フィヨルドに舞う蛍火Fireflyは艦攻以前で艦戦未満

フィヨルドに舞う蛍火Fireflyは艦攻以前で艦戦未満

FireflyFR1太平洋スキーム
(Firefly FR1太平洋戦域のブルー系塗装)
氷河が削りだした隠れ家
スカンジナビアの大地は古い。時はアイスエイジ、氷床から流れ出る無数の氷河が古い山地を削り、急峻で複雑に枝分かれする奥深い湾、フィヨルド地形を半島に創り出しました。
追手を逃れる孤独な艦にとっては絶好の隠れ家です。






ファイアーフライFR5 後ろ姿その2REVdownsize
(ファイアーフライFR5 後ろ姿、自作プラモAirfix1/72です(再掲))
ヒコーキプラモの過去記事はこれです↓(クリック)
森のお百姓さんハキリアリと昔作ったプラモたち

ファイアーフライFR5 正面その5REVdownsize
(ファイアーフライFR5 正面、自作プラモ(再掲))
フィヨルドの朝もやを突いて
1944年4月ノルウェー海岸、両岸に迫る山並みに隠されたフィヨルドの奥にその巨艦は舫っていました。突如、朝もやを突いて黒い機影が横切り、たちまち警報と砲火が水面の静寂を破ります。「633爆撃隊」みたい(タングステン作戦)。

Duxford IWMのバッカニアの正面REVdownsize
(Duxford IWMのバッカニア正面、ファイアーフライのユニークな後継者)
蛍の初陣は巨艦攻撃
煙幕が晴れた時、その巨艦ティルピッツはまだ浮いているものの戦艦としての機能は失われ巨砲の砲台として係留されるだけになり、やがて”Dam Busters”こと617中隊ランカスターに沈められました(カテキズム作戦)。
これが「蛍」たち、ファイアーフライ(Firefly)の初陣、だったら良かったのですが、実は失敗した2次攻撃がデビュー戦(マスコット作戦)。でも「偵察機」としてランカスター重爆攻撃の目標発見の功を立てています。


FireflyFRMK5朝鮮戦争ストライプ
(Firefly FR MK5朝鮮戦争時の塗装ストライプ付き)
蛍のファッション・カタログ
ファイアーフライは写真が手元にないので出典のイラストからちょっと拝借して様々な塗装の蛍ファッションカタログです。

バッカニアはこの角度がステキdownsize
(バッカニアはこの角度がステキ)
近代艦攻先駆けの後継者は低空侵攻パイオニア
添える写真はファイアーフライの後継者バッカニア(BAe Buccaneer)は「空飛ぶバナナ」の仇名のユニークな姿で低空侵攻機のパイオニア。A-6イントルーダー開発のヒントになったらしい。艦載機なんですが、英国が空母を廃止した後RAF英空軍機として長く活躍した点も少し似てる。Duxford IWM博物館に居ます。

バッカニアのチャームポイントの尻尾のエアブレーキdownsize
(バッカニアのチャームポイント、尻尾のエアブレーキ、左右にパカッと開きます)
傑作の後には駄作が待っているフェアリー社
FAA(英国海軍航空隊)御用達メーカーのフェアリー社には傑作と駄作が交互に訪れるみたいで、傑作艦攻スォードフィッシュ(Swordfish)の後に駄作アルバコア(Albacore)、さらに珍作バーラクーダ(Barracuda)と・・・。
ストリングバッグことスォードフィッシュの過去記事はここをクリック↓
買い物カゴを下げたラム海軍少佐のインディー・ジョーンズのような冒険

Firefly原型試作機黄色い塗装downsize
(Firefly原型機、試作機を表す黄色い塗装)
変なかもめの跡継ぎは獰猛な蛍
悲劇の軽爆バトル(Battle、機体そのものは良いヒコーキ)を仕立て直した変な艦戦フルマー(Fulmar)の後継者が今回の主役、「蛍」ことFirefly。こちらは隠れた傑作機に仕上がりました。隼→鍾馗→疾風の中島の方がはるかに順調な進化ですね。
変な艦戦フルマー過去記事はここをクリック↓
「かもめ飛びなさい」;変な艦戦フルマーの物語

FireflyFR1下面図downsize
(FireflyFR1下面図、なかなかスマート)

フルマーにタイフーンとスピットを混ぜて近代化
あご型ラジエーター、騎士の槍のような20mm4門、スマートな楕円翼で時速500km超え、2,000ポンド(約1トン)の爆弾を強引に運ぶ2,000馬力グリフォンエンジン、更に主翼にはフェアリー社自慢のヤングマン式空戦フラップと、ファイアーフライはフルマーにタイフーン(Typhoon)とスピット(Spitfire)を少し混ぜて近代化したようなデザインです。
タイフーン過去記事はここをクリック↓
愛馬タイフーンを駆ってスコッティ空を行く-空(そら)物語その4

教官が上から目線のファイアーフライ練習機T1downsize
(教官が上から目線のファイアーフライ練習機T1)


摩訶不思議な「艦上複座戦闘偵察機」
ファイアーフライの要求仕様はFAA名物「艦上複座戦闘偵察機」、少なくともタテマエは「艦戦」なのですが、まだ複座と少し変なものもフルマーから遺伝しています。

4機種比較その1サイズ
(四機種比較その1: サイズ)
妙なパイオイア、蛍は近代艦攻のハシリ
しかし、この「艦上複座戦闘偵察機」ファイアーフライを 実際の運用である艦爆、あるいは艦攻としてみるとなかなかパワフルな高性能機です。ちなみに同じころの同機種、ヘルダイバー(Helldiver)、彗星と比べてみると分かります。蛍、ファイアーフライの実際の性能や運用はスカイレーダー(Skyraider)に代表される近代艦攻のハシリです。FAAって妙なところでパイオニアですね、アングルドデッキ(狭い英空母でジェット機を運用する苦肉の策)とか。

4機種比較その2パワー
(四機種比較その2: パワー)
白黒ストライプで真価発揮
なので、蛍たちファイアーフライはこのままでは遅れてきた傑作機だったのですが、朝鮮戦争に駆り出され“攻撃機”として活躍しました。この頃はスマートになりインベージョンストライプが良く似合うファイアーフライ5型(Firefly FR5)です。

4機種比較その3パンチ
(四機種比較その3: パンチ力、さすが彗星は高性能、でもパンチ力では一歩譲る)
艦攻ちょっと手前で艦戦未満
でもやはり近代艦攻の本命は戦後就役ながらAD(A-1)スカイレーダーです。朝鮮戦争での働きもケタが違います。ファイアーフライにはフルマーからの“遺伝”、無駄な後部座席もあります。ファイアーフライは近代艦攻ちょっと手前で艦戦未満ってところでしょうか?

パレンバンに舞う蛍、終幕前の妖かし
こんな映画にもならず、プラモでも定番にならず、新しいコンセプトと優れた性能を持ちながら地味にしか活躍しなかった蛍たちファイアーフライですが、実は太平洋にもやってきました。太平洋の戦いも趨勢が決まりかけた1945年、パレンバン製油所を攻撃したFAAの主力が“艦攻”ファイアーフライでした(制空はコルセア(Corsair)なので)。

地味に終わった蛍、心臓さえ順調なら・・・
なんで蛍は少しずつ遅れてやって来て、結果、地味に終わったのか?グリフォンエンジン生産さえ順調ならファイアーフライはアヴェンジャー(Avenger)と同期くらいで1943年にはデビューし、サレルノ上陸、南仏上陸などには間に合ったはずです。イギリスにも、「誉エンジンさえ順調生産なら」と言う紫電改や疾風みたいな機体もあったって言うことのようです。

出典: “Warpaint Series No.28 Fairey Firefly F.Mk1 to U.Mk.9” Geoffrey Bussy氏著 (Hall Park Books Ltd.出版)

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コメント

Re: No title

過分のおほめ恐縮です。ウキペディアなどのデータを比べているだけなのですが、意外なことも分って面白いです。彗星は日本機には珍しく「カッ飛んで行く」性能なんですよね。インベージョンストライプは私も大好きで昔の1/100でストライプ付きFFAコルセアをでっち上げで作ったりしました。エヌエフさんのようにきっちりした考証で作らねばいけないのですが・・・。

> おはようございます。
> 各機の性能を解りやすい表にまとめて頂いているので、いつも気軽に勉強させて頂いています。
> そんな中に、日本機を見付けるとつい応援している自分がいます。「彗星ガンバレ!」みたいに^^
> 連合軍機の大胆なインベージョンストライプは、せっかくの迷彩塗装をぶち壊しているような気がするんです。
> 目立ちたくないのに目立ちたい、みたいな感じで面白いですよね。でもカッコイイです!
>
> 少年時代、P-51Dのインベージョンストライプがすごくカッコよく見えて、一度作ってみたいと思いつつ未だ叶っていない事に気付きました^^;

No title

おはようございます。
各機の性能を解りやすい表にまとめて頂いているので、いつも気軽に勉強させて頂いています。
そんな中に、日本機を見付けるとつい応援している自分がいます。「彗星ガンバレ!」みたいに^^
連合軍機の大胆なインベージョンストライプは、せっかくの迷彩塗装をぶち壊しているような気がするんです。
目立ちたくないのに目立ちたい、みたいな感じで面白いですよね。でもカッコイイです!

少年時代、P-51Dのインベージョンストライプがすごくカッコよく見えて、一度作ってみたいと思いつつ未だ叶っていない事に気付きました^^;
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