毒も平気、脇目もふらず線虫C.エレガンスを恋に走らせるニューロン+パリの光と影

毒も平気、脇目もふらず線虫C.エレガンスを恋に走らせるニューロン
+パリの光と影


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スマートに食べるフレンチパラドックスは本当?
Art015パリの夕暮れレストランに灯が入る
(パリの夕暮れレストランに灯が入る)
パリ同時多発テロへの哀悼と希望
パリ同時多発テロから1月ほどが経ちました。その突然のニュースはパリに住む日々を送り今もパリが大好きな私にはとてもショックな出来事でした。亡くなられた多くの方々にこころより哀悼を表します。体も心も傷つけられた方々の一日も早い快復をお祈ります。
一日もはやく・・
私のブログをよく訪問いただくパリ、フランスに住んでおられるブロガーさんが何人かおられます。早くいつものパリに戻りますよう、そしてどうぞお気をつけてください。
肝のすわった粋
そんな中、パリの日常を失わないことがテロに屈しないことと、カフェのテラス席で談笑するパリジャンたちに腹の座った粋を感じます。ホーチミン、レーニン、シャガール、国籍も思想も問わず、故郷を追われ逃れた無数の人々を広く受け容れてきたパリ。たとえ時間はかかっても差別や貧困を克服して真の「華の都パリ」となりますようエールを送り続けたいと思います。






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カレーを箸で食べたら君も日本通?パリジャンの日本趣味
Art011シャンゼリゼ光の往来
(シャンゼリゼ光の往来)
その名もエレガンス、線虫ですけど
さて、本題。愛称C.エレガンス(シー・エレガンス)こと、学名Caenorhabditis elegansは、土の中で大腸菌などバクテリアを食べて暮らす線虫の仲間です。

雄を恋に走らせるニューロンを発見!
性別は2つあり大部分の雌雄同体とごく少数(なんと0.1%)の雄です。
今回、C.エレガンスの雄にしかない神経細胞が見つかりました。雄の性成熟ともに出現し、雄を毒も顧みず異性(雌雄同体)に走らせる(泳いでゆきます)、「雄を恋に走らせるニューロン」らしい、と言うサイエンス小ネタです。


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パリの街角で出会う「色」が好き!
Art004オープランタンのXmasイルミネーション
(オープランタンのXmasイルミネーション(かなり前です))
パリ黄昏は光と影が際立つ
添えるフォトは光と影が際立つ黄昏のパリです。まだ厳戒例令下のパリ。しばらく訪れる機会もないので、ブログを始めた頃のパリ過去記事フォトです。ご興味あればフォトをクリックください、その過去記事に飛びます。

雄の脳にナゾの神経細胞MCMを見つけた
今年2015年、ロンドン大学の発生生物学者Richard J. Poole氏、Arantza Barrios氏たちは雄のC.エレガンスの頭部(私たちの「脳」にあたる神経の塊り「神経環」があります)から未知の神経細胞、MCM(Mystery cells of the male、「雄のナゾの細胞」)が見つけました。

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晩秋のパリ歩き13区からセーヌへ
 Art005夕暮れセーヌ
(夕暮れセーヌ)
毒もなんのその雄を異性に走らせるものとは?
体の細胞たった1000個程度のC.エレガンスですが、学習ができるので、「塩は“毒”のしるし→だから逃げる(負の走化性)」と学習させた雄を使って、「塩」のそばに異性を置くと、一転泳ぎ寄ってきます。異性が出す化学物質により強く惹かれる(正の走化性)ようです。(相関学習(associative learning)による性関連性の条件づけ)

MCMがないと餌が優先、異性には興味なし
そこで新たに見つかったMCM神経細胞を取り除いた雄で同じ実験を行うと雄は異性に興味をまったく示さず(泳ぎよらない)さっさと餌の方に向かったそうです。

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フランス人はエレガントな子供??
 Art013モザイクが美しいパッサージGalerie Vivienne
(モザイクが美しいパッサージGalerie Vivienne)
C.エレガンス君も恋に落ちると食事も喉を通らない
このMCM神経細胞は生まれた時にはまだなく雄の性成熟とともにグリア細胞から分化して生まれることも分かりました。MCMは「生殖優先」の行動、餌より異性に寄ってゆく走化性を引き起こす鍵の1つのようです。C.エレガンスも「恋に落ちると食事も喉を通らない」ようです。

三日月型、透明なボディはパリコレのトップモデルみたい
C.エレガンスは体長わずか1mmなのに神経系を持ち学習もできます。その神経系はたった300個ほどの神経細胞で構成され神経の研究に使いやすく、C.エレガンスは大腸菌を餌に実験室でも飼えるので優れたモデル生物です。三日月型の透明なボディは名に恥じずなかなかエレガントです。

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パリのワンちゃんのお行儀
Art002 シャンゼリゼ街角の夕暮れ
(シャンゼリゼ街角の夕暮れ)
行動の男女差(雌雄差)にはまだナゾが多い
男女、雌雄では姿かたちだけでなく心理や行動にも違いがあり、性的二形(sexual dimorphism)と呼ばれます。ヒトをはじめ動物の性差(雌雄差)は学習のような認知プロセスにも見られますが、何がその違いを生むのか、神経回路の発生や構成におけるはまだなぞが多いそうです。

C.エレガンスは学習の研究に便利なモデル
そこでMCMを発見した研究グループはC.エレガンスを使って学習を司る神経回路を研究することでヒトの脳の働きにも迫りたいとのことです。ヒトの脳なら数千億個のニューロン(神経細胞)を扱うことになりますが、ニューロンが300個くらいしかないC.エレガンスなら1つ1つ調べられるからです。

なぜC.エレガンスがモデルとしてもてはやされるのか?
C.エレガンスは神経、筋肉、消化管、表皮、生殖器官がありヒトと共通な体の働きを持ちながら雌雄同体959 個、雄1031 個と1つずつ数えられるほど少ない細胞で出来ています。また、神経細胞は雌雄同体302個、雄385個ととても少ないのに私たちと同様な神経系で複雑な行動や学習を行います。C.エレガンスはヒトの脳や神経の働き、学習や行動の仕組みを研究するためのとても優れたモデル生物であるようです。

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Art011ゼロ分に輝くエッフェル塔
(ゼロ分に輝くエッフェル塔)
ノーベル賞を2つも取らせたC.エレガンス
C.エレガンスをモデル生物として確立し、器官発生とアポトーシスの遺伝制御に関する発見をしたブレナーおよびロバート・ホロビッツ、ジョン・サルストンは2002年にノーベル生理学・医学賞を受賞し、C.エレガンスを使ってRNAiを発見しその遺伝子抑制手法を確立したファイアーとクレイグ・メローは2006年にノーベル生理学・医学賞を受賞しました。

昔ながらの土づくりに、今では健康づくりにも貢献する線虫たち
最近では今年2015年に九州大学の研究グループがC.エレガンスのヒトの尿の臭いへの反応を利用した「がんの早期発見」に成功したことはニュースにもなりましたよね。
C.エレガンスはとても役立つ動物なんですね。そもそもその仲間の線虫は豊かな土壌を作ることに昔から貢献していますし。やっぱりC.エレガンス、エライ!


出典:「雄の線虫で「ミステリー」ニューロン発見」 “Surprise ‘mystery’ neurons found in male worms” Kerii Smith氏執筆 Natureダイジェスト2015年12月号P.2
出典:”Glia-derived neurons are required for sex-specific learning in C. elegans” Nature 526, 385–390 (15 October 2015) | doi:10.1038/nature15700
Michele Sammut , Steven J. Cook , Ken C. Q. Nguyen , Terry Felton , David H. Hall , Scott W. Emmons , Richard J. Poole & Arantza Barrios
出典: ウキペディア記事「カエノラブディティス・エレガンス」


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