オオカバマダラ蝶は鱗粉が作る渦で4千kmを渡る+パリ郊外原っぱのヒコーキたち

オオカバマダラ蝶は鱗粉が作る渦で4千kmを渡る+パリ郊外原っぱのヒコーキたち
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渦輪でチョウは上へ前へ飛ぶ
(鱗粉が作る「渦輪」でチョウは上へ、前へと飛ぶそうです)
小っちゃなオオカバマダラ、4千kmの省エネ飛行
北米と南米の間、4千km以上の距離を渡るチョウ、オオカバマダラ(大樺斑、monarch butterfly、Danaus plexippus)は有名ですね。他のチョウに比べてゆっくり羽ばたき、また、気流に乗る超省エネ飛行を行えるからこそなせる技です。スゴイですね!そのヒミツが渦らしいって言うサイエンス小ネタです。




パラソル機発進REVdownsize
(パラソル機発進; パリ郊外、La Ferte Alaisエアショーにて)
「飾りじゃないのよ♪」チョウの鱗粉は、「ハッ、ハー♪♪」
ではその省エネ飛翔を支えるものはなんだろう?彼らの華麗な色彩の鱗粉であるようです。え、鱗粉って警戒色や保護色を創り出すのが役割じゃないの?そうなんですが、彼らの省エネ渡り飛行にも大いに貢献しているようです。なお、鱗粉は保温にも役立っているそうです。鱗粉スゴイ!
チョウの擬態の過去記事はこれです↓(クリックで飛びます)
「毒入り」は嘘ぴょ~ん、遺伝子のドミノ倒しで作る蝶の擬態+フランスの看板
La Ferte Alais 2017
(La Ferte Alais 2017のポスターを拝借、やっぱりステキだなぁ)
栄光の残り香、パリ郊外のビンテージ・フライト
チョウチョ→飛ぶもの→ヒコーキ→・・ってことで、パリ郊外の草っぱら飛行場、La Ferte Alaisのエアショーのフォトを添えます。今年もエアショーは元気、上はそのポスターです、また行ってみたいです。
La Ferte Alaisのエアショーの過去記事はこれです↓(クリックで飛びます。
1年生が乗ります練習機は安心安定のデザインでなきゃT-6テキサン
金色の蛾が作るトモダチの輪: Ferete Alaisエアショー その2
パリ郊外草っぱらのエアショーはの~んびり: Ferete Alaisエアショー その1

鱗粉の渦で4千kmを渡るチョウ
(鱗粉の渦で4千kmを渡るチョウ、オオカバマダラ)
チョウは空気の渦に押されて飛ぶ
さて本題です。オオカバマダラに限らずチョウは羽ばたきで飛びます。翅を打ち下ろすときに飛ぶ力;揚力を得て、振り下ろすときに進む力;推進力を得ています。でもどうやって?→空気の渦が上に、または、前にチョウの体を押してくれるからです。
シルバードープの複葉機downsize
(シルバードープが美しい複葉機)
薄い板が動くと前縁渦が生まれる
薄い板状の物がナナメに(迎え角を持って)、川に流れのような流体中を動くとその前縁には「前縁渦(leading edge vortex(LEV))」と言う渦が生じます。チョウの翅は薄い板なので羽ばたくと翅の前縁に前縁渦が生まれ、その渦は翅の根元から先端へと移って行きます(「うん?」と言う方はお風呂の中で空手をやってみてください)。
前縁渦が渦輪になる
(前縁渦が渦輪になり「作用・反作用の法則」で渦輪が羽や翅を押す)
前縁渦がドーナツ状の渦輪になると推進力に
こうして次々移動する前縁渦はチョウ”本人”を離れると閉じたドーナツ状の渦輪(vortex ring)になり、その渦輪の各渦の回転方向が揃っているので一定方向(下とか、後ろとか)に離れてゆきます。


翅を振り下ろすと上へ、振り上げると前へ
チョウが翅を振り下ろすとき渦輪は「下へ」、翅を振り上げるとき渦輪は「後ろへ」と動き、「作用反作用の法則」に従って渦を作ったチョウ"本人”は「上へ」、または、「前へ」と押されます。
結果、チョウは「上→前→上→前」と階段状に飛びます(私にはなかなか実感できないんですけど)。

赤い複葉機downsize
(赤い複葉機、金色ストライプがステキ)
渦輪作りに鱗粉は役立ってるのか?
この渦輪作りに鱗粉がどのように働くかを調べるため、出典著者のAmy W. Lang氏らはオオカバマダラの鱗粉をはぎ取ってみました。

鱗粉なしだとヨロヨロ、鱗粉の霊験はあらたか
すると鱗粉なし丸裸のオオカバマダラ(ラップで作ったバチモンにしか見えません)は必死に10倍ほど羽ばたいてもヨロヨロ、ユラユラと辛うじて飛ぶだけでした。鱗粉の霊験はあらたかなようです。
お仏蘭西海軍のコルセアREVdownsize
(お仏蘭西海軍のコルセア、蛇の目に錨がチャームポイント)
0.1mmの渦発生器、鱗粉
わずか0.1mmのチョウの鱗粉はスレートぶき屋根の瓦のように規則的に重なっていて細かな渦を生み出しこれがたくさん合わさって前縁渦を効率よく作り出し、チョウの羽ばたき飛行特性を高めているそうです。ヒコーキや新幹線のvortex generatorはこの原理のbio-mimeticsですね。

22台のカメラでオオカバマダラを246テイク
Lang氏らは11羽のオオカバマダラを246回も飛ばし、これを22台の高速カメラで撮ったビデオを解析し、鱗粉の働きを明らかにしたのだそうですが、飛ばされるチョウも撮って解析する人も大変ですね。
パラソル機を運ぶボランティアREVdownsize
(パラソル機を運ぶボランティア、とても楽しそう)
鱗粉は約40%上昇効率を高めている
そんな「汗の結晶」解析の結果は?→、鱗粉は、例えば、チョウが上昇する効率を37.8%高めているそうです。代を重ねての4千kmもの渡りをするオオカバマダラの省エネ飛行に鱗粉はとても大切な働きをしているようです。つまりは鱗粉はミクロの渦発生機vortex generatorなんです。

サカナだって前縁渦で泳ぎます
ところで、前縁渦を運動に利用しているのは空中を羽ばたくトリやチョウだけではありません。水中を泳ぐサカナは尾鰭の振りが作る渦輪が後ろに動く「作用反作用」で前進します(これは「うちわであおいで風を起こす」ことで実感できそうです)。
Morane Saulnier MS406 downsize
(Morane Saulnier MS406 バトル・オブ・フランスでは亡命ポーランド飛行隊がこれで善戦しましたが)
トリとヒコーキは飛び方が違う
空飛ぶ鳥たちを見て僕たちも飛びたい!と飛行機が発明されたんじゃないかと思いますが、鳥の翼と飛行機の翼とは構造も飛ぶ(揚力を得る)原理もまったく同じと言う訳ではありません。

鳥人の先達も羽ばたいたけど・・
鳥、蝶など飛ぶ昆虫は羽ばたきますが、飛行機は羽ばたきません、確かに初期には「羽ばたき飛行機(オーニソプター、ornithopter)」なるものに江戸時代、18世紀にチャレンジした先人もいましたし、今では鳥ロボットなもありますが。


トリさんの巡航はソアリング、空中機動は羽ばたき
主に滑翔(ソアリング)を行うアホウドリなどの翼の断面は飛行機のそれと同じくかまぼこ型で前に進むことで(ベルヌーイの定理に従い)揚力を得ていますが、小回りの利く羽ばたく小鳥の翼の断面は対称形でまっすぐ進んでも揚力は得られません。羽ばたきが揚力を生むようです。


ヒコーキも渦を利用する
“羽ばたけない“ヒコーキの場合、わざと渦を発生させて飛行特性を高める小技は種々ありましてスラット、ウィングレット、ドッグツース、境界板、ヴォーテックスジェネレーター、leading-edge root extension (LERX)などなどです。いずれもわざと後押ししてくれる渦を発生させることで空力特性、ひいては燃費や離着陸性能を改善しているのです(ライサンダー、ハンター、F-17、各種エアライナーなどなど)。

羽ばたき渦は飛行ロボット、省エネ設計に役立つかも
チョウや小鳥の羽ばたきはとても小回りの利く飛行術です。出典著者の藤川太郎氏は羽ばたいて飛ぶチョウ・ロボットを試作しています。
初の羽ばたき飛行機は15世紀、天才レオナルド・ダ・ヴィンチの作まで遡ります。今では優れたハイテク機材もあり鳥型飛行ロボットもFESTO社のSmartBirdなど国内外で開発されています。
このような研究が将来、災害現場で活躍する飛行ロボットや飛行機や車の省エネ設計につながるかも知れませんね。


今回は出典が多いですが、出典先のURLはリンクを貼っていませんのでコピペでご訪問ください
出典:“Scaly wings help these butterflies soar” Elizabeth Pennisi Jan. 5, 2017 , Science Vol 355, Issue 6328 (3 March 2017)
http://www.sciencemag.org/news/2017/01/scaly-wings-help-these-butterflies-soar?utm_campaign=news_weekly_2017-01-06&et_rid=208065204&et_cid=1091242
出典:” The Aerodynamic Benefit of Butterfly Scales” Amy W. Lang et al. Society for Integrative and Comparative Biology 2017 Annual Meeting (2-6 Jan 2017)
http://sicb.org/meetings/2017/schedule/abstractdetails.php?id=427
出典:「生物の飛翔・遊泳時に発生する渦とその反作用の力」 ”Vortex rings and the reaction forces occurring at flight or swimming occasion concerning creatures” 工学院大学教授 伊藤慎一郎氏、数理解析研究所講究録 第1900巻P.26 (2014年)
http://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/~kyodo/kokyuroku/contents/pdf/1900-03.pdf
出典:「蝶に学ぶ小型羽ばたきロボットの開発」東京電機大学 助教 藤川太郎氏 自然に学ぶ研究事例 第130回 (積水化学工業㈱ウェブ)
http://www.sekisui.co.jp/csr/contribution/nextgen/bio_mimetics/1263475_27856.html
出典:「ペンギンが教えてくれた物理のはなし」 2014年 渡辺佑基氏著(河出ブックス)/第五章「飛ぶ」P.221-223「前縁渦という不思議な渦」
出典:ウキペディア記事「オオカバマダラ」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%82%AA%E3%82%AB%E3%83%90%E3%83%9E%E3%83%80%E3%83%A9
出典:SmartBird(FESTO社)(ビデオがあります)
https://www.festo.com/group/en/cms/10238.htm#id_11437
出典:「鳥型羽ばたき飛行系ロボティックス」 大竹博氏 日本ロボット学会誌 vol.34 No.1 P.14 (2016年)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jrsj/34/1/34_34_14/_pdf
出典:UA News (アラバマ大のウェブ記事) “UA Researchers Look to Butterflies to Improve Flight” (Oct 23, 2013)
http://uanews.ua.edu/2013/10/ua-researchers-look-to-butterflies-to-improve-flight/


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コメント

Re: こんにちは

コメントありがとうございます。すみません、苦手な鱗粉を記事にしてしまいまして。私もこの出典と読むまでは鱗粉が省エネ飛行に役立ってるなんて知りませんでした。lakmeさんがおっしゃるように確かにメキシコ湾のハリケーンなどに遭ったら大変でしょうね。それでも何羽かは生き残り、また、4千kmを超えてゆくんでしょうね。やはり生き物はすごいです。

> 鱗粉が気持ち悪くて、蝶々が苦手なのですが、そんな重要な役目を果たしているとは知りませんでした。小さな蝶が遠くまで旅をするって本当にすごいですよね。なるほど、省エネ飛翔だったわけですね。でも、大嵐にあったらどうするんでしょう?動物たちって偉大です。

こんにちは

鱗粉が気持ち悪くて、蝶々が苦手なのですが、そんな重要な役目を果たしているとは知りませんでした。小さな蝶が遠くまで旅をするって本当にすごいですよね。なるほど、省エネ飛翔だったわけですね。でも、大嵐にあったらどうするんでしょう?動物たちって偉大です。
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