空飛ぶフライパンと金魚の空似 「戦闘重爆撃機」ハムデンって知ってますか?

空飛ぶフライパンと金魚の空似 「戦闘爆撃機」ハムデンって知ってますか?

~ 数日ブログを離れます。コメントをいただいたときは後日読ませていいただきます。この記事は予約投稿です ~

ハムデン側面図downsize
(HP52ハムデン、真顔で「戦闘重爆撃機」のつもりなんですけど・・)
由緒正しいハムデン機、子爵婦人が名付け親
Handley Page Hampdenこと、昔『ハンプデン』、岡部さんの本に教えてもらって今では『ハムデン』と発音します(「ブレンハイムは実はブレニムだった」と同じで)。
イギリス貴族Hampden Viscountess (ハムデン子爵婦人)が「名付け親」なのでややこしい発音が日本人を惑わせる機名です。






ハムデン平面図downsize
(特徴あり過ぎのHP52ハムデンのシルエット)
空飛ぶフライパンか、いや出刃包丁だ!
姿カタチも相当変!なこのヒコーキのあだ名は”Flying Panhandle”、「空飛ぶフライパンの柄」です。なるほど、上から見ると板みたいに細く、横から見ると幅広でむしろ“出刃包丁が飛んでる”印象です。

なんともアナクロなHP52試作機
兄弟みな変なハムデン一家
機首が流線形の量産機はまだしも、“兄貴分”の試作機HP52の姿は「アナクロ」そのもの、変な機体でした。エンジンを替えた“弟分”ヘレフォード(Hereford)なんか「振動がひどくて音がうるさい!」と言う珍妙な理由で実戦に使われませんでしたし。ハムデン一家は“変”なんです、ともかく。

ハムデン正面図downsize
(空飛ぶフライパンHP52ハムデン)
軽快な運動性を追求した重爆
なんでこうなったか?中型爆撃機としては速度を追及するため細い方が良さそう、でも防御武装に死角があってはマズイので、前と後ろの斜め上と斜め下に銃座を配置するとこうなったようです。でもここまでこだわったのに最大速度は時速409kmと平凡でした。

ハムデンの操縦席はほぼ戦闘機のそれ
結構本気な「戦闘重爆撃機」
スマートなハムデンの操縦性は軽快で、2トン近くの爆弾を積む重爆な仕様なのに当初“Fighter Bomber (戦闘爆撃機)としても本気で期待”したみたいです、ま、Bf109が出現する前の話ですが。
地味な蛇の目(とレンドリース)の過去記事はこれ↓
「イギリスが一番」は遠い日の夢 ブレニム一家の「風立ちぬ」
空飛ぶネコか いえカタリナは両生類
ベンチャー成上りの礎は丸っこくかわいいハドソン機 空(そら)物語その3
空飛ぶ船サンダーランド飛行艇の洞内巡り >

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自慢のスラットと前方固定機銃

空中戦やる気の設計
実際、ハムデンの機首には固定武装の機銃まで付いていて「空中戦をやるつもり??」だったみたいだし、主翼前縁にはHandley Page社ご自慢のスラット(Bf109にも付いている)も付けて運動性を高めていて本気で“戦闘機“にするつもりだったかも?コックピットなんか単座戦闘機みたいです。

Mosquito RAF博物館downsize
(ハムデンの遺志を継ぐ者;”Wooden Wonder”ことモスキート)
コンセプトを継ぐ者”Wooden Wonder”ことモスキート
後に、ハムデンの目指したコンセプトを見事に達成した“後輩”がいます。非武装、時速700km近い高速で高空を行き、重爆B-17とほぼ同じ搭載量と航続距離、単座戦並みの運動性、乗員はたった2名・・・そう、あの”Wooden Wonder”ことD.H. Mosquito(モスキート)です。
だからハムデンのコンセプトを笑っちゃいけないんです。イギリス人、こういうの好きですね~。


空飛ぶオタマジャクシHP52ハムデン
「金魚」と「おたまじゃくし」、日英の他人の空似
似たヒコーキを見たことがある?そう、ハムデンは旧陸軍の九九式双軽にそっくりです。九九式双軽の仇名は「金魚」、ハムデンの仇名にも”Flying tadpole(空飛ぶおたまじゃくし)”がありますし・・。
でもね、ハムデンのデザインはちょっとヤリすぎだったみたいです。


Hampdenと九九式双軽の比較図その1downsize
(ハムデンと九九式双軽を比較:その1)
「無理をしている重爆」と「無理の効かない軽爆」
ハムデンと、「他人の空似」で3年後輩の九九式双軽の仕様を比べてみると、ハムデンは「戦闘機ぶって無理をしている重爆」、九九式双軽は「パンチ力不足で無理の効かない軽爆」です。
ハムデンはパワー不足気味ながら軽爆並みに軽快です。同じ双発なのにハムデンの爆弾搭載量は九九式双軽の3.5倍もあります。


Hampdenと九九式双軽の比較図その2downsize
(ハムデンと九九式双軽を比較:その2)
「九六式重爆」ハムデン、夜のお仕事に転職
1936年採用のハムデンの仕様(specification)を見ると日本式なら「九六式重爆」です。第二次大戦が始まると当初コンセプトの昼間爆撃に出撃しますが、Bf109の前ではとてもムリ!・・・なので、夜間爆撃任務に“異動”となりますが、細すぎる胴体が仇となります。

空似同士のハムデンと九九式双軽の比較
(空似同士、ハムデンと九九式双軽の比較表)
クルーの行き来もままならぬスリムさが仇
荒れた天候のヨーロッパの夜空を氷結、対空砲火、夜間戦闘機をかいくぐって長躯、長時間飛ぶ夜間爆撃ではトラブル、損傷、負傷は避けられないのですが、ハムデンの細すぎる胴体ではクルーの行き来もコミュニケーションもままならず、パイロットが負傷しても、B-17のようにコパイが替ることも出来なかったようです。

第2の転職先、雷撃機も不評
RAFボマーコマンドに四発機が揃い始めるとハムデンはお払い箱になりました。じゃ、細長いんだから魚雷でも積んでみれば、と「雷撃機」に“転職”したのですが、小っちゃな双尾翼では海面上の安定性が不足で不評だったようです。束の間の「移行種」として、あるいは、”The Other Few”の一員として頑張ったのですが・・。

ハムデンのプラモ Airfix 72分の1 downsize
(ハムデンのプラモ、Airfix 1/72、仮組み内装塗装の段階で止まっています)
RAFのエースを育てた優れた機体性能
それでも軽快な運動性を持つハムデンの機体設計はそれなりのものがある良い機体のようで、あのダムバスターズ(Dambusters)のGuy Gibsonはじめ、後のRAFボマーコマンドのエースたちのデビューの多くはハムデンなのです(あとブレニムも)。

極寒のムルマンスク出張
ハムデンはロシアのレンドリース資材受け入れ港、ムルマンスク港防衛任務に「海外出張」しましたが、機体はソ連軍に譲りました。劣悪なソ連軍のガソリンでの向かい風の帰路はたどり着けそうになかったので・・・。

ハムデンの本REV downsize
(ハムデンの本、もちろんこんなレア物は英国の出版)
傑作と駄作のはざまの「それなり機」
結局ハムデンはパッとしないまま1943年頃には現役を退いたようです。
傑作機でもなく、駄作機でもなく、殊勲機でもなく、でも当初コンセプト通りには行かずともなんとか頑張った地味機はどう分類されるんでしょうね??「それなり機」なんでしょうか?
こんなハムデンのシルエット、結構好き♡です。


出典: “Hampden Squadrons of World War II in Focus” 2003年 Mark Postlethwaite氏著 (Red Kite出版)
出典: “The Other Few” 2004年 Larry Donnelly氏著 (Red Kite出版)
出典: 「世界の駄っ作機5」 2009年 岡部ださく氏著(大日本絵画)


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コメント

Re: No title

エヌエフ様、いつもありがとうございます。しばらく不在にしておりまして、お返事が遅くなりました。
よく似てますよね、この2機種。岡部ださくさんがまだ取り上げていないので「それなり機」なのかな?と思った次第です。なによりも本気で戦闘“重“爆撃機を目指していた健気さ?にひかれました。

> おはようございます。
> 記事読み始め、写真見た瞬間に九九双軽を思い浮かべました。
> ハムデン機のことは全く知りませんでしたが、ヒコーキの世界にも他人のそら似ってのはあるんですね^^
> 読み進むうちに、こりゃ立派な「駄っ作機」に分類されると思いきや… なるほど「それなり機」でしたか^^
> Kenjiさんのヒコーキ分析学、大変ためになりいつも楽しませて頂いてます!

No title

おはようございます。
記事読み始め、写真見た瞬間に九九双軽を思い浮かべました。
ハムデン機のことは全く知りませんでしたが、ヒコーキの世界にも他人のそら似ってのはあるんですね^^
読み進むうちに、こりゃ立派な「駄っ作機」に分類されると思いきや… なるほど「それなり機」でしたか^^
Kenjiさんのヒコーキ分析学、大変ためになりいつも楽しませて頂いてます!
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