生きた化石カブトガニの献血運動+化石ヒコーキJu52タンテ

生きた化石カブトガニの献血運動+化石ヒコーキJu52タンテ

<生きた化石 続編>


タンテ(Ju52 Tante)発進準備完了downsize
(輸送機の「生きた化石」?タンテ(Ju52 Tante)発進準備完了です)
(パリ郊外Ferte Alais エアショーにて)






ゴキブリも仲間に入れてネ♥
前編ではイチョウが「生きた化石」とご紹介しましたが、「生きた化石」の有名な例ならシーラカンス、カブトガニ、オオサンショウウオ、メタセコイアなどなど、みなさんよくご存知ですよね。
でもゴキブリやサメも“愛されなくとも”立派な「生きた化石」です。

生きた化石の前編はここをクリック↓
街路樹になった「生きた化石」イチョウの逞しい生き様

三発エンジンと平面ガラスが無骨で憎めないJu52downsize
(三発エンジンと平面ガラスが無骨で憎めない印象のユンカース社製Ju52タンテ)
70年働き今も元気な“オバさん”は「ヒコーキの化石」
今回は「主役」カブトガニ君の写真もありませんので、添えるフォトは化石みたいにベテランの傑作輸送機JU52のパリ郊外Ferte Alais Air Showでのスナップです。
Ju52はユンカース社開発、1930年初飛行した日本式に言うなら「十式輸送機」ですが、1980年代までスイス空軍で働き、今なお数機が現役。70年以上働いています。ユンカース社自慢の波板が特徴です(「風立ちぬ」でも出てきましたね)。愛称はタンテ(Tante)、“オバさん”のことです。


色彩カブトガニ01カブトガニは古生代のデザイン
古生代の海で栄えた三葉虫にもっとも近い現生の生き物がカブトガニ(甲蟹、Tachypleus tridentatus)だそうです。カブトガニから見ると同じくハサミ(鋏角)を持つサソリが一番近いそうです。
カブトガニの体の構造はエビ、カニが出現するもっと前の古生代の古いデザインの「生きた化石」です。天然記念物にも指定されています。
カブトガニにはエビ、カニのような幼生時代がなく昆虫のように変態もしません。卵からは親のミニチュアの仔カブトガニが生まれますが、これは三葉虫も同じです。


波板外皮がよく分るJu52タンテの横顔REVdownsize
(波板外皮がよく分るJu52タンテの横顔)
海鳥と翼竜の「年に一度の晩餐」
ウミガメと同じようにカブトガニは産卵の夜に膨大な数が砂浜を埋め尽くし無数の卵を産みます。
日が昇ると卵は海鳥の「年に一度のごちそう」になりますが、昔は翼竜がついばんだのでしょう。それでも無数の仔カブトガニが海にたどり着き、今日までカブトガニは滅びませんでした。


Ju52タンテのエンジン始動ものすごい白煙ですdownsize
(Ju52タンテのエンジン始動、ものすごい白煙です)
地上げが老舗を押し潰すように・・・
カブトガニはその青い血がエンドトキシン(薬に入っていてはいけない微生物毒素)の検出薬の材料として重宝され、試薬会社に乱獲され危うく絶滅危惧種になりそうになりました。
ヒトの環境攪乱能力はすざましいものがあります。まるでバブルの地上げが老舗をつぶすように・・・。


色彩カブトガニ02
カブトガニ君の献血運動
命を救うために命を絶やすヒトの“業”でしょうか?幸い、今ではカブトガニ君に「献血」してもらったあと海に帰すそうです。ちょっとした知恵と手間、そして何より「生き物の先達」へのリスペクトが生物多様性を守ったようです。

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色彩カブトガニ03

その名もずばり「カブトガニ博物館」
カブトガニってどんなヤツ?その名もズバリの博物館があります、行ったことはないのですけど。ゆるキャラ「カブニ」くんもいるみたいです。ご興味あればクリック↓
岡山県笠岡市の「カブトガニ博物館」

色彩カブトガニ04
店(たな)を絶やさない逞しさ
「生きた化石」たちは、倒産寸前の寂れた店のように、息も絶え絶えに滅びの時を待つ生き物ではありません。世が移り環境も周りの生き物も変わっても、その時代、その時代で確実にニッチ(Niche、生態的地位)を得てきた本来はたくましい存在です(さすがにヒトがもたらす「環境圧」にはかなわないけど)。

色彩カブトガニ05
顔色も変えない革新が「生きた化石」の肝
「生きた化石」は万年、億年の時を経ても昔の姿かたちを保っている生き物ですが、その中身は激しく変貌してきたことは遺伝子DNAに刻まれた変異の記録から分かるそうです。
“アヒルの水掻き”のように顔には出さず、人知れず遺伝子改変の努力を惜しまなかったからこそ、環境が変わっても、大絶滅が起こっても生き残れたのです。


色彩カブトガニ06
パリもロンドンも「生きた化石」です
パリやロンドンは昔の家並が厳しく守られてきた美しい街ですが、一歩店舗に足を踏み入れると内装、商品展示、スタッフの衣装が洒落た“今様“です。
しかもしっくりと馴染んでいることに「今も現役な伝統」を感じます。これこそが「生きた化石」の本質ではないでしょうか。


色彩カブトガニ073億年の時を越え現役そっくりな化石ゴキブリ
恐竜よりはるか昔の3億年前、古生代(石炭紀)からゴキブリの化石(※)はありますが、そいつは今台所に出没する”現役“ゴキブリにそっくりです。棲む場所も食べ物も違うと言うのに・・・。「世が移り変わってもなお生き残れた」ということは「生きた化石」たちの当初のボディ・デザインが、多少環境が変わっても応用がきく極めて優れたものだったということです。
(※: 化石ゴキブリを見たい方はここをクリック↓

林原自然科学博物館所蔵の化石ゴキブリの写真

色彩カブトガニ08優れたデザインのDC-3はヒコーキの「生きた化石」
「生きた化石」を工業製品に例えるなら、フォルクスワーゲンのカブト虫、あるいは、ヒコーキならDC-3ですね。日用品なら例えば、はさみでしょうか。使い手や使い道が変わっても愛用され続けています。

色彩カブトガニ09真面目過ぎて「生きた化石」になり損ねた
ひっそりと海底の泥を黙々と食べていた“まじめな”無顎類はペルム紀末の酸欠の海で生き残れませんでしたが、そのうち“寄生“というとんでもない道を選んだ“やくざな”ヌタウナギだけが「生きた化石」として今も元気です。

色彩カブトガニ10逞しい奴、イチョウ
中生代の森を作っていた巨大なリンボク類は今や石炭に化ってしまっていますが、同じ古いタイプの樹木でも荒地でも育つイチョウは今でも街路樹のチャンピオンです。

ちょっと変わった奴、有毒哺乳類カモノハシ
哺乳類の一番古いタイプ、卵を産む単孔類の生き残りは今やカモノハシとハリモグラだけですが、いずれもオセアニアの人里離れたところにひっそり棲み、夜しか活動しません。どちらも後ろ脚に毒爪を持つ変わったヤツです。

「生きた化石」こそ老舗に至るビジネスの奥義?
“逞しくもちょっと変わった奴“が「生きた化石」の1つの条件かも知れません。アレ?これってベンチャー成功の秘訣に近い?そして老舗に至る条件かも・・・。

出典: “Survivors; The Animals and Plants that Time Has left Behind” 「生きた化石;生命40億年史」 2011年 Richard Fortey氏著、矢野真千子氏訳 (2014年 筑摩書房)

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テーマ : パリ、フランス - ジャンル : 海外情報

コメント

Re: こんばんは!

お返事がおそくなりました。台風はヨコハマ直撃でしたが、おかげ様で被害はありませんでした。お気遣い感謝です。ゴキちゃん、生き物大先輩として尊敬はしますが、深夜出くわすのは私もパスしたいです、殺したくないので・・・。

> 酷い台風でしたが、そちらは大丈夫でしたか?
> いつも 素晴らしい生物学を読ませていただいています。
> とても 勉強になってますよ。
> ありがとうございます。
> 学生の頃を思い出します。^^;
> 以前のフンコロガシ【随分むかし?】も、
> 面白かったですし、今回のカブトガニも大好きです。
> ゴキブリの生命力には驚きますが、
> 特に飛ぶヤツを見たら恐怖がとまりません。

こんばんは!

酷い台風でしたが、そちらは大丈夫でしたか?
いつも 素晴らしい生物学を読ませていただいています。
とても 勉強になってますよ。
ありがとうございます。
学生の頃を思い出します。^^;
以前のフンコロガシ【随分むかし?】も、
面白かったですし、今回のカブトガニも大好きです。
ゴキブリの生命力には驚きますが、
特に飛ぶヤツを見たら恐怖がとまりません。

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Re: No title

おっしゃる通りですね。そう言えばバチカンなども老舗、伝統を守りつつ時代に適応して生き残っています。
TVで職人さんが言ってました、伝統工芸は常に革新、今珍奇でも100年後に伝統になると・・。

> 逞しくもちょっと変わった奴が、人知れずマイナーチェンジを繰り返し、
> 顔色も変えない革新をなしとげる。生き残ってこその老舗。
>  2000年の時を経て結ばれる出雲大社の千家家と皇室もまた老舗。
> ヨーロッパのブランドも吸収合併による組織編成をものともせず
> 生き残ってお見事。
> カブトガニ、ゴキブリに脱帽です。

No title

逞しくもちょっと変わった奴が、人知れずマイナーチェンジを繰り返し、
顔色も変えない革新をなしとげる。生き残ってこその老舗。
 2000年の時を経て結ばれる出雲大社の千家家と皇室もまた老舗。
ヨーロッパのブランドも吸収合併による組織編成をものともせず
生き残ってお見事。
カブトガニ、ゴキブリに脱帽です。
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