細胞たちは引っ張られ押されて一人前の職人になります+蘇った街ブルージュ

細胞たちは引っ張られ押されて一人前の職人になります+蘇った街ブルージュ

幹細胞は表面次第でいろいろな仕事に就きます
細胞のOJTREV
(イラストはいつも話題に応じて自作ですが、いくつかの素材も材料にしています。この原素材は主に「みさきのイラスト素材」さんです)





小船で入る川沿いレストランdownsize
(小船で入る川沿いレストラン; 蘇った街ブルージュ)
蘇った水の都ブルージュ
組織の再生などに働く細胞のお話につき一度捨てられ再び蘇ったベルギー北部ブルージュ(Brugge)の街角のまだご紹介していないフォトを添えています。
ブルージュの過去記事はこれです↓
馬車が走る再生した水の都ブルージュ:ベルギー編第1回
温暖化で寒い冬をもたらすテレコネクション+美しい水の街ブルージュ

Grote Markt広場の家並みは童話の世界downsize
(Grote Markt広場の家並みは童話の世界)
細胞も適材適所です
さて、本題です。
40兆個ものヒトの細胞たちは皆、然るべき場所で、そこにあるべき細胞になり、必要なときに適切な働きをしています。まさに適材適所、でもどうやって??


裏道水路のハクチョウさんたちREVdownsize
(裏道水路のハクチョウさんたち、水路の街ブルージュでは人との距離が近~い)
その正体は双子のたんぱく質
今回ご紹介する研究はその仕組み、仕掛けを明らかにしたユニークでエレガントな研究です。その正体はYAP/TAZと言う双子のようによく似たたんぱく質のペア(蛋白複合体)です。

小さな運河遊覧船に楽しそうな観光客REVdownsize
(小さな運河遊覧船に楽しそうな観光客)
押されたり、引っ張られると細胞も変わる
細胞は遺伝子や化合物だけでなく物理的な力の働き方で働きや運命が変わるようです。このような研究分野をメカノバイオロジーと呼びます。

水辺のレストランは紋章が粋ですdownsize
(水辺のレストランは紋章が粋です)
え、触れてる環境次第で運命が決まるの?
私たちの細胞は触れる表面の物理的性質(固い、柔らかい)や外から受ける機械的な力(引っ張る、伸ばす、押すなど)でどんな細胞になるか、どんな組織になるか、が左右されるようです。

パカパカと馬車が行きますdownsize
(パカパカと馬車が行きます)
周りに気遣い、影響される細胞たち
細胞は周囲に空きスペースがあると分裂増殖します。やがて細胞が密集し隙間がなくなると増殖を止めます。また、細胞がくっついている表面の性質も影響するようです。

お姫様でも居そうなGrote Markt広場白亜の館REVdownsize
(お姫様でも居そうなGrote Markt広場白亜の館)
増え過ぎない細胞自粛のフシギ
肝再生や創傷治癒では然るべきところで細胞増殖がピタっと絶妙に止まります。
傷口では細胞の「人口密度」が下がり圧力も下がるため繊維芽細胞などが増殖を始めます。細胞が増えて傷が塞がり細胞の「人口密度」が高まり圧力が戻ると細胞は増殖を止めます。こうしてちょうど良いところで傷が治ります。


青空マーケットが開かれていましたdownsize
(青空マーケットが開かれていました、ビアジョッキを買いました)
ガテン系か、ソフト系か、職場次第の幹細胞OJT
何にでもなれるけど、そのままでは何も出来ない“就活中の学生”のような細胞が幹細胞です(山中先生が創ったiPS幹細胞はご存知ですよね)。
こんな“就活中”の間葉系幹細胞は、①骨のように硬い表面にくっつくと骨の細胞(造骨細胞)に、②筋肉のようにやや硬めの表面なら筋肉細胞(筋原線維)に、③脳のように柔らかな表面なら神経細胞に、そして④もっとふにゃふにゃなら脂肪細胞になることが分かったそうです。


ブルージュ水辺の風景downsize
(ブルージュ水辺の風景)
細胞の進路を決める「細胞外マトリックス」
「幹細胞」がどんな細胞になり、どんな働きを担うのかは周りの「細胞外マトリックス」で決まるようです。
機械的刺激や触れてるECM表面など「周りの情報」を“細胞の社長室”である核、染色体DNAにご注進するのが「双子タンパクYAP/TAZ」で、ひいては細胞が何になるかを決めているようです。


ブルージュとブリュッセルの地図
(ブルージュとブリュッセル、パリの位置関係)
YAP/TAZ量で細胞を騙す
間葉系幹細胞のYAP/TAZを増やすと、本来は骨の細胞になるはずの硬いゲル表面に置いても、柔らかい表面に置いたときのように脂肪細胞になってしまいました。これは固い表面がYAP/TAZが核に行くのを抑えるのですが、YAP/TAZの数が多すぎて抑えきれず核は「脂肪組織に配属」と勘違いしたようです。

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細胞と細胞外マトリックスで出来ているカラダ
私たちの体は細胞だけで出来ているのではありません。骨や歯は大部分がリン酸カルシウム、皮膚や粘膜は大部分コラーゲン、血管、リンパ管、気管支、胆管など体中の“管”はコラーゲンとエラスチンの内張りで支えられ、臓器はみなコラーゲンなどの膜、漿膜で包まれています。これらは細胞外マトリックス(ECM, Extra Cellular Matrix)と呼ばれています。

くっつき、おしゃべり、そして細胞は育ちます
細胞は何かにくっつき(anchoring)、その周囲の物理構造を“感じ取り”、隣りの細胞とは“おしゃべり”(cross-talk)して、今自分が(体や臓器の)どこに居て、次に増えるのか、どんな細胞になるのか、を決めているようです。このようにして「自己組織化」が進み臓器の形成や再生が起こるようです。

引っ張っただけで「悪役」に早変わり
ごく普通の丸い正常な培養細胞をちょっとつまんで引っ張り平たい細胞にすると・・・アレ!急にまるでがん細胞のように異常に殖えはじめたそうです。

細胞外マトリックスを“感じない“とがん細胞は増えない?
遺伝子をノックアウトしてがん幹細胞のYAP/TAZを減らすと、あらフシギ、がん細胞は正常細胞のような顔つきになり増えなくなりました。このようにがん細胞と細胞外マトリックスとの関係を断つことが新しいがん治療につながるかも知れません。

がん克服の鍵かも?
YAP/TAZの働きの研究は単なる科学成果に留まらず、私たちの健康の喫緊の問題、がんの撲滅に新しい道も拓きそうです。がん細胞(厳密にはがん幹細胞)はこの生命、多細胞生物誕生以来の“周りに気遣う”細胞たちの不文律を破る狼藉者だからです。その抜け道を断てば、抑え込めるかも知れません、期待したいですね。

出典: 日経サイエンス2015年7月号P.68「細胞の運命を決める機械的な力」 ”Twists of Fate” Stefano Piccolo氏執筆(原著:Scientific American Oct. 2014)
関連出典: “Mechanotransduction; Mechanical YAPping” John F. Foley Science Signaling, Vol.4 p.162 (14 June 2011)


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