4つの性の小鳥は自分と違う者に惹かれる+パリのサンマルタン運河(再)

4つの性の小鳥は自分と違う者に惹かれる+パリのサンマルタン運河
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ノドジロシトドの4つの性
(ノドジロシトドが4つの性を持つわけとは?)
4つの性を持つ小鳥、ノドジロシトド
ノドジロシトド(White-throated sparrow、Zonotrichia albicollis)はスズメ目ホオジロ科の北米に棲む美しくかわいい小鳥ですが、なんと4つの性を持つそうです。[もともとの性が雄か、雌か]×[顔の模様が白か、黄色か]=で、4つ。




パリの生活のそばにあるサンマルタン運河第2閘門downsize
(パリの生活のそばにあるサンマルタン運河、ここは第2番目の閘門)
パリ、サンマルタン運河は素敵な散歩道
パリ19区、10区と流れるサンマルタン運河(Canal Saint Martin)は閘門が連なる印象的な散歩道です。初夏、晩秋と何度か訪れたときの写真のストックを添えます。
サンマルタン運河の過去記事はこれです↓(クリックで飛びます)
散歩が楽しいサンマルタン運河の四季

新緑の木陰の下の閘門の太鼓橋downsize
(新緑の木陰の下の閘門の太鼓橋)
自分と違う相手に惹かれる、白は黄色に黄色は白に
ノドジロシトドには目の後ろから白か黄色で一筆描いたようなおしゃれな模様があります。フツウはヒトだけじゃなく多くの動物の性は2つ(オトコとオンナ)ですが、ノドジロシトドは白の雄は黄色の雌としか番わない(雌も同じ)、そして黄色の雄は白の雌としか番わない(再び雌も同じ)のです。白は黄色と、黄色は白と、違う色としか番わないので番い方が4通りとなり、4つの性があるように見えるのです。

「道徳はボクの辞書にはありませ~ん」チョウ軽~い白系クン
白か黄色かって単に外見じゃん、・・・ではなくて、黄色系は一生2羽で添い遂げ、黄色の雄は育メンパパでもあり、浮気はしない“ストイック”なトリさんですが、一方、白色系は、浮気はするわ、乱婚だわ、雄は育児には無関心、縄張り意識が強く、歌が上手で、喧嘩好き「道徳と言う言葉はボクの辞書にはありませ~ん」みたいな“チョウ軽~い”トリさんです。

晩秋第2の閘門橋から運河を望むdownsize
(晩秋第2の閘門橋から運河を望む)
外見と行動がセットで遺伝するフシギな超遺伝子
なんで「黄色=ストイック、白色=遊び人」なのかそれ、は外見を決める遺伝子と行動を決める遺伝子がセットで子孫に伝わる超遺伝子(supergene)のイタズラです。

閘門の欄干で休むカモメさんたちdownsize
(閘門の欄干で休むカモメさんたち)
遺伝子がひっくり返る(逆位)と「超遺伝子」になる
染色体のDNA鎖がある範囲にわたって逆向きにひっくり返ることを逆位(染色体逆位、Chromosomal inversion)と言います。その逆位が染色体上の大きな範囲で起こると、その部分の遺伝子の働きはわりませんが、生殖の際に組み換えが起こらず、いくつもの遺伝子がワンセットでまとまって子孫に伝わるため、あたかも大きな1つの遺伝子のようにみえるので超遺伝子(supergene)と呼ばれます。

「恋のから騒ぎ」も超遺伝子のイタズラ
この逆位による超遺伝子は以前ご紹介した、三つ巴の恋のから騒ぎを演じるエリマキシギの3つのタイプの雄を生み出すのと同じ仕組みです。
エリマキシギ恋のから騒ぎの過去記事です↓(クリックで飛びます)
エリマキシギの三つ巴の恋のから騒ぎを操る超遺伝子 アルザスのかわいい街コルマー

逆位ha変異蓄積
(逆位は変異が蓄積する超遺伝子)
遺伝子をシャッフルしないと滅んじゃうよ
なんで面倒くさい“恋”までして有性生殖をするかと言うと、テキトウに遺伝子組み換えをして遺伝情報をシャッフルしないと、不都合な突然変異が種の中に蓄積して、やがては絶滅してしまうからです。
有性生殖では必ず「遺伝子組み換え」が起こりシャッフルされます。分裂で殖える単細胞生物も接合などでときどきは遺伝子交換してシャッフルしてます。


シャッフルしないと体色も行動もどんどん変わっちゃう
白色系のノドジロシトドの第2染色体では大きな部分で何回もの逆位が起こってもはや組み換えが起こらない(従ってシャッフルも起こらない)超遺伝子になり急速に変異が蓄積し、体色や行動の変化をもたらしたようです。

「白なら遊び人」がワンセットで遺伝する
超遺伝子ではたくさんの遺伝子がワンセットで受け継がれるため「白なら遊び人」、「黄色は貞操」の組み合わせが固定され、更に「色が違う=行動が違う」もの同士しか番わないため「4つの性」があるような振る舞いになると考えられるそうです。

これがノドジロシトドです出典原典掲載downsize
(これがノドジロシトドです(出典原典掲載))
進化を見つめる研究に生涯を捧げた研究者夫妻
今回の出典著者で「この子たちは今まさに進化が現在進行形なのかも知れない!」とノドジロシトドに惹かれ、生涯をその研究に捧げた研究者夫妻がRusty A. Gonser氏とElaina M. Tuttle氏です。
残念ながら奥様のTuttle氏の方は長年の研究成果が論文になるのを見届けるように昨年(2016年)わずか52才の若さでがんのため他界されてしまったのですが。


想いの相手に出会える確率が低すぎる
でも4つも性があると自分に合った番える異性は出会う同じ種の4羽に1羽、25%になってしまいます(2つの性なら50%なのに)。これは繁殖にとって不利なのでやがてノドジロシトドの第2の性は進化上淘汰されて消えてゆくだろう、と予測されるそうです。

超遺伝子が相同じゃない性染色体を生んだ
染色体は同じもの2本がペア(相同染色体)、でも性染色体だけはXY、WZと違う組合せです。逆位→超遺伝子→組み換えができない染色体の組み合わせ→それぞれ勝手に変異し進化→やがて片方だけが雌雄を決める遺伝子を担い、相同ではない組合せの性染色体(哺乳類ならXとY、鳥類ならWとZ)に進化したと考えられています。


「白と黄色」のノドジロシトドは性染色体進化の再現か?
現在進行形のノドジロシトドの黄色系/白色系の第2の性の進化は、太古に起こったXYやWZの進化を再現しているのではないか?と注目されるわけです。

性染色体は「進化のゆきがかり」
私たちがXY染色体を持つのは「当然、当たり前」ではなく進化上「それなりのいきさつ」があるはずです。自然界を見渡すと、性染色体がなくても雌雄が決まる爬虫類や、環境次第、あるいは、年齢で雌雄が入れ替わる魚類など、性を決めるのに必ずしも性染色体は必要ではない動物も多いのです。もっとも7つも性を持つ単細胞生物テトラヒメナなんてのもいますけど・・・。

(出典先URLはリンク貼っていませんのでコピペして訪問してください)
出典:「4つの性がある小鳥」Carrie Arnold氏執筆、natureダイジェスト2017年2月号(Vol.14 No.2) P.23
出典:”Divergence and Functional Degradation of a Sex Chromosome-like Supergene” Elaina M. Tuttle, Alan O. Bergland, Marisa L. Korody, Wesley C. Warren, Rusty A. Gonser, Christopher N. Balakrishnan et al. Current Biology vol. 26, P.344–350, (2016)
http://www.cell.com/current-biology/pdf/S0960-9822(15)01562-6.pdf
出典:ウキペディア記事”White-throated sparrow” https://en.wikipedia.org/wiki/White-throated_sparrow


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コメント

Re: すごいですね

lakmeさま、コメントありがとうございます。おっしゃる通り、確かに深いですよね、ワンちゃん、動物たちに限らずパートナーを選ぶ動機は。この科学記事に惹かれたのはちょっとした遺伝子のイタズラが動物たちの恋模様をこんなにも面白くするんだってことでした。ヒトも自分にないものに惹かれるのかなぁ?とも思いました。それにしてもプレイエルちゃんは外見と言い行動と言いとてもかわいくて素敵ですね。

> すごいですね。黄色は白に、白は黄色に。まるで、金髪と黒髪とか、白人と黒人とか、外見で判断しているような気もしますけれど、しっかり遺伝子上、こういうシステムなんですね。ということは、黄色い子を白く塗っても、ちゃんと白いお相手が見つかるんでしょうね。そういえばですが、うちのボーダーコリーを飼う前に、イングリッシュ・コッカースパニエルにしようか迷ったんです。この種類は銅のように輝く茶色、真っ黒、茶色と白、黒と白の4種類の毛並があるんですが、何千?何万?匹に一匹だかの、突然襲い掛かる遺伝子は、茶色単色の子に圧倒的に多いそうです。茶色単色が良かった私は、この症状(原因不明で予知も不可)が気になって、この犬種はやめました。動物の世界では、毛の色や外観と性格等が深くかかわっているのでしょうか。

すごいですね

すごいですね。黄色は白に、白は黄色に。まるで、金髪と黒髪とか、白人と黒人とか、外見で判断しているような気もしますけれど、しっかり遺伝子上、こういうシステムなんですね。ということは、黄色い子を白く塗っても、ちゃんと白いお相手が見つかるんでしょうね。そういえばですが、うちのボーダーコリーを飼う前に、イングリッシュ・コッカースパニエルにしようか迷ったんです。この種類は銅のように輝く茶色、真っ黒、茶色と白、黒と白の4種類の毛並があるんですが、何千?何万?匹に一匹だかの、突然襲い掛かる遺伝子は、茶色単色の子に圧倒的に多いそうです。茶色単色が良かった私は、この症状(原因不明で予知も不可)が気になって、この犬種はやめました。動物の世界では、毛の色や外観と性格等が深くかかわっているのでしょうか。
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