気孔に気候の話を聞こう: 葉っぱものがたりその3

気孔に気候の話を聞こう: 葉っぱものがたりその3
(ひらがなで読んでみてください)

前回、前々回の記事です↓
1つのキノコが地球の歴史を変えた+北仏ノルマンディー再び; 葉っぱ物語り【序章】 炭素貯金
「根も葉もない植物」は数千万年待って葉を作った; 葉っぱものがたりその2


添える写真は今年の晩春にうちの庭に咲いてくれた花たちです
ピンクの薄衣のようなシャクナゲREVdownsize
(ピンクの薄衣のようなシャクナゲ)
上陸後、植物は長らく水辺で足踏み
植物上陸後もコケのような植物が水辺に張り付いて暮らす状態が長らく続きました。上陸しても水辺に棲む両生類と同じ事情で、乾燥を恐れるからです。





いつもよく咲く白い花downsize
(いつもよく咲く白い花)
植物は皮膚「クチクラ」と血管系「維管束」を得て躍進
やがて哺乳類型爬虫類など(有羊膜類、Amniota)が羊膜と殻を持つ卵を発明したように、“植物の血管系”維管束と“植物の皮膚”クチクラを発明した植物はやっと内陸に向かって水辺を離れたようです。

テッセンが咲くと初夏の訪れdownsize
(テッセンが咲くと初夏の訪れ)
「気孔」と言う吸排気口の大発明
このとき、もう一つの重要な発明がありました、それが気孔です。両生類の呼吸が皮膚呼吸に大きく依存しているように、水中や湿った環境の植物は全身で呼吸と光合成のガス交換をしていました。

艶やかな君子蘭REVdownsize
(艶やかな君子蘭)
クチクラで密閉すると息も出来ないんで・・・
しかし乾燥を防ぐためにクチクラで覆うと“息が出来ない”ので、ところどころに“吸排気口”、「気孔」を設けてガス交換をするようになりました。

風が奏でるスズランの鈴REVdownsize
(風が奏でるスズランの鈴)
気孔は空調設備でもあります
気孔は呼吸や光合成に必要なガス交換を担い、O2とCO2を空気中から吸ったり空気中へ吐いたりします。それだけではなく気孔にはもう一つ大事な役目があります。先の記事でも触れましたが、気孔は水を蒸散させて日光に熱せられた植物体を冷やす空調設備でもあります。

ひだまりのシクラメンdownsize
(ひだまりのシクラメン)
CO2濃度に合わせて増減する気孔
気孔はCO2濃度が高くなると数が減り、CO2濃度が下がると増えます。これは人為的にCO2濃度を変えて植物を育てる実験で確認されています。

ひっそりと咲くスノーフレークREVdownsize
(ひっそりと咲くスノーフレーク)
次の若葉に指令!「気孔を減らせ」
既に生えている葉っぱの気孔数は変わらないのですが、CO2濃度が高いことを感知して次に生える葉っぱに「気孔を減らせ」と化学物質の情報を送るようです。

もうすぐボタンが咲きますREVdownsize
(もうすぐボタンが咲きます)
植物標本が教える大気CO2の急増
2,3世紀前なら植物標本を、有史以前なら植物化石を調べると当時の植物の気孔の数が分かります。18世紀の産業革命以来、大気CO2がどんどん増えて、植物の気孔の数は明らかに減っています。

うちの庭に迷い込んだ花REVdownsize
(うちの庭に迷い込んだ花)
化石の気孔数で過去のCO2濃度を知る
同様に化石植物の気孔の数と当時の大気CO2濃度とはよく相関するようで、気孔の数の変化を見れば昔の大気の二酸化炭素濃度の変動を知ることが出来ます。CO2は温室効果ガスなので当時の気温の変動までも推測できるのだそうです。

気品を感じるクレマチスREVdownsize
(気品を感じるクレマチス)
高CO2のデボン紀、気孔は今の数10分の1
現在の植物は1cm2あたり数10個の気孔を持ちますが、植物上陸後、デボン紀の大気中CO2濃度は現在の15倍も高かく葉のない植物の気孔は1cm2あたり数個と少なかったようです。

気孔が増え、やっと冷房が効いてきた
先の記事で触れたように、やがて数千万年後の石炭紀前夜には大気CO2濃度は1/10に激減し、葉が生まれたときには1cm2あたり数10個と増えていたようです。気孔が増えて冷房が効くようになり葉っぱが生まれる条件が整ったようです。

過酷な環境では気孔だけでは無理ですが・・
水の乏しい酷暑の砂漠に生えるサボテンには葉がなく、葉が変形した棘がありますが、これは葉っぱの空調ではもはや体温調節ができないためです。
逆に水辺や湿地の植物には気孔に加えて「朝露」として葉から水を排出する水孔があります。


やっぱり植物は逞しい
上陸し、リグニンを、気孔を、葉っぱを発明した植物は大森林で地球を覆い、過酷な条件の地にまで進出していったようです。つくづく植物はたくましいですね。

出典: 「植物が出現し、気候を変えた」 “The Emerald Planet; How Plants Changed Earth’s History” 2007年 David John Beerling氏著、西田佐知子氏訳(2015年 みすず書房)
出典: ウキペディア記事「植物の進化」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A4%8D%E7%89%A9%E3%81%AE%E9%80%B2%E5%8C%96


過去の記事リストは下のイラストをクリック ↓ (日本国内と南の島の記事は「ヨーロッパの話題」にまとめています)
パリの話題minisizeREVフランス街歩きminisizeREV
ヨーロッパの話題minisizeREV生き物とちきゅうのお話minisizeREV
ヒコーキの話minisizeREVグルメ話minisizeREV

↓良かったらクリックをお願いします


1クリックで1円、協賛企業から寄付されます
大震災支援募金新アイコンKT20131025

ホスピタリティクリック募金

東松島市の仮設住宅の方々の工芸品ご紹介のブログにリンクしています
banner-himawari2.jpg
スポンサーサイト

テーマ : パリ、フランス - ジャンル : 海外情報

コメント
コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する