空飛ぶ者たちを追う愉快なローテク; バイオロギングその3

空飛ぶ者たちを追う愉快なローテク; バイオロギングその3

スピット(Spitfire XVI E)をのんびりトラクターが牽いて行くREVdownsize
(これは”短距離”機、スピット(Spitfire XVI e)をのんびりトラクターが牽いて行く)
はるか海をこえ空を行く者
今回は洋上の空を行く者つながりで添えるフォトは英国Duxford IWM博物館の長距離機です。





ミズナギドリの太平洋横断飛行
(ミズナギドリの太平洋横断飛行)
バイオロギングが明かす地球規模の季節移動
バイオロギングを使うと海鳥のとんでもない能力とスケールの大きい行動が明らかになったそうです。ミズナギドリ(ハイイロミズナギドリ、Puffinus griseus)が赤道を越えて南北両極を行き来するらしいことまでは分かっていました。
『バイオロギングって何?』→バイオロギング過去記事を見てください↓
海のトップスイマー、マグロでも、陸のママチャリ並みです、バイオロギングその2
ご自宅拝見バイオロギングで垣間見る動物の私生活 南ブルターニュ キブロン


ジオロケーターの原理
(ジオロケーターで現在地の緯度と経度を測定する)
太平洋に「8の字」を描かくミズナギドリ
でも、バイオロギングによって広大な太平洋をカンバスに「8の字」を描いて飛んでいることが初めて明らかにされました。小さなミズナギドリたちは偏西風と貿易風をうまく利用して地球規模で飛んでいます。

セントーラスエンジンがパワフルなヘイスティングスdownsize
(セントーラスエンジンがパワフルなヘイスティングス(Handley Page Hastings))
偏西風に乗って一路東へ・・・
日本の冬=ニュージーランドの夏に豊かな餌で子育てを終えたミズナギドリは偏西風に乗って太平洋を東に、南米西海岸で過ごします。

貿易風に乗り日本の夏を満喫する
やがて貿易風に乗り赤道を越え北西に飛んで餌の豊富な夏の日本近海にやってきます。

デザインが美しい幻の名機TSR2 downsize
(デザインが美しい幻の名機TSR2は白い衣装が似合う)
「アリューシャンマジック」のまっ只中へ
次に偏西風に乗って夏のアリューシャンへ、爆発的なプランクトンの発生から始まる生き物の豊穣の宴「アリューシャンマジック」のまっ只中へ。
NHK番組記事はこちら↓
NHKドキュメンタリー「アリューシャンマジック」の記事

大きな尾翼が印象的なB-17の後ろ姿downsize
(大きな尾翼が印象的なB-17の後ろ姿)
「ボクたちの夏は終わらない」
「8の字」終点はニュージーランドの海です。やがて北半球も秋になり、再び南西へ赤道を越えてニュージーランドに帰ってきます、南半球の春に。こうしてバイオロギングにより小さなミズナギドリが太平洋を股にかけ「8の字」を描いて移動することが判ったそうです。
だから「ミズナギドリの夏は終わらない」のです。


ちょっとユーモラスなヨーク輸送機の「顔」downsize
(ちょっとユーモラスなヨーク輸送機の「顔」(機首)(AVRO York))
愉快で優れたローテク「ジオロケーター」
こんなミズナギドリの驚きの大飛行を明かしたのは主に渡り鳥用に開発された「ジオロケーター(Geolocator)」です。大航海時代の船乗りが用いた「天測航法(astronavigation)」と同じ原理でとてもシンプル。時計と明るさ(照度)の変化から日の出と日の入り時刻を毎日記録する、ただそれだけ。これで海を行く鳥たちの緯度と経度を日々記録、追跡できる、ローテクだけど愉快なほどよくできたバイオロギング装置です。

天測窓の実例B-17G downsize
(天測窓の実例B-17G)
日の出、日の入り時刻で緯度、経度を知る
“1年のある日”の日の出か日の入りが判れば緯度(北緯か南緯)が分ります。その真ん中の時刻が太陽の南中時間で、この出発地との「時差」から経度が分ります。こうして地球上の場所が決まり、これを日々追えば渡りのルートが完成です。
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トリさ~ん、待ってくださ~い
動物に計器を預けて動物自身で測ってもらうバイオロギングの技術ができるまでは、陸上の動物の行動を調べるのさえ一苦労なのに、空を飛ぶトリさんたちを追いかけるのは非常に困難でした。

赤白お揃いのコンコルドとチップマンクdownsize
(赤白お揃いのコンコルド(奥)とチップマンク(手前))
海の上を飛ぶ者を追うのは大変です
まして大海原を飛ぶ海鳥の行動となると営巣地や中継地で標識個体を調べるのがせいぜい、途中の海の上での行動はほとんど分かっていなかったのだそうです。バイオロギングによって野生動物のリアルな日常が分ってきたようです。

トリさんに預けるなら小型、軽量、省エネじゃなきゃ
体の大きいトナカイ、アザラシなどと違って体重の軽い鳥に背負わせるバイオロギングの装置は小型、軽量でなくてはならず、すぐには回収できず長時間測定を続けるので省エネが大事、もちろん高い信頼性が求められます。ジオロケーターもその1つです。

二重反転プロペラが逞しいシャックルトン哨戒機downsize
(二重反転プロペラが逞しいシャックルトン哨戒機、雨ざらしなのが可哀そう)
昔、ヒコーキも天測航法でした
ジオロケーターと同じく昔ヒコーキも天測航法でした。B-17、B-24、ランカスター、ウェリントンなど長距離機には必ず小さな丸い透明の「天測用」ドームが付いてますよネ。そこから全天を眺め目視で太陽や星の位置を測って飛んでいたのです。

「ジオロケーター」の詳しいことは・・・
ウキペディア記事がります、英語ですが。
Geolocator

「ミズナギドリ」ってどんなトリ?
ミズナギドリの素晴らしい写真や詳しい生態は、例えば、こちらのブログで見ることができます。
「鳥キチ日記」さん http://nemu.no-blog.jp/torikichinikki/2012/08/1ardenna_tenuir.html (リンクは貼っていません)


天測航法(Wiki記事): http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A9%E6%B8%AC%E8%88%AA%E6%B3%95

出典: 「ペンギンが教えてくれた物理のはなし」 2014年 渡辺佑基氏著(河出ブックス)
出典: 「サボり上手な動物たち/海のなかから新発見」(岩波科学ライブラリー201) 2013年、佐藤克文氏、森阪匡通氏共著(岩波書店)
出典: 「海鳥の行動と生態; その海洋生活への適応」 2010年 綿貫豊氏著(生物研究社)


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コメント

Re: No title

イヴまま様いつもありがとうございます。イヴままさんと同じく、映画「グース」でハングライダーに寄り添って飛ぶカナダガンに感激しました。ヒコーキ大好きの私は空飛ぶトリさんも大好き、そもそもなんで飛べるのか?フシギです。バイオロギングで見る動物の生活は「24時間密着シリーズ」みたいで面白いですね。

> こんばんは kenjiさん。
> 渡り鳥の移動経路を調査できるって
> すごいですね。
> 高い技術力があってこそ
> 未知の生態が解明されていくのですね。
> 空を飛ぶ鳥の目線からの映像を始めて見た時は
> とっても驚き、感動しました。
> 自らの力で空を飛べない人間は
> やはり空に憧れますね。

No title

こんばんは kenjiさん。
渡り鳥の移動経路を調査できるって
すごいですね。
高い技術力があってこそ
未知の生態が解明されていくのですね。
空を飛ぶ鳥の目線からの映像を始めて見た時は
とっても驚き、感動しました。
自らの力で空を飛べない人間は
やはり空に憧れますね。

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