脳の中のカーナビが個人史を作る(場所細胞とグリッド細胞)+南仏マントン再び

脳の中のカーナビが個人史を作る(場所細胞とグリッド細胞)+南仏マントン再び

海外で活動、活躍される方々の身にまた理不尽な悲しい事件がダッカで起こってしまいました。心よりお悔やみを申し上げます。ひとたび日本を出れば、皆、その地域、そこの人々のお役に立ちたいと思っておられたと思います、3年間のパリで肌身に感じたこととして。ご冥福をお祈り申し上げます。Levalloisbee

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★海岸から旧市街を望むdownsize
(南仏マントン、海岸から旧市街を望む)
脳内カーナビがノーベル賞
ちょっと前2014年にJohn O’Keefe氏、May-Britt Moser氏、Edward I. Moser氏は脳内のGPS、あるいはカーナビのように働く「場所細胞(place cell)」「グリッド細胞(grid cell)」の発見などでノーベル賞(生理学・医学賞)を受賞しました。受賞の両Moser氏の解説記事(出典)が分かり易いので書いてみた脳内カーナビのサイエンス小ネタで、
この過去記事の続編でもあります↓(クリックで飛びます)

ナビには欠かせません脳の中のスピードメーター プロペラ四発機B17やB24




脳内地図とGPS方位磁針速度計時計でナビる

(脳内地図とGPS、方位磁針、速度計、時計でナビる)
思い出はエピソード記憶、「いつどこで誰と何を」
記憶にはザックリ分けて宣言記憶と手続き記憶(今でも自転車乗れます)があり、宣言記憶には意味記憶(これはリンゴです)とエピソード記憶(いつどこで誰と何をした)があります。旅の思い出などは典型的なエピソード記憶です。

※アラビア風噴水downsize
(アラビア風の噴水)
光あふれる南仏マントン街歩きが蘇る
旅の思い出は“場所”と“距離”と“時間”を伴って蘇ります。まだご紹介していないものも含めて南仏マントンのフォトを添えています。
マトントンの過去記事はこれです↓
コートダジュールではイタリアンを、マントン再訪紀続編
紺碧のコートダジュールを抜け再びの国境の街マントンへ・・
ピンクに染まるマントンの街はアラビアの香り: コートダジュール旅行紀


★南仏らしいキュートな市役所downsize
(南仏らしいキュートなマントンの市役所)
脳のタツノオトシゴが編む個人史
「いつどこで何をした」と言うエピソード記憶は時間的、空間的に編集された自伝的記憶です。脳の底の真ん中の“タツノオトシゴ“みたいな「海馬(hippocampus)」が感覚や行動の情報からエピソード記憶を編むことでその人の「個人史」を作ってゆくらしいのです。
タツノオトシゴ、海馬と夢の関係の過去記事はこれ↓
夢と記憶の妖しい関係 + 光と影が曖昧な晩秋パリ、バスティーユ

★浜辺のレストランはピンクのテラス席REVdownsie
(浜辺のレストランはピンクのテラス席で楽しそう)
ナビなしでは飢えるか、喰われるだけ
「カンブリア爆発」で“喰う、喰われる”が始まると動物は「餌を探す」、「追う」、「餌にならないよう逃げる」、でも「巣にも戻らねば・・」と移動します。それには「今どこに居て、これからどこに向かうか」“ナビが必要です、でなきゃ喰われるか飢えるだけだもん。


※黄色い陶器屋downsize
(黄色い陶器屋さんにまた立ち寄ってしまった)
ミッキーのGPSは虫とは違うんだい!
単純な線虫C.eleganceの移動は餌(の臭い)の濃度勾配を遡るだけですが、ラットは嗅内皮質(entorhinal cortex)と海馬の脳内GPSの働きで迷いつつも遠回りで辿った目的地(餌場など)から最短経路で(巣などに)帰ります。これが線虫にはできないけどラットやヒト(哺乳類)に出来るワザです。
脳内ナビの細胞たちはネズミ君(げっ歯類)で見つかりましたが、私たちヒトにもあると考えられるようです。


★白いキャンバスの屋根がまぶしいレストランdownsize
(白いキャンバス屋根がまぶしいマリーナ沿いのレストラン)
生活圏のそれぞれの場所を認識する脳細胞
1971年にJohn O’Keefe氏とJonarthan Dostrovsky氏はネズミ君(ラット)の海馬(のCA1野)に環境中の特定の場所(場所受容野(place field))に来たときだけ発火する(活動する)「場所細胞」を発見しました。

※海を遠望するレストランの明るいテラスdownsize
(海を遠望するレストランの明るいテラス)
記憶に場所のラベルをつける「場所細胞」
例えば、「駅を出てコンビニを過ぎ信号を渡る・・」と“駅”、“コンビニ”、“交差点”の場所細胞が次々発火して歩いた道順が記憶されます。場所細胞は記憶に特定の場所のラベルをつける役割をしているようです。

※青い魚の釣具屋downsize
(青い魚の釣具屋さん)
脳内GPSをのぞいてミッキーの行動を暴く
エピソード記憶に位置情報の味付けをする場所細胞はラットが睡眠中でも発火します。Wilson氏らの研究によると夢の中でその日の移動の“録画再生”を観察できるそうで、まるで犯人の動きを追うようにラットの移動した軌跡を垣間見ることもできるんですって!

★旧市街の丘の上のサンミシェル教会downsize
(マントン旧市街、丘の上のサンミシェル教会)
何が場所細胞に現在地を教えているのか?
場所細胞は感覚や運動の情報には頼らない環境中の特定の場所(場所受容野)だけに反応する内的な知覚だそうです。すると次に「何が場所細胞に現在地情報を教えているの?」と謎が出てきます。

★朝の海岸通りは静かにまぶしいREVdownsize
(朝の海岸通りは静かにまぶしい)
仮想の升目で移動を追う「グリッド細胞」を発見
2005年May-Britt Moser氏とEdward I. Moser氏は海馬を含む海馬体(hippocampal formation)の一部で海馬に隣接する嗅内皮質に海馬の場所細胞に位置情報をリアルタイムで伝える(シナプス入力がある)「グリッド細胞」を発見しました。

★旧市街の迷路のような石段downsize
(旧市街は迷路のような石段が続く)
グリッド細胞は現在位置を伝える脳内GPS
観光地図の升目を頼りに「レストラン○○は2-b」などと探しますが、脳内には仮想の六角升目があり移動すると脳内地図の升目の角=格子点が移り対応するグリッド細胞が発火して海馬に刻々「現在位置」と「移動の軌跡」を伝えます。グリッド細胞は脳内GPSです。

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五感に頼らないGPS、グリッド細胞
目を閉じていても部屋のどこに移動したかが分かるように、グリッド細胞も五感(視覚、聴覚、触覚など)や体性感覚に依らず、純粋に移動の軌跡を“ナビして”追う脳内GPSであるようです。

脳内の地図、速度計、方位磁針、ストップウォッチでナビる
じゃ、どうやって移動した軌跡が分かるのか?「グリッド細胞」とともに脳内の“速度計”、“方位磁針”、“時計“が働くことで時々刻々の現在位置の軌跡を脳内地図上で追ってゆくらしいのです。これはヒコーキの航法Dead Reckoningと同じですね。
トリとヒコーキの磁気ナビのお話しの過去記事はこれです↓
光で方角を知るフシギな磁気感覚 ナビで飛んだ古典機

脳内方位磁針と脳内速度計の発見
1990年代前半にJames B. Rank氏とJeffery . Taube氏は頭が向いている方位(東西南北)に対応して発火する「頭方位細胞(head direction cell)」;つまり脳内の方位磁石を、やはり海馬体の一部で海馬の隣り「前海馬台(presubiculum)」に発見しました。
更に昨年(2015年)、グリッド細胞発見者May-Britt Moser氏とEdward I. Moser氏が再び移動速度に応じて発火する「スピード細胞(speed cell)」を発見しました。

前述の過去記事でご紹介しています↓
ナビには欠かせません脳の中のスピードメーター プロペラ四発機B17やB24

[距離=速度×時間]と方角(ベクトル)→移動の軌跡(の微分)
これらと体内時計を組み合せると方向と走行距離が出ます。これらの情報が「場所細胞」に提供されれば脳内地図に移動の軌跡が描けるというわけです。場所細胞は場所だけでなく方向(頭の)と速度に反応します(加速度が変わる)。
ちなみに体内時計はあらゆる細胞にありますが全体を統べる“ビッグベン“は脳の視交叉上核にあります。また、海馬には時間経過を”感じる“時計細胞(time cell)もあるそうです。


脳内GPS細胞ハンターの研究者
このノーベル賞受賞者、両Moser氏はこのほかに壁など環境中の境界を知覚する「境界細胞(Boundary cells)」も提唱していてすごいコンビですね。

出典:日経サイエンス2016年6月号特集「脳内GPS」/P.32「空間認識のカギを握るグリッド細胞」May-Britt Moser氏、Edward I. Moser氏執筆(原典:Scientific American 2016年1月”Where Am I? Where Am I Going?”)
出典:日経サイエンス2016年6月号特集「脳内GPS」/P.42「脳内マトリックスの衝撃」James J. Knierim氏執筆 (原典:Scientific American 2007年6月/7月”The Matrix In Your Head”)
出典:natureダイジェスト2015年9月号P.6「『速度計』ニューロンがラットの脳で見つかった」 “Speedometer neurons discovered in rat brains” Alison Abbott氏執筆
出典: 「きょうの日経サイエンス」2014年10月7日「2014年ノーベル生理学・医学賞:空間を把握する脳のメカニズムを解明した3氏に」(リンク貼ってます)
以下リンクは貼っていません、ご覧になるときはURLをコピペしてください
出典: 脳科学辞典「場所細胞」https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E5%A0%B4%E6%89%80%E7%B4%B0%E8%83%9E
出典: ウキペディア記事「海馬(脳)」 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B5%B7%E9%A6%AC_(%E8%84%B3)
出典: 脳科学辞典「海馬」https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E6%B5%B7%E9%A6%AC
出典: ウキペディア記事「海馬体」https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B5%B7%E9%A6%AC%E4%BD%93


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テーマ : パリ、フランス - ジャンル : 海外情報

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