生きる知恵だった錯覚で楽しむ手品;ニューロマジック(その2)

生きる知恵だった錯覚で楽しむ手品;ニューロマジック(その2)

マジシャンに学ぶ脳神経科学の続編です。ニューロマジック前編はこちら↓
ニューロマジック、手品に学ぶ脳神経科学(その1)錯覚を操る技(前編)

曲線で出来ているカサ・バトリョ外壁REVdownsize
(曲線で出来ているカサ・バトリョの外壁)
“木の精”を感じるガウディ作品
前回に続きフォトはバルセロナのガウディ作品、“木の精”のような生き物を感じる建物カサ・バトリョ(Casa Batlio、ユネスコ世界遺産)です。





錯視を使ったカードマジック
(錯視を使ったカードマジック、見えないはずのカードが当たる)
なぜ見てないカードを当てられるのか?
カードを使うマジックは定番ですね。あなたはそっとカードを1枚選びマジシャンはそれを裏返したまま“カードの山の真ん中に入れ“シャッフルします。今度は数字が書かれたカードの表を上に扇型に広げます。「あなたが選んだカードはこれですね」と指差す、「わぁ、当たり!」、フシギですね。

少し離れると傾きの性分らない
(不正確な遠近法が錯視を生む)
不正確な遠近法が生む錯視
これは2種類の錯視を利用したものです。マジシャンはカードの山をこちらに見えるよう傾けカードを入れますが、一番上のカードだけ余計に傾けることで後ろに隙間を作りここに選ばれたカードを入れます。

木の精のような扉が「ようこそ」カサ・バトリョdownsize
(木の精のような扉が「ようこそ」)
少し離れると傾きの不自然さに気づかない
遠近法はそれほど正確ではないので一番上のカードだけ余計に傾いていることを検出できません。掌の傾きと一番上のカードの傾きがだいたい合っていれば隙間があるようには見えないのです(見ようと意識しても)。

ネモ船長のノーチラス号の艦内みたいカサ・バトリョREVdownsize
(ネモ船長のノーチラス号の艦内みたいカサ・バトリョの通路)
マジックは魔法じゃなくて科学です
マジシャンは選ばれたカードを悠々と上から2番目に入れます。一番上のカードは予め覚えていて、後は十分シャッフルする“ふり”をしてから、広げたカードの中から一番上だったカードを見つけます。そしてそのとなりのカード(上から2番目だった)を指せば良いだけです。

硬質感の吹抜けが違う印象のカサ・バトリョdownsize
(硬質感のカサ・バトリョの吹抜けは印象が違う)
もう一つの錯視、隠ぺい効果も・・
でも「山の真ん中にカードが入ってはず?」、いえ、“入る”のは後ろからなのであなたは見ていませんね。カードの山の前面の真ん中が少し飛び出す“入った結果であるはず”の光景を見ただけです。
実はマジシャンが指で少し押していただけなのに。
これは隠れた部分を“想像で埋める”隠ぺい効果を逆手にとったものです。


生き物の体内から外を見るようなカサ・バトリョの窓downsize
(生き物の体内から外を見るようなカサ・バトリョの窓)
サバイバル能力が思い込みを生み出す
木の幹の左右に頭と尻尾が見えれば、1匹の動物が木の陰いると判断します、「頭と尻尾が1つづつで胴がない」とは思わない。また2匹かも知れないのに1匹と思う、これが隠ぺい効果です。
でも野生では“1匹か2匹か迷うより逃げる方が先!”だから役立つ脳機能だったはずです。


壁に隠れるカイジュウの顔カサ・バトリョdownsize
(壁に隠れるカイジュウの顔、カサ・バトリョで見つけた)
マジシャンが見つけた脳の働き
更にマジシャンのおかげで新たに解明された脳の働きの例まであります。
「そーれ」と棒を振る間にマジシャンは違う場所にあるボールやコインなどをそっと移しておきます。このときマジシャンは棒の先だけを見つめ、つられて観客の眼も棒の動きだけを見つめています。だから大胆に物を動かしても「観客の脳」には見えていません。


胎内巡りのように次の部屋へカサ・バトリョdownsize
(胎内巡りのように次の部屋へ、カサ・バトリョの見学者)
棒をまっすぐ振るとバレますよ
しかしこれを単純にやると必ずバレます。コツは棒が曲線を描くように動かすことです。
なぜ?直線的な動きはその終点が予測できるので脳には周りにも注意を払う余裕ができます。


甲殻類のようなカサ・バトリョの出窓downsize
(甲殻類のようなカサ・バトリョの出窓)
目には映れど脳には見えない
ところが曲線的な動きでは次が予測できないので意識を棒の先だけに集中してしまうのです。そうなるともう周りはまったく見えません。眼には映っていても脳には見えないのです。

2つの視覚経路
2つの視覚を比べると<その1>
2つの視覚を比べると<その2>
(2つの視覚経路と2つの視覚を比べてみる)
関連過去記事はこれ↓
見ているのに意識できない視覚 + 南仏ニース番外編

階段を降りるとカサ・バトリョを立体的に感じるdownsize
(階段を降りるとカサ・バトリョを立体的に感じる)
騙されるのは「知覚のための視覚」
ただしこれは「知覚のための視覚」の話で、「行動のための視覚」はちゃんと“見て”います。だからあなたはマジックを見ながらコーヒーが飲めるわけです。それでも目の前のマジシャンのトリックは見えていないのです。

恐竜の背骨でしょうかカサ・バトリョの階段downsize
(恐竜の背骨でしょうかカサ・バトリョの階段)
しつこく続きます・・・
ニューロマジックのお話は少し置いてまたの機会に・・・

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バルセロナとガウディの過去記事はこれ↓
生き物が作る宝石金塊核燃料 + バルセロナのガウディ番外編: 小石と砂のネバーエンディングストーリーその3
バルセロナ番外編② ヒスパノ・アラブ様式が美しいカタルーニャ音楽堂
バルセロナ番外編① ガウディの先生ムンタネーとサンパウ病院
体温を感じるガウディの建物バルセロナ紀行後編
憧れのガウディに会いに行く南欧バルセロナ

視覚と脳の働きの過去記事はこれ↓
脳が創り出す「マトリックス」な世界 + 南仏の赤い村ルシヨン
見ているのに意識できない視覚 + 南仏ニース番外編
脳は多党民主制、意識は脳テンキCEOその1+ブリュッセルのグルメ
夢と記憶の妖しい関係 + 光と影が曖昧な晩秋パリ、バスティーユ
「見えないけど見ている視覚」とアラビアが薫るセビリア

過去の記事リストは下のイラストをクリック
パリの話題minisizeREVフランス街歩きminisizeREV
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コメント

Re: No title

コメントありがとうございます。「勉強になる」なんてとてもとても(汗!)、過分のおほめ恐縮です。パリ在住3年間に欧州のアチコチを訪れましたが、若い頃から憧れたガウディ詣では素敵な思い出です。サグラダファミリアなど当時としては無茶苦茶な建物を認めて100年かけて造る欧州は奥が深いと思いました。大川原さんの歴史を見据えられた奥深い記事をいつも感心しながら拝読しております。

> こんにちは。
>
> いつも勉強になる、良い写真を公開していただき、ありがとうございます。
>
> 僕はまだ、ヨーロッパには行ったことがないので、とても興味深いです。
>
> 今後ともよろしくお願いいたします。

No title

こんにちは。

いつも勉強になる、良い写真を公開していただき、ありがとうございます。

僕はまだ、ヨーロッパには行ったことがないので、とても興味深いです。

今後ともよろしくお願いいたします。
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