1つのキノコが地球の歴史を変えた+北仏ノルマンディー再び

1つのキノコが地球の歴史を変えた+北仏ノルマンディー再び
葉っぱ物語り【序章】 炭素貯金


オンフルール旧港の古い木の家downsize
(オンフルール旧港の古い木の家)
リグニンとキノコが地球の気候、歴史を変えた
生き物は環境変化の影響を受けますが、生き物が地球の気候、環境を変えてしまうこともあります。
たった1つの生体成分、木材を作るリグニンの登場で巨木の森ができ、石炭生産が高まり酸素は30%になって巨大昆虫が飛ぶ世界になりました。
やがてたった1つのキノコが石炭生産を止め、1つの地質時代の幕を引きました。
(リグニンは天然の高分子、ポリマーです)






オンフルールの楽器店downsize
(オンフルールの楽器店)
ノルマンディーをもう少し・・
木にちなんで添えるフォトはフランスのノルマンディー地方、少しずつ様式の違う木の梁と漆喰や石積みの組合せが美しい木の家たちです(一部は過去記事フォトの再掲)
ノルマンディー、オンフルールの最近の記事です↓
かくれんぼの路地と隠れ家ホテル;オンフルール再訪[後編]
深まりゆく藍色の街に灯が暖かい;オンフルール再訪[中編]
得も言われぬ狐の嫁入り;オンフルール再訪[前編]


古生代に大きく変わった植物の歴史
(古生代に大きく変わった植物の歴史)
地球史の8割は氷の無い温室地球
地球の気候は温暖化と寒冷化を繰り返してきました。極地や高山に万年氷のある現在の「氷室地球」は、地球の歴史では普通ではなく、地球史の80%は氷のない「温室地球」でした。
気候、特に気温を決める主な要素は大気中CO2(二酸化炭素)など温室効果ガスです。


リグニンときのこが気候を変えた
(リグニンときのこが気候を変えた)
地表の75%を植物が覆う緑の星
人工衛星による宇宙から観測(リモートセンシング)した地球の地表の75%は森林で覆われていること、そして植物は光合成によって大気CO2から年間1050億トンもの有機物(バイオマス)を作っていることが分りました。

赤が良く似合うノルマンディー伝統の木組みの家ルーアンREVdownsize
(赤が良く似合うノルマンディー伝統の木組みの家、ルーアン(再掲))
陸と海の植物が半々ずつCO2を食べてます
現在、光合成で大気のCO2を糖分など有機物に変える(CO2濃度を下げる)働きは、草木など陸上植物と海(や湖沼)の植物プランクトンが約50%づつ、半々です。

おとぎの国のようなドーヴィルの家downsize
(おとぎの国のようなドーヴィルの家)
地球のバイオマスの9割は陸上植物
ところが、植物のバイオマス(生き物の体かその遺骸や排泄物など生き物由来の有機物の量)で比べると陸上植物が90%と圧倒的で、植物プランクトンはたった1%です。バイオマスと言う点では森林などが主役です。

枯れ木は食べ残しが出るから
なぜか?海の植物プランクトンはどんどん動物プランクトンに食べられ食物連鎖の出発点になります。一方、陸上の植物はすべてが動物に食べられたり、枯れた木や枝葉が分解されたりするわけではなく、草木が枯れた後、植物体の一部は分解されずに地中に残ります(特に寒冷なタイガでは)。

オンフルールのシーフードレストランREVdownsize
(オンフルールのシーフードレストランは観光客に人気)
地中の炭素貯金として蓄えに
一部の分解されない有機物は地中に残り地球の「炭素貯金」として貯えられます。つまり、正味で(netで)大気のCO2を減らします(海ではプランクトンの遺骸や糞がマリンスノーとなって海底に降積り、一部は「炭素貯金」になります)。

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過去の記事リストは下のイラストをクリック ↓ (日本国内と南の島の記事は「ヨーロッパの話題」にまとめています)
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炭素貯金は長い年月を経て化石燃料になる
長い年月を経ても消費されない地中の植物成分はやがて石炭など「化石燃料」になります(海でもプランクトンの遺骸などはやがて石油になるのでしょう)。

ルーアン落着いた雰囲気の路地奥の小広場downsize
(ルーアン落着いた雰囲気の路地奥の小広場(再掲))
古生代の貯金をヒトが勝手に引出して温暖化に・・
現在大気中O2(酸素)濃度は20.9476、CO2(二酸化炭素)濃度は0.0396%(396ppm)です。
今では、昔の炭素貯金である石炭、石油、天然ガスをヒトが勝手に引き出していますが、過去のある時期(デボン紀、シルル紀、石炭紀)には植物が貯金をする(分解されずに貯まる)一方だったようです。


炭素貯金でCO2は激減、廃棄物O2は激増
その結果、“炭素の通貨”であるCO2は“市場”の大気中では1/10と大幅に減り、代わって”光合成の廃棄物“であるO2(酸素)が大気中に大幅に増え30%になりました。巨木の森に巨大昆虫が飛んでいた時代です(酸素濃度が高いと巨大化できます)。

帆船が看板のオンフルールのレストランdownsize
(帆船が看板のオンフルールのレストラン、ステンドグラスが美しい)
植物の骨格を作るリグニン
植物の“骨格”にあたる幹、枝、根など(つまり木材)の繊維はセルロースとヘミセルロースとリグニンで出来ています。特にリグニンは幹や根を丈夫にします。

リグニンを獲得し水辺から内陸進出、巨木の森に
太古の海で生まれた植物は約4億6500万年前のオルドビス紀に上陸を果たします
ながらく“水辺の草”の状態にとどまっていた陸上植物は約3億6千年前の石炭紀直前になってやっとリグニンを“発明”しました。リグニンを得た植物はようやく水辺を離れ内陸に進出しました。


幾何学模様のようなルーアン木組みの家並みdownsize
(幾何学模様のようなルーアン木組みの家並み(再掲))
リグニンのせいで食べられない
ではなぜ陸上植物だけその“食べ残し”が出るのか?
このリグニンが多くの地中の微生物や菌類には“食べられない”のです。そのため大量の植物(木材)が「炭素貯金」として地中に溜まりました。この地質時代がその名も「石炭紀」です。


キノコは森のお掃除屋さん、地球の歴史も変えた
マツタケやシイタケなど担子菌の仲間には地中で枯れた植物を分解するものがいます、いわゆる“掃除屋”スカベンジャー(scavenger)です。

ルーアンのサロンドテdownsize
(ルーアンのサロンドテ(再掲))
石炭生産を止め気候を変えたキノコ
約3億年前の石炭紀末に、リグニンでもパクパク食べてしまうスカベンジャーが現れました。そしてこのたった一種類(属)のキノコ(担子菌類)、白色腐朽菌が地球の気候を変えてしまったらしいのです。
リグニンを分解する酵素を手に入れた白色腐朽菌は枯れた植物を”完食“することで炭素の地中貯金、石炭生産を止めてしまったらしいのです。


木材を完食できるただ一つの生き物、白色腐朽菌
白色腐朽菌は,現在でも地球上で唯一の『木材を完全分解できる生物』です。リグニンを分解するために必須の酵素である「ペルオキシダーゼ」は担子菌の進化により獲得されたようです。

原著Emelald Planet
(こんな原著です)
キノコが石炭紀の幕を引いた??
白色腐朽菌がリグニン分解能を獲得したのは約3億年前の石炭紀末期頃と推定されました。
石炭紀)からペルム紀への変わり目で起こった有機炭素貯蔵量、「炭素貯金」の急激な減少はキノコがリグニン分解能力を獲得したことが関与していると考えられるそうです。
キノコが1つの地質時代の幕を引いたとも言えそうです。


出典: 「植物が出現し、気候を変えた」 “The Emerald Planet; How Plants Changed Earth’s History” 2007年 David John Beerling氏著、西田佐知子氏訳(2015年 みすず書房)
著者プロフィル: Professor David John Beerling F.R.S. Department of Animal and Plant Sciences, University of Sheffield
http://en.wikipedia.org/wiki/David_Beerling
https://www.shef.ac.uk/aps/staff-and-students/acadstaff/beerling

出典: 東京大学プレスリリース2012年7月2日
東京大学 農学生命科学研究科 研究成果「リグニン分解酵素の進化が石炭紀の終焉を引き起こした-担子菌ゲノム解析コンソーシアムの共同研究成果がScience誌に掲載」
http://www.a.u-tokyo.ac.jp/topics/2012/20120702-1.html(リンク貼っていません)
原典: Science (2012年6月29日号)“The Paleozoic origin of enzymatic mechanisms for decay of lignin reconstructed using 31 fungal genomes”


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