芳醇な一杯が飲めなくなるかも?コーヒーの危機+パリのカフェふたたび

芳醇な一杯が飲めなくなるかも?コーヒーの危機+パリのカフェふたたび

東日本大震災から4年が経とうとしています。
翻って私は忘れずに思い続けることしか出来ておりません。
まだ道半ばとは言え、復興を進めておられる被災地の皆さまに希望と勇気をいただきました。
一日も早い復興を微力ながら応援しております。


噴水が借景のサンジェルマンのカフェdownsize
(噴水が借景のサンジェルマンのカフェ) この過去記事はここをクリック↓
カフェは街角の薫りと空気を醸す空間-カフェ話再びその3
1杯のコーヒーでオン-オフの切換え
コーヒーはお好きですか?寝起きのモーニングコーヒー、カフェの1杯のエスプレッソはオフからオンへ、オンからオフへ切り替えてくれます。
コーヒーのサイエンス小ネタにつき添えるのはこれまでご紹介したカフェのフォトです。






我が家のコーヒーの木は35歳REVdownsize
(我が家のコーヒーの木は35歳、今も元気です)
コーヒーの『今そこにある危機』
今その愛すべきコーヒーが、正確にはコーヒーノキが絶滅の危機だそうです。コーヒーさび病という病気の蔓延が続いているそうです。
ちなみに我が家のコーヒーの木は数cmの苗木でうちに来て以来約35年間も元気で居間に鎮座しております。


赤が粋なアクセントのカフェ(サントノレ)REVdownsize
(赤が粋なアクセントのカフェ(サントノレ)) この過去記事はここをクリック↓
ヴァンドームからヴィラージュへ;晩秋パリ散歩その1
キノコの仲間がひき起す感染症です
「さび病」はキノコの仲間(担子菌)のサビキンがひき起こす植物の病気で、コーヒーさび病では葉っぱに茶色い斑点が出来て葉が枯れ落ちます。

世界中の銘柄が競うコーヒーですが・・・
コーヒーはコーヒーノキの実です。これを焙煎し碾いて淹れればおいしい一杯のコーヒーになります。コーヒーには、モカ、コロンビア、ブルーマウンテンなど、各産地ごとに銘柄がありそれぞれ個性があって種類が豊富ですよね。

木漏れ日の影がゆれるアナトールフランスのカフェdownsize
(木漏れ日の影がゆれるアナトールフランスのカフェ) この過去記事はここをクリック↓
心が背伸びするいつものカフェ - カフェ話再びその2
コーヒーのバラエティが乏しいとは夢にも思わない
コーヒーは世界中の多種多様、個性あふれる銘柄が競う嗜好品であるためコーヒーノキの研究者でない限り(しかも人数も少ない)、まさか「コーヒーノキが生物多様性に乏しく病気や環境変化に弱い」とは夢にも思わないこともさび病が蔓延するまで放置された一因であるようです。

実は生物多様性に乏しいコーヒーノキ
でもこれは栽培の環境ややり方、焙煎の仕方などによる個性であって、おおもとのコーヒーノキの生物多様性はとても低い(生物種としてバラエティに乏しい)のです。

静かに時が過ぎる午後のカフェ(サンジェルマン大通り)REVdownsize
(静かに時が過ぎる午後のカフェ(サンジェルマン大通り))この過去記事はここをクリック↓
セーヌを渡る散歩道、サンジェルマン、シテ島; 晩秋パリ散歩その3
世界のコーヒーのご先祖はたった数本の樹
世界各地で栽培されているコーヒーノキの70%がアラビカ種で、そのご先祖を遡れば、すべてが昔々エチオピアの高原に生えていたたった数本のコーヒーノキに行き着くそうです。

世界のコーヒーはまるでクローン
もう1つの主な品種ロブスタ種もアラビカ種の近縁でコーヒーノキ栽培種の多様性は野生種のたった1%しかありません。世界中のコーヒーノキはまるでクローンのように遺伝的にとても似通っています。

5区晩秋の陽の中のカフェREVdownsize
(5区晩秋の陽の中のカフェ)この過去記事はここをクリック↓
日々の暮らしとカフェ、旅で出会うカフェ、パリのカフェ話しを再び・・・
1種類しかないと環境変化に弱い
これは1品種の商品しか持たない企業と同じで環境の変化に極めて弱いのです。環境変化には気候などの自然環境や、病害虫害のような生物的な環境も含まれます。つまりコーヒーノキは地球温暖化にも病気の蔓延にもとても弱いのです

温暖化が蔓延を後押し
更に温暖化も病気の蔓延を促します。さび病を起こすサビキンは冷涼な気候に弱くこれまで冷涼でさび病が増えないブルーマウンテンのような高地のコーヒー産地でも地球温暖化によりじわじわさび病が広がっているようです。

観光客が行き交うシテ島のカフェdownsize
(観光客が行き交うシテ島のカフェ)この過去記事はここをクリック↓
日々の暮らしとカフェ、旅で出会うカフェ、パリのカフェ話しを再び・・・
大企業が手を出さないコーヒーノキ
コーヒーノキはグローバルなアグリ企業が手を出さない珍しい作物です。多様性がなさ過ぎてイジリようがない(新品種開発のうまみがない)からだろうとのことです。

おかげで研究者も貧乏
これは零細な農家でもコーヒーで食べて行ける点では良いのですが、企業から研究資金が出ないため研究者の数も少なく貧乏であるようです。

静かなクールセル通りカフェの朝downsize
(静かなクールセル通りカフェの朝) この過去記事はここをクリック↓
カフェは街角の薫りと空気を醸す空間-カフェ話再びその3
危機なのに振り向いてもらえない、お金がない
そんなコーヒーノキを救いたいと思っても栽培者はみな零細な農家だし、研究者は少なくお金がないし、コーヒー(と言う製品)には様々な銘柄があるから世間は多様性に乏しいとも、コーヒーが脆弱だとも思い至らないし、・・・で危機なんだそうです。

とうとう有志が立ち上がりました
それでも何人かの研究者有志が立ち上がり今では世界企業が支援を始めているそうです。また、コーヒーノキの種は精子バンクのように冷凍保存が出来ないので研究者が様々なコーヒーノキを植え継ぐ遺伝子バンクの農園や、各地の品種を交換するなど努力をしています。

オスマン通りのカフェdownsize
(オスマン通りのカフェ)この過去記事はここをクリック↓
心が背伸びするいつものカフェ - カフェ話再びその2
野生種の生物多様性こそ究極の解決策
しかし、根本的な解決は時間がかかっても栽培種と野生種の交配による美味しく病気に強い品種の開発だそうです。その野生種も開発と温暖化で絶滅の崖っぷちにあるそうで、コーヒーの危機は「待ったなしの今そこにある危機」のようです。

コーヒーを愛する人も危機を訴えています
THE COFFEESHOP ROAST WORKS で自家焙煎されている村澤智之さんもご自身のブログ「琥珀色のウタカタ」に「コーヒーさび病の危機」を詳しく載せておられます。リンクは貼っていませんが、ブログ記事のURLはこちら↓ぜひ立ち寄られては・・
http://amberbubbles.com/2013/01/central_america_coffee_leaf_rust/

今回の出典: 日経サイエンス2015年4月号 P.88「カギ握る遺伝的多様性;コーヒーを救え」 ”Saving Coffee” Hillary Rosner氏執筆

その他参考にした出典
出典: 住友化学園芸のホームページ記事「さび病」
http://www.sc-engei.co.jp/navi/byoki10.html
出典: 国立科学博物館ホームページ記事「さび病菌」
http://svrsh2.kahaku.go.jp/fungi/
出典: ウキペディア記事「サビキン目」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%83%93%E3%82%AD%E3%83%B3%E7%9B%AE


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テーマ : パリ、フランス - ジャンル : 海外情報

コメント

Re: こんにちは

ありがとうございます。私もこの原典記事を読んでびっくりしました。でも遅ればせながら大企業も協力しているようですし、病害を何とか食い止められればいいですね。おいしいコーヒーのない朝なんて考えられませんもの。

> 久しぶりにLevalloisbeeさんの記事が読めて嬉しいです。コーヒーですか。なるほど。勤め先が農薬系なのですが、野菜・果物・穀類中心です。やはり、人間に必要な食物を扱う方が、飲料を扱うより重要かつお金になるということなのでしょうか。飲料系では、果実であるブドウからなるワイン畑は扱っていたかと。その他は、多分、ビールのホップだったかな。。。コーヒーは、こんなに広く愛飲されているのにも関わらず、全く研究対象にすらならないのですね。驚きです。

こんにちは

久しぶりにLevalloisbeeさんの記事が読めて嬉しいです。コーヒーですか。なるほど。勤め先が農薬系なのですが、野菜・果物・穀類中心です。やはり、人間に必要な食物を扱う方が、飲料を扱うより重要かつお金になるということなのでしょうか。飲料系では、果実であるブドウからなるワイン畑は扱っていたかと。その他は、多分、ビールのホップだったかな。。。コーヒーは、こんなに広く愛飲されているのにも関わらず、全く研究対象にすらならないのですね。驚きです。

Re: No title

そうですよね。コーヒーもコーヒーノキも好きな私も困ります。確実に来る地球温暖化で何が脆弱になるのか、関心を持たないといけないですね。

>世の中の多くの人と同じく、コーヒーが飲めなくなるのは、とっても困ります。

No title

世の中の多くの人と同じく、コーヒーが飲めなくなるのは、とっても困ります。
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