
食べ物が違うと毒化学物質も違う
外見はそっくりで(擬態してるから)、幼虫時代に毒を食べて毒チョウになると言う戦略も同じですが、毒チョウQと、毒チョウ化する北部のチョウVでは毒物質が異なります、幼虫時代に食べる毒植物の種類が違うからです。チョウQの毒はフェノール配糖体(phenolic glycosides)でチョウVの毒は揮発性フェノール類でした。
一見同じに見えても、チョウVは短期間に独自の種内のローカルな進化を起こして毒チョウに変身したわけです。


オオカバマダラは擬態の手本にならない
なお、フロリダ半島にはもう1種、オオカバマダラ(Danaus plexippus)という数千kmの渡りをする有名な毒チョウがいます。チョウVはオオカバマダラにも似ているのです。しかもフロリダ半島に渡って来るときオオカバマダラは南北を問わず分布します。ところが、オオカバマダラが棲むのは平地で毒チョウQやチョウVが棲む山地にはいないため、半島北部のチョウVにとっては「擬態するにも手本の毒チョウがいない」という状況は変わらないそうです。

質問:「元々毒チョウでは?」「いいえ、無毒の系統」
ところで1つ疑問が沸きませんか?「チョウVが元々毒チョウでチョウQと同じ場所に棲むようになって毒を貯めるのを止めて代わりに擬態するようになった」と考えてもこの結果は説明できるのでは?、と。それに「元々毒チョウなら初めから黒とオレンジのド派手な体色で擬態も簡単だった」とも。でもチョウVの系統の他のチョウの研究から元々もチョウVは無毒のチョウの系統だったそうです。


出典:”Mimicry in viceroy butterflies is dependent on abundance of the model queen butterfly” Kathleen L. Prudic et al. Nature Communications Biology vol.2, Article number 68 (2019)
出典:”Tasty butterflies turn sour without toxic wingmen” Jake Buehler Science 8 March 2019 Vol 363, Issue 6431

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テーマ : パリ、フランス - ジャンル : 海外情報

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