狼を追う大西洋の牧羊猫とイワツバメMartlet

狼を追う大西洋の牧羊猫とイワツバメMartlet

タカからネコへの進化REVdownsize
(複葉のタカF3Fの上翼をもいだら単葉のツバメ(F4F/Martlet)に)





安易が生むベストセラー
複葉のHawker Fury単戦から翼を1枚もいだら救国の英雄Hurricaneに、複葉のGrumman F3F艦戦から翼を1枚取ると7つの海で大活躍のF4Fになります・・・・けっこう安易なのにどちらもベストセラーなのはなぜ????片や、ゼロ戦、Bf109などは必死の一からの革新的設計なのに。

激情が台風に進化REVdownsize
(複葉Furyの翼を1枚もいだら、ほら、単葉Hurricaneに)
裏の活躍に真価が見えることも・
歴史を刻む「名機」でも、表舞台ではなく、決して派手でもなく、伝記にも映画にもならないその裏の姿にこそ、そのヒコーキの「真の価値」が垣間見えることが、時にあります・・・例えば、イワツバメことF4Fについても・・・。そんなマイナーなヒコーキ話題です。

飛行ショーに向け離陸準備のマートレットdownsize
(飛行ショーに向け離陸準備のマートレット(Ferte Alais Air show))
七つの海を飛び続けた「無事これ名馬」
グラマンF4FことWildcatはゼロセンの斬られ役としてはつとに“有名”ですが、実は、米海軍近代化の先駆けにして、第二次大戦終了まで戦い続けた(Spitのように)稀有な存在なんですヨ、太平洋、インド洋、大西洋、地中海、北極海・・・と七つの海を股にかけて・・・。大好き♡なヒコーキです。

牧羊猫がオオカミとコンドルを退治downsize
(「牧羊猫」F4Fワイルドキャット、オオカミとハゲタカを追い払う)
米海軍不採用も再チャレンジ、フランスに拾われる
1936年初飛行のGrumman社試作機XF4F-2はF2Aバッファローに負け不採用。1941年なんとか改良型F4F-3がやっと採用。出だしは悪かったのですが、フランス軍が買ってくれました、グラマン社、ホッ。

風向きよしF6Fエンジン始動REVdownsize
(風向きよし、エンジン始動!F4Fの後継者F6F、Ferte Alais エアショーにて)
鹵獲商船に質流れ品G-36を積んで
第二次大戦前夜、フランスが大慌てでF4Fの輸出型G-36を買ったのですが、たちまち敗北、結局この“質流れ品”はイギリスが使うことになりました。
当時、イギリスもヒコーキもフネもすべてが不足、商船隊を護るにも空母が足りない。鹵獲したドイツ商船を急遽“平たい板”(飛行甲板)だけ乗せてポンコツ空母「オーダシティ」に仕立てます。

ちょっと違う印象のF4Fマートレット後ろ姿REVdownsize
(ちょっと違う印象になりますね、マートレット(F4F)の後ろ姿)
海を越えたネコはツバメになりました
そのポンコツ空母の甲板には質流れ品G-36を載せました、でもたった数機の1分隊だけ。F4Fは本国米国ではワイルドキャット(Wildcat、ヤマネコ)ですが、ロイヤルネイビーではマートレット(Martlet、イワツバメ)と呼ばれました(後にワイルドキャットに統一)。

F4F三面図downsize
(直線、頑丈、実用性のF4Fのデザイン)
たった数羽のイワツバメがコンドルを追い払う
当初、誰もが何も期待しなかったこのコンビが戦没までのわずか数か月で赫々たる戦果を次々挙げ、商船隊から哨戒機コンドルやUボートを追い払う大活躍を見せました。
あれ、護衛空母ってポンコツでも結構有効じゃん・・と言うことになって、後の大西洋のUボート狩りに発展します。こういう運用、イギリスは上手、と言うか好きですね「ナバロンの要塞」みたいで。


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F4Fの翼の蔭で一休みタイヤを椅子にして大丈夫downsize
(F4Fの翼の蔭で一休み、タイヤを椅子にしてオジさん大丈夫?)
田舎戦線、マダガスカル島航空戦はAssault Carrierのハシリ
こんなとこでも戦争があったの?と言うようなアフリカのはずれマダガスカル島の制圧戦でマートレットが活躍しました、ま、相手はヴィシー・フランス空軍なので。でもこれ、上陸支援空母(Assault Carrier)として、以後、北アフリカ、サレルノ、太平洋の島々への上陸戦で護衛空母が活躍するハシリでした。

F4Fのジープ空母での相棒TBFアヴェンジャーdownsizie
(F4Fのジープ空母での相棒TBFアヴェンジャー(Duxford IWM 博物館))
「自分無骨ですから」質実なグラマン鉄工所製品
F4Fワイルドキャット、F6FヘルキャットのネコシリーズにTBFアベンジャーなどグラマン社の機体はグラマン鉄工所(Grumman Iron Works)製と言われるほど丈夫で壊れないのが特徴でした。
流線形や楕円翼が抵抗が少なくスピードも出るけどそれよりも生産と整備し易さ優先の直線デザインはGrumman社の信念を感じます(その気になればF7F、F9Fのような流線形も作れんだモン)。


ハリケーンの元ネタのフューリーこっちの方がカッコよくないかdownsize
(ハリケーンの元ネタ、フューリー(Hawker Fury)、こっちの方がカッコよくないか?)
ジープに乗ったシープ・キャット(牧羊猫)
「大西洋のオオカミ」、Uボート狼群から商船隊を護ったのは「ジープ空母」と悪口を叩かれた商船改造の米国製小型護衛空母。米海軍ヤマネコ、F4F WildcatとTBFアヴェンジャーの組合せは荒れ狂う大西洋上のポンコツ空母で使うにはもってこいの性能でした。

ヤマネコ、オオカミに噛みつく
そもそも空母の着艦はcontrolled crash(制御された墜落)と言われるほど荒っぽいもの。でもWildcatたちはネコちゃんのように難なく着艦し、オオカミのUボートからヒツジの商船隊を護りました。

優れた工業製品の上手い運用マートレット/ワイルドキャット
劣悪な条件でも壊れず常に確実に性能を発揮する信頼性、安定性こそグラマン鉄工所製品、F4Fマートレット/ワイルドキャットの真骨頂なんでしょうね。F4Fは優れた工業製品のアメリカ機を運用が上手いイギリスが使いこなす典型のようです。


最後にF4Fの緒元(Specification)を書いておきます。
Grumman F4F-3
乗員 1名、全長8.76 m、全幅11.58 m、全高3.60 m
全備重量3,200 kg、エンジン Pratt & Whitney R-1830-76 1,200馬力×1基
最大速度531 km/h、航続距離1,360 km、上昇限度12,000 m
武装Browning 12.7 mm機銃×4丁


出典: 「第二次大戦のワイルドキャットエース」 “Wildcat Aces of World War 2” 1995年Barrett Tillman氏著、岩重多四郎氏訳(2001年、大日本絵画)(原典 Osprey Publishing Ltd.)
出典: 「世界の傑作機 グラマンF4Fワイルドキャット」 “Famous Airplanes of the World No68 Grumman F4F Wildcat” 1998年文林堂
出典:「空母」 “Aircraft Carrier” Donald Macintyre氏著、寺井義守氏訳(1985年、サンケイ出版)
出典: 「シーハンター」 “The Sea Hunters” 1985年Kenneth Poolman氏著、矢嶋由哉氏訳(1986年、朝日ソノラマ)
出典: ウキペディア
「F4F」 http://en.wikipedia.org/wiki/Grumman_F4F_Wildcat
http://ja.wikipedia.org/wiki/F4F_(%E8%88%AA%E7%A9%BA%E6%A9%9F)
「F3F」 http://en.wikipedia.org/wiki/Grumman_F3F
http://ja.wikipedia.org/wiki/F3F_(%E8%88%AA%E7%A9%BA%E6%A9%9F)


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コメント

Re: No title

豊富な知識なんて無いですが、マニアの眼で見ると些細なことでも楽しくなります。グラマン社のヒコーキはゼロセンとは対極にあるコンセプトですが、なかなかカワイイです。先の記事の化石ヒコーキJu52のプラモは見ませんね、確かにおっしゃる通り、出せばマニア受けすると思います。

> ワイルドキャットの名前で、このずんぐりした形の飛行機の名前を覚えていましたが、他の国でも使われていたのですか。
> kenjiさんのように飛行機の知識を豊富に持ちながら、これだけ名機を目の前にできれば、ショーも何倍も楽しめそうですね。
>
> 先日のカブトガニの飛行機もとてもユニークでした。
> あれなど模型化したら、かなりマニアウケしそうですね。^-^

No title

ワイルドキャットの名前で、このずんぐりした形の飛行機の名前を覚えていましたが、他の国でも使われていたのですか。
kenjiさんのように飛行機の知識を豊富に持ちながら、これだけ名機を目の前にできれば、ショーも何倍も楽しめそうですね。

先日のカブトガニの飛行機もとてもユニークでした。
あれなど模型化したら、かなりマニアウケしそうですね。^-^
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