豊かな日本の自然を育む日本海は気候変動のカナリアです

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オレンジ色に染まるワイキキの日暮れREVdownsize
(オレンジ色に染まるワイキキの日暮れ)
このフォトの過去記事→
静かなワイキキ、冬のハワイ、海洋島を目指した冒険
朝夕が美しいサイパン、ワイキキの海辺
日本海のお話しですが、最近日本海沿岸に行ったことがなく、代わりに太平洋に浮かぶサイパン島、オアフ島ワイキキの海辺のフォトを添えます(すべて再掲)。




サンゴのかけらで出来たサイパンの砂浜は真っ白downsize
(サンゴのかけらで出来たサイパンの砂浜は真っ白でまぶしい)
このフォトの過去記事→
集まったり別れたりふしぎな砂の物語 + サイパンビーチ寸景
ユニークな海「縁海」
日本海をはじめ、オホーツク海、黄海、東シナ海、南シナ海など太平洋西岸に連なる島弧に囲われた海は「縁海」と呼ばれ大洋とは半ば独立した海です。プレート沈み込み帯に沿って連なる、日本列島などの島弧が区切っている海です。
日本海誕生の過去記事はこれです↓(クリックで飛びます)
お餅でシミュレーションする日本海の作り方+北仏オンフルール番外編

出入り口が狭く浅い日本海
(出入り口が狭く浅い日本海)
出入り口が浅く独立性が強い日本海
縁海の中でも日本海はとても変わっていて、外洋並みに水深が深く、その割には対馬、津軽、宗谷、間宮など出入り口の海峡はいずれも浅くて「閉鎖系」に近い海です。

夕焼けのサイパンの海を船が行くdownsize
(夕焼けのサイパンの海を船が行く)
このフォトの過去記事→
南極の孤立と生物地理学の冒険者たち サイパンの浜辺
命溢れる日本海の深海
同じような閉鎖系の内海に黒海がありますがその深層は無酸素の「死の海」です。一方、日本海の深層は太平洋よりも酸素が豊かで「命あふれる深海」です。タラバガニにホタルイカ・・おいしいですよね。

海洋大循環
(「海洋大循環」;ウキペディア(英語)記事”Thermohaline circulation”図”The global conveyor belt on a continuous-ocean map”に加筆)
2000年をかけ地球を一周「海のベルトコンベア」
グローバルコンベアーベルト(global conveyor belt)と呼ばれる「海洋大循環」は北大西洋と南氷洋で表層水が沈み込み、2000年をかけて地球全体にまたがる深海を流れてやがて北太平洋で深層水が沸き上がる雄大で全球的な海水の大循環です。

日本海のミニ海水循環
(日本海のミニ海水循環)
日本海のミニチュア版ベルトコンベア
日本海のもう一つの、そして今注目の特徴が日本海には地球規模の「海洋大循環」ベルトコンベアのミニチュア版があることです。塩分が濃い温かい黒潮の分流、対馬暖流がシベリアのウラジオストック辺りまで北上すると、「冬将軍」シベリア高気圧からの寒冷な風で急冷されて日本海の深い底へと沈み込みます。

海の幸を育む日本海ベルトコンベア
これが駆動エンジンとなって日本海全体の表層と深層で海水の循環が起こり、深海には酸素を、表層に栄養分を運び、その結果、日本海の海の恵みが育まれます。

ピンクホテルことThe Royal Hawaiian downsize
(ピンクホテルことThe Royal Hawaiian 以前泊まった、中の装飾や調度もピンク!)
地球の気候を左右する「海洋大循環」
今、人為的地球温暖化による気候変動危機が全世界的な心配事になっています。地球の気候の大きな影響を及ぼしてきた「海洋大循環」がこれからどうなってゆくのかを知ることははとても大切なことです。でも1周が2000年もかかる大循環から気候変動の予兆を読み取るのは至難の技です。

海を渡ったご先祖さまたちREV
(海を渡ったご先祖さまたち(再掲)
早送りで地球の未来を垣間見る
一方、日本海では同じ原理(熱塩循環)で駆動されるベルトコンベアが100-200年で1周と1/10スケールです。そこで優れたモデルとして日本海のミニチュアベルトコンベアが注目されているそうです。寿命数10年のヒトの健康のモデルとして寿命2年以下のネズミ君がモデル動物として研究に貢献しているように。
日本海が湖になりかけた頃日本にご先祖が渡来した過去記事はここをクリック↓
アフリカを出て袂を分かった兄弟姉妹が日本で再会 石垣ダイブ再び

塩分、海水温、風が駆動するベルトコンベア
「海洋大循環」は塩分が高く温かい表層水が寒冷な高緯度で急冷されて重くなり深海に沈み込む「熱塩循環」(Thermohaline circulation、THC)と風が起こす「風成循環」の2つにより駆動するとされています。
海洋大循環のエンジンの1つ「熱塩循環」を弱める原因は、①十分に塩分の高い表層水が沈み込みの海域まで届かないか、あるいは、②沈み込むべき海域の風で十分に冷やされないか、です。


サイパン島は海洋島浜辺に生えるのは流れ着いたヤシの木downsize
(サイパン島は「海洋島」です。浜辺に生えるのは流れ着いたヤシの木)
日本海は地球の気候の危機を告げるカナリア
人為的地球温暖化でシベリア寒気団が弱まれば、ウラジオストク沖の沈み込みによる日本海ベルトコンベアの駆動力は低下します。もしもそうなら、同じことが世界の海を巡り現在の地球の気候を支える大ベルトコンベア「海洋大循環」にも起こります、もっとゆっくり、はるかに大規模に、世界の人々の暮らしを根本から変える気候大変動を引き起こす、そしてそれは確実に。

日本海のかすかな警鐘に耳を澄ませる
ここ30年ほどの傾向として、ごくわずかな変化ですが、日本海深海の水温が上昇、酸素が減少し、酸性度が増したそうです(ここ30年で海水温は0.03℃上昇、溶存酸素は10%減少、pHは21年で0.06-0.07低下)。
もともと深海はものすごく環境が安定しているので小数点以下の変動でも大変なことでこれは日本海のコンベアベルトが停滞し始めている兆しで、世界の海で次に起こり得る大変動の兆しなのだそうです。


日本海の白黒縞模様
(日本海の白黒縞模様)
日本海の歴史は白黒縞模様
日本海の歴史を知るため長年海に降り積もる泥が層を成している海底の岩をボーリングして取り出してみると(コア試料)、きれいな白黒の縞模様だそうです。“白”は「豊かな海の時代」を、“黒”は「死の海の時代」を示すそうです。

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過去の記事リストは下のイラストをクリック ↓ (日本国内と南の島の記事は「ヨーロッパの話題」にまとめています)
パリの話題minisizeREVフランス街歩きminisizeREV
ヨーロッパの話題minisizeREV生き物とちきゅうのお話minisizeREV
ヒコーキの話minisizeREVグルメ話minisizeREV

【お知らせ】
過去記事リスト「生き物とちきゅうのお話」の記事が増えてきましたので、次の6つに仕分けしてみました。
仕分け名をクリック↓すればそれぞれのリストに飛びます。

human男の子REVヒトが歩んだ道、ヒトの進化と体の機能

brain虹色彩、視覚、夢のフシギと脳のしくみ

animalワンちゃん動物: ワンちゃん、海の生き物、石になった者

birdコガラ鳥、翼竜、空を征した者たち

flowerばらの花花や植物と虫たちの小さな世界

earth地球ちきゅうと気候、気象のかかわり
暗黒の死の世界もあった日本
日本海コア試料の白っぽい層は有機物がほとんど残っていない=海底の生き物が食べちゃった=海底も酸素豊富な「豊かな海」だったことを、一方、黒っぽい層は、有機物が残っている=分解する酸素も無く生き物もいなかった=黒海のような「死の海」だったことを、示すそうです。

浅い出入り口が閉じたり開いたり・・
2000万年前頃から氷期と間氷期が繰り返えされ、海水準が下がる氷期には日本海出入り口の浅い海峡は閉じたり、細くなったりして日本海はほぼ閉じた海になり熱塩循環が停止して深海の水が淀み「死の海底」になったそうです。

豊かな日本の自然を育んできた日本海
同時に海上では大量の水分が蒸発し、それはやがて雪雲となり北西風に乗って、日本アルプス、奥羽山脈など日本の背骨の山脈(脊梁山脈)にぶつかり日本海側に豪雪をもたらします。春、溶けた雪は清流に、また、山の地下水となって後期旧石器時代のご先祖日本渡来以来の豊かな森と稲作に必要な水源をもたらしてきました。

案外新しい日本海
日本海は太古の昔からある訳ではなく、ほんの2000~1500万年前頃出来た新しい海です。それが新しい豊かな新天地(出アフリカの現生人にとって)日本列島を併せて創りました(イザナギさんとイザナミさんが最初に作ったのは本当は淡路島じゃなくて日本海だったのかな?)。

絶妙な広さの日本海、絶妙な距離に日本列島
日本列島は、私たち日本人は、日本海など、稀有な地理的、気候的、歴史的(地球の)の幸運にいかに多くを恵まれているか、改めて思いますね。
著者の言葉を借りれば、日本海がもし今の1/10でも(大陸と近すぎる)、あるいは、10倍でも(大陸から遠すぎる)、日本の豊かな自然も、渡来人が融合した日本人も、独立した日本国も、独自の日本文化もなかっただろうと言うことだそうです。


「日本海」の名付け親は外国人
「日本海(Japan Sea)」と命名したのは日本人ではなく、ロシア人ともフランス人とも、その地政学的重要性に早くも気づいていたようです。その一方で昔の日本では単に「海」だったそうで・・・。

「環日本海」の視点から・・・
出典著者の蒲生俊敬氏も参画している日本海を探る研究プロジェクトは、図らずも日本海を取り巻く「環日本海諸国」、日本、韓国、ロシア、中国(+米国など)の研究者による国際研究プロジェクト「CREAMS(Circulation Research of the East Asian Marginal Seas)」です。
これから増々、世界の中の日本、地球の中の日本海、と言う視点が大切なようです。


日本海の恵みは海の幸、ロジスティックス、国土防衛、豊かな自然
日本海の恵みって何でしょう?今が旬のホタルイカなどおいしい海の幸とか。あるいは、蒸気船登場までの縄文から江戸時代に至る北前船など日本のロジスティクスの要だったとか。適度に大陸と日本を隔離し遣唐使など交易はしても文永・弘安の役で元寇など侵略も防いだとか、などありますが、日本海が冬の豪雪をもたらすことで豊かな森と枯れることのない河川湖沼を擁する日本の自然を育んできたことがとても大きな恵みです。

日本海がもたらした水源が日本刀を生む
シバさん(司馬遼太郎)は「街道をゆく7」/「砂鉄のみち」で、日本が遅ればせながら、日本刀や大工道具など優れた鉄器を庶民が使うほど潤沢に生産できたのは、禿山にすることさえ難しいほどの復元力がある、水尽きることのない森である(木炭が鉄を作るので)と指摘していますよね。

出典著書「日本海」REVdownsize
(今回の出典はブルーバックスの「日本海」)
ステキな“お手頃ブルーバックス”
今回記事の出典「日本海」は“お手頃ブルーバックス”ながら、著者蒲生俊敬氏の数10年に亘る海の研究への情熱と成果が凝縮された素晴らしい本です。僭越ながら読者の私が「ほー、なるほど」、「あ、そうか」と勝手に感じ入ったところを羅列していますが、ご興味あればぜひ書店で“ホンモノ”を手に取ってみてくださいね。

今回の出典:「日本海;その深層で起こっていること」2016年 蒲生俊敬氏著(講談社;BLUE BACKS)
参考の出典:「街道をゆく7;甲賀と伊賀のみち、砂鉄のみち」1979年、司馬遼太郎氏著(朝日新聞社;朝日文庫)
参考の出典: 「日本海はどう出来たか」2008年 能田成氏著(ナカニシヤ出版)


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テーマ : パリ、フランス - ジャンル : 海外情報

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