犬は石器時代からのともだち、そしてパリ16区大人の街パッシー

犬は石器時代からのともだち、そしてパリ16区大人の街パッシー




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(パッシー(Passy)、Pl. de Jane Evrardの街角)
ちっちゃな頃から犬好きで・・・
小さい頃「同い年」の犬と一緒に育ちました。その後実験動物を扱っていたことなどもあり今日に至るまで犬を飼えていませんが、犬好きです。パリに来て初めて散歩したのがパッシー(Passy)で、ちょっとハイソな街を良く手入れされ躾けられた犬が行き交います。でも路に散在する犬の「お忘れ物」にはカルチャーショックを受け「パリのワンちゃん」を記事にしました。今回はその続編。写真はパッシーの街の風景を切り取ったスナップです。
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(突き当りがムエット(La Muette))の元駅舎のレストラン、その名も”La Gare”、おいしいですよ)
いつも誰かそばに居てほしい
人(ヒト)は社会性の動物。いつも誰かにそばに居てほしい、楽しいこと、喜び、悲しみ、辛さ、さびしさ、それに気づいて見つめてくれているだけでもいいから。だから、ペット動物もコンパニオンアニマルとして大切です。
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(パッシーを行き交う人びと、赤いひさしが印象的)
一番古いともだち、イヌ
イヌは旧石器時代からのヒトの一番古いトモダチ。他のペットに比べて、イヌは生き方、暮らし方、他人(他犬)への接し方などヒトの日常でも思い当たるような共通するところがたくさんあります。実は病気もイヌはヒトとその多くが同じで、イヌの病気を知り治してあげることはヒトの病気の理解と治療にも大変役立ちます。イヌはどこまでもヒトに寄り添うパートナーです。
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(パッシー、Pl. de Costa Rica角のカフェ、昼下がりでみんなのんびりとおしゃべり)
ボクはオオカミじゃないぞ

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イヌは「石器時代にヒトがオオカミを飼いならしたもの」と長らく思われてきたようですが、違います。現存するイヌ科(オオカミ、イヌ、コヨーテなど)のミトコンドリアDNAの比較解析(この方法で現生人類すべてのただ一人の共通の母、ミトコンドリア・イブがアフリカに居たことが判ったお話は有名ですね)や、化石で見つかったイヌの原種の地質年代から、ヒトが定住生活(1万年+α前)を始めるはるか前の10万年以上前にはイヌはオオカミと分れ(分岐)、ヒトを避けるオオカミとは対照的に、ヒトに近づきヒトが暮らすそばで、但し、飼われていない野犬として生き続けてきたようです。ヒトがイヌの食べ残しをあさったのか、イヌがヒトの食べ残しをもらったのか、その両方かは分りませんけど。
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(パッシーのチョコレート屋さん、いつもおみやげに買います、風味が良くおいしい)
みんなほとんど雑種です
イヌを飼い馴らしたのは東アジアが最初で家畜、ペットになったのは数千年前頃に古代文明が発達してから(古代エジプトは「犬神様」アビヌス神を祀っていた)、犬種が決められたり、「血統書」が出来たのは更に最近で19世紀、イヌの10万年の歴史のうち「9万9千8百年間」、イヌは混血が盛ん、つまり全員(全犬)雑種。
実はイヌはヒトと同じく地球のあらゆる環境(熱帯から北極圏、アジアから欧州まで)で繁栄している動物(哺乳類)だそうで、常に大陸をまたにかけて移動し混血していたので現在のイヌでもゲノム(一個体の遺伝子DNA全体)に犬種差、地域差はほとんどないそうです。ヒトの場合の「多地域進化説」と同じくイヌの場合も旗色が悪くなったようです。おかげでこれらの学説を「曲解」、「悪用」する人種差別や犬種の箔付けなどが根拠を失うのは良いことですね。どのイヌもみんな大事なヒトのトモダチなのですから。

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(パッシー横道の小さな広場で見つけた、水飲み場?でしょうか?)
マスタースイッチのイタズラ
でもちょっと待って、ネコやウマなどとは違いイヌは大きさ(チワワとセントバーナードではヒトとゾウほど違うぞ)、体のスタイル(ウナギイヌみたいなダックスフントとモデルのようなアフガンフント)、顔だち、毛並・毛色、耳、しっぽ・・・多くの要素に非常に大きなバリエーションがあるじゃないか、と言う疑問がわきませんか?でもこれ、どうやらごく少数の発生のマスター遺伝子(一群の遺伝子の連鎖反応のスイッチを押して体のある部分を形づくる指令を出す遺伝子)のイタズラらしいのです。一例をあげれば、動物の仔はみな丸顔で子犬も同じですが、成長(発生)のある時期にマスター遺伝子のスイッチが入り「部下」の多くの遺伝子が一斉に働いて頭の骨格が伸び面長なおとなの狼顔を作る、するとマスター遺伝子のスイッチが切れ長くなるのが止まる、これが標準型。スイッチがなかなか切れないとウマヅラのアフガンに、ちゃんとスイッチが入らないとベビーフェースのチワワが出来上がるという訳。
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(パッシーに多くある高級アパルトマン、城のターレットみたいな外観がちょっと楽しい)
イヌの病気(の遺伝子)からヒトの病気を探る
69億現生人類みんなの遺伝的な差は森の中で隣り合わせに住むゴリラ2頭の遺伝的な差より少ないそうで、そのヒトに比べてさえも(ごく少数のマスター遺伝子のイタズラで見かけは相当違いますが)イヌ同士はみな遺伝的にきわめて均質なのだそうです。それとヒトと一緒に暮らすので病気もよく分る。だからヒトの病気の関連遺伝子を探すときまずイヌで探してみる方がはるかに簡単なのだそうです(「マチガイ探しクイズ」では違っている箇所が少ない、つまりほとんどが同じ方がさがし易くありませんか)。一例をご紹介すれば、ヒトの睡眠障害の1つナルコレプシー(narcolepsy)と同じ症状をおこしやすい犬種のドーベルマンのDNAを調べてこの原因遺伝子(の候補)を探し当てたそうで、睡眠障害の新薬開発につながりそうだとのこと。
イヌはやはり大切なパートナーです。だから「お忘れ物」も大目にみてあげましょう。

出典:「犬の科学」”The Truth about Dogs”, Stephen Budiansky氏著(2000年)、渡植貞一郎氏訳(2004年)、築地書館
出典:natureダイジェスト, 2010年11月号, p.12 「いつでも犬は最良のパートナー」“Pet project”, David Cyranski 氏執筆(原典 Nature 2010/08/26 vol. 406, p.1036)


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テーマ : 自然科学 - ジャンル : 学問・文化・芸術