呼気で感じる風味の正体、第2の嗅覚で豊かで健康な生活

呼気で感じる風味の正体、第2の嗅覚で豊かで健康な生活

ドービルの一皿鴨肉REVdownsize
(ドービルの一皿、鴨肉のソテー)
風味はグルメな幸せの素
コーヒーやワインの口に含んだときの芳醇な香り、チョコが舌でとろけるときの甘い香り、ペペロンチーノを食べるときに刺激と共に鼻に抜ける香ばしい香り、これらを私たちは「風味(flavor)」と呼んでいます。「風味調味料」なるものもありますし。・・ではその実態は?





パリの一皿エビアスパラそら豆P6252600REVdownsize
(パリの一皿、エビ、アスパラ、そら豆)
パリとフランスのグルメ
添えるフォトはパリやフランス各地で出会ったグルメな一皿です。

第2の嗅覚レトロネイザル経路
(呼気で風味を感じる『第2の嗅覚』)
吸気の嗅覚と呼気の嗅覚
どうやらヒトが持つとても優れた「第2の嗅覚」であるようです。
普通匂いは“嗅ぎ”ます、つまり息を吸って(吸気)鼻の孔から入る匂い成分を感じとります、これがオルソネイザル経路(orthonasal、吸気経由)の嗅覚です。


ストラスブールの一皿アンコウとムール貝REVdownsize
(ストラスブールの一皿、アンコウとムール貝)
第2の嗅覚;レトロネイザル経路
一方、何か飲んだり食べたりすると香りが“鼻に抜け”ますよね。口の中(口腔)の匂い成分は吐く息(呼気)に乗って、嗅ぐのとは逆方向で鼻に届き感じとります、これがレトロネイザル経路(retronasal、呼気経由)の「第2の嗅覚」です。

ストラスブールのカフェでアルザス名物タルトフランベdownsize
(ストラスブールのカフェで、アルザス名物タルト・フランベ)
『風味』は味と香りのハーモニー
味と香り(味覚と嗅覚)が渾然一体となって「風味(flavor)」を感じます。このときレトロネイザル経路で香りを感じています。例えば、鼻をつまんで(口から鼻への流れを遮断して)、あるいは、風邪で鼻づまりになって、食べるとなんとも“味気ない”でしょう。
味と香りのハーモニーを生み出すエマルジョンの過去記事はこれ↓
ソースのミソは水と油が仲良しのエマルジョンかも

ストラスブールの一皿鱒とポテトREVdownsize
(ストラスブールの一皿、鱒とポテト)
『喉ごし』はレトロネイザル嗅覚の神髄
レトロネイザル経路の第2の嗅覚を実感できるのは、例えば、ワインなどの「喉ごし」です。
口に含み、食道に流し込んだ直後、咽頭が再び開き、「残り香」が呼気に乗って鼻に抜けるとき、香しい『喉ごし』を感じることができます。


マントンのランチ ムール貝のパスタREVdownsize
(マントンのランチ、ムール貝のパスタ)
良く噛めば美味しさも倍増!
口腔内で咀嚼され唾液と混ぜ合わされて食物中の呈味成分や香味成分が“解放”(溶けて、揮発して遊離される)と味や香りとして感じ取られます。

モレシュルロワンの一皿 子牛肉とキノコREVdownsize
(モレシュルロワンの一皿、子牛肉とキノコ)
『美味しさ』は多感覚のブレンド
更に食物の食感や温度も口腔内の触覚や温度感覚で感じ取られ、これらすべての感覚が、脳の前方、目の奥辺りの「眼窩前頭皮質」で統合されて「あぁ、美味しい!!」と思う(認知される)わけです(マルチモーダルな感覚統合)。

ボルドー オマールの前菜 REVdownsize
(ボルドー オマールの前菜)
味と香りのハーモニーが行動を決める
味覚とレトロネイザル経路の「第2の嗅覚」が相まって、「風味」として脳が認知し、「美味しい、もっと食べたい」「これ旨いから次も食べよう」とか、「こりゃマズイ、二度と食べない」「これ腐ってる、吐き出そう」とか、行動を決めてゆくようです。

パリのランチ ムール貝のワイン蒸しdownsize
(パリのランチ、ムール貝のワイン蒸し(ベルギー料理店ですが・・))
火の使用がレトロネイザル嗅覚を育てた
ストーンエイジの頃、ヒトの火の使用は調理と言う技術、文化を生み、これによってヒトは栄養素の消化、吸収、利用の効率を劇的に高めることが出来ました。これによって、脳の増大とその栄養の確保、生存率向上、活動時間の増加などによりヒトは他の動物に比べ優位に立つことが出来たようです。
ヒトのレトロネイザルの第2の嗅覚も火の利用と調理により磨き上げられたはずです。

料理が進化を促した話題の過去記事はこれ↓
プロメテウスの贈り物-火がヒトの高速進化を生んだ?+フランスで出会った一皿たち

ご興味あれば「続きを読む」をクリック↓

過去の記事リストは下のイラストをクリック
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ワンちゃんの嗅覚には適わない、吸うだけなら
ヒトもワンちゃんなど動物も脳の真下の位置の鼻の粘膜に匂いを感じ取る嗅細胞があります。鼻腔が長くバイパスがあるワンちゃんは嗅ぐのが得意、警察犬などみているととてもかなわないと思います。

パリのホテル クロワッサンの朝食 REVdownsize
(パリのホテル、クロワッサンの朝食)
意外!ワンちゃんより優れたヒトの第2の嗅覚
しかし、口腔と鼻腔とが合流する咽頭から嗅細胞がある粘膜までの距離は、他の動物に比べてヒトはずっと近いため口に中からの匂いを効率よく感じとれる、つまり、ヒトはレトロネイザル経路の嗅覚に優れているようです。

スパイス、ハーブは第2の嗅覚の申し子
火を操ることを通してヒトは料理に魅惑的な「風味」(レトロネイザル経路で感じる香味)を添えるスパイスやハーブを使うようになります。スパイス、ハーブは優れた第2の嗅覚の申し子です。そのためスパイスは古今東西、数多くの探検、覇権争い、侵略、戦争を招いてもきました。

ハッピーな味・香りは嗜好を磨く
味覚や嗅覚は同じ刺激が繰り返され、その結果が「ハッピー♡」だと感覚もそして嗜好も増強されます。臭いはすぐに慣れてしまうので意外なのですが、実験的に証明されているようです。

ストラスブールの一皿ポークハムのソテーdoensize
(ストラスブールの一皿、ポークハムのソテー)
シアワセな風味の行き過ぎは渇望を招く
”シアワセ”な「風味」のレトロネイザル経路嗅覚への刺激が過度に繰り返され、行き過ぎると脳の報酬系はオーバーヒート、「嗜好」だったものが「渇望」に変身してしまいます。「甘い香りのチョコ食べたい」とか、「クセになるラーメン」とか・・・。

ファーストフードの『レトロネイザル戦略』
多種のスパイスや香料を使って「嗜好」を「渇望」に導くのがファーストフードチェインの戦略らしいのです。(意図的か否かは別として)。「あ、『朝マック』食べたいな・・・」とか。

健全なレトロネイザルで豊かで健康な生活を・・
このように第2の嗅覚、レトロネイザル経路の嗅覚、は私たちの豊かな食生活にも、摂食行動、生活習慣にも大きな影響があるようです。健康的な食生活にはレトロネイザル経路、第2の嗅覚の健全な活用が大切なようです。グルメと匂いのサイエンスの面白い話題を見つけたら続編を書きます。

出典: 「美味しさの脳科学;においが味わいを決めている」 “Neurogastronomy; How the Brain Creates Flavor and Why It Matters” 2012年Gordon M. Shepherd氏著、小松淳子氏訳(インターシフト 2014年)

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過去記事リスト「生き物とちきゅうのお話」の記事が増えてきましたので、次の6つに仕分けしてみました。
仕分け名をクリック↓すればそれぞれのリストに飛びます。

human男の子REVヒトが歩んだ道、ヒトの進化と体の機能

brain虹色彩、視覚、夢のフシギと脳のしくみ

animalワンちゃん動物: ワンちゃん、海の生き物、石になった者

birdコガラ鳥、翼竜、空を征した者たち

flowerばらの花花や植物と虫たちの小さな世界

earth地球ちきゅうと気候、気象のかかわり


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テーマ : パリ、フランス - ジャンル : 海外情報

コメント

Re: No title

イヴまま様、すみませ~ん。せっかく頂いたコメントを見過ごしてしまっていました。改めてありがとうございます。そうですね、おいしいものを食べるシアワセはとっても大切。でもどこで止めるかが問題かも。美味しいものをたくさん、ではなく、いろいろと食べるのがいいのかも知れませんね。

> こんばんは kenjiさん
> どれも美味しそうですねー
> 鯖とポテトのお料理食べたいっ
> シアワセな風味の行き過ぎは・・・
> あらら・・・大変っ 
> チョコもケーキもほどほどにしなくちゃ。

Re: dinnerの間・・・、

それはうらやましいです。今日lakmeさんは鼻に抜ける残り香を堪能されるのでしょうね。
旅と同じで食事も、選んで出かけて待って、味わって、「美味しかった」と3度楽しめますね。

> 今日は、夜、美味しいものを食べに出かけるのですが、オルソネイザル、レトロネイザルを感じようと、鼻をフガフガしてしまいそうです。

dinnerの間・・・、

今日は、夜、美味しいものを食べに出かけるのですが、オルソネイザル、レトロネイザルを感じようと、鼻をフガフガしてしまいそうです。

No title

こんばんは kenjiさん
どれも美味しそうですねー
鯖とポテトのお料理食べたいっ
シアワセな風味の行き過ぎは・・・
あらら・・・大変っ 
チョコもケーキもほどほどにしなくちゃ。
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