灼熱サハラで砂漠アリは万歩計と視覚フローでナビる+哀愁のリスボン再び

灼熱サハラで砂漠アリは万歩計と視覚フローでナビる
+哀愁のリスボン再び

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灼熱の砂漠で餌を探す
(灼熱の砂漠で餌を探す砂漠アリCataglyphis)
大航海時代の面影「哀愁のリスボン」
ナビの上手な砂漠の小さなアリのサイエンス小ネタです。ナビと冒険つながりで大航海時代を拓いたエンリケ航海王子を記念した「発見のモニュメント」のあるリスボンのテージョ川風景を添えます(再掲)
リスボン紀行の過去記事はこれです↓
哀愁のリスボン-1 アズレージョの藍がやさしい
白く物憂げな栄光の残照、テージョ川の世界遺産-哀愁のリスボン-2
リスボンの迷路を行く-赤屋根が重なるアルファマの坂道は懐かしい風景(リスボン-3)


テージョ川に浮かぶように建つベレンの塔downsize
(テージョ川に浮かぶように建つベレンの塔)
灼熱サハラの砂漠アリはスカベンジャー
灼熱のサハラ砂漠に”desert ant” 「砂漠アリ」と呼ばれるCataglyphisが棲んでいます。ハゲタカやハイエナと同じいわゆるスカベンジャー(腐肉食動物)で餌が乏しい砂漠でクモなどの死体を探します。




数分で戻らないと干物になっちゃう(アリの開き?)
安全な巣を出て餌を探すときはジグザグに進みます。でも一旦餌を見つけてくわえると一直線のダッシュで巣に戻ります。数分以内に戻らないとさすがの砂漠アリも干物になっちゃうから。

テージョ川に向かって立つ発見のモニュメントdownsize
(テージョ川に向かって立つ「発見のモニュメント」)
ダッシュ一直線で巣に帰るにはナビってる?
何の目印もない砂漠で往路とは違うコースでまっすぐ巣に戻るには砂漠アリは何らかのナビ機能を使っているはずです。歩数積算、太陽コンパス、匂いの目印などがナビに使われているのではないか、と研究されてきました。

アルファマの坂の急カーブを軋むように走る路面電車downsize
(アルファマの坂の急カーブを軋むように走る路面電車)
車窓を流れる景色の記憶で帰巣:視覚フロー
出典著者Jessica Boddy氏らは「車窓に流れゆく景色」のような視覚フロー(optic flow)を砂漠アリCataglyphisはナビに使っていることを明らかにしました。

“だっこ”で運ばれても視覚フローで戻れる
砂漠アリCataglyphisには涼しい巣で働く「内勤」アリと灼熱下餌探しに出かける「外勤」アリがいます。餌だけでなく仲間のアリをくわえて運ぶ習性もあります。砂漠アリたちは「内勤」も「外勤」も“だっこされて”運ばれても(歩かない)視覚フローでちゃんと巣に戻りました。

黄昏のテージョを船が行くREVdownsize
(黄昏のテージョ川を船が行く)
目隠しでも歩数計で巣に戻る
砂漠アリは歩数計(万歩計みたいに歩数を積算)を使っているらしいことは分かっていました。そこで砂漠アリに目隠しを付けてみると、毎日出かける「外勤」アリはちゃんと巣に戻りました。
餌探し往路がジグザグでも方角と歩数でナビれば一直線で巣に戻れるわけです。


「内勤」は視覚フロー頼り、歩数計が使えない
しかし、普段外に出ない「内勤」アリに目隠しをすると巣に戻れず迷ってしまいました。「内勤」は視覚フロー頼りのようです。

宿泊ホテルから望む朝の広場downsize
(宿泊ホテルから望む朝の広場)
冗長なダブル・システムが砂漠ナビに有効
どうやら砂漠アリCataglyphisは複数のナビ・システムを使い分けているようです。過酷な灼熱の砂漠で歩き回るためには少なくとも視覚フローと歩数計のダブル・ナビ・システムの冗長さが大事なのだろうと著者は推測しています。他の出典著者Sarah E. Pfeffer氏らも同じ結果を得ています。

耐熱チャンピオンの砂漠アリCataglyphis bicolor
砂漠アリCataglyphis (Cataglyphis bicolor)は地表温度が70℃に達する真昼間に餌を探しに出かけます。地表60℃以上でも活動するアリが他にも2種いるそうですが、70℃にも耐えられるのはCataglyphisだけ。

青空に白さが鮮やかなジェロニモス修道院downsize
(青空に白さが鮮やかなジェロニモス修道院)
スマートな脚でゼロ戦超え時速600kmの快足
灼熱下でも活動できるヒミツは毎秒1mで素早く動ける、長い脚が体に熱が伝わるのを緩和していることのようです。1cm足らずのアリを日本人成人男子平均身長167.3cmに引き延ばすと、なんと時速600km、ゼロ戦より速いゾ!

太陽コンパスと匂いもナビに利用するらしい
砂漠アリに鏡を付けると映った太陽に惑わされてあらぬ方向に行っちゃった。砂漠アリを訓練すると巣に塗った匂いを他の匂いと混じった中から嗅ぎとることができたそうです。

おじさんが細い階段を降りて行くREVdownsize
(おじさんが細い階段を降りて行く)
快足、複合ナビ・システムでタフな砂漠暮らし
砂漠アリCataglyphisは腐肉漁り、長い脚、快足そして2つ以上の冗長な複合ナビ・システムなどを駆使して過酷なサハラ砂漠で暮らしています。生き物はつくづくタフだなと思いました。

動物のナビの過去記事はこれです↓
都会の電波で「アッチ向いてホイ」、鳥の磁気ナビ狂います
光で方角を知るフシギな磁気感覚 ナビで飛んだ古典機


アリの過去記事はこれです↓
森のお百姓さんハキリアリと昔作ったプラモたち

出典:”‘Blindfolded’ ants reveal clues to insect navigation” Jessica Boddy氏ら著 Science Sep. 8, 2016年
出典:” Optic flow odometry operates independently of stride integration in carried ants” Sarah E. Pfeffer氏ら著, Science 09 Sep 2016年 Vol. 353, Issue 6304, pp. 1155-1157 DOI: 10.1126/science.aaf9754
出典:”Smells like home: Desert ants, Cataglyphis fortis, use olfactory landmarks to pinpoint the nest” Kathrin Steck氏ら著 Frontiers in Zoology 2009年6:5 DOI: 10.1186/1742-9994-6-5
出典:BBCウェブ記事 “One record-breaking ant can survive the hottest temperatures on earth” 2014年10月8日
出典:Wkipedia 記事(英文) “Cataglyphis”


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テーマ : パリ、フランス - ジャンル : 海外情報

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