ムクドリは液体ヘリウムの群れでタカから逃れる + 帝都ウィーン(再)

ムクドリは液体ヘリウムの群れでタカから逃れる + 帝都ウィーン(再)
ゲームソフトが明かす1つの生き物のように舞う群れ戦略

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ムクドリの群れ旋回のしくみ
(ムクドリの群れ一斉旋回のしくみ)
何千ものムクドリが「1匹の龍」となって空を舞う
ムクドリ(椋鳥、Starling)は何百羽、何千羽と群れて目まぐるしく形を変えながら、まるで「大きな1匹の龍」が大空を自在に舞うように群れます。(欧州の例なのでムクドリ科(Sturnidae)の鳥です。出典著者Lallensack氏はこの舞う群れを” murmuration”と言っています。
Murmurationの画像




仲良く首をふりふりお馬さんがゆくREVdownsize
(仲良く首をふりふりお馬さんがゆく古都ウィーン)
会議は踊る帝都ウィーン
ダンスを踊るようなムクドリの飛翔のナゾは液体ヘリウムだった・・と言うサイエンス小ネタ。舞踏つながりで「会議は踊る」ウィーン会議の舞台、いにしえの帝都ウィーンのフォトを添えます(再掲)。
ウィーンの過去記事はこれ↓クリックで飛びます
ウィーンには秋が良く似合う、帝都の残り香
巣を張るだけがクモじゃない蜘蛛の糸の技術革新+古都ウィーン番外編


ホーフブルク王宮へ続く路REVdownsize
(ホーフブルク王宮(Hofburg)へ続く路)
変幻自在、予測不能なのに一糸乱れぬマスゲーム
ムクドリたちは一斉に一糸乱れず動き、しかもその方向と群れの形は予測不能でランダムに見えます。大空を自在に踊るようにも見えます。

「10時上空タカ!右バンク15度」→「右15度」を伝言ゲーム
ムクドリの群れにはこれまで2つのナゾがありました。どのようにして一斉に一糸乱れず方向転換できるのか?果たしてタカなどの捕食者から身を守るに役立っているのか?

シュテファン大聖堂(Stephansdom)downsize
(シュテファン大聖堂(Stephansdom))
テレパシー説まで飛び出したムクドリ群れのナゾ
他の鳥と同じ方向に向かうようなモデルではムクドリの群れの動きは説明出来ませんでした。ナゾなのでテレパシーを使っているなんて説もありました。

群れのムクドリを1羽づつ追う最新の画像解析ソフト
そこでムクドリの群れの動きをビデオ撮影し、コンピューターソフトを使ってその映像からその1羽、1羽の動きの軌跡を克明に追って解析したそうです。


「隣りと同じ旋回角でスピン」するのがミソでした
すると「となりの鳥と正確に同じ旋回角でスピンする」ことで方向転換するモデルで説明できたそうです。ムクドリの群れの旋回は一握りの個体の旋回から始まり、秒速20から40mの一定のスピードで群れ全体に伝わり、0.5秒ほどで群れ全体が旋回します。まるでたくさんの小さな方位磁針が磁石を近づけると一瞬で一斉に針を振るように・・・。

颯爽と席をぬってゆくカフェのスタッフdownsize
(颯爽と席をぬってゆくカフェのスタッフ、ウィーンはカフェ発祥の地です)
ムクドリとヘリウムの量子力学的な関係
しかも個々のムクドリの振る舞いは超液体である液体ヘリウムの1つ1つの原子の「量子力学的な振る舞い」とそっくりだったそうです。一定速度で旋回が群れに伝わることと良く合うそうです。

「超流動」で容器から逃げてしまう液体ヘリウム
絶対零度近くまでヘリウムを冷やすと液体になりますが、「超流動」を起こし容器に入れておいてもいつの間にか“逃げ出して”しまいます。この超流動や各原子のスピンが常に揃い一斉反転するのは液体ヘリウムの量子力学的な振る舞いだそうで、ムクドリの群れはこれとそっくりと言う訳です。

全艦一斉回頭
(全艦一斉回頭で攻撃をかわすのと同じなの??)
左舷に魚雷!全艦取り舵いっぱい!
また、旋回角を揃えることが、群れが素早く一斉回頭して敵の攻撃をかわすのに一番有効な方法であることを進化の過程で獲得したのだろうと出典著者は推察しています。
例えば、艦隊が魚雷奇襲攻撃を一斉回頭でかわすのと同じなのでしょうか?


神々の黄昏REVdownsize
(「神々の黄昏」、ホーフブルク王宮彫像のシルエット)
ムクドリの群れを3次元で再現したゲームソフト
そこで、ムクドリの群れの1羽1羽の映像解析からコンピューター上に3次元でヴァーチャルなムクドリ群れを再現し、これをタカ役のプレーヤーが襲うと言うゲームソフトを作り「ムクドリ狩りゲーム」をやってもらいました。

「タカ」役プレーヤーの完敗に終わりました
すると「タカ」役のプレーヤーにとってヴァーチャル・ムクドリを捕えるのはとても難しいことが分かりました。なぜなら、3次元空間を無数のヴァーチャル・ムクドリが予測不能に飛び回るので的が絞れないし、そもそも特定の1羽をずっと追うことが無理だからです(→このゲームソフト、売れると思いません?)。
なお、2次元ではこの「群れの効果」は再現できなかったそうです。


量子力学で天敵タカをかわすムクドリってすごい!
やっぱりムクドリの群れとその動きはタカなど捕食者から身を守るのに役立っているんです。しかも、何百、何千と言うムクドリが一糸乱れず一斉に機動できるのは量子力学と同じ原理だったと言うのも驚きですね。

【余談】ヒコーキのStarlingはムクドリではありません
ちなみにヒコーキのStarlingは椋鳥とは似ても似つかぬ怪鳥でムクドリじゃなくスコットランドの街の名前です。スターリングの過去記事です↓
規制を守って翼を切られた怪鳥の悲喜劇、スターリング物がたり

以下リンクは貼っていません。ご興味あればURLをコピペください。
出典: “Flocking starlings evade predators with ‘confusion effect’” Rachael Lallensack氏、Science誌記事2017年1月17日:http://www.sciencemag.org/news/2017/01/flocking-starlings-evade-predators-confusion-effect?utm_campaign=news_weekly_2017-01-19&et_rid=208065204&et_cid=1114691
出典: “How bird flocks are like liquid helium” Marcus WooJul氏、Science誌 2014年7月27日:http://www.sciencemag.org/news/2014/07/how-bird-flocks-are-liquid-helium
出典: “The confusion effect when attacking simulated three-dimensional starling flocks” Benedict G. Hogan, Hanno Hildenbrandt, Nicholas E. Scott-Samuel, Innes C. Cuthill and Charlotte K. Hemelrijk, Royal Society Open Science vol.4 2016:http://dx.doi.org/10.1098/rsos.160564
出典: ウキペディア記事「ヘリウム」、「超流動」、「ムクドリ」:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%98%E3%83%AA%E3%82%A6%E3%83%A0:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B6%85%E6%B5%81%E5%8B%95
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A0%E3%82%AF%E3%83%89%E3%83%AA


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コメント

Re: 鳥の群れ

lakmeさま、コメントありがとうございます。そう、私も塒に帰る鳥の群れを見て「引率者」がいるのかな、と思っていました。でも考えてみればとっさに「右に倣え」の方が素早く動けますね。横浜の雑踏のど真ん中の運河にはたくさんのユリカモメが群れ、50cmくらいまで近づいても平気ですが、誰か1羽が飛び立つと一斉に飛び立ちます。ヒトの群集心理にも通じるかも知れませんね。

> うちの夫が、鳥の群れが水の流れのように変わるのを見るのがとても好きで、田舎に行くと、ついつい一緒に見入ってしまいます。てっきりリーダーが先頭にいて、リーダーのマネをするものと思っていましたが、結構、バラバラなんですね。危険をキャッチするのが得意な個体にならうんでしょうか。。。本当に天を舞う龍のようですよね。

鳥の群れ

うちの夫が、鳥の群れが水の流れのように変わるのを見るのがとても好きで、田舎に行くと、ついつい一緒に見入ってしまいます。てっきりリーダーが先頭にいて、リーダーのマネをするものと思っていましたが、結構、バラバラなんですね。危険をキャッチするのが得意な個体にならうんでしょうか。。。本当に天を舞う龍のようですよね。

Re: No title

duck4さん、コメントありがとうございます。おっしゃるように諸説あるんだと思います、ムクドリの群れのスケールと昇り龍の動きに昔から皆興味を惹かれたのでしょうね。このモデルがどこまで検証に耐えるか分かりませんが、「ゆらぎが引き金で右へ倣えの一斉回頭」はシンプルで優れた戦略のように思います。

> Levalloisbeeさんへ
>
> こんばんは!
>
> ムクドリさん!すごい群れをなして飛び回っているところを見かけますが、それにはわけがあったんですね!あの固まりを見ているとひとつの生き物のような感じも受けますね!ムクドリさんの飛び方については、諸説あるんですね!v-519v-521

No title

Levalloisbeeさんへ

こんばんは!

ムクドリさん!すごい群れをなして飛び回っているところを見かけますが、それにはわけがあったんですね!あの固まりを見ているとひとつの生き物のような感じも受けますね!ムクドリさんの飛び方については、諸説あるんですね!v-519v-521
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