余り物には珍発明を、「間抜けな漁師のウィンピー」大活躍、Wellington GR Mk VIII

余り物には珍発明を、「間抜けな漁師のウィンピー」大活躍、
Wellington GR Mk VIII
“珍3大発明”+“余りもの中古機”+“怪我の功名”
; 大圏構造、リー・ライト、電磁石リング



グーフフィントンのGR Mk VIII側面図REV4downsize
(あだ名は「間抜けton」ウェリントンGR Mk VIII)
RAF「九十七式重爆」は最先端とアナクロのごちゃ混ぜ
さて本題、1万1461機も生産された有名機なのに変なんです、ウェリントン(Vickers Wellington)。提灯のような籠組み布張りの大圏構造にいち早く動力旋回銃座、近代的なのやら、アナクロなのやら?
1000馬力級双発に動力銃塔2基、2トン強を積んで航続距離4000km以上は大した性能、でも最大速度が400km/時に届かないのはちょっとですね。1936年初飛行、1937年生産開始だからウェリントンは「九十七式重爆」ってとこですね。






大圏構造が垣間見えるMkX downsize
(大圏構造が垣間見えるハーキュリーズ装備のウェリントンMkX(再掲))
色々ガチャガチャ何でも積めてとっても便利
ウェリントン機は・・・
●本来の爆弾以外にも、
●機雷に魚雷はもちろん、
●機雷除去の強力電磁石リングやその発電機、
●ASV(対艦水面)レーダー、
●夜間索敵用の2200万カンデラの強力探照灯「リーライト」、
●対潜水艦用ロケット弾ランチャー
●もちろん照明弾(flare)にカメラなどマリタイム機お約束の品も・・・
ともかくも『色々なんでもガチャガチャと積み込めてとっても便利♡』・・と、特にコースタールコマンド(Costal Command、沿岸航空隊)には大好評だったようです。

コースタールコマンドのマリタイム機の過去記事はこれです↓
海鳥、翼竜、マリタイム機に共通するものとは?
日本人発明のレーダーアンテナの過去記事はこれです↓
対艦レーダー、TVアンテナ、電子レンジ、日本人の先駆研究の贈り物

GR MkVIIIへの道のりdownsize
(GR MkVIIIへの道のり)
“珍大発明”+“余りもの中古機”+“怪我の功名”で「間抜けton」に
3人の変人奇才たちの“珍大発明”と“余りもの中古機”にさらに“怪我の功名”がいくつか絶妙に重なりウェリントンGR MkVIIIは意外な活躍を見せました。RAF(英国空軍)はこういうのが得意というか好きですね。
そしてなぜかGR MkVIIIの愛称が”Goofington、「間抜けton」、やっぱり変。


RAF博物館名物1分の1ジオラマdownsize
(RAF博物館名物「1分の1」ジオラマ、ウェリントンのプロペラ整備風景)
最先端の大圏構造にFN式動力ターレット
複葉機から単葉機へ、固定脚から引込脚へ、布張りから金属外皮へ・・とヒコーキ革新の渦中の1930年代前半、単葉引込脚に1000馬力級エンジン、それに何より当時のハイテク、FN(Frazer Nash)式動力旋回銃座(ターレット)付きの昼間爆撃機として誕生したウィンピー(Wimpy)ことウェリントンは当時としちゃまっとうな最新鋭機として登場したのです。

ウェリントン初期型Mk1Cdownsize
(ウェリントンの初期型、ボマー・コマンド夜間爆撃機のMk1C)
分不相応な作戦で昼間爆撃機はクビ!
・・・が、現実は厳しくて緒戦では真っ昼間に護衛機なしでドイツ本土空襲なんて“分不相応”なことをやってメッサーにボコボコにされ大損害を被り、とっとと昼間爆撃機はクビ!(モスキートじゃないんだから)。そのウェリントンは夜間爆撃機として以降のRAF戦略爆撃機の先駆け(の一人)となりました。

夜の職場も最新鋭四発に追われたウェリントン
それも1942年頃まで。技術革新の流れはどんどん加速してランカスター(Lancaster)、ハリファックス(Halifax)などもっとタフでパワフルな最新鋭四発重爆にウェリントンは職場を追われました。

あごの出た武骨な顔つきが特徴downsize
(あごの出た武骨な顔つきが特徴)
(RAF博物館のウェリントン、薄暗いブースに真っ黒の機体なので写真が冴えない)
怪我の功名で再就職したウィンピー
ま、フツウならここで引退なんですけど、実はウェリントンはちょっと変なヒコーキで大圏構造のおかげで(と言うか怪我の功名で)、よく言えば「設計にゆとりがある」、ブッちゃければ「体形を絞ってない」のでコースタールコマンドに「再就職」できたのです。

引き込み式砲塔のメカ流用のリーライトdownsize
(引き込み式動力旋回ターレットのメカを流用したリー・ライト、背後はボーフォート機)
奇才B.ウォリス先生の“大発明” 「大圏構造」
そもそも「大圏構造」は奇才B.ウォリス先生の“大発明”で地球儀の“経緯線”のようなジュラルミンの曲線編み籠に布を張ったもの、軽くて頑丈だしたとえ弾が当たっても構造を保って“提灯に穴が開く”ようなもんで「撃たれ強い」んです(中にいる搭乗員は大変だけど)。欠点は生産しにくいし、スカスカなので与圧高高度飛行なんてムリ!だったことです。

頑丈、広い、快適、使い易いと好評のウィンピー
大圏構造は軽いけどかさばるんで細くスマートな機体はムリ、でもこれこそ「隠れたメリット」で機内スペースが広く、快適。軽いうえに当時としては強力な1000馬力級双発なのでペイロード(荷重)に余裕があったことなどが「怪我の功名」でウェリントンの転職に幸いしました。高速機なんて要らないコースターコマンドには好評だったみたいです。

珍発明と中古流用
・・・によるウェリントンGR MkVIII誕生のイキさつは「続きを読む」をクリックください↓

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爆撃照準席は歪みのない平面ガラスdownsize
(爆撃照準席は歪みのない平面ガラスで構成)
見つけても肝心の最後1マイルで見失うレーダーって・・
ASV水面探索レーダーを“余りもの”Mk1Cに積めば哨戒機にしちゃえ。ASVレーダーは暗闇でも数10km先から艦船を発見できる新兵器でした。でも当時の性能じゃ肝心の残り1マイルのアプローチではレーダーが水面反射に邪魔されて相手が見えなくなる、意味ないじゃん。

発明家パイロット、リー中佐の大発明「リー・ライト」は2200万カンデラ
そこにもう一人、“RAFの変わり者“リー中佐(Humphrey de Verd Leigh)登場。リー中佐の”大発明“リー・ライトを使えば1~2km先の水面も照らせる、さらにRAF自慢の動力旋回銃塔に積み込めば自由自在に海面を照らせるし・・・。でも2200万カンデラの強力なビームを作るには強力な発電機が要る、果たしてヒコーキに積めるのか?

窓から網かご型の大圏構造が丸見えdownsize
(窓から網かご型の大圏構造が丸見えです)
あった、あったと機雷掃海電磁石用の発電機を流用
実はその前に機雷掃海型ウェリントンDW1というさらに変な改造型が就役していて、かさばって重いジェネレーター(電磁石の磁気発生器)を積んでました。じゃ、ということで「ASVレーダー+リー・ライト+DW1の発電機」のセットを中古Mk1Cに積んでめでたくGR MkVIII誕生となりました。

自慢の機首動力銃座dwonsize
(自慢のFN式機首動力旋回銃座、7.7mmの豆鉄砲ながら弾道特性は良好)
中古お手軽改造“リサイクル就役”GR MkVIIIが意外に活躍
GR MkVIIIのASVレーダーとリー・ライトはとても有効だし、何より“お手軽中古改造”なのでとっとと数が揃うし・・とコースタール・コマンドに”リサイクル就役“、第二の人生で立派に活躍しました。

ある物、余り物で取り換えた機首席
どれほどお手軽か、例えば、リー・ライトで闇の水面を照らすときよく見張れる席が要る、じゃ、動力旋回銃座を付ける前の古いヴァージョン、ウェリントンMkIの機首と取り換えちゃえ、とGR MkVIIIは冒頭のイラストのような恰好になりました。


2200万カンデラの強力なリーライトdownsize
(2200万カンデラの強力なリーライト、リー中佐の大発明)
転職事始めは機雷掃海のDW1型
ウェリントンの様々な任務への転職事始めは機雷除去任務特殊型、後にGR MkVIIIのネタの1つになったDW1型です。
戦争となれば互いに相手の航路に機雷をまき散らす、これはフネにとって大変な脅威、そこで今でもそうですが、機雷を除去する(掃海」必要があります。


奇才ガウス教授のとんでもアイデア、巨大輪っか電磁石
ここで更にもう一人の奇才、ガウス教授(Gauss)登場。「機雷が鉄のフネに反応するなら巨大な磁場でだまして爆発させれば良い、爆風を避けるにはヒコーキに電磁石を積めば良い」と言う破天荒な発明でした。

夜の作戦向きのアリゲーター消炎排気管downsize
(夜の作戦向きのアリゲーター消炎排気管)
ウェリントンなら何でも積めますよ♪
それはいいけど直径20m近い巨大な輪っかの電磁石とそれを動かす発電機はどうするの?広くてパワフルなウェリントンなら銃座を取っ払い重くてデカい発電機と輪っかが付けられる、とDW1型のデビューとなりました。トンデモなアイデアでしたが結構有効だったようです、ルフトバッフェも真似しましたし。

ロンメル軍団の息の根を止めたウェリントン
ウェリントンGR MkVIIIが重大な局面でどのように活躍したのか(でも地味~にですけど)、以下出典の“The Armed Rovers”からテキトーに抜粋、テキトーに和訳してみますと・・。
『天下分け目のエルアラメインの戦い前夜、1942年10月イタリアのタラント港を発ち北アフリカのトブルク港に向かう独ロンメル軍団向けの重要戦略物資満載の船団TT。これを阻止するRAF砂漠航空隊は使い古しのウェリントン1C型爆撃機“Bombington(爆撃ton)、1C型に魚雷2本積んだ”Fishington(魚釣りton)と”対艦ASVレーダーとサーチライト、リー・ライト装備の“転職”ウェリントンGRVIIIこと”Goofington(間抜けton)”または“Snoopington(ウロウロ覗き屋ton)”のトリオ。深夜の地中海、Goofingtonがレーダーで船団を捉えリー・ライトを照射、FishingtonとBombingtonが同時攻撃して阻止しました。撃ち漏らした残敵は翌日RAFのボーフォート(Beaufort)とブレニム(Blenheim V)がトブルク港直前で完全阻止。補給のないロンメル軍団はエルアラメインの戦いに敗れました』

ハンバーガーおじさんがあだ名になった
ところでなぜウェリントン(Wellington)の愛称がウィンピー(Wimpy)かというと当時人気の漫画「ポパイ」に出てくるハンバーガーばかり食べてるオジさん、ウィンピー(本名J. Wellington Wimpy)と名前が同じだから。小説「ブラッカムの爆撃機」"Blackham's Wimpy"でも夜間爆撃機ウェリントンが主役の一人ですね。

ウェリントンの諸元と性能
最後にWellington Mk 1Cの諸元を載せておきます。
乗員 5~6名
全長:19.68 m
全幅:25.26 m
全高:5.31 m
翼面積:78.1平方m
全備重量:12,955 kg
エンジン: Bristol社製 Pegasus Mk XVIII空冷9気筒エンジン1,050馬力×双発
翼面過重:168 kg/平方m
最大速度:378 km/h
航続距離:4,106 km
防御武装:7.7mm機銃×6~8
 機首 FN5動力旋回銃座 2
 機尾 FN10動力旋回銃座 2~4
 左右側方 手動 2
搭載爆弾:2,041 kg


出典: “The Armed Rovers; Beauforts & Beaufighters over the Mediterranean” Roy C. Nesbit氏著 (1995年、Airlife Publishing Ltd.)
出典: “Covering the Approaches” 1996年 John Quinn氏、Alan Reilly氏共著(Impact Printing Ltd.出版)
出典: “Fighter and Bomber Squadrons at War” Andrew Brookes氏著 (1995年 The Promotional Reprint Co., Ltd.、原典は1980年)


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