「根も葉もない植物」は数千万年待って葉を作った; 葉っぱものがたりその2

「根も葉もない植物」は数千万年待って葉を作った; 葉っぱものがたりその2

庭の花ピンクの梅の花(10)REVdownsize
(庭の花:ピンクの梅)
葉っぱのない植物なんて・・・
「植物」と言えば何を思い浮かべられますか?深山の緑、庭の花、街路樹?みんな葉っぱがありますよね。現在では植物と言えば葉っぱがあるのがフツウですが、植物の長~い歴史の中で、植物が上陸を果たした後でも、フシギなことに木々にはなかなか葉っぱが繁らなかったようです・・と言うサイエンス小ネタです。添えるフォトは今年の春の庭の花たちです。





上陸後数千万年経って葉が出来た
(上陸後数千万年経って葉が出来た)
前回記事です↓
1つのキノコが地球の歴史を変えた+北仏ノルマンディー再び; 葉っぱ物語り【序章】 炭素貯金

花も無ければ根も葉もない
太古の海で藻として生まれた植物は遅くとも4億6千万年前頃(オルドビス紀)には現在の陸上植物に繋がる胞子を作るコケに似たものが上陸したようです。でもそのときはまだ花も根も葉(現在のような葉)もない存在でした。

庭の花小さな水仙(8)REVdownsize
(庭の花:小さな水仙ですが毎年咲いてくれます)
リグニンを得て葉っぱがある植物が繁栄した
ようやく3億6千万年前頃(デボン紀末)に植物は“リグニンを発明”し(詳しくは前回記事を見てくださいネ)、現在の植物のように木々に葉が茂るようになったようです。そしてシルル紀には多様な植物が生まれました。

庭の花紅のクリスマスローズ(18)REVdownsize
(庭の花:紅のクリスマスローズ)
自然の太陽光パネル「葉っぱ」
葉は水平にひろがり太陽の光を効率良く受ける形をしています。もちろん緑色の葉緑体で光合成を行うためです。それまでの長らく植物は茎で効率悪く陽を受けるだけでした。なぜ?

葉っぱの役目は「光合成生産設備」兼「空調設備」です
さて、葉はなんのためにあるの?光合成のため・・・。そうなんですが、それだけではないようです。葉の裏には二酸化炭素、酸素、水蒸気を出入りさせる気孔があります。
気孔は水蒸気を出入りさせることで葉っぱ、ひいては植物体全体の“体温”を調節する「空調設備」でもあります。


庭の花開き始めた君子欄REVdownsize
(庭の花:開き始めた君子欄)
炎天下立ちつくす植物には熱中症の危機が・・
春夏秋冬、晴れの日も雨の日も植物は動けません。真夏の酷暑に葉陰の憩いを提供してくれる植物自身は立ちつくしひたすら太陽に熱せられまま。特に光合成を行う葉は目いっぱい太陽光を浴びるのでこのままでは熱中症になってしまいます。

葉っぱは打ち水の原理で体温調節
そのとき植物は気孔から体内の水を水蒸気として蒸散させることで暑さをしのぎます。水が蒸発するとき気化熱を奪うので冷やされるからです。打ち水の原理ですね。

庭の花シクラメンの蕾(20)REVdownsize
(庭の花:シクラメンの蕾)
「根も葉もない話」ではなく「根がなければ葉も生えない」
光合成にも水は要るのに、空調にも水が要るとなると、どこからか「水を飲む」必要があります。どこから?それは根です。「根も葉もない話」などと言いますが、「根がなければ葉も生えない」ようです。

植物の血管系は維管束(導管、篩管)
動物の血管系のような植物の流通インフラである維管束は植物上陸後まもなく出来ました。しかしまだ構造が弱々しくしっかりと地中に張るような根はなかなか生まれなかったようです。数千万年も経ってやっとリグニンが“発明され”ようやく丈夫な幹や深く地中に伸びる根が生まれました(根そのものはシルル紀には出来ていたようですが)。

庭の花しゃくなげは外から開いてゆきます(17)REVdownsize
(庭の花:しゃくなげは外から開いてゆきます)
根と葉を得て地球史初の大森林ができた
深い根と丈夫な幹を得て石炭紀(約3億6千万年前~3億年前)には今日のような広く大きい葉を持つ植物の森が地上にひろがったようです。地球史初の大森林です。

葉の原型はずっと前にあった
実は葉の原型らしきものを持つエオフィロフィトン(Eophyllophyton)は4億年前頃(デボン紀前期)には現れましたが、それから数千万年もかかって本格的な葉を持つ植物が現れたことになります。

庭の花ボケ情熱の赤(21)REVdownsize
(庭の花:ボケは情熱の赤)
葉をつくる遺伝子いつでも使える状態だった
葉を作る遺伝子(葉を作れと指令を出すHox遺伝子)はもともと枝分かれする/しないの指令を出す遺伝子で上陸後まもなく茎が出来た頃(オルドビス紀)には既に“使える”状態だったようです。

数千万年も待って遺伝子のスイッチがオンに・・
丈夫な根から水の供給される、CO2が激減(1/10)し気孔が増える、など条件が揃うまで“数千万年”も待って“葉っぱづくり遺伝子”はスイッチ・オンになったようです。
当時の陸上植物3大グループ、トクサ類、シダ類、種子植物でほぼ同時に、しかし独立に葉っぱが出来たようです。


庭の花:逆光を受ける薄紫の花(3)downsize
(庭の花:逆光を受けた薄紫の花びら)
可憐でたくましい植物たち
春、今年も庭に花が咲き、虫や鳥を招いています。一見弱々しい植物ですが、私たちヒトのご先祖動物よりはるか昔に上陸した植物には一味違った進化の逞しい歴史があるようです。

続きは気孔のお話で・・・
ところで、葉っぱが出来たもう一つの大事な要素、大気CO2の激減と気孔の急増については次回「気孔と気候のお話」に続く・・・つもりです。

出典: 「植物が出現し、気候を変えた」 “The Emerald Planet; How Plants Changed Earth’s History” 2007年 David John Beerling氏著、西田佐知子氏訳(2015年 みすず書房)
出典: 基礎生物学研究所(National Institute for Basic Biology (NIBB))ウェブ「陸上植物の進化」
http://www.nibb.ac.jp/evodevo/tree/02_02_land%20plants.html
出典:「大量絶滅がもたらす進化」2010年、金子隆一氏著(ソフトバンククリエイティブ)
出典: ウキペディア記事「植物の進化」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A4%8D%E7%89%A9%E3%81%AE%E9%80%B2%E5%8C%96

【付記】
前回記事で「植物上陸4億6千万年前」と書きましたが、正確には現在の陸上植物らしい植物の上陸と言うことのようで、若干訂正いたします。まだ諸説あるようですが、例えば、基礎生物学研究所のウェブでは『コケ植物: 乾燥耐性を持った厚い壁をもち、減数分裂によって生じたことがわかる4集粒の化石が約4億7千万年前から見つかり、このころに緑色植物は陸上化したのではないかと推定されています』と述べられています。


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