道路横断シミュレータで子どもの事故を減らす+ヨーロッパ街角の交差点

道路横断シミュレータで子どもの事故を減らす+ヨーロッパ街角の交差点

Paris メトロCourcelles前のカフェdownsize
(パリ、メトロ2番線Courcelles駅出口交差点のカフェ)
ヨーロッパ街角の交差点には歴史や暮らしが沈殿している
今回添えるフォトはパリ、ボルドー、ベルリン、ローマ、リスボン・・・ヨーロッパ街角の交差点。街の交差点には歴史やら商売やら暮らしやらが濃密に沈殿していてその地の色合いや匂いを醸し出し、行き交う人たちは一時、舞台エキストラのように歩調も街の波長に同調しているように感じられました。





Berlin ベルリンでは信号を守りましょうdownsize
(ドイツのBerlinでは信号を守りましょう)
子ども歩行者の交通事故は高齢者に次いで多い
日本では歩行者交通事故は年々減少傾向にあるものの年齢別では高齢者についで子どもが事故に遭う割合が依然高いという統計があります。平成27年度上半期歩行者交通事故2787件の内、376件が子どもたちです(「歩行者の交通人身事故発生状況~平成27年上半期~」警視庁)。

Paris ニュィイ近くREVdownsize
(パリ外郭ヌイイ(Neuilly)の横断歩道を渡る老紳士)
海外でも子ども歩行者の交通事故死の割合は深刻
海外でも同じ傾向で、EU統計によれば歩行者の交通事故死では高齢者に次いで子ども(14歳未満)が多く、米国における子どもの交通事故死の約1/4が歩行中の事故、イスラエルの歩行者交通事故死の20%が子どもだそうです。

Basel 交差点のマリア様REVdownsize
(スイスBasel街角交差点のマリア様)
5-9歳児は一番脆弱な歩行者です
出典著者Anat Meir,氏によれば子ども、特に5-9歳児は道路では最も脆弱な歩行者で、道路を歩く機会が少ないにも拘わらず重大な交通事故により遭いやすいのだそうです。

Paris LAvenue des Champs-Elysees XmasイルミネーションとテールランプREVdownsize
(パリ、シャンゼリゼ大通り(L'Avenue des Champs-Elysees)のX’masイルミネーションとテールランプ)
ヴァーチャル・リアリティーを使った「道路横断課題」
そこで著者らは実際の街角の交通を模したドーム型シミュレーターで「歩行者として横断しても安全と思うタイミング」をボタン押しで答えるというヴァーチャル・リアリティーの「道路横断課題」を用意しました。

Lisbon ふいに街角い現れた路面電車downsize
(ポルトガルLisbon、ふいに街角に現れる路面電車)
7-9歳児は危険が分からず渡ってしまう
このシミュレーターを使って子どもと大人の危険認識、道路横断スキルを調べてみると7-9歳の幼い子どもたちが最も注意に欠け、見通しが悪い状況でも気にせず渡る(ボタンを押す)そうです。後でビデオを見た親たちはわが子の行動に仰天したそうです。

Paris シテCite の交差点REVdownsize
(パリを流れるセーヌの中之島、シテ島(Cite)の交差点)
9-13歳児童は怖くて渡る決心ができない
そして歩行者の年齢が上がるにつれ道路横断の潜在的な危険への気づきも高まるそうです。
ところが9-13歳の子どもは縁石で立ち止まったまま躊躇し、もっと幼い7-9歳の子どもよりも道路横断の判断が遅れたたそうです。年齢とともに危険の気づきは高まってもそれに伴う決断ができにくい年齢があることは知っておくべきですね。


Bordeauxの夕暮れREVdownsize
(フランス、ボルドー(Bordeaux)のトラム道、雨の夕暮れ)
子どもに「安全に危険を疑似体験する」訓練をしてみた
そこで著者らはこのような”Hazard perception” (HP、道路状況を読み次に起こりそうなことを予測する能力)に注目し7–9歳児を道路映像をスクリーンに映すシミュレーターで訓練したそうです。

Rome ホテルVilla Torloniaそばの街路樹は南国ムードdownsize
(ローマの宿泊ホテルVilla Torloniaそばの交差点、街路樹は南国ムード)
訓練すれば子どもの注意力は大人並みに向上する
するとこの訓練を受けた子どもたち(被検群)は、受けていない子供たち(対照群)に比べて、潜在的な危険に対する気づきが向上したそうです。場合によっては大人並みの注意力を持つようになったそうです。

Pairs Saint Martin運河歩き4河の信号と交差点downsize
(パリSaint Martin運河、堰の信号は船専用です)
ヴァーチャル・リアリティーな訓練は交通事故防止に有効
「安全に危険を疑似体験する」ヴァーチャル・リアリティーは交通事故防止に有効なんですね。
出典著者Anat Meir,氏は子どもには歩行者として実際の危険を察知する訓練を受けさせ道路横断の能力を高めさせる必要があると述べています。


研究の一層の展開を・・・
この一連の実験の被験者はそれぞれ20-50人くらい、1群10数人でしょうか?ヒトを対象とする試験にしては例数が少なすぎる印象です。でも子どもの事故防止にはとても役立つヒントであると思います。まだ結論には早いと思いますが、こうのような研究が進めばいいですね。

Paris 朝の陽を浴びる凱旋門downsize
(パリの朝の陽を浴びる凱旋門、12本もの通りが交錯する中心でもあります)
自らの体験からも小学校低学年に横断教育を・・・
この原典を読んだとき幼い日に遭った事故を思い出しました。のどかな郊外で育ち小学校入学時に突然大阪下町の喧騒に越してきた初めての梅雨、通学路の交差点で車にはねられて小学1年生6歳の私はそれ以降右の聴力と平衡感覚を失いました。
雨、視界を遮るレインコートなどが原因かもと思っていましたが、道路横断の危険認識が一番乏しい年齢での初めての都会通学も要因でもあったか、と改めて思った次第です。


Paris 夜のオペラ座大通りdownsize
(パリ、夜のオペラ座大通りを渡る若者たち)
子どもドライバーは歩行者の気づきが劣る
一方、子どもがドライバー(自転車の)、つまり潜在的加害者だった場合はどうでしょうか?子どもドライバーの横断歩行者への気づきはやはり大人に比べて劣っていたそうです。

Paris Passy P1010059REVdownsize
(パリ16区Passyの交差点)
子どもの交通事故防止に道路横断シミュレーションは有効
低年齢の子どもたちには歩行者として、また、ドライバーとしてのリアルな訓練(交通規則を覚えるとかじゃなくて)も大事な気がします。子どもの交通事故防止には道路横断シミュレーション訓練も有効ではないでしょうか?

交通安全訓練シミュレーションを開発する日本企業
日本では、ホンダ、セコムなど民間企業がシミュレーションを用いた交通安全訓練の開発を進めているようです。

出典: 日経サイエンス2016年2月号P.25 NEWS SCAN 海外ウォッチ
「子供の道路横断をもっと上手に;訓練によって注意力を高められる」

出典(リンク): 「歩行者の交通人身事故発生状況~平成27年上半期~」警視庁
出典(リンク): “Can child-pedestrians’ hazard perception skills be enhanced?” Anat Meira, Tal Oron-Gilada, Yisrael Parmeta Accident Analysis & Prevention Vol.83 P.101–110 (2015)
出典(リンク): “Towards understanding child-pedestrians’ hazard perception abilities in a mixed reality dynamic environment” Anat Meir, Yisrael Parmet, Tal Oron-Gilad Transportation Research Part F: Traffic Psychology and Behaviour Vol.20 P.90–107 (2013)
出典(リンク): “Safety and Mobility of Vulnerable Road Usears: Pedestrians, Bicyclists, and Motorcyclists” Avinoam Borowsky,Tal Oron-Gilad, Anat Meir, Yisrael Parmet Accident Analysis & Prevention Vo.44, Issue 1, P.160–166 (2012)

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