Beau(ボー)よ、君はホントに戦闘機か【前編】なんせ間に合わせなもんで

Beau(ボー)よ、君はホントに戦闘機か【前編】
なんせ間に合わせなもんで

にほんブログ村 その他趣味ブログ 航空・飛行機へ
にほんブログ村

砂漠塗装のBeaufighter Mk1C初期型downsize
(砂漠塗装のBeaufighter Mk1C初期型;出典の1つに掲載のカラー塗装図より)
地味機でもBeau(ボー)が好き♡
地味なヒコーキ、ボーファイター(Bristol Beaufighter)、愛称「Beau(ボー)」のマニアックな記事を前編/後編で書いてます。




ボーファイター実物のスケレトンモデルこれは夜戦NFIF型(RAF博物館)downsize
(ボーファイター実物のスケレトンモデル、夜戦IF型;RAF博物館(再掲))
ボーファイターの解剖標本ありますよ
ロンドンのRAF博物館(Royal Air Force Museum)にはBeau (Bristol Beaufighter)の“解剖標本”(実物スケルトン)があります。また、ケンブリッジ郊外IWM博物館にはリストア中のボーが間近に見られるステキな展示があります。

ブレニム一家の家系図です
(ブレニム一家の家系図です)
アンニュイな斜陽ブレニム一族
ブリストル社のブリテンファースト(ノーテンキな大戦間では話題になった)に始まりブリガンド(誰も知らない戦後の地味機)で終焉したブレニム一族は、まるでアガサ・クリスティーの「名探偵ポアロ」に登場する落ち目の貴族のように、栄光の残影を斜陽が映すような開発史です。
ブレニム一族の過去記事↓
「イギリスが一番」は遠い日の夢 ブレニム一家の「風立ちぬ」

この角度が一番逞しいBeauことボーファイター(RAF博物館)downsize
(この角度が一番逞しいBeauことボーファイター;RAF博物館(再掲))
そもそもBeauって本当に戦闘機なの?
Beau(ボー)の前身は陸上雷撃機ボーフォート(Beaufort)なもんで、果たして「戦闘機なの?」という性能域でしたが、強力なエンジン(空冷1700馬力ハーキュリーズ(Bristol Hercules)双発)、レーダーも魚雷も3人目のお客も積めるタフで余裕のある構造、強力な武装(20mm機関砲4門+7.7mm機銃6丁)など厳しい環境では頼りになるヒコーキだったようです。

ボーファイターの前身ボーフォートRAF博物館のツインワスプ装備のII型downsize
(ボーファイターの前身ボーフォートII型;RAF博物館(再掲)
安易な式【ボーフォート+ファイター(戦闘機)=ボーファイター】
大戦前夜1938年ブリストル社のボーフォート雷撃機(Bristol Beaufort)が初飛行しますが、同時に同社Frise主任設計者(Chief Designer)、Faddonらはボーフォートの主翼、尾部、主脚を流用した20mm機関砲装備の戦闘機を提案します。ボーフォートのファイター(Beaufort Fighter)だから“Beaufighter“(ボーファイター)と言う名前で、構想もネーミングも安易なの。

初の本格的レーダー夜戦Beaufighter iF downsize
(初の本格的レーダー夜戦Beaufighter 1F)
“Stop-gap”(間に合わせ)なのにトントン拍子で開発へ
この頃「新戦闘機は20mm機関砲装備のこと」が政府方針、戦争も間近と風雲急、ブリストル社は「6-8か月で作ります」と言ってるし、「じゃ、ちょうどいい」”stop-gap”=「間に合わせ」として「ボーファイター構想」はとんとん拍子に承認され実現しました(ブリストルは商売上手ですね)。
レーダーには日本人の研究が貢献という過去記事はこれです↓
対艦レーダー、TVアンテナ、電子レンジ、日本人の先駆研究の贈り物


いかにもパワフルなハーキュリーズエンジンP1010147downsize
(いかにもパワフルなハーキュリーズエンジン;IWM博物館(再掲)
Beau(ボー)の強心臓、パワフル“ハーキュリーズ”
Beau(ボー)の心臓、エンジンは言わずと知れたハーキュリーズ(Bristol Hercules)1700馬力双発。タフで、パワフルで、実用的なエンジンですが、摺動弁と言うヘンなギミックも入っています。

構想わずか半年できっちり初飛行、ブリストル律儀
実際ボーファイター試作機は提案後わずか6か月後の1939年7月に早くも初飛行します。ボーファイターの心臓、ハーキュリーズ・エンジンも当初はトラブル続き、それにこのバカデカイ双発戦闘機は一体何に使えるのやら・・・。

スケルトンBeauの横顔downsize
(スケルトンBeau(ボー)の横顔;RAF博物館)
大きい、パワフル、重武装って夜戦にぴったり!
やがて戦況が答えを出します。折しもバトルオブブリテンで敗れた独空軍が英本土夜間空襲に切り替えた1940年冬、余裕のある大きな胴体、強力なエンジン、重武装って「レーダー装備夜間戦闘機」にぴったりじゃん・・・と。その頃RAFの夜戦はブレニム1FにデファイアントNF1とかタービンライト(ハボックが照らしてハリケーンが撃つ)みたいなキワモノしかなかったし。

初の本格的なレーダー夜間迎撃戦闘機、Beau(ボー)
こうしてレーダー網のGCS(Ground Control System)と組み合す世界に先駆けた本格的な「レーダー装備本格夜間迎撃戦闘機」ボーファイター1Fが誕生、やがて独空軍の夜襲は行き詰まり下火になりました。

RS07もう生唾ものBeauのコックピットクローズアップP1010143downsize
(もう生唾ものBeau(ボー)のコックピットクローズアップ;IWM博物館(再掲))
Beau(ボー)を駆った「猫の目」はネコが苦手
有名なエース”Cat’s Eyes”ことカニンガム少佐(Wing Commander John Cunningham)などが乗りBeau(ボー)の英本土での総撃墜数はモスキートより多いそうです。当時レーダーは極秘、「めちゃ目がいいから闇の中の敵機を墜とせた」のうわさから”Cat’s Eyes”と呼ばれたエース、カニンガム少佐ですが、猫嫌いだったそうで・・・。

双発戦闘機の武装
(双発戦闘機の武装)
航法士も転げまわる“九十九式双発複戦”の重武装
Beau(ボー)の20mm機関砲4門、7.7mm機銃6丁は当時(1940年)の双発戦闘機たちと比較してとんでもない重武装でした、“九十九式双発複戦”のくせに。それはいいのですが、当初20mm機関砲の弾倉はドラム式、戦闘中に航法士は機内を転げまわりながらドラムを取り換えるヒドイ目にあったそうです(さすがにすぐベルト式になりましたが)。

双発戦闘機の寸法
(双発戦闘機の寸法)
出自がバレます、Beau(ボー)のデカイ寸法
1940年前後デビューの双発戦闘機たちと比べてやっぱりBeau(ボー)はデカイ!(ま、大戦後期のP-61は化け物みたいにデカイけど)。寸法的には出自が同じく軽爆だったモスキートが近いので、基本の設計コンセプトが表れてますね。

双発戦闘機の自重とパワー
(双発戦闘機の自重とパワー)
パワフルBeau(ボー)、パワーこそ双発戦闘機の命
“パワー”つまりエンジン馬力こそ双発戦闘機のアドバンテージにしてキモです、メタボじゃなきゃですが。ホーネット、P-61やF7Fなど後の2000馬力級双発は別として、他と比べると当時のBeau(ボー)はパワフルだったことが分かります、でも重い。VI型以降、運動性はとっととあきらめ、安定性を高めるために水平尾翼に上反角をつけたくらいですから。


双発戦闘機の最高速度と航続距離
(双発戦闘機の最高速度と航続距離)
速度まぁまぁで長い足、これって攻撃機スペックでしょ
Beau(ボー)の最高速度はまぁ合格というレベル、同期のホワールウィンドと比べても見劣り。でも“足”(航続距離)は十分長い。重武装とも併せて、Beau(ボー)は戦闘機というより長距離攻撃機という性能域・・・。
ほら、やっぱり「君は戦闘機なのか?」。

後編に続きます・・・。


出典: “The Strike Wings” 1995年 Roy Conyers Nesbit氏著 (HMSO出版) (復刻版、初版は1984年)
出典: “The Armed Rovers” 1995年 Roy Conyers Nesbit氏著 (Airlife Publishing出版) (復刻版、初版は1984年)
出典: “The Strike Wings” 1995年 Roy Conyers Nesbit氏著 (HMSO出版)
出典: “The Bristol Beaufighter” 2002年 Richard A. Franks氏著 (SAM Publications出版)
出典: “Beaufighter Squadrons in Focus” 2001年 Simon W. Parry氏著 (RED KITE 出版)
出典: “Beaufighter in action” Jerry Scutts氏著 Aircraft Number 153 (squadron/signal publications出版)
出典: ウキペディア記事「ブリストル ボーファイター (Bristol Beaufighter)」(リンクなし)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AB_%E3%83%9C%E3%83%BC%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%82%BF%E3%83%BC


↓良かったらクリックをお願いします
にほんブログ村 科学ブログへ
にほんブログ村
スポンサーサイト

テーマ : パリ、フランス - ジャンル : 海外情報

コメント

Re: No title

エヌエフ様いつもありがとうございます。ウン10年前エアフィックス社のボーファイターのプラモを初めて作ったとき「デカイし太い!」と思いました。確かに、ボーファイターって安易な由来と言い面白い名前ですね。

> ブリストルボーファイター・・・ 少年時代に初めてこの機の名前を知ったとき、その響きが何となく面白くて記憶に残りました。
> ファイターにしてはとても大柄で、とんでもない重武装にびっくり!
> 今回あらためて勉強させていただきました!

No title

ブリストルボーファイター・・・ 少年時代に初めてこの機の名前を知ったとき、その響きが何となく面白くて記憶に残りました。
ファイターにしてはとても大柄で、とんでもない重武装にびっくり!
今回あらためて勉強させていただきました!
コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する