究極の折り畳み技グラマンF4Fの1回ひねり後方閉じ

究極の折り畳み技グラマンF4Fの1回ひねり後方閉じ
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牧羊猫がオオカミとコンドルを退治downsize
(牧羊猫がオオカミとコンドルを退治;再掲)

懲りずにF4Fワイルドキャットのお話し。F4Fの過去記事↓
狼を追うイワツバメ大西洋のマートレット




アメリカ機械学会から表彰されたヤマネコF4F
米国グラマン(Grumman)社製F4Fワイルドキャット(Wildcatヤマネコのこと)(英国ではマートレット(Martlet)イワツバメのこと)艦上戦闘機の主翼折り畳みメカニズム、”STO-Wing”が70年近い時を経た2006年にアメリカ機械学会(ASME、American Society of Mechanical Engineers)の”Historic Mechanical Engineering Landmark”(「機械工学歴史的足跡」みたいなこと?) に選ばれたそうです。

飛行ショーに向け離陸準備のマートレットdownsize
(飛行ショーに向け離陸準備中、F4Fワイルドキャットの輸出型マートレット(再掲)
独創的な“1回ひねり後方閉じ”「STO-Wing」
F4F、F6F、TBFの「主翼“横1回ひねり後方閉じ”折り畳みギミック」、「STO-Wing」は開発当初からあったものではなく、英海軍と米海軍のニーズに合わせて1940年にグラマン社が開発した画期的、独創的な翼折り畳みのギミックです。今回のフォト、イラストの一部は過去記事のものの再掲載です。

F4F折り畳み翼説明REVdownsize
(F4Fの折り畳み翼、STO-Wingのギミック)
輸出売込み「丸まってくれるかわいいネコはいかが?」
ワイルドキャット(ヤマネコ)はSTO-Wingを畳むととてもコンパクト、これで英国に売り込もう!
F4Fの本を読んでいたらグラマン社お得意のSTO-Wingはイギリスに買ってもらいたくて格納庫が狭いFAA(英国艦隊航空隊、Fleet Air Arm)の空母にも載せられるようにしたのが事始めと書いてありました、ホント?


海鳥が羽を休めているようなFerte AlaisエアショーのAvenger downsize
(海鳥が羽を休めているようなTBFアベンジャー;パリ郊外Ferte Alaisエアショー(再掲))
ピボットで「1回ひねり後方閉じ」、幅は3分の1に
STO-Wingの“ミソ”は翼ひねり回転の軸となるピボット(旋回軸、pivot)でシンプル、頑丈にして軽量、そしてヒコーキの横幅を1/3にまで(11.5m→4.4m)縮めることが出来ます。STO-Wingのコンセプトはジェット時代のホークアイにも受け継がれています。

このアングルがいいFerte Alaisエアショーのフランス海軍F4U7近景downsize
(このアングルがステキ♡八の字畳みのフランス海軍F4U-7;Ferte Alaisエアショー(再掲))
海鳥が翼を畳むようにコンパクトなグラマン機
名手ノースロップ基本設計のSBDドーントレスでも、同じく天才、堀越二郎のゼロ戦も、翼は畳まないか、ちょっと畳む程度、F4Uコルセアは丹治な八の字畳み。一方、F4Fは、まるで海鳥が羽を閉じるように、翼を80度ほどひねってコンパクトに畳みます。エアショーで実物に会うとF6F、TBFなどグラマン機は結構デカイけど翼を畳むとアレまぁ!とてもコンパクトになっちゃう。やっぱり優れたギミックです。
F4Fも出演、パリ郊外Ferte-Alaisエアショーの過去記事です↓(クリックで飛びます)
1年生が乗ります練習機は安心安定のデザインでなきゃT-6テキサン
金色の蛾が作るトモダチの輪: Ferete Alaisエアショー その2
パリ郊外草っぱらのエアショーはの~んびり: Ferete Alaisエアショー その1


アルバコア折り畳み翼説明REVdownsize
(FAAアルバコアの折り畳み翼、畳むと蛾みたい)
フェアリー社も後方折り畳みが大好き♡
そのF4F折り畳み翼のヒントがソードフィッシュじゃないだろうか?と言うわけです。なるほどFAA機の老舗、フェアリー社製品、複葉のソードフィッシュ、アルバコアは主翼をまとめて後ろに90度折るととてもコンパクトになる仕掛け。

折りたたんだら前面面積がとても小さいCanadian Aviation MuseumのSwordfish downsize
(折り畳むと前面面積がとても小さいスォードフィッシュ;Canadian Aviation Museum(再掲))
フェアリー社艦上機折り畳みの個性的な進化
続く単葉艦上機のフルマーは「袖(フラップ)はね上げ水平後方閉じひねりなし」式に、同じメカのバーラクーダになると“表現ムリ!”な姿態に、ファイアーフライでやっとまともな「1回ひねり後方閉じ」式、だけどF4Fとは上下が違う畳みかたです。

参考にしたと思えないバーラの摩訶不思議ギミック
グラマンは終始一貫、シンプルで頑丈なSTO-Wingなのにフェアリーは“個性的な進化”です。本当にどちらかがどちらかを参考にしたんだろうか?バーラクーダの摩訶不思議な折り畳みギミックを見る限りそれはなさそうな気がするのです。

くつろぐマートレットとオジさんFerte AlaisエアショーREVdownsize
(くつろぐマートレットとオジさん;Ferte Alaisエアショー)
グラマンさん、新鋭機はかさばるので畳んでください
敗戦で行き場のないフランス発注分のG-36(F4F輸出型)をMartlet Ⅰとして引き取りF4F最初の運用者となった英海軍航空隊(FAA)は自国分の発注に際してグラマン社に「翼を折り畳む」ことを要求しました。だって、英空母のエレベーターも格納庫も狭くて近代的な艦上機はかさばって困るんだもん!

F6Fを間近で眺めるお兄さんFerte AlaisエアショーREVdownsize
(F6Fを間近で眺めるお兄さん;だからFerte Alaisエアショーは楽しい)
紙とクリップとヒラメキで生まれたSTO-Wing
1940年3月頃のFAA要望に応えグラマン社創始者Roy Grumman氏たちは紙とクリップを使って突貫作業の試行錯誤の末、画期的な「1回ひねり後方閉じ」メカ、STO-Wingを発明、初の折り畳み翼G-36B(F4F英国輸出型)はMartlet Ⅱとして1940年10月初飛行しました(納品は1941年半ば)。

翼をゆっくり広げるA-1スカイレーダーFerte AlaisエアショーREVdownsize
(翼をゆっくり広げるA-1スカイレーダー;Ferte Alaisエアショー)
米英海軍が熱望した翼折り畳み型F4F-4
コンピュータなどない紙と鉛筆と計算尺の時代、天才のヒラメキが冴える。現在のIT・バイオベンチャーのような進取の気概と情熱を感じますね。
一方、米海軍の方でも折り畳み翼のニーズがありグラマン社は同じくSTO-Wingで応え、これがF4Fの本格的な実用型、F4F-4として1941年4月に初飛行しています。

STO-Wingのイワツバメが海上護衛戦を変えた
STO-Wing初装備のF4F英国型のMartlet Ⅱ(イワツバメ)は、これまた初の商船改造護衛空母オーダシティに就役、わずか数機のMartlet Ⅱが、同艦の短い生涯の間にFW200を数機撃墜、複数のUボート撃沈に導き船団をほぼ無傷に護り通し、護衛空母とその搭載機の有効性を立証しました。これを機に戦いの流れは大きく変わってゆきました。

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“数的劣勢?”が心配、米海軍折り畳みを要望
米海軍要求は英海軍のマネじゃなくて、開戦前夜当時の米海軍が「太平洋上の空母勢力の日米比は10隻対3隻で数的に劣勢」と危惧、空母搭載機数を増やす喫緊のニーズからだったそうです(アメリカが数的劣勢ってウソだろう!)

爆買いで駄作っ機海を渡る
第2次大戦前夜の風雲急を告げる1930年代、ナチス軍備膨張に慌てた英仏は共同で米国に“ヒコーキ爆買い“チームを派遣します(結果、さまざまな駄作っ機が海を渡りましたが・・)。その中でハドソンやカタリナなどと並んでお買い得だったのがマートレットことF4Fです。それにロッキード社ハドソンと同じく英仏からのG-36(F4F輸出型)大量発注はグラマン社の追い風になったようです。

グラマン鉄工所製品なら5割増以上積み込める
やがてF6Fが主力機となりF4Fは小型護衛空母専用となり大西洋では米英海軍のUボート狩り”Hunter Killer Group“として活躍、終戦時まで生産が続きました。
F4FのSTO-WingはF6F、TBFにも継承されこれらグラマン艦上機の折り畳み翼のおかげで空母搭載機数が5割以上増えたそうです。


艦上機折り畳み翼の系統分類
艦上機の主翼折り畳み機構はザックリ分けて、①水平折り畳み式(スウォードフィッシュ、フルマー)、②上方折り畳み式(F4U、シーフュリー、F9F、シーホーク)、③後方折り畳み式(F4F、F6F、TBF、ファイアーフライ)、④二段折り畳み式(シーファイアー、ガネット)のような種類があるそうです。

細かいことは気にしないのがグラマン流
ところでF4FもTBFもグラマン社の設計は結構荒っぽいのです。F4Fの主輪格納箇所は向こうが丸見えのスカスカ構造で艦上で強風に煽られたらどうするんだろう?F4Fの翼下には小さなフシギな窓がありますが、これは空中で上から敵機に爆弾を落とす照準の窓です(当たるのか??)。TBFも動力旋回砲塔は進んだ装備ですが、メインキャノピーとの間はやっぱりスカスカで風通しが良すぎます。芸術品のようなゼロ戦とは大違い。

明確なニーズ、斬新なコンセプト、高い実用性が成功の鍵
コンセプトが斬新で、用途と運用形態が明確なら、手堅いエンジンと頑丈で生産性の高い機体構造こそ大事。たとえ素っ気のない真っ四角の翼でも、スマートな機体じゃなくてもいいんだい!・・と設計のキーのポイントを押さえたグラマン機はやっぱり傑作機たちです。

出典:世界の傑作機(Famous Airplanes of the World) No68 「グラマンF4Fワイルドキャット(Gruman F4F Wildcat)」(1998年、文林堂)
出典: ASME (American Society of Mechanical Engineers、アメリカ機械学会)記事“Wing-folding Mechanism of the Grumman Wildcat” https://www.asme.org/getmedia/2d64abc8-3fa3-4d29-92d4-40db4777e8b2/238-Grumman-Wildcat-Sto-Wing-Wing-folding-Mechanism.aspx (リンクなし)
出典: 第二次大戦文庫23巻「空母」”Aircraft Carrier”
出典: “F4F Wildcat In Action” (Aircraft Number 84) Don Linn氏著 (Squadron/signal publications, Inc.)
出典: Wiki/JPN「折り畳み翼」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%8A%98%E3%82%8A%E7%95%B3%E3%81%BF%E7%BF%BC (リンクなし)
出典: “GRUMMAN F4F MARTLET” (ARMOURED AIRCRAFT CARRIERS IN WORLD WAR II)
http://www.armouredcarriers.com/grumman-f4f-martlet-development/ (リンクなし)


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テーマ : パリ、フランス - ジャンル : 海外情報

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