マツ林を再生したホシガラスの知恵+ローマ、フォロロマーノ再び

マツ林を再生したホシガラスの知恵+ローマ、フォロロマーノ再び

カラス君の環境保全

オシャレなカラスがアルプスや富士山でマツの群落を再生したり、広げたりしています。

ホシガラスWikipedia巻頭よりdownsize
(これがホシガラス、ウキペディアからちょっとお借りしています)
白いドット模様がオシャレなホシガラス
ホシガラス(Spotted Nutcracker、学名:Nucifraga caryocatactes)は全身白のドット模様のオシャレなカラス科のトリです。ヨーロッパの冷涼な針葉樹の森に棲み、シベリア、北米、日本にも棲んでいます。





往時のままフォロロマーノのカサマツ(再掲)downsize
(往時のままフォロロマーノのイタリアカサマツ、スイスカサマツもこれに似た樹)
マツつながりのローマ、フォロロマーノを再び
カサマツが茂るローマ遺跡フォロロマーノ(Foro Romano)のフォトを添えます(一部は再掲)。
ローマ過去記事はこちらをクリック↓
ローマ「弾丸トラベラー」水の民の噴水を巡る
小石と砂のネバーエンディングストーリーとローマ番外編
動物たちと歩むヒトの進化;共進化する者たち/ローマ再び


遺跡の前でチョイ悪オヤジの集会downsize
(遺跡の前でチョイ悪オヤジの集会)
ホシガラス君は松ぼっくりが好物なんです
ホシガラスの主な食べ物は各種のマツなどの種子である球果、いわゆる松ぼっくりです
冬には食糧が乏しくなるので食べ物を隠して保存する「貯食」をします。


セプティミウス セウェルスの凱旋門(再掲)downsize
(セプティミウス セウェルスの凱旋門(Arcus Septimii Severi) (再掲))
春一番の繁殖にそなえて秋に蓄えなくちゃ(貯食する)
春、ホシガラスは生息地の中でも最も早く巣作りをするので、前の秋に貯食した種子はとても大事な食べ物です。ホシガラスは球果(松ぼっくり)からまず種子を取り出し運んで地中に埋めます。
そしてアルプスに棲むホシガラスが食べる主な食べ物はマツの仲間のスイスマツ(Pinus cembra)の種子で、これを貯食します。


フォロロマーノ前のカサマツdownsize
(フォロロマーノ前のカサマツ)
ローマ遺跡にはキノコみたいなカサマツが似合う
ローマ時代を描いたルネサンス絵画の背景にある頂部だけに葉が茂る背の高い木、キノコみたいに頂上だけに枝葉が茂る樹はイタリアカサでマツの仲間です。ローマのフォロロマーノの遺跡にも生えていました。今回の主役、スイスカサマツはこのイタリアカサマツに近い種類です(多分)。

ディオスクーリ神殿(再掲)downsize
(ディオスクーリ神殿Tempio dei Dioscuri(再掲))
ホシガラスとスイスカサマツの「持ちつ持たれつ」
ホシガラスはスイスカサマツの球果の種子だけを貯食し、スイスカサマツはホシガラスだけを種の運び屋にしています。1対1の契約関係、「持ちつ持たれつ」です

発掘現場も見れましたdownsize
(発掘現場も見れました、今でも掘っているんですね)
芽吹きにくい場所をわざと選ぶホシガラス
ホシガラスはスイスカサマツの種子を隠すときちょっと変わった工夫をします
通常なら他の動物に見つかりにくい所を選ぶのですが、ホシガラスは日陰で乾いた、いかにも芽が出そうにない場所です


サンマリノ共和国切手イタリアカサマツの絵REVdownsize
(サンマリノ共和国の切手、樹のシリーズにはイタリアカサマツがあります、以下のウェブからお借りしています) サンマリノ共和国の切手、樹のシリーズ
盗まれてもいいけど芽が出ちゃ困る
本当か?確かめるためにヒトが無作為にホシガラスの生息地のあちこちにスイスカサマツの種子を埋めて、ホシガラス自身が埋めた種子の行く末と比べたそうです
発芽する割合はホシガラスの埋めた種子の方が低く(そのまま冬を越す)、他の動物に「盗まれる」割合は同じだったそうです。ホシガラスは盗まれることに頓着しないようです。
(独ロエベ生物多様性・気候研究所(Biodiversity and Climate Research Centre)、Eike Lena Neuschulz氏の研究です)


何となくラピュタを思い出す風景downsize
(何となく「天空の城ラピュタ」を思い出す風景です)
芽吹いたら冬越しの蓄えにならないか
実はスイスカサマツの種子は発芽条件さえ揃えば翌年の春を待たずどんどん芽吹いてしまいます
これではホシガラスにとって冬の保存食になりません
そこでホシガラスはわざと芽が出にくい場所に埋めて冬の蓄えとして凌ぐのです


緑の中の静かな遺構downsize
(緑の中の静かな遺構)
寿命500年のカサマツはの~んびりの繁殖戦略
それではスイシカサマツは困らないのか?いえ好都合なのです
寿命500年と長生きの木なので毎年繁殖しなくても良いようですが、種子は離れた新しい地まで運ばれ次世代が遠くで発芽し育つ必要があります。毎年たくさん芽吹くより遠くでときどき芽吹く方が100年単位で考えれば好都合のようです。


小さな凱旋門REVdownsize
(小さな凱旋門)
アルプスのスイスカサマツを再生したホシガラス君
このようにホシガラスの貯食戦略はスイスカサマツの繁殖戦略と利害が一致しているらしいのです
昔、アルプス山脈のスイスマツは広範囲にすっかり伐採されてしまいましたが、ホシガラスの「種まき努力」でスイスカサマツの群落が再生されたそうです


銘板にアントニウスの名がある遺跡downsize
(銘板にアントニウスの名がある遺構)
富士山麓でもゴヨウマツを助けるホシガラス
日本でも富士山麓でホシガラスの貯食行動が調べられており、貯食するマツはゴヨウマツです。木から2-10kmも離れた場所に貯食するのでゴヨウマツが生息地を広げるのに役立っています。
(NPO法人自然環境アカデミー・学芸員 西 教生氏の研究)


草生す遺跡downsize
(草生す遺跡)
記憶力なら日本一です、ホシガラス
日本のトリの中でもホシガラスは一番多くの種子を貯食し、埋めた数だけ場所を覚えている必要があります。また、巣立ち3ヶ月の若鳥でも貯食が出来るので学習よりは遺伝子に書かれた能力なのでしょう。

カラスとカラス科の賢さについては以前こんな記事も書いています↓
カケス君に質問です 君は賢いか はい+みなとみらいとお台場
カラスが7つの子を数える脳の算術モジュール 南イタリアのソレントおまけ


出典: 日経サイエンス2015年5月号P.20 海外ウォッチ「ホシガラスの食料保存術」
出展: 「富士山におけるホシガラスの生態およびゴヨウマツの更新動態に関する研究」
平成21年度文科省科研費奨励研究、代表者:NPO法人自然環境アカデミー・学芸員 西 教生氏
出典: ウキペディア記事「ホシガラス」
出典: ウキペディア記事「マツ」


過去の記事リストは下のイラストをクリック ↓ (日本国内と南の島の記事は「ヨーロッパの話題」にまとめています)
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テーマ : パリ、フランス - ジャンル : 海外情報

コメント

Re: No title

Beat Wolf様、いつもありがとうございます。おっしゃる通りですね、芽吹かなければ良いだけでなく、芽が出にくい場所も知る知恵には本当に感心します。だって私には場所選べませんもの。

> 木の実をわざと車の通り道に置いて
> 車に割らせるという話は知ってますが
> わざと芽が出にくい場所に貯食するなんて
> 本当にカラスは賢いですね。

No title

木の実をわざと車の通り道に置いて
車に割らせるという話は知ってますが
わざと芽が出にくい場所に貯食するなんて
本当にカラスは賢いですね。

Re: ありがとうございます。

こちらこそ、いつもありがとうございます。

> お気遣いありがとうございます。
> こちらこそいつもステキなパリの情報を教えていただきありがとうございます。

ありがとうございます。

お気遣いありがとうございます。
こちらこそいつもステキなパリの情報を教えていただきありがとうございます。

Re: No title

duck4様いつもありがとうございます。おっしゃる通りやっぱりカラスさん一族は賢いのですね。duck4さんのブログ記事で滞在組ハクチョウさんたちの仲間意識やお互いとの付き合い方をいつも拝見しているとトリさんたちは私たちヒトと同じように頭と心を使って暮らしているんだなぁとつくづく思います。

> Levalloisbeeさんへ
>
> こんばんは!
>
> ホシガラスさんの貯食の方法!すごいですよね!マツの実の発芽の特性を知り尽くしてか、乾燥した日陰に隠しておくとは、その知識と経験があること自体、能力の高さを証明しているようですね!全般的に、カラスさんは能力は高いことは知っていましたが、記憶すす能力もなければ、貯食もできませんよね!v-519v-521

No title

Levalloisbeeさんへ

こんばんは!

ホシガラスさんの貯食の方法!すごいですよね!マツの実の発芽の特性を知り尽くしてか、乾燥した日陰に隠しておくとは、その知識と経験があること自体、能力の高さを証明しているようですね!全般的に、カラスさんは能力は高いことは知っていましたが、記憶すす能力もなければ、貯食もできませんよね!v-519v-521
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