仲間の痛みが匂いでわかるミッキーたち、群れが脅威を察知するしくみ?+パリのカフェ

仲間の痛みが匂いでわかるミッキーたち、
群れが脅威を察知するしくみ?+パリのカフェ

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マウスも親しい者の痛みが伝わる共感がある
(マウスも親しい者の痛みが伝わる共感がある)
心が共鳴する場所、カフェ
ミッキーことマウス君たちも「他人の痛みを共感する」らしいと言うサイエンス小ネタです。私、Levalloisbeeが共感するのはバーやカフェにつき、パリのカフェの写真を添えます(再掲)。パリのカフェ過去記事へのリンクはこの記事の最後です。




仲間の痛みがわかるマウスdownsize
(仲間の痛みがわかるマウスたち;出典文献①のフォト(GlobalP/iStockphoto)をお借りしています、あまりにもかわいいもので・・)
ミッキーたちも「他人の痛みが分かる」
「他人の痛みが分かる」” I feel your pain”はヒトだけじゃない、ミッキーこと小っちゃなマウス君も仲間の痛みが分かるそうです。米国Oregon Health & Science UniversityのMonique Leana Smith氏、Andrey Ryabinin氏らの今年2016年の研究結果です。

Courcelles駅そばカフェの昼下がりdownsize
(パリのメトロ3番線Courcelles駅そばカフェの昼下がり)
同居していると痛みが伝わる
痛覚過敏(hyperalgesia、痛みを感じやすくなる症状)になったマウスと一緒に暮らす(同じケージで飼われている)何もしていない仲間のマウス(対照の正常マウス)も同じように痛覚過敏になったそうです。仲間が痛みを感じやすくなると自分も痛みに敏感になってしまったそうです(痛みの感度が68%高まった)。

個室暮らしでは仲間の痛みが分からない
ところが1匹づつ個室で飼う(単仔飼い)とこのような“仲間と同じように痛みを感じる”ことは起こらない、つまり何か“痛みを仲間に伝える“、”仲間の痛みを察知する“しくみがあると言うことです。

赤が粋なアクセントのカフェ(サントノレ)REVdownsize
(赤が粋なアクセントのカフェ、パリ1区、8区のサントノーレ通り(r. Saint Honore)にて)
正常なら痛くないテストなのに“痛い”
この痛覚過敏のテストとは「足を細い刷毛でブラッシングする」、「尻尾をお湯に浸ける」など健常ならどうってことない刺激をマウスが“痛がる”か、どうかを見るものです。
もちろん傷、火傷など身体的損傷も精神的ストレスも無い条件です。だから正常マウスなら“平気な”はずです。ところが仲間が痛いのなら同居人も痛くなると言う予想外の結果で新しい発見につながりました。


君の臭いで君の痛みが分かるよ
”仲間の痛みを察知する“しくみはどうやら「臭い」のようです。
その1:一緒に飼っていると「痛みがうつる」
その2:痛覚過敏の仲間の痛覚テスト(痛がる)を見なくても「痛みがうつる」
その3:それぞれ個室で飼うと「痛みはうつらない」
その4:痛覚過敏の仲間のベッド(敷き藁)を持ち込むと仲間と触れ合わない個室飼いでも「痛みがうつった!」
・・・からです。


Malesherbes通りカフェdownsize
(メトロ3番線沿いマルゼルブ通り(Bvd. Malesherbes)のカフェの初冬)
「痛みの伝達」は脅威を避け生き残る知恵
このような他者の痛みを“感じる”「痛みの社会的伝達」(social transfer of pain)は危険や脅威の回避に役立ちます。マウスのような群れで暮らす弱い動物が自然環境下で生き残ってゆくのに役立つ働きなのでしょうね。

そもそもは痛覚過敏研究のモデル系だった
モルヒネ系の鎮痛剤などオピオイド(opioid)により時に痛覚過敏が惹き起こされ、今まで効いていたものが効かなくなり、疼痛治療の課題とされています。アルコール中毒の「断酒」でも同じく痛覚過敏が起こるようです(「報酬系」が関与するからでしょうか?)

噴水が借景のサンジェルマンSt Germainのカフェその3 DSC02669downsize
(噴水が借景のサンジェルマン通り(Bvd.Saint-Germain)のカフェ)
痛覚過敏モデル系がうまくゆかない訳とは?
これを研究するため出典著者らはマウスにアルコールを自由摂取させ(→“アル中”状態になる)、水に替えて「断酒」することで「痛覚過敏」のモデル系を作ったのですが、何も投与しない正常な対照(control)マウスと差がうまく出ません。(著者らはモルヒネ投与後、これを断つ痛覚過敏モデルも用いています)

ミッキーたちはシェアハウスの方が自然なんです
通常、実験動物のマウスたちは数匹を一緒の飼育ケージで飼います。省スペースだけでなくそもそも群れで暮らす動物なので仲間と一緒の方がストレスが少ないからです。

木漏れ日の影がゆれるアナトールフランスのカフェdownsize
(木漏れ日の影がゆれるアナトールフランス(Anatole France)駅前のカフェ)
「アレ?フシギ」こそ研究の大事なヒント
出典著者らも当初は複数匹飼いでしたが、あるとき個室の1匹飼いにすると、「断酒」痛覚過敏群と正常群との間で痛覚過敏テストできれいな差が出ました。「・・うん?これって何を意味するんだろう?」と言うのがこの研究結果のきっかけだったそうです。
生き物の研究では、先入感を持たず、何よりまずよく観察なのですね。


親しい者の痛みを見て痛みに敏感になる
この研究より10年ほど前には「見る」ことで「痛みが伝わる」ことが分かっています。2006年Science誌に発表されたカナダ、マギル大学(McGill University)のD. J. Langford氏らの研究です。

必ず立ち寄るテルヌのシーフードレストランLorraine IMG_1538downsize
(パリでは必ず立ち寄るテルヌ(Ternes)のシーフードレストラン”Lorraine”)
マウスも同居相手に共感する、よそ者は共感しない
一般に、「共感」はヒトだけに、あるいは霊長類だけにあるものと思われています。ところが、Langford氏らは、マウスは同室の(同じケージで飼われている)他のマウスが痛みにさらされると、痛みに対して敏感になること、しかし、同室ではない“よそ者”のマウスではこのようなことは起こらないことを見出しました。

親しい相手を“見ていたか”次第の共感
一対の同室マウスに同じような有害刺激を与えると痛みに対してより敏感になりましたが、この効果は相手が見えるか、どうか(視覚)に依存したそうです。同室マウスが痛みにさらされるのを見ることで(もう一方のマウスが)痛みに敏感になるようです。これは双方向性で互いに痛み感度が高まったそうです。

ヒトもパートナーの痛みを共有する
出典に依れば、ヒトでも配偶者が慢性疼痛を患っていると介護側のパートナーも痛みに敏感になり介護ストレスの一因になるらしいのです。

痛みの共感の仕組みが新しい治療につながれば・・・
このような研究は「他人の痛みがわかる」、痛みの伝わり方、痛みの共感の仕組みの解明につながるかも知れません。また、従来同じケージで飼育する実験動物を用いる鎮痛剤試験など痛みの研究手法の見直しにつながるかも知れません。新しい観点の痛みの研究が進めばいいですね。

関連のある過去記事です。クリック↓で飛びます
寂しがり屋ミッキーも仲間と育てばストレスも平気 南仏プロヴァンス番外編
優しく育てられた仔は優しい母親になりますネズミだって南仏マントン残影


パリのカフェの過去記事です、クリック↓で飛びます
カフェは街角の薫りと空気を醸す空間-カフェ話再びその3
日々の暮らしとカフェ、旅で出会うカフェ、パリのカフェ話しを再び・・・
心が背伸びするいつものカフェ - カフェ話再びその2
芳醇な一杯が飲めなくなるかも?コーヒーの危機+パリのカフェふたたび
白目でヒトとワンちゃんは目くばせする 行き付けBarとカフェ


出典①:”Mice feel each other's pain” Emily Underwood氏執筆、Science Oct. 19, 2016
DOI: 10.1126/science.aal028
http://www.sciencemag.org/news/2016/10/mice-feel-each-others-pain?utm_campaign=news_weekly_2016-10-21&et_rid=208065204&et_cid=917638(リンク貼ってません)
出典:”Social Transfer of Pain in the Mouse” Monique Leana Smith氏著、Oregon Health & Science University OHSU Digital Commons July 2016
http://digitalcommons.ohsu.edu/cgi/viewcontent.cgi?article=16965&context=etd(リンク貼ってません)
出典:“Social modulation of pain as evidence for empathy in mice” D.J.Langford氏ら Science 30 Jun 2006 Vol. 312, Issue 5782, pp. 1967-1970 DOI: 10.1126/science.1128322
http://science.sciencemag.org/content/312/5782/1967(リンク貼ってません)
出典:ウキペディア記事「痛覚過敏」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%97%9B%E8%A6%9A%E9%81%8E%E6%95%8F(リンク貼ってません)
本研究紹介のScience記事“Mice feel each other's pain”
http://www.sciencemag.org/news/2016/10/mice-feel-each-others-pain?utm_campaign=news_weekly_2016-10-21&et_rid=208065204&et_cid=917638


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