「喰う、喰われる」パンドラの箱を開けた三葉虫を愛したR.フォーティ先生+東京暮色

「喰う、喰われる」パンドラの箱を開けた三葉虫を愛したR.フォーティ先生 + 東京暮色

宵闇の東京駅丸ノ内口downsize
(宵闇の東京駅丸ノ内口)
古生代の海の王者が三葉虫なの???
かつての陸の王者は?恐竜!じゃ、かつての海の王者は?魚竜?いえ、まだ陸にはロクに動物がいない海が世界すべての頃には?・・・それが今回のサイエンス小ネタ「三葉虫(Trilobite)」です。
写真は初秋の夕闇に浮かぶ東京駅の夜景です

主な出典: 「三葉虫の謎;『進化の目撃者』の驚くべき生態」“Trilobite! Eyewitness to Evolution” 2000年 Richard Fortey氏著、垂水雄二氏訳(2002年、早川書房)





三葉虫3枚おろしdownsize
(三葉虫3枚おろし)
三葉虫に魅せられたフォーティーさん
かって古生代の王者のひとりながら、恐竜のような強いイメージも派手さもなく、子供たちのアイドルにはなりそうもない三葉虫ですが、この三葉虫をこよなく愛する古生物学者がいます。英国のR.フォーティー(Richard Fortey)氏です。大英自然史博物館の古生物学者で一般向けのサイエンスライターでもあります。私が読んだフォーティ氏のその他の著書は「生命40億年全史」、「地球46億年全史」いずれも面白いです。

新装丸ノ内口のドームdownsize
(新装丸ノ内口のドーム)
パンドラの箱を開けた三葉虫
生物進化の歴史で三葉虫は画期的存在なんです。なんせ、“動物が動物を狩って食べる“という「パンドラの箱」を開けちゃったんですから。

三葉虫のクリスタルアイ
(三葉虫のクリスタルアイ)
エディアカラのベジタリアン
おおよそ6億年くらい前、先カンブリア時代のエディアカラ紀、まだ眼も殻もない動物しかおらず、皆、藻や泥(の微生物)を食べる「ベジタリアン」で海底を這ったり、泥の中に潜って棲んでました。

赤い灯が滲むタクシー乗り場downsize
(赤い灯が滲むタクシー乗り場)
掟破りの出現
徐々に“人口密度”が高まり偶然も作用して「喰う-喰われる」が始まる。当初はゆきあたりばったり、泥の中、手探りの不活発な戦いでした。棲管に穴を開けてカジッた化石が残ってるそうです。

ダンゴムシになる三葉虫
(ダンゴムシになる三葉虫)
餌を探せる眼が出来た
ところが、突然、眼ができた。視覚により対象を(餌と)認識できるちゃんとした眼で「餌」を[索敵]餌を見つけ、[照準]狙い定めて、[攻撃]襲って、[撃墜]食べるようになり本格的な「狩り」が始まりました。(光受容器のような単なる光センサーから、対象物を動く像として捉えられる複雑な眼がたった40万世代、50万年のあれば出来るというシミュレーションがあります、1994年ニルソン、ペンゲル)

常夜灯またたくオフィスビルdownsize
(常夜灯またたくオフィスビル)
宝石の眼、三葉虫のクリスタル・アイ
この眼を持ち狩りをする捕食者、プレディターのパイオニアの一員が先カンブリア紀のヴェンド紀に出現した三葉虫の祖先(パーバンコリナ(Parvancorina)など?)でした。その眼は複眼でそのパーツ(単眼)は鉱物、方解石の結晶、つまりは「クリスタル・アイ」です。

東京ステーションホテル玄関downsize
(東京ステーションホテル玄関)
プレディターの先駆け、三葉虫のご先祖
カンブリア紀に入ると生物は一気に多様化し摩訶不思議なカタチの生き物が群れ出ます、カンブリア爆発(Cambrian Explosion)です。確かに有名なアノマロカリス(Anomalocaris)一族がトップ・プレディター(食物連鎖の頂点に君臨)だったのですが、三葉虫の仲間もたくさんいて捕食者でした。共食いの跡まで化石に遺っています。

あわただしく人が行き交う夕暮れdownsize
(あわただしく人が行き交う夕暮れ)
古生代のサカナ、三葉虫
古生代の海の中で三葉虫のNiche(生態的地位)は現在のサカナです。トッププレディター(頂点捕食者)ではないもののメジャーなプレディター(捕食者)でした。ちょうどサカナと同じく、三葉虫の種類同士でも「喰う-喰われる」の関係もあったようです。

ビルの灯は光の滝downsize
(ビルの灯は光の滝)
パンドラの箱を思いっきり開けちゃった
やがて喰われる側も眼を備え、殻を作って防ぎ、喰う側は歯、爪、鋏など武器を強化し「喰う-喰われる」の果てしない進化の“軍拡競争”が始まってしまいます。三葉虫たちはその精巧な眼で「喰う-喰われる」の「パンドラの箱」の蓋を思いっきり開け放ってしまったようです。
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三葉虫って虫ですか?いえ、縦3枚におろせます
虫(昆虫類)ではありませんが、同じ節足動物、それも、ハチ、クモ、エビ、カニなど、その膨大な家系の始祖に近い生き物です。上から見ると真ん中の中葉(axis)と左右の側葉(pleurae)の縦3枚におろせそうだから「三葉虫」です(おいしそうではないけど)。

3億年も繁栄したプレディター、三葉虫
三葉虫の歴史は先カンブリア紀に始まり古生代を通じて繁栄し、ペルム紀末の大絶滅で遂に滅びます。その間約3億年、あまねく世界中の海にたくさん棲んでいて種類も多く、姿かたち、生き方(生態)もバリエーショオンに富んでいました(多種多様な化石がたくさん見つかる)。三葉虫はカンブリア紀の大爆発に先駆けて出現し、プレディターの草分けにして何億年もその地位に君臨していました(ベジタリアンに戻ったのもいましたが)。

海のダンゴムシ、三葉虫
三葉虫の体型の優れたところの1つは自在に曲がるたくさんの体節で出来ていることでダンゴムシかアルマジロのように丸まったままの化石も多く出るようです。こうすれば大事な眼も敵(アノマロカリス?)の攻撃から守れます。

柔らかな進化が大繁栄のミソ
攻撃だけでなく防御も優れていた(P-51みたい)、生態系の変化に合わせて様々なニッチ(Niche、生態的地位)に順応した柔軟性、様々な形態形成を許す遺伝的冗長性こそ三葉虫大繁栄のヒミツだったのかも知れませんね。

生き物の大先輩、三葉虫はやっぱりスゴイ
どうです。三葉虫ってスゴイと思いませんか?R.フォーティー氏が生涯かけて愛し、研究した気持ちも少し分かる気がします。

その他の出典
出典: 「眼の誕生」”In the Blink of an Eye” 2003年 Andrew Parker氏著、渡辺政隆氏、今西康子氏訳(2006年、草思社)
出典:  「見る」 “The Eye – A Natural History” 2007年 Simon Ings氏著、吉田利子氏訳(2009年、早川書房)

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テーマ : パリ、フランス - ジャンル : 海外情報

コメント

Re: No title

いつもありがとうございます。
エヌエフさんは三葉虫がお好きでしたか。研究発表とはすごいですね、謙遜しておられますが、丸写しではとてもできることではありませんもの。
子供の頃観た図鑑の古生代の海には必ず三葉虫が居ました。その程度の認識だったのですが、三葉虫の精巧な眼と眼や視覚が果たした役割を知ってとても興味が沸いた次第です。

> 私も子供の頃、三葉虫の大ファンでした。
> 小学4,5年生の時だったと思いますが、「研究発表」という名目で三葉虫を取り上げたんですが、その中味たるや百科事典の丸写しでした。ですので結果的には中身は何も覚えていません。つまり提出しただけ^^;
> Kenjiさんの解りやすい解説、そしてこれまた大好きなヒコーキともなぞらえたりされているので、とても楽しく三葉虫の事が学べました。

No title

私も子供の頃、三葉虫の大ファンでした。
小学4,5年生の時だったと思いますが、「研究発表」という名目で三葉虫を取り上げたんですが、その中味たるや百科事典の丸写しでした。ですので結果的には中身は何も覚えていません。つまり提出しただけ^^;
Kenjiさんの解りやすい解説、そしてこれまた大好きなヒコーキともなぞらえたりされているので、とても楽しく三葉虫の事が学べました。

Re: No title

コメありがとうございます。三葉虫ってなかなかユニークな姿ですよね。昔は古代の海底をノロノロ這い回っているヤツと思っていましたが、プレディターにして古生代のサカナと言う話が面白く書いてみました。

> 子どものころ、わりと三葉虫が好きでしたよ
> なんとなくかっこいいような気がして
> そういう生態があったんですね~

No title

子どものころ、わりと三葉虫が好きでしたよ
なんとなくかっこいいような気がして
そういう生態があったんですね~
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