海草がサンゴの海を有毒微生物から守っている+サンゴ礁の魚たち

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リーフの海草が海を守る
(リーフの海草が海を守る)
海草が有害微生物を減らすらしい
海草(seagrass)は、海藻ではなく、海の中の生える草です。
アマモなどの海草が海の水を浄化してくれることは良く知られていますが、今回サンゴ礁の有毒微生物を減らす働きが見つかったそうです。
とんとご無沙汰ですが、石垣の海のダイビングのフォトを添えます。





キンギョハナダイ切り出しdownsize
(キンギョハナダイがサンゴから出てきた;石垣島ダイブ)
せっかく上陸したのに水に戻っちゃった
海草や水草たちはクジラやウミガメのように祖先がいったん上陸したもののまた水中に戻った草たちです。だから、東京湾やサンゴ礁のリーフの内側など浅い海が海草の棲み処です。
水草の過去記事はこれです↓(クリックで飛びます)
愛でたり食べたり身近な水草と秋色の水の街アヌシー続々編
水草のフシギ種の旅は葉っぱの舟にゆられて 秋の華やぎ秋明菊


オブジャンビーチは沖まで真っ白の砂downsize
(サイパン島のオブジャンビーチは沖まで真っ白の砂底です)
海草は海岸生態系にとって大切
海草は、その海水の浄化作用によって、世界中の海岸の生態系(ecosystem)にとってとても大切な存在です。(陸上の)植物の土壌浄化作用(bio-remediation)と同じく、海草は抗菌物質を作り出すことは知られていましたが、実際に有毒微生物の繁殖を抑えるのか、どうかは不明だったそうです。

デバスズメダイの群れ切り出しdownsize
(デバスズメダイの群れ、サンゴ礁でいつも出会う)
海のゆりかご、サンゴ礁は海草のすみか
赤道の海のリーフ(外海と隔てる礁)のあるサンゴ礁の中は波穏やかな浅瀬でサンゴも海草も育ちやすく、色々な魚の赤ちゃんたち(稚魚)の棲み処にもなっています。

ハマクマノミ切り出しdownsize
(ハマクマノミが巣を守ってます)
サンゴ礁の海岸には基準値の10倍の大腸菌が
しかし、そんな海にも病原体は居て、サンゴ礁の有毒微生物はサンゴの様々な病気を惹き起こすだけでなく、あるものはヒトにも害を及ぼします。例えば、インドネシアのSulawesi 近くの海では波打ち際の大腸菌の数は安全な基準(米国Environmental Protection Agencyの基準)を10倍も超えてしまっています。リゾート開発が進んだせいでしょうか。

ハナゴイ乱舞切り出しdownsize
(ハナゴイの乱舞、群れで泳ぎます)
海草が「生えてる/生えてない」で病原菌を比べると・・・
米国コーネル大学のチームはそんなリーフのあるサンゴ礁の海8,034箇所について、「海草が生えている場所;海草場(seagrass meadows)」と「海草が生えていない場所」と10数種の有毒微生物の数を比べたそうです。ものすごいサンプル数ですね!

海草があると有毒微生物が半減する
波打ち際は別として、平坦な浅い海底(flat)や礁(reef)では、海草有りの場所は海草無しの場所に比べ有毒微生物は半分だったそうです。結果、海草有りの場所なら安全基準を満たすそうです。

モンツキスズメダイ切り出しdownsize
(モンツキスズメダイ、地味ながらオシャレな魚)
海草があるとサンゴの病気も半分に
では海草は実際に病気も防いでいるのか、を知るため、同じくサンゴ礁の「海草あり」と「海草なし」の場所(平坦な海底と礁)のサンゴの健康状態を比べました。病気のサンゴの割合は「海草あり」の方が「海草なし」の半分(各病気平均で)と少なかったそうです。特にblack band、white syndromeなどのサンゴの病気については劇的に少なくなっています。

ウメイロモドキらしい魚切り出しdownsize
(ウメイロモドキらしい魚、サンゴ礁に結構います)
「兵糧攻め」で有毒微生物を抑える
なぜ海草が有毒微生物を減らすのか?出典論文著者Lamb氏らもまだ詳細は分からないそうですが、海草は①栄養分を消費することで有毒微生物の栄養を奪う、②海底を覆うことで有毒微生物を栄養分から遠ざける、ことで有毒微生物を兵糧攻めにするようです。

ひょっとして抗菌物質も効いてる?
海草が富栄養化した海水を浄化することは知られていますが、それが、微生物の兵糧攻めにもつながるってことでしょうか?あるいは、海草の抗菌物質が効いているのかも知れませんね。

ご興味あれば「続きを読む」をクリックください

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RNAなら大量のサンプル解析ができる
ところでどうやって膨大なサンプル(8千以上の場所×10数種の病原体)から調べたのか?出典著者らは、まず、サンプルを実際に培養して代表的な病原体、大腸菌Enterococcusを数えて(コロニー計数)確認し、その上で魚や無脊椎動物など海の生き物の病原体のリボソームRNA(16S rRNA)を比べたそうです。

病原体をまとめて見分けて数える
18種の病原体(病原微生物)をいちいち培養して数えたのではなく、サンプル中の病原体16S rRNA(16S ribosomal RNA)の塩基配列を一斉に分析する方法(メタゲノム解析の1種)です。この方法なら大量の試料を高速、短時間、安価に分析し、さらにコンピューターで解析できます。

16S rRNAは便利なツール
16S rRNAはすべての微生物(原核生物)に遍く存在するタンパク質合成装置の部品です。その塩基配列の違いだけで微生物種が分かるため、このような研究には便利なツールです。
この手法は魚の種類と数をDNA解析で一斉に調べる「環境DNA」技術とも似た原理です。

環境DNAの過去記事はこれです↓(クリックで飛びます)
水を汲むだけ環境DNAによるサカナの国勢調査 サンゴ礁の魚たち

環境も健康も守ってくれる海草
海草は水をきれいにするだけではなく、ヒトや海の生物を有毒微生物が起こす病気から守ってくれているようです。海草が茂る海で泳ぐ方が安全なようですよ。

出典:”Underwater grasslands can cut concentrations of harmful bacteria in half” Michael Price Science Vol 355, Issue 6326 Science shot (2017)
出典:”Seagrass ecosystems reduce exposure to bacterial pathogens of humans, fishes, and invertebrates” Joleah B. Lamb et al. (☆) Science Vol 355, Issue 6326 pp. 731-733 (2017)
(☆:Joleah B. Lamb, Jeroen A. J. M. van de Water, David G. Bourne, Craig Altier5, Margaux Y. Hein, Evan A. Fiorenza, Nur Abu, Jamaluddin Jompa, C. Drew Harvell)
出典:ウキペディア記事「海草」(リンク無し):https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B5%B7%E8%8D%89


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過去の記事リストは下のイラストをクリック ↓ (日本国内と南の島の記事は「ヨーロッパの話題」にまとめています)
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