バイオロギングが明かすアマツバメの10か月ほぼ空中生活+南イタリアのソレント

バイオロギングが明かすアマツバメの10か月ほぼ空中生活
+南イタリアのソレント

にほんブログ村 科学ブログへ
にほんブログ村にほんブログ村 その他趣味ブログ 航空・飛行機へ
にほんブログ村
南イタリアのソレント海岸パラソルやチェアーが整列する海水浴場downsize
(南イタリアのソレント海岸、パラソルやチェアーが整列する海水浴場)
地上に降りないアマツバメ
この研究成果は新聞記事(2016年10月31日朝日新聞夕刊11面)にも載りましたから、ご存知かも?最新バイオロギングがヨーロッパアマツバメの驚くべき空中生活を明かしたサイエンス小ネタです。
ヨーロッパアマツバメが渡りで通るらしい南イタリアはソレントのフォトを添えます(再掲)。

ソレントの過去記事です、クリックで飛びます↓
南イタリア ソレントはナポリ湾に立つ断崖絶壁の街




年10か月は99.9%空中生活
2013-2015年の2年間のバイオロギングにより1年の内、繁殖シーズン以外の10か月はほぼずっと(99.9%)空中のみの生活だとわかりました。
ヨーロッパアマツバメの繁殖は初夏6月、ヨーロッパの都会のビルや煙突に、時に岩壁に営巣しますが、繁殖シーズン以外の10か月はずっと飛んでいたのです、もちろん4月と9月のアフリカ-ヨーロッパ間の渡りも含めて・・。アフリカで越冬する間もずっと地上に降りてこないのです!

タカからネコへの進化REVdownsize
(こちらはヒコーキのMartlet)
いとやんごとなきアマツバメ
common swift、ヨーロッパアマツバメは欧州諸侯の紋章にもなっている「いとやんごとなきトリさん」です。ツバメ、イワツバメとされる紋章「martlet」はそのデザインからアマツバメswiftに由来し、昔は「いつも空中に居て足が無い鳥」と信じられていました。実際、観察から「ほとんど空に居て、食事、飲水、交尾まで空中で行う」ことが分かっていました。
マートレットことF4Fの過去記事です↓(クリック)
狼を追うイワツバメ大西洋のマートレット
究極の折り畳み技グラマンF4Fの1回ひねり後方閉じ


common swift WikiENGよりREVdownsize
(ヨーロッパアマツバメはこんな鳥(ウキペディアよりお借りしてます))
小さい、速い、高い、遠いアマツバメは秘密のベールに
1. アマツバメは体長わずか16-17cm、翼幅38-40cm、体重もテニスボールほど、小っちゃいので普通の計器を付けられない、
2. 最速時速170km近く(大谷投手並み)で飛び回り捉えにくい、
3. ヨーロッパとアフリカを海を越えて渡るのでとても追いかけてゆけない、
4. 普段は高空で暮らしていて見えにくい
・・のでその生態は捉えらず秘密のベールに包まれていました。


黄色とオレンジの家並がいかにも南欧downsize
(黄色とオレンジの家並がいかにも南欧です)
先端バイオロギングでアマツバメ空中生活をスクープ
アマツバメが実際どのくらい空に居て、いつ地上に降りるのか、地上からの観察では正確なデータを得ることは難しく確証はなかったそうです。
ところが、最近の技術進歩によりバイオロギングの装置(データロガー、data logger)はますます小型、軽量化、長寿命(高容量省電力の記憶媒体)となり、アマツバメの驚きの空中生活が明らかになりました。

バイオロギングの過去記事、クリックで飛びます↓
ご自宅拝見バイオロギングで垣間見る動物の私生活 南ブルターニュ キブロン
海のトップスイマーマグロでも陸のママチャリ並みです;バイオロギングその2
空飛ぶ者たちを追う愉快なローテク; バイオロギングその3
「空賊」グンカンドリ、バイオロギングが明かした空中生活


粋な看板の船着き場downsize
(粋な看板、ソレントの船着き場)
わずか1gのロガーで2年間記録の苦心
出典著者のスウェーデンのルンド大学Hendenstrom氏らはわずか1.1gの超小型データロガー(micro data logger)をスウェーデンで19羽のヨーロッパアマツバメに取り付け2年間にわたって生態の記録が取りました。

省エネ、記録量節約でロガーを軽量化
3次元の加速度計で飛翔をモニターしますが、上下の動きがあるときだけ「飛行」として記録開始。また、アマツバメは壁にしがみついてとまるので、姿勢が45度以上なら「とまっている」と記録されます。こうして記録量を抑え軽量化に成功しています。

ジオロケーターの原理
(ジオロケーターで現在地の緯度と経度を測定する)
日の出日の入りをチラっ見して位置を知る
日の出日の入り時刻を記録するジオロケーター(geolocator)で現在地の経度と緯度をモニターしますが、測るのはコースを予測し、年数回、数日だけです。このように最低限の記録量で軽量化を図り2年間ものデータが取れたそうです。また、念のためレーダーで追った結果と照合し確認されています。

あふれる陽光に木陰まで輝くソレントの街downsize
(あふれる陽光に木陰まで輝くソレントの街)
歩かないアマツバメはスパイダーマン
アマツバメは餌である昆虫の摂餌はもちろん、生殖も、巣の材料集めも空中で行います。
アマツバメ一の仲間は他の鳥と違い、足の指4本がすべて前向き、つまりは歩けないけれどしっかり摑むに適しています。実際、アマツバメは歩かないし、地上では崖やビルに張り付いて過ごします、スパイダーマンみたいに・・・。アマツバメの暮らしはすごいですね。


アマツバメ新聞記事downsize
(アマツバメ空中生活の新聞記事)
飛ぶってタイヘンなことなんです!
トリさんにとって飛ぶことはとてもエネルギーを使います。だから飛ぶ必要がない(捕食者がいない)海洋島ではヤンバルクイナやニュージーランドのタカヘのように飛ばない鳥が進化します。

太陽の恵みで飛び続ける省エネ飛行術
アホウドリなど海鳥もそうですが(古代の翼竜も)グライダーのように海が日射で温められ生じる上昇気流に乗るソアリングを使います。これで筋肉をあまり使わない「省エネ」空中ライフが出来ると言う訳です。バイオロギングからアマツバメも太陽が大気を温める日中はソアリングを多用する省エネ飛行生活だとわかりました。
省エネ飛行するアホウドリと翼竜の過去記事です↓(クリック)
海鳥、翼竜、マリタイム機に共通するものとは?

三日月後退翼のHP ヴィクターdownsize
(三日月後退翼のHP ヴィクター(英ケンブリッジ郊外IWM博物館))
高アスペクト比三日月翼の優れた空力デザイン
ハンドレページ・ヴィクター(Handley Page Victor)のような、高アスペクト比の三日月後退翼、流線形の胴体、アマツバメの空力デザインは「省エネの持続可能な空中生活」に見事に適応しています。

小っちゃなアマツバメの脂肪貯金
アマツバメたちの空中生活は楽なものではありません。地上とは違い、空中ではどこで餌(昆虫)に出会えるかは極めて不安定です。だから数日間絶食しても生き続け、飛び続けられるようアマツバメは脂肪を蓄えることで対応しています。

いつ眠るの?アマツバメ君
この研究結果から新たな疑問が出てきます、「どうやって1日中飛んでいられるの?」とか、「いつどうやって寝るの?」とか。イルカや渡り鳥のように左右の脳が交替で眠る「シフト勤務」なのでしょうか?
アマツバメは小さいけれど高度な空中生活を営むすごいトリさんなんですね。


出典:“Annual 10-Month Aerial Life Phase in the Common Swift Apus apus” Anders Hedenstrom et al. Current Biology 26, 1–5 November 21, 2016
出典:“These frequent-flying swifts stay aloft for 10 months a year” Patrick Monahan Science Oct 27 2016 DOI: 10.1126/science.aal0311
出典:2016年10月31日朝日新聞夕刊11面 「ヨーロッパアマツバメ;10ケ月着地せずアフリカと往復」
出典:ウキペディア記事「ヨーロッパアマツバメ」、「アマツバメ科」、”Martlet”


↓良かったらクリックをお願いします


スポンサーサイト

テーマ : パリ、フランス - ジャンル : 海外情報

コメント

Re: No title

duck4さん、コメントありがとございます。おっしゃる通り、年の大部分を無着陸で暮らすアマツバメさんはスゴイと思いました。どのように休息するのでしょうか、右脳と左脳のシフト勤務でしょうか?フシギですね。ツバメさん、ハクチョウさんなど渡り鳥は長距離飛ぶ準備に脂肪を蓄えたりと大変なんですね。

> Levalloisbeeさんへ
>
> こんばんは!
>
> 鳥さんは、「生きるために飛び続ける」と言われているようですが、まさに、アマツバメさんは飛び続けて生きている鳥さんですよね!
>
> 虫を捕らえるのには、かなりの飛翔能力が必要で、どのように捕まえているのか、春から夏にかけて飛来しているツバメさんたちを見ていて、いつも疑問に思っていました!
>
> アマツバメさんの場合は、ヨーロッパとアフリカを移動。体に脂肪を蓄える必要がありますよね!ツバメさんですが、夏の終わりごろ。繁殖地を飛び立とうとする頃のツバメさんの体が大きく見えるのには、脂肪を蓄え、旅へ出る前の準備をしていたからなんでしょうね!
>
> アマツバメさんも然りですが、すごい鳥さんですよね!v-519v-521

No title

Levalloisbeeさんへ

こんばんは!

鳥さんは、「生きるために飛び続ける」と言われているようですが、まさに、アマツバメさんは飛び続けて生きている鳥さんですよね!

虫を捕らえるのには、かなりの飛翔能力が必要で、どのように捕まえているのか、春から夏にかけて飛来しているツバメさんたちを見ていて、いつも疑問に思っていました!

アマツバメさんの場合は、ヨーロッパとアフリカを移動。体に脂肪を蓄える必要がありますよね!ツバメさんですが、夏の終わりごろ。繁殖地を飛び立とうとする頃のツバメさんの体が大きく見えるのには、脂肪を蓄え、旅へ出る前の準備をしていたからなんでしょうね!

アマツバメさんも然りですが、すごい鳥さんですよね!v-519v-521
コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する