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「寄生する奴に寄生する」虫こぶを占拠するツル植物+ブルターニュの海賊砦サン・マロ

「寄生する奴に寄生する」虫こぶを占拠するツル植物+ブルターニュの海賊砦サン・マロ
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寄生する奴に寄生するツル植物
(寄生する奴に寄生するツル植物)
「他人に寄生する奴に寄生する上手」
・・・がいる、と言うサイエンス小ネタです。




往年のサンマロ城今は市庁舎downsize
(往年のサン・マロ城も今は市庁舎です)
海賊の根城ブルターニュのサン・マロ
他人の上前をはねる、つながりで昔海賊コルセール(corsair、コルセアですね)の根城だったサン・マロ(Saint-Malo)のフォトを添えます(まだご紹介していないフォトも)。
サン・マロの過去記事はこれです↓(クリックで飛びます)
海賊砦サンマロ、パイレーツ・オブ・ブルターニュの”兵どもが夢の跡”

つるで巻きつき根を伸ばして養分を横取り
今回の主役、love vine (Cassytha filiformis)はクスノキ科のスナヅルの代表的な1種(タイプ種)でアメリカ、インド・東南アジア、オーストラリア、ポリネシア、熱帯アフリカに広く分布します。

レストランの朝REVdownsize
(レストランの朝、サン・マロ城郭内にあります)
スナヅルは自らも光合成する半寄生
スナヅルは寄生性のつる植物で、自ら光合成をしますが、根に似た「吸根(haustorium)」で宿主植物の維管束から養分を横取りして育ちます(半寄生)。小さな白い花を咲かせ丸い実が生ります。

城壁散歩で見下ろすレストランdownsize
(城壁散歩で見下ろすレストラン、ジオラマみたい)
スズメバチの「賄いつき下宿」虫こぶ
寄生スズメバチ(cynipid wasp)は群れを作らずオークなどの植物に虫こぶを作らせ幼虫は宿主植物から栄養を得て育ちます。虫こぶはハチにとってはシェルターであり「賄いつき下宿」です。

植物をホルモンで操り虫こぶを作らせる
寄生スズメバチはホルモン様物質を出し植物を操り、虫こぶを作らせますが、一方、宿主の植物にとって虫こぶは「がん」のようなものです。

黄昏時の石畳の広場REVdownsize
(黄昏時の石畳の広場、レストランに灯が入る)
「寄生者に寄生している」スナヅルを見つけた
今回、出典著者のScott P. Egan氏らはフロリダのオークなどに寄生しているスズメバチの虫こぶにスナヅルC.filiformis (love vine)が寄生している、つまり「寄生者に寄生している」ことを見つけました。
他人の上前をはねる動物の過去記事はこれです↓(クリックで飛びます)
喰っている奴を喰うウミウシは生態系にも優しい+石垣の海のウミウシたち

2000個の虫こぶを調べてみた
出典著者のEgan氏らは2000個もの寄生スズメバチBelonocnema treataeの虫こぶを調べ、やっと58個にスナヅルC.filiformisの寄生を確認しました(約3%、なかなか分からなかった訳です)。

大砲が狙う先にはのんびり海水プールdownsize
(大砲が狙う先にはのんびりと海水プールが)
スナヅルが寄生した虫こぶのスズメバチはミイラに
スナヅルC.filiformisに吸根を差し込まれた虫こぶでは中の寄生スズメバチB. treataeの約半数(45%)がミイラ化し死んでいました。。一方、スナヅルつるが付いていない虫こぶ内のスズメバチの死亡率は2%未満でした。虫こぶの栄養をスナヅルが吸い取りスズメバチは栄養源を絶たれたためでしょう。

たまたま虫こぶに行き着いたんじゃないの?
でも、「スナヅルがつるを伸ばして行き着いた先がたまたま虫こぶだったのでは?」と言う疑問がすぐにわきませんか?

海賊船?が舫っていましたdownsize
(海賊船?が舫っていました)
ポイント①虫こぶは葉の裏に出来る
今回スナヅルC.filiformisが主に寄生(吸根を伸ばす)していたのは寄生スズメバチB. treataeで宿主植物のオークQuercus geminataの葉の裏(下側)に丸いボール状の虫こぶを作らせ、その中で育ちます。

ポイント②スナヅルは葉の裏には吸根を伸ばさない
出典著者のEgan氏らが改めてスナヅルC.filiformisの寄生箇所;吸根が宿主植物のどこに付いているか?を調べてみると、宿主の新しい幹(40%)、つぼみ(10%)、葉柄(9.5%)、葉先(27%)、葉の縁(12%)とスナヅル自身(1.5%)で、葉の裏は1例もありませんでした。

スナヅルはわざわざ虫こぶを選んでいる
このように①スズメバチの虫こぶはオークの葉の裏にある、②スナヅルは通常つるを(養分を吸うべき維管束がない)葉の裏には伸ばさないので、スナヅルはわざわざ虫こぶを選んでいると言えます。

サン・ヴァンサン大聖堂downsize
(サン・ヴァンサン大聖堂、城郭内のランドマークです)
虫こぶをスナヅルの吸根が占拠
スナヅルC.filiformisは寄生スズメバチB.treataeの虫こぶの外皮を破って1本から4本の吸根を差し入れていて虫こぶの内部はすっかり吸根に置き換わっていました。そして中のスズメバチはミイラ化。


栄養分を奪われスズメバチは餓死
スナヅルは虫こぶを探し出し、つるを伸ばし、吸根を虫こぶに差し込んで栄養分を吸い取ってしまう、結果、スズメバチは中で飢え死にする、と考えられます。

フシギ①虫こぶを大きさで選んで寄生
一つふしぎなことは、スナヅルC.filiformisが寄生した虫こぶは、寄生されていない虫こぶと明らかに大きさが違うことです。寄生スズメバチB.treataeの虫こぶなら寄生された方が大きく、逆にCallirhytis quercusbatatoidesでは寄生された方が小さかったことです。

フシギ②宿主オークにとってはどうなのよ
それに宿主であるオークにスナヅルが虫こぶに寄生することがどんな影響を与えているのか(いないのか)はまだ不明です。


「寄生に寄生する」例はまだまだあるかも?
寄生を介しての生き物の食物網に植物でも「寄生に寄生する」新しいタイプが見つかったわけですが(虫こぶの住人を攻撃する虫の先例はある)、現在地球上には寄生植物は4,500種以上、虫こぶを作らせる寄生昆虫は13,000種いるそうで、このような例はまだありそうだと出典著者らは考えているようです。これからまだまだ研究することがありそうですね。

出典:“Botanical parasitism of an insect by a parasitic plant” Scott P. Egan et al. Current Biology 28, R847–R870, August 20, 2018 doi.org/10.1016/j.cub.2018.06.024.
出典:”This parasitic love vine is sucking the life out of freeloading wasps” David Shultz Science 17 August 2018 Vol 361, Issue 6403 doi:10.1126/science.aav1787
出典:ウィキペディア記事「スナヅル属」”Love vine”


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