みんなで育てばコワクない、植物の共存共栄

みんなで育てばコワクない、植物の共存共栄

混合栽培と単独栽培
(混合栽培では多様性が高くなり単一栽培では乏しい)
植物も「みんなで殖えればコワクない」
新年最初は、植物も色々な仲間と一緒の方が「共存共栄」、「皆で殖えればコワクない」と互いに繁栄する・・と言うサイエンス小ネタです。





西表島カマヤ北IMG_0192REVdownsize
(西表島のダイブポイント「カマヤ北」の珊瑚礁)
先島諸島の珊瑚礁散歩
添えるテキトウな写真もないので、生物多様性つながりで以前潜った先島諸島のサンゴ礁の風景を添えます。
先島諸島ダイビングの過去記事はここをクリック↓
珊瑚礁の宝石、色鮮やか魚たち 石垣島ダイビング番外編
6月の海は恋の季節石垣島ダイビング記


竹富島オレンジピールにいたハマクマノミREVdownsize
(竹富島のスポット「オレンジピール」にいたハマクマノミ)
違う仲間と暮らすとバラエティが増えてタフになる
良く考えると当たり前なのですが、同じ植物でも種類の違うたくさんの仲間と一緒に育つと背丈や稔りや栄養(生化学的な成分)などがバラエティに富んだものになります。
色んな性質の植物が殖えることで環境が変わっても生き抜けますし、これが次の進化も生むようです。


竹富島オレンジピールのスカシテンジクダイdownsize
(竹富島「オレンジピール」に群れるスカシテンジクダイ)
8年の歳月をかけた地道な研究の成果です
このことを8年の歳月をかけて実証した研究があります。混合栽培した植物の方が単一栽培した植物より多様性に富み、稔りが多くなり、次に進化していく可能性も大きくなるらしいのです。
様々な人々が暮らす猥雑でオープンな環境で育てば変化に強く個性豊かな逞しい子供が育つ??のと同じでしょうか???


竹富島オレンジピールのデバスズメダイREVdownsize
(竹富島のスポット「オレンジピール」で逢ったデバスズメダイたち)
混合栽培と単一栽培で比べてみると・・
現チューリッヒ大学(Univ. of Zurich)のDebra Zuppinger-Dingley氏らはドイツのイエナ(Jena)の研究所の温室で種類が大きく違う(進化上離れた系統にある)12種ほどの植物(イネ科、双子葉ハーブ、マメ科など)を2つの条件;①一緒に育てる(混合栽培)、②それぞれ別々に育てる(単一栽培)、で8年間育てて、その後、条件を揃えるためどちらも単一栽培し背丈や実生などのバラエティ(多様性)、稔りの多さを比べてみました。

石垣島大崎ミノカサゴ宮殿downsize
(石垣島「大崎ミノカサゴ宮殿」のキンギョハナダイ)
お互いが変わることで一緒に暮らす「共存共栄」
すると多様性、稔り(生産量)、進化の程度、いずれも①の混合栽培が勝っていました。
背の高さ、葉の形・大きさ、根の張り方など生え方も様々いなりました。
また、本来同じNiche(場所や条件)を競い合う植物もそれぞれ互いに少しずつ変わることで共存していました(character displacement、形質置換です)。


石垣島名蔵湾奥の白化サンゴREVdownsize
(石垣島スポット「名蔵湾奥」で見た白化サンゴ)
共存が生み出す多様性と進化
植物は違った仲間と共に生えることで、優勢な植物が他を駆逐するのではなく、お互いに少しずつ変わり、少しずつ違う棲家を得ることで、共存し共栄するようです。
これらは多種多様な植物が共存できるヒミツであると共に進化を生み出してゆく「しかけ」の1つでもあります。
逆に限られたNiche(居場所)ではより適応した種が独り占めするようです。


石垣島大崎ミノカサゴ宮殿チョウチョウウオdownsize
(石垣島「大崎ミノカサゴ宮殿」でサンゴをついばむチョウチョウウオ)
それぞれに少しずつ違うたくさんの居場所(Niche)を・・
自然の森や野ではいろいろなたくさんの種類の植物が茂り、様々な虫や鳥も棲んで複雑で豊かな生態系を作っています。
様々な植物が混じり合うことで日向、日蔭、湿った土、乾いた土、地表面、地面から高いところ、樹冠など様々なたくさんのNiche(ニッチ、生態的地位)、ザックリ言えばそれぞれの居場所、棲家、あるいは、食物サイクルの中での役割が用意されます、それは植物だけでなく、虫にも鳥にも、微生物にも・・・。


多彩な棲家(Niche)が生物多様性を高める
少しずつ違うNicheがたくさん用意されることで生物多様性が生まれ、このような環境は進化を育む「ゆりかご」になりますし、それは取りも直さず来たるべき気候変動を生き抜くことにもなります。

単一作物へは虫、鳥、草は「立ち入り禁止」
一方、現代の農地ではそれぞれ単一の植物(作物)を育て、虫や鳥や他の植物は原則「立ち入り禁止」です。収穫、出荷、輸送、包装などに便利なように背丈、実生の大きさ、開花や稔る時期も皆同じ、まるで規格化された工業製品のようです。

「1品種=1遺伝子形」の規格化作物
その土地に合った、それ以上に市場ニーズに合った作物の品種改良が進み、今では1品種=1遺伝子形(純系の白いネズミ君のような実験動物みたいな)とさえ言われます。

やむにやまれぬ増産
また更に、世界の人口問題や食糧危機に対応するためには益々「性能第一」の作物が求められ、作付面積も増やしてゆく必要があります(第二の緑の革命に向かって・・・)。

心配な遺伝的脆弱性
でも、これは生物学的に見て脆弱性(遺伝的脆弱性)を高める方向なのかも知れません。ましてや地球温暖化で各地の気象や水資源の条件が激変するだろうことを考えると尚更に・・・。

生物多様性を担保して気候変動に備える
だからこそ、生物多様性を担保することが、気候変動にも耐え、おいしくて安い農産物を、爆発する人口の需要に見合う量を確保する上で大切になると思います。アイルランドのジャガイモ飢饉を繰り返さないためにも・・・。これがこの研究のメッセージの1つではないかと思います。

出典: nature ダイジェスト 2015年1月号 「植物の共存共栄」”Plants that grow better together”
原著: “Selection for niche differentiation in plant communities increases biodiversity effects” nature volume5 Number 7525 2014年1月日号
執筆者: Debra Zuppinger-Dingley氏のプロフィル(リンク貼っていません)
http://www.researchgate.net/profile/Debra_Zuppinger-Dingley


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コメント

Re: No title

ご挨拶がおくれてしまいましたが、あけましておめでとうございます。
おっしゃる通り何億年もかけてたどり着いた自然のバランスの妙は人智を超えているんでしょうね。
美しい自然に囲まれて暮らしておられるyoyoさんがうらやましい限りです。
「知識を増やす」なんてとてもとても、ご期待にそえる中身ではありませんが、今年も面白そうなサイエンス小ネタを拾ってゆきたいと思います。

> Kenjiさん、明けましておめでとうございます♪
> 本来の農業もこういった自然のバランスが何より大切なのですよね。
> そういう意味では、農業だけに限らず色んなことが不自然なバランスになってきている今の世の中、元の自然な形に戻ろうとする力が、天災や病気といった形で表に出て来るのでしょうか・・
>
> 今年もkenjiさんのブログで、知識を増やしたいと思います。
> よろしくお願いいたします。^-^

No title

Kenjiさん、明けましておめでとうございます♪
本来の農業もこういった自然のバランスが何より大切なのですよね。
そういう意味では、農業だけに限らず色んなことが不自然なバランスになってきている今の世の中、元の自然な形に戻ろうとする力が、天災や病気といった形で表に出て来るのでしょうか・・

今年もkenjiさんのブログで、知識を増やしたいと思います。
よろしくお願いいたします。^-^

Re: No title

ありがとうございます。
こちらこそ、今年もよろしくお願いします。
イブちゃんにもよろしく。

> ご挨拶が遅れました。
> あけましておめでとうございます。
> 新しい年もどうぞよろしくお願いいたします。
> 美しい画像をありがとうございます。
> 心がすぅぅーっと洗われたような気がします。

No title

ご挨拶が遅れました。
あけましておめでとうございます。
新しい年もどうぞよろしくお願いいたします。
美しい画像をありがとうございます。
心がすぅぅーっと洗われたような気がします。

Re: No title

あけましておめでとうございます。いつも訪問いただきありがとうございます。おっしゃる通り、人に自然を合せるのではなく人が自然に合わせる方がうまくゆく気がします。野辺の花を愛でるpetero kさんのブログはすてきでいつも楽しみにしております。今年もよろしくお願いします。

> 明けましておめでとうございます。
> 今年よろしくお願いいたします。
>
> 雑草を抜かず 雑草と一緒に野菜を育てている自然農法の農場が
> 奈良にありますが そこの野菜たちはすごく元気だと聞いたことがあります。
> 今日の記事を読ませていただいて なるほどと思いました。
>
> いつも興味深い内容をわかりやすく記事にしてくださって
> ありがとうございます。
> 今年も楽しみにしています。

No title

明けましておめでとうございます。
今年よろしくお願いいたします。

雑草を抜かず 雑草と一緒に野菜を育てている自然農法の農場が
奈良にありますが そこの野菜たちはすごく元気だと聞いたことがあります。
今日の記事を読ませていただいて なるほどと思いました。

いつも興味深い内容をわかりやすく記事にしてくださって
ありがとうございます。
今年も楽しみにしています。

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