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生きているってなぁんーだ、はい、プロトンポンプです+晩秋のサザンカ

生きているってなぁんーだ、はい、プロトンポンプです
+晩秋のサザンカ
~「生命とは何か?」ではなく「生きているとはどういうことか?」~

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庭のサザンカその1downsize
(今年もサザンカが我が庭の秋を彩ってくれました)
晩秋のサザンカ
マニアックなのにちょっと長いサイエンス小ネタですみません。添えているのは今秋我が庭を飾ってくれたサザンカです、何の関係もないのですけど。




使えるエネルギーは酸化還元電位だけ
(使えるエネルギーは酸化還元電位だけ、それがエネルギー共通通貨ATPを作る)
「生命とは何か?」は永遠のロマン
生命とは何か?生命の起源とは?いつどこでどんな風に生命は生まれたの?地球外生命体ってどんなものなの?などなど、科学者でなくても多くの人の興味を惹きます。でもその答えはなかなか容易ではありません。

プロトンの流れでATPを製造
(プロトン(H+)の流れでエネルギー通貨ATPを製造する;プロトンポンプ)
じゃ、代わりに「生きてるってなん~だ!」
出典著者のNick Lane氏は生命とは何かと問う代わりに「生きてるってな~んだ?」を考えようと言うもので、この方が実感も湧いて考えやすいですね。

Lane氏曰く「はい、プロトンポンプです」
著者Lane氏は「生きてるとは?プロトンポンプだ」って言うのですが、「なんのこっちゃ」ですね。

何をするにしても生きているにはエネルギーが要る
(何をするにしても生きているにはエネルギーが要る)
さて、「生きている」とは何でしょう?
1.息をしてる(酸素呼吸)こと?→いえ、呼吸器を持たない動物はたくさんいますし、酸素呼吸しないバクテリアもたくさんいます。
2.じゃ、食べること?→いえ、植物は餌を食べません。
3.繁殖して子孫を残すこと?→はい、形は様々ながら生き物はすべて繫殖活動を行います。
4.だから遺伝子DNA(RNA)を持ってること?→はい、でもそれだけでは「生きてる」とは言えません、感染前のウイルスや休眠状態の芽胞はDNAを持っていても生命活動を行っていません。


庭のサザンカその2REV
(サザンカその2)
「ハウツー細胞の作り方」を僭越ながらザックリと・・
そこで出典著者のLane氏はすべての生き物に共通する「生きてること」に必須の生体細胞の6つの働き、あるいは、状態を「細胞の作り方」として挙げています。
これを(僭越ながら私、Levalloisbeeが)生き物の形や働きや営みでザックリ括り直してみると・・・
イ) 環境から材料を取り込み有機物を作り出して老廃物を環境に排出します:代謝ですね
ロ) 膜(細胞膜)で仕切って中と外を分けて物を貯めこみ出し入れします
ハ) 増える、増殖する:同じものの数が増えます
ニ) 遺伝子DNA(RNA)で子孫に情報を伝えます:似た者が生まれます


それって全部、自由エネルギーが要るじゃん!
すると、そのいずれもが絶え間ない自由エネルギーの供給を必要とします。自由エネルギーとはその名のごとく、動く、温める、光る、化学反応を起こすなどエネルギーが要ること何にでもに使えるエネルギーでもちろん生きているためにも使います。

庭のサザンカその3downsize
(サザンカその3)
自由エネルギーの流れが生き物の活動を支える
生き物が生きている、いや、生きていられるのは、常に外から(環境から)のエネルギーの流れがあるからで、ヒトなど動物なら食べ物から、植物なら太陽光からエネルギーを得ています。
生き物の活動;動き回ったり、成長したり、繁殖したり、考えたりするのにもエネルギーとエネルギーを使って作った材料:タンパク質、DNA、糖や脂質などの生体物質が必要です。


庭のサザンカその4downsize
(サザンカその4)
昔も今も生き物のエネルギー通貨ATP
もう1つの出典の著者、佐藤健氏によれば、すべての生き物、細胞の働きにはエネルギーが要ります。エネルギー代謝が生きている必要条件です。すべての生き物に共通のエネルギーはATP(アデノシン三リン酸)、正確にはATP分子の高エネルギーリン酸結合部分です。ATPは生き物の「エネルギー通貨」です。

1日に自分の体重ほどのATPが作られる
筋肉を動かすなど運動だけではなく、体の材料づくりにもエネルギーは必要でATPが使われ、核酸の生合成で塩基1つをつなげるのにATPは2個、タンパク質の生合成でアミノ酸1つつなげるのにATPは4個使われます。ヒトでは1日にほぼ自分の体重ほどのATPが作られる=使われます。

ハウツーメイクATP;エネルギーの内、酸化還元電位しか使わない
著者佐藤健氏によれば、生き物がATPを得る方法はたった3種類しかなく、「呼吸(細胞呼吸)」「光合成」「発酵」です。自然界には、火山の熱、雷の電気、風や波の力、音など様々なエネルギーがあります(再生可能エネルギーの種類を思い浮かべてみてください)。ところが生き物が利用できるエネルギーはたった一種類、酸化還元電位(レドックスポテンシャル)しかありません。呼吸も光合成も発酵も酸化還元反応(燃えたり、錆びたり、酸化されたり)でそのエネルギーをATP(の分子内高エネルギー結合)に変えています。

酸化と還元はコインの裏表
酸化と還元はコインの裏表のように対で起こります。好気的な(酸素で酸化する)細胞呼吸(吸って吐く息ではなく細胞が糖類などを燃やすこと)では糖のグルコース1分子を燃やす(酸化する)ことで30個のATPが作られます、これは糖が酸化されると同時に酸素が還元される酸化還元反応です。

呼吸でも光合成でもプロトン(H+)が出来る
呼吸で糖を燃やす=酸化する=電子を奪う→その電子を酸素に渡す=酸素が還元されるとき、同時にプロトン(H+)(水素原子から電子(e-)が奪われたもの)が出来ます。これは光合成でも同じで太陽光エネルギーを使って二酸化炭素を還元し、対として水が酸化されプロトン(H+)が出来ます。残った酸素は老廃物です。

生体膜は水を通してもイオンは通さない
すべての生命の細胞(多分35億年前も)やその中の装置(細胞器官)をあまねく包んでいる生体膜は「脂質二重膜」で水は通しますが、イオンについては一番小さいプロトン(H+)さえ通しません。

膜の片側にプロトン(H+)が貯まる
呼吸(細胞呼吸)は細胞内のミトコンドリアが行いますが、呼吸が進むとその膜の片側にプロトン(H+)がどんどん貯まっていきます。光合成も同じで葉緑体の膜の片側にプロトン(H+)が貯まります

水車のエネルギー造幣局、FOF1ATP合成酵素
ミトコンドリアや葉緑体の膜(生体膜)にはエネルギー通貨ATP作る装置、FOF1ATP合成酵素が埋まっています。この酵素にはプロトン(H+)が流れ込む穴(FO)がありそこから勢いよくプロトン(H+)が流れ込むとその流れで回る水車の装置(F1)が働きATPを作り出します。ダムの放流で駆動する発電機みたいなもの、そしてダム壁のようにエネルギー通貨ATPを作るには膜、生体膜が必要なのです。

自由エネルギーがないと生命、細胞は動かない
著者Lane氏によれば、このようなプロトン(H+)の流れ=「プロトンポンプ」でエネルギーを得ていることこそ「生きている」ことだそうです

自由エネルギーを作る=「生きてるって」=プロトンポンプ
生き物の代謝は突き詰めれば二酸化炭素と水素から有機物と水を作ることですが、これには自由エネルギーが必要です。その自由エネルギーを細胞(生命)が手に入れる唯一の術が「プロトンポンプ」なのです。

出典: 「生命、エネルギー、進化」 ”Why is Life the Way it is?” 2015年 Nick Lane氏著、斉藤隆央氏訳 (2016年 みすず書房)
出典:「進化には生体膜が必要だった-膜がもたらした生物進化の奇跡-」2018年 佐藤健氏著(しょう(Wordの辞書に無い)華房)


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コメント

Re: 初めまして

ミトラ様、コメントありがとうございます。生命とは何か?を、生きてるって何だ?と読み替える原典著者の発想が面白くて記事にしました。サイエンスも「命」を対象とすると哲学的になるのかも知れませんね。

初めまして

「膜電位」で検索してここへ辿り着きました。大変興味深い内容でした。
僕はヘッケル派の生物学とユング派の神話学を両輪として神秘主義的思索をしております。
今後も時々閲覧させて頂きます。
宜しくお願いします。
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