「メリ-ランドからバルティモアへ」アメリカ東部の旅ではありません

「メリ-ランドからバルティモアへ」アメリカ東部の旅ではありません
~技術革新前夜、1939年コンペの「双発軽爆」と言う“仇花たち” ~


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勝手にマニアックで長い記事です。イラスト、グラフとその脚注だけ読んで頂くのも良いかも?です。

北アフリカのマーチン兄弟
(自由フランス軍メリーランド、アフリカのチャドにて1942年3月;パリ航空雑誌に載っていた)
(RAF223中隊は北アフリカとイタリアでメリーランド→ボストン→バルティモアを使った;出典は”RAF Squadrons”)

不採用、余り物の行く先は大殊勲
??そうです、これは母国で不採用、で輸出したら余り物、拾われてやっと名前をもらったら、あらら・・大殊勲を立てちゃったヒコーキ、メリーランド(Maryland)とその弟分で律儀に、でも地味に働いたバルティモア(Baltimore)のお話しです。




軽爆の初飛行年比較
(軽爆の初飛行年比較; メリーランド、ボストン、B-25前身のNA-40は1939年コンペ同期生)
前夜の退廃にデビューした者たちの運命の岐路
大恐慌後の第二次大戦前夜の退廃と不穏の1930年代、技術革新前夜の試作機たちはやがてそれぞれの運命の分れ道へ、「双発軽爆」と言う“仇花たち”は旅立ちました。
メリーランドは相変わらず地味なバルティモアに、NA-40はベストセラーのB-25ミッチェルに、ボストンは遅まきながらA-26インベーダーに発展しました。

B-25ミッチェルの過去記事はここをクリックください↓
地味で便利なB25ミッチェル;レンドリースの翼たち その1

レンドリース北米の旅REV
(レンドリース北米の旅; メリーランドもバルティモア(ボルチモア)も北米の地名です)
レンドリースの翼は米国地名シリーズです
ところでレンドリースなどで米国からもらったヒコーキの英国名には米国地名、都市名シリーズがあります。メリーランド、バルティモア、ハドソン、ボストンの有名どころ、クリーブランド、バッファロー、チャサピークにちょっとはずれてバミューダの駄作っ機シリーズ、更にひょっとしてキティホークも???で、最後は首都ワシントンのB-29でした(いつか岡部いさくさんに解説してほしいな)。

パリのスーパーで買ったマニアックな航空雑誌
(パリのスーパーで買ったマニアックな航空雑誌、メリーランドが載ってた)
パリではスターのメリーランド
大戦前から戦後と、フランスの空軍は弱っちくて、ヒコーキも駄作っ機のオンパレード、なのにフランス人はヒコーキが大好きです。パリではスーパーマーケット(supermarche)でもヒコーキ雑誌を売っていました。記事は当然フランス機が中心ながらMartin 167、後のメリーランドも堂々スター扱いでした。なんせ1940年当時フランス空軍のまともな爆撃機はDB-7(後のA-20ボストン)とマーチン167(後のメリーランド)くらいだったもんで・・。

DB-7ビシー政府軍1940年秋モロッコdownsize
(ビシー政府軍のDB-7、多分手持ちでは最高性能の機体だったんでしょう)
米陸軍のワガママ、1939年5社競合試作
いつの日も政府は厚かましいもので、米国陸軍航空軍(United States Army Air Forces、AAF、後の米空軍(United States Air Force、USAF))は1939年に次期軽爆のコンペを試作費用は企業持ち、しかも期限付きで行いました。当時は大恐慌の直後、次の戦争の気配もないし、軍事費は圧縮。こんな厚かましいコンペでも5社もの競合試作になりました。

負けて輸出も結局は「余り物」に・・・
で、コンペの勝者は後のB-25(NA-62)の前身ノースアメリカンNA-40。ダグラスDB-7やマーチン167Fは残念、不採用。じゃ輸出しようか、とフランスに売るはずが、あっという間に敗けちゃって、作った分は「余り物」になりました(ところでベル社他の試作機は「駄作っ機」でした)。

拾われてやっと名前もらいました、東海岸つながりで
それでも「捨てる神あれば拾う神あり」とRAFに拾ってもらい、ようや
く名前ももらいました、DB-7は「ボストン」(後A-20)と、167Fは「メリーランド」と、なぜか米国東海岸つながりで。


エンジン馬力比較
(エンジン馬力; メリ-ランドもバルティモアも当時一流のパワー)
敗者一転、傑作機や殊勲機に・・・
ところが、ここで運命は一転。ボストンは夜間イントルーダーの草分けとして、メリーランドはタラント攻撃につながる偵察で大殊勲を立てました(地中海に回せる機体の中で一番航続距離が長いメリーランドが使われたらしい)。この他にも、スピード、リーチ、パンチ力、力強さ、経済性なども比べてみました(「続きを読む」に載せてます)
翼面過重の逆数
(翼面過重の逆数; 実はメリーランド、ずば抜けて軽快な軽爆だったんです!)

ご興味あれば「続きを読む」をクリックください↓

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最高速度
(最高速度; “Wooden Wonder”ことモスキートは別格としても名手E.ハイネマン設計のA-20ボストン/A-26インベーダーは快速軽爆として頭一つツン抜けてる)
タラント攻撃を成功に導くメリーランドの偵察行
イタリア南部タラント軍港をFAA(英国艦隊航空隊、Fleet Air Arm)が奇襲しイタリア艦隊をほぼ無力化したタラント攻撃は翌年の真珠湾攻撃のお手本になったとも言われていますが(英国人が勝手に言っている?)、その攻撃計画を成功に導いたのがイタリア艦隊のタラント集結を見つけたメリーランドの偵察飛行だったのです。

航続距離
(航続距離: 「足の長さ」だけならタラント偵察はブレニムでも良かったのでは?)
お仏蘭西流では使い辛くて・・・
タラント偵察などで思わぬ大殊勲を挙げたメリーランドですが、当初RAF(英国空軍、Royal Air Force)としては米国生まれのフランス仕様なので何かと使い辛い。そこで英国はメーカーのマーチン社に、この際エンジンをパワーアップ、戦訓とRAFの好みも取り入れたヴァージョンアップを要望し、出来上がったのがバルティモアなんです。

Wiki掲載Martin Baltimore RAF downsize
(バルティモアってハムデンとは他人の空似か; ウキペディア掲載の有名なフォトをお借りしています)
ハムデンをダルくした蛇の目っぽいバルティモア
だからバルティモアはアメリカ機のクセに妙に蛇の目っぽいヒコーキになりました、特に斜め上から見ると、丸っこくなってカドが取れたハムデン(Hampden)みたいな。

搭載量
(爆弾搭載量; メリーランドは当時の平均だけどバルティモアは進歩がないゾ)
米国航空機メーカーの救済策だった?
RAFのDB-7や167F採用の真相は、無理や無駄でも米国機を買わないと米国航空機メーカーが倒産するかも、すると米国からの飛行機調達が難しくなるかも、との高度な政治的判断だったようです。ボストンとメリーランドの活躍は「瓢箪から駒」の思わぬオマケなんです。

Power Mass比 馬力過重の逆数
(上昇力などに反映されるPower/Mass比=馬力過重の逆数; モスキートがダントツですが、メリーランドもなかなかのもの)
お仏蘭西ではマルタン・サン・ソワサン・セットか?
しかし、名無しでも、戦局を変えられないまでも、緒戦で仏空軍でもMartin167は、DB-7ともども善戦しました。これら少数の”Martin167”はフランス語読みで「マルタン・サン・ソワサン・セット」と呼ばれたのかな?今でもフランスではMartin 167は人気なんでしょうね。
乗員あたり搭載量
(乗員あたり爆弾搭載量=経済性; モスキート、インベーダー、Ju88がダントツ優れた武器。戦略的にはメリーランドと同期生たちは凡作か?)

【備考】この記事では各機種は以下の型式同士の比較です
メリーランド:Martin Model 167 Maryland Mk I
バルティモア:Martin 187 Baltimore GR.V
マローダー:Martin B-26G Marauder
ボストン: Douglas DB-7 A-20G Havoc (Boston IV)
インベーダー: Douglas A-26B Invader
NA-40:North American NA-40 (B-25(NA-62)の前身)
ミッチェル:North American NA-62 B-25J (Mitchell III)
ブレニム:Bristol Blenheim Mk IV
モスキート:de Havilland DH.98 Mosquito B Mk XVI
Ju88:Junkers Ju 88 A-4
九九式双軽:川崎キ-48 九九式双発軽爆撃機


出典: Aero Journal Hors-serie No6 “Le Bombardement Francais Tome II 1940/1945” (2004年3月)(フランス Aero-Editions International)
出典: “North American B-25 Mitchell” 2001年 Jerry Scutts氏著 (英国The Crowood Press)
出典: ウキペディア(和英)各種航空機記事


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