ヨーク白薔薇は赤薔薇ランカスターの栄光の影で地味に働く

ヨーク白薔薇は赤薔薇ランカスターの栄光の影で地味に働く
~没落名門貴族のような白薔薇ヨークの生涯~

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ヨークのかわいい横顔コックピットの赤い壁が何気にオシャレdownsize
(ヨークのかわいい横顔です。コックピットの赤い壁が何気にオシャレ)
(英国ケンブリッジ郊外IWM博物館(Imperial War Museum)の展示)
名機の血を引く“ほんわかキャラ“ヨーク
名機アブロ・ランカスターの血を引くアブロ・ヨーク(Avro 685 York)、戦中戦後のRAF輸送機ですが、ベルリン空輸くらいしか活躍していません。でもほんわりした姿かたちが何となくすきです。




重爆ランカスターが旅客機ヨークに転身
(傑作重爆ランカスターが旅客機ヨークに転職、果たしてビジネスでは?)
ダースベーダーとは対照的な白衣に赤が鮮やか
ダースベーダーのような黒衣のランカスターとは違ってIWM博物館で出会ったヨークは白衣に赤が鮮やかでした。ヨークの「横顔」は結構カワイイです。主翼、エンジン、主脚など、太い胴体以外はランカスターのまんまなのに肩翼式になりずいぶん印象が違います。3枚垂直尾翼もチャームポイント?

薔薇戦争の因縁に配慮したか?英空軍
「ランカスター」「ヨーク」の呼称は言うまでもなく15世紀イングランドの薔薇戦争の主役にしてライバル、「赤薔薇ランカスター家」と「白薔薇ヨーク家」です。RAF(英国空軍)は歴史のバランス感覚で命名したのかも?

カバーを外すとマーリンエンジンはやっぱりコンパクトdownsize
(カバーを外すと、さすがマーリンエンジンはコンパクト)
珍しく輸送機がヒーローになった「ベルリン空輸」
「ベルリン空輸(Berlin airlift)」って知ってますか?第二次大戦で連合国が勝利したとたんソ連と米英は対立、占領下のドイツを東西に分断、そしてベルリンも東西に分断。しかも当時の東独のど真ん中に位置するベルリンの米英側;西ベルリンは“孤島”状態。1948-1949年、それをソ連が封鎖、食糧、燃料などが逼迫した西ベルリンを救うため米英など西側諸国が行ったのが「ベルリン空輸」です。

英国でベルリンに一番多く23万トン運んだヨーク
ヨークが活躍したのはほぼベルリン空輸だけなんですけど、英国空軍がベルリンに運んだ物資54万トンの内、23万トン、約半分を頑張って運んだんです、ヨークは。

ヨーク唯一大活躍の場もC-54が主役スターで・・・
しかし、ベルルン空輸の主役にして功労者は生粋の輸送機/旅客機、ダグラスC-54スカイマスター(Douglas C-54 Skymaster /DC-4)です。英国が運んだ54万トンに対して、C-54を中心に米国は178万トンも運んだんですから。ヨークの名はここでも地味でした。

ランカスターの首実検?Canadian Aviation Museumにてdownsize
(ヨークの前身、ランカスターの首実検?;Canadian Aviation Museum)
旅客機としては「国産品愛用」の域を出ず?
ヨークは259機生産され、内、50機ほどの民間型(旅客機)は1944年運航開始、1964年に最後の1機が引退しました。民間ユーザーはBOACなど英連邦エアラインを中心に数か国のみ、フォトも軍民ともに場末の飛行場で働く姿が多く、「国産品愛用」の域を出なかった印象です。

パイロットの名前がコックピット下にありますdownsize
(パイロットの名前がコックピット下にあります)
傾く、揺れる、ウルサイ、旅客機には無理っぽいヨーク
ヨークは乗るとき床が傾く尾輪式、与圧がなく雲の下を飛び揺れる、騒音もひどい、DC-4に比べ旅客機としての“顧客満足度”、競争力じゃ負け。

銃座を切り取りプラ板パテで整形すれば、ほら輸送機
プロペラ機時代には爆撃機から輸送機、旅客機への転身は誰でも思いつくらしく結構あります。そして一部例外はあるものの、たいていは大したビジネスになっていません。逆に旅客機/輸送機から哨戒爆撃機への転身はハドソンをはじめ多くの成功例があります、コンドル、オライオン、ニムロッドなど。
ハドソン過去記事はこれです↓
ベンチャー成上りの礎は丸っこくかわいいハドソン機 空(そら)物語その3

BOAC長距離路線のランカストリアンdownsize
(BOAC長距離路線のランカストリアン、いかにも“パーツ交換”モデル)
ランカスターと同時に戦後のエアライナーも狙うAvro社
名機ランカスターをデザインしたロイ・チャドウィックはその元ネタのマンチェスターのデビュー(1940年8月)間もなく、4発化したランカスター(1941年1月初飛行)と平行して、更にその輸送機/旅客機ヴァージョン「ヨーク」を1941年に構想、デザインし、1942年7月には初飛行しました。
チャドウィックは続いてチューダーもデザインし、大戦の勝敗も見えない中、早くも戦後エアライナー市場を狙ったようです。


世が世なら「史上最大の作戦」で活躍のはずが・・・
性能を当時の基準で比べるとヨークは決して駄作っ機じゃないです(「続きを読む」の表を参照)。
しかし、米国ほど工業生産力がない英国は戦略重爆生産に集中するのが精一杯。輸送機はレンドリースの借り物ダコタことC-47(DC-3)で賄うと割り切りましたから、ヨークの生産は遅れ部隊配備は1945年終戦間際になりました。
本来なら「史上最大の作戦」(1944年ノルマンディー上陸)で活躍するハズだったんですよ、ヨークは。


IWM博物館野外展示のヘイスティングスREVdownsize
(IWM博物館野外展示(=野ざらし)のヘイスティングス、ちょっと哀愁漂う姿)
パっとしない爆撃機くずれ、例外の成功作ストラトクルーザー
ヘイスティングス(元ネタ:ハリファックス)、ボーイング307(元ネタ:B-17)、リベレーターライナー(元ネタ:B-24)・・いずれもパっとしない爆撃機くずれ輸送機/旅客機の中で、B-29が元ネタで888機生産されたストラトクルーザー((Boeing 377 Stratocruiser))は例外中の例外、異例の成功作です。
比べてみると、性能といい、生産機数(259機)と言い(ストラトクルーザーを別にすればですが、)ヨークは成功した方です。ちなみにウェリントンを“跡形もなく改造”したヴァイキングは“ルール違反”につき除外です。


ランカストリアンは英国お得意の”Stop gap”(その場しのぎ)
ヨークに続くランカスター崩れの輸送機改造型「ランカストリアン」じゃパワーはあってもスペースがなく使い道は郵便機くらい。ランカストリアンは本格開発のチューダーまでのつなぎ、英国お得意の”Stop gap”だったようです、ヨークがモタついたせいですね。

オプションパーツの安易な中古爆撃機改造ビジネス
ランカスター→ランカストリアンに限らず、新たに設計もせずB-17、ハリファックス、B-25などのパーツ取り換えの中古爆撃機改造輸送機のビジネスはことごとく失敗しています。B-24→リベレーター・エクスプレスは軍用だから売れたのでしょうし。

ダラダラとマニアックな記事ですが、ご興味あれば「続きを読む」をクリックしてください

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DC-4、DC-6が戦後エアラインを制した
ようやくヨークが配備される頃にはC-47/DC-3の4発後継機C-54/DC-4が既に活躍していました。ヨークと同じ1942年初飛行のDC-4は戦後エアラインの中心機材、改良発展型DC-6がベストセラーとなった傑作機です。

ヨーク後継機チューダーは“駄作っ機”の殿堂入り
かたやヨークは戦後、英連邦中心に数か国にしか売れず、発展型後継機チューダー(Avro Type 688 Tudor)はようやく機内与圧にしたものの未だ尾輪式などがたたりほとんど売れず、岡部さん著「駄作っ機」シリ-ズ(第2巻)に殿堂入りとなりました。

LIFE誌の憧れのエアライナーには英機影なし
私がまだ幼い頃、父が購読していたLIFE誌のエアラインの広告に載ったDC-4、コンステレーション、ストラトクルーザーなどを見てカッコいいなぁと憧れました。でもヘイスティングス、チューダーなどの英国機の影はありませんでした。

他人に頼ったツケか?落ち目の英旅客機
戦時の数年間の輸送機を米国に頼り切ったツケでしょうか?大英帝国の世界航路を飾ったハンドレページ H.P.42の後継機も出ず英国製旅客機は落ち目になったようです。やがて革新的なデハビランドのコメットがジェット旅客機時代の幕を開けますが、悲劇的な事故でボーング707に取って代わられましたし・・。

投資とチャレンジを怠らないことが肝要
航空業界に限らず、私の居た製薬の世界でもそうですが、新製品開発には苦しくても「継続は力なり」と投資とチャレンジを怠らないことが肝要なんでしょうね。

ヨークの性能はDC-4に負けていません
ヨークはDC4に負けてません

爆撃機から輸送機・旅客機への安易な転身
爆撃機から輸送機旅客機への安易な転身

出典:”The Lancaster Story” 1996年、Peter Jacobs氏著(Arms and Armour Press)
出典:世界の傑作機No170「アヴロ・ランカスター」2016年、岡部いさく氏、鳥飼鶴雄氏、藤田勝啓氏、田村俊夫氏共著(文林堂)
出典:ウキペディア記事(和英)「アブロ ヨーク/Avro York」「ダグラス DC-4/ Douglas DC-4」「アブロ ランカストリアン/Avro Lancastrian」「C-97ストラトフレイター/ Boeing C-97 Stratofreighter」「ハンドレページ ヘイスティングス/Handley Page Hastings」「ビッカース ヴァイキング/Vickers VC.1 Viking」「R2Y/Consolidated R2Y」「ボーイング307」「ボーイング377/」「C-87」
出典:ウェブ記事”Handley Page Halifax Mk VIII (HP 70)” http://www.historyofwar.org/articles/weapons_halifax_mkVIII.html (リンクなし)


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